もう半年も前のこと、それどころかすでに去年の暮れのことなのに、おりにつけ鮮やかに思い出す舞台があります。
バレリーナの上村未香(うえむら・みか)さんが出演した「くるみ割り人形」の舞台です。(2011年12月24日 神戸文化ホール)
上村さんは神戸を拠点にしている貞松・浜田バレエ団のプリマです。
ヒロインのクララを踊りました。
踊りが透明だったのです。
空気の精のようでした。
生身のひとが踊っているとは、もうほとんど感じられませんでした。
どのシーンを挙げるのがいいでしょう。
むしろ、どんなつかの間のエピソードにも目をそそぐ値打ちがあるでしょう。
ネズミの王様の大暴れにひやひやしているところでも、いきなり王子が現われてまだびっくりが続いているところでも、王子といっしょにお伽(とぎ)の国へ旅立っていくところでも。
どのような細部でも、かの女はいつも瑞々(みずみず)しく、繊細で、軽やかです。
まったく驚くべきことに、かの女の跳躍にはほとんど音が立ちません(ぼくは実際かの女のトウシューズの響きを一回も聴いたことがないのです)。
舞台を横切っていく風なのです。
微風です。
くるみ割りの王子とドロッセルマイヤーが不思議な空気で対峙(たいじ)するラストの場面。
少女クララは、王子の腕の中からまるで投げ出されるようにして、ドロッセルマイヤーの腕の中へ返されます。
未香さんのクララは、なんと軽々と空中に浮かんだことでしょう。
重力が消えてしまったようでした。(続)
バレリーナの上村未香(うえむら・みか)さんが出演した「くるみ割り人形」の舞台です。(2011年12月24日 神戸文化ホール)
上村さんは神戸を拠点にしている貞松・浜田バレエ団のプリマです。
ヒロインのクララを踊りました。
踊りが透明だったのです。
空気の精のようでした。
生身のひとが踊っているとは、もうほとんど感じられませんでした。
どのシーンを挙げるのがいいでしょう。
むしろ、どんなつかの間のエピソードにも目をそそぐ値打ちがあるでしょう。
ネズミの王様の大暴れにひやひやしているところでも、いきなり王子が現われてまだびっくりが続いているところでも、王子といっしょにお伽(とぎ)の国へ旅立っていくところでも。
どのような細部でも、かの女はいつも瑞々(みずみず)しく、繊細で、軽やかです。
まったく驚くべきことに、かの女の跳躍にはほとんど音が立ちません(ぼくは実際かの女のトウシューズの響きを一回も聴いたことがないのです)。
舞台を横切っていく風なのです。
微風です。
くるみ割りの王子とドロッセルマイヤーが不思議な空気で対峙(たいじ)するラストの場面。
少女クララは、王子の腕の中からまるで投げ出されるようにして、ドロッセルマイヤーの腕の中へ返されます。
未香さんのクララは、なんと軽々と空中に浮かんだことでしょう。
重力が消えてしまったようでした。(続)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます