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ブログ版 シュプリッターエコー

ビデオ・アートのビル・ヴィオラ展

2007-03-10 19:40:33 | 美術
 ビル・ヴィオラ展に行かれましたか?
 ビデオ・アートの超大物作家です。
 神戸港の東寄りにある兵庫県立美術館で3月21日までやっています。 
 
 1951年ニューヨーク生まれの作家ですから、ことし56歳。
 ますますアブラがのってきたところでしょう。

 2002年に同じ美術館で行われた開館記念展で、デモーニッシュなあの「ミレニアムの五天使」が紹介された作家ですから、ああそうか、と思い出すかたもあるでしょう。
 水中に沈んでいく男を超スローモーションで映し出した、神秘で幻想的で、むしろ不気味でさえあった、深い映像!
 今回は9本の作品をそろえて、初めての全容紹介です。

 その「ミレニアムの五天使」を見たときに、なにか能の表現に近いようなものを感じていたんですが、ヴィオラはやっぱり若いときに日本の文化と精神に出会っていて、それがきっかけで今日の独自の世界を切り開いたらしいんですね。
 展覧会の副題にも採っている「はつゆめ」は、そのときに日本で撮った映像です。

 お勧めは、まず「クロッシング」。男がこっちに目を据えてひたすら歩いてくる作品です。歩く以外になにもしない。歩いて、歩いて、歩いて、歩いて…。ただそれだけ。それがいい。ただそれだけなのがとてもいい。
 それから「グリーティング/挨拶」。これは三人の女たちの街角の立ち話。これも簡単な挨拶と立ち話だけ。ストーリーはなにもない。けれど、なんのストーリーもないということは、無限にストーリーがあることだな、とそんなことを、ズシリと考えさせられます。

 ただタイトル作品の「はつゆめ」は、ヴィオラを研究する上ではメモリアルな作品だけど、なにせまだ若作りで、時間がなければほかの8本を優先すべし。新幹線に間に合わない時刻なら、できるだけほかの作品に時間をかけて、これは割愛してもいい。

 兵庫県立美術館は078.262.0901

 なお展覧会の詳しい評論はこのブログと姉妹関係にある「Splitterecho」Web版に掲示しています。興味がおありだったら、訪ねてください。http://www16.ocn.ne.jp/~kobecat/  

 

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