知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

保護者の方が施設に求めるもの・・・

2016年02月05日 | Weblog
裁判の話が続きました。


今回は、こういった裁判沙汰になった根本的な部分は、どこにあるんだろう・・・ということを考えてみたいと思います。



もちろん、傷害事件は大きな問題なんですが、特に知的障害者施設ならば、重度の方であろうと軽度の方であろうと、傷害事件は起こります。それは、利用者対職員ではなく、いわば利用者対利用者がほとんどです。

重度の方ならば、自分の欲求や興奮、またパニック状態が抑えられずに、他者に向かっていく・・・ことは多いです。自閉症の方の中には、他者がどんな反応を返してくれるか?を期待しながら、攻撃する方もいます。当然、重度さんどうしになると、お互い抑えがきかずに大怪我に至ることもあります。

また、軽度さんでも、自分の言い分が通らず、また意見の食い違い、誤解(バカと言われた、私を嫌っている・・・等)による喧嘩も多く、それが異常に興奮度が高まれば、大きな問題になります。


もちろん、施設職員は黙ってみていることはなく、双方を抑制しますが、結構難しい場面も多いですね。

この「暴れている人・・・利用者を、抑制する・・・こと」が、一部の素人に近い職員からすると、暴力的に抑え込んでいる・・・と見えるみたいですね。
どうすればいいんでしょうか? 殴って抑えているわけではなく、あくまでも落ち着かすように抑制をかける・・・、他人から見れば、何しているのか?と思われるでしょうね。(若い経験の浅い職員は、どうしていいか分からないから、その場を避ける人がいます。)


当然、職員のほうもそれなりに怪我を負います。(当初は擦り傷や噛み傷、あざも頻回にありました。私など、眼鏡を何度も壊されました。)

身体はってますよ・・・施設職員は・・・。



ただ、事件があったときは、必ず(特に怪我を負っているときは)保護者に連絡します。病院等に世話になる場合は、直接来てもらうこともあります。
それ(連絡)が普通なんです。
※中には、どんな事象でも、施設に任せます・・・みたいな保護者もたまに・・・


施設に預かっている限りは、当然責任が伴います。保護者も様々ですが、しっかり説明すれば、ほとんどが納得していただけます。

数年前に記事にしたことがありましたが、普段ほとんど面会にも来ず、それでも何か気に入らないことがあると、文句を言う保護者がいます。逆に、週に1度ほどの面会に来られる(一緒に帰宅もされる)保護者は、「この子は、しょうがないな・・」と理解を示してくれる場合も・・・。

施設に預かってもらってる・・・という感謝をされたり、実は一緒に生活をしたかったけど、無理で・・・と残念がる保護者、職員を全く信用されない方、逆に職員の顔と名前をよく覚えている方、ホントに十人十色で、いろいろです。



保護者の方が、施設に求めるものも、それぞれ事情が違うと、それによって変わってきます。

でも、基本は「わが子」をよく見て、それに合った支援をしてほしい・・・というのが本音ですね。それは、嫌というほど分かります。

どこの施設でも同じだと思いますが、毎年、その利用者の方の目標をしっかり立てて、それに向けた支援を行います。保護者にも説明します。
それを行っていても、向上する人もいれば、反対に悪化する方もいます。そういうときは、支援目標や内容が悪かった・・・と思い、考え直します。

施設職員も、利用者の方がどんどん力がついて、生活能力や対応する力がつけば、非常に嬉しいですし、そのことにより自分たちの負担も軽減していきます。




今回、本当に裁判になるほどの傷害事件になった・・・のか?は、不明ですが、おそらく利用者の方も保護者の方も、入所支援施設が初めての経験で、その対処方法を(施設側も)誤っていたのでは・・・と思います。当事者に対する処罰は、当然、施設側が行いますが、それを事件化して報道して、裁判に持っていくというのは、言い換えれば、今後自分たちが施設に対して、「信用しない」ことであり、こういう業界に対して大きな挑戦をされたことになると思います。


今回の方は、関東圏内での入所をすべて断られ、しかたなく関西圏の施設に来られたようです。しかし、この事件後、すぐに退所され(実質3か月の入所)、現在は一応2泊は宿泊が可能な施設で対応してもらっているようです(関東圏でも受け入れるところがあったのか?)。

このあたりが、事件との関わりで、受け入れの拒否が、なぜあったのか?問題だと考えます。(ようやく受け入れてくれた施設が、事件化され、責任者一同処罰され、名指しされた職員は裁判になり・・・。)

このあたりは、保護者の方は、自分の子供の証言が本当に正しいと思われているのでしょうかね?それでも、ここまで施設や職員を追い詰める気持ちはどこにあるのでしょうか?(今回の事件は、決して生死を分けるような怪我ではありません。)


一人の無実の職員の生活や人生を奪って、またその周りの人たちを巻き添えにして、満足なんでしょうか?



私は、現在は施設職員を退職しましたが、たとえ現職であっても、こういう事件は悲しいですね。誰が得をしたのか?・・・です。



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