知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

入所支援施設はどうなっていくのか・・・?

2016年06月28日 | Weblog
前回の続きです。


施設の管理者や職員の資質や、その仕事内容により、その施設の雰囲気が変わります。


前回も述べた通り、向上心は常に必要ですね。


・・・と同時に、お互いの信頼関係も大切です。


これは、利用者と職員間の信頼関係はもちろんなんですが、常に24時間支援する職員間の信頼関係、協力関係も大切です。


前回に述べたような、まずい施設の先輩なら見習う必要はありませんが、今まで長い経験を経てきた先輩や、利用者との関係が充実している先輩は、おそらくそれなりの方法や支援の仕方をされてきたのだと思います。


ただ、最近の若い職員(これは、どの施設でも言えると思いますが)の中には、先輩は先輩、自分は自分・・・的な考えを持つ人が増えてきたことですね。他の施設の職員に聞いても、同じ言葉が返ってきます。

先日、私が訳あって退職した施設の設立者の方も、本音で「最近の若い連中は、言うことを聞かない・・・」と嘆いておられました。


それは自分のやり方を進めるために、まず先輩のやり方の否定から始まります。


そこでひとつでもうまくいくと、調子に乗り、どんどん違う方向へ向かいます。(ただ、失敗しても自分のやり方が悪いと思わない・・・)



こういう世代間の断絶も、最近の施設内の支援に、大きく影響していると思います。


また、支援の際に、当然利用者は、必ず職員が言うことをトレースしてくれるとは限りません。逆の場合がほとんどです。


本人の持っている言葉の語彙数が少ないと、どうしても伝える内容も不十分なので、職員に理解してもらえない・・・職員はなんとか理解しようと努力が必要・・・過激な言葉になったり、思ってもみない言葉づかいをしてしまうことも・・・。

さらに、言葉がない、いわゆる自分の気持ちややりたいこと等を、行動や行為で表す方もいます。(手を引っ張る等) このやり方がうまく出来ない人もいます。その際は、徐々に伝わらないイライラが、暴力や叫びやパニックになることも・・・。



職員も出来るだけ、理解しようと試みます。ここで経験の差が出てくると思います。



利用者の方が、暴力やパニックに陥った際は、もちろん職員も身体で制止しますが、この方法もなかなか・・・。
関係のない方が見ると、いかにも抑え込んでいる、馬乗りになっている、はては職員が暴力を・・・虐待を・・・となります。
その場にいなかった(理解しようとしない)職員は、それを見てどう感じるのか・・・??

自分もそういう経験がある人は、「何があったんですか?」「手伝います」等と言って、出来るだけ利用者が怪我のないように、落ち着かせます。


しかし・・・、前述したような先輩を認めていない職員は、「ひどいやり方だ」「僕なら(私なら)もっとうまくやれる・・」と、その場面を観察しているだけに終わります。制止がうまくいかないときは、利用者本人だけでなく、職員も大きな怪我を負います。


そういった職員も増えてきました。


それは、この業界での大きな課題である、職員が確保出来ない・・・という部分につながります。ひどいところになると、経営が出来ないから、正職員は少なく、パートばかり・・・のような施設もあります。

この業界は、やはり専門職が必要です。障害についての理解、検討、把握、また医学的な知識が必要になるときも・・・。


職員募集をしても、ほとんど新規職員が来ません。(私が退職した後でも、いない・・・と随分文句を言われました)


その理由は、皆さんがご存じの通り、仕事内容の厳しさ以上に、給与の少なさ、待遇の悪さ、職場環境の悪さ・・・数え上げれば、キリがありません。

どの業界でも、専門職が就いておる仕事は、どれも給与が一定量あります。この業界だけは、低賃金で専門職をやっていかなければならず、全くの素人でも同じ給与なんですね。

私は、すでに業界からリタイヤした身ですが、よく今まで28年以上もやってこれたな・・・と、我ながら感心しています。



いかにこの業界を改善してくか・・・。


私には分かりません。ボランティア精神の旺盛な方を雇うか、いいかげんでいいので、施設が最低限運営出来る状況で諦めるか・・・、何もせず、放任状態で一日を過ごすか・・・、入所支援施設が大きな転換期を迎えるのは、いつなんでしょうね。
コメント
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