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マザー・テレサ [工夫しない生き方を工夫しない描き方で表現]

2005-11-19 15:00:58 | 映評 2003~2005
全世界のマザー・テレサ・ファン待望の映画化だ。主演はかつてジュリエット役で一世を風靡したが、ぶっちゃけ他の出演作が記憶にないオリビア・ハッセー。あ、まだ生きてたんだ、とちょっと驚き。でもマザー・テレサのインドで慈善活動初めてからの40年間か50年間くらいを特殊メイクの力をかりて好演。終盤にはマザー・テレサ本人に見えてきたし(本人の顔よく知らんけど)うまい女優さんだなと思った。

ともかく組織化や効率化を嫌うマザー・テレサの生き方が面白い。先進国の会社組織とは全く逆の考えで活動を広めていく。映画はそんなマザー・テレサの行き方を反映してか、シナリオも演出も撮影も編集も音楽もことごとく凡庸で、およそ"映画的技法"などに一切依存しない
はやりのCGも使う気ゼロ。唯一テクノロジーに頼ったのは特殊メイクで、マザー・テレサや他の登場人物の老けメイクがかなりリアル。
マザーの生き方をストレートにメリハリなく描けば、"神の思し召すまま"皆が感動してくれると考えたか?しかし、この映画の監督、ファブリッツィオ・コスタはマザー・テレサと違って、"神のペン"(「私は神のペンです。字を書くのはあくまで神です」とのマザー・テレサの台詞から)とはなれなかったようだ。
それでも、風変わりにして世界一心の優しいマザー・テレサの人生と彼女の活動の意義はよくわかりました。

ただ少しだけ気になるのは、ノーベル賞受賞式の晩餐会の豪華料理を作る金を、別のことに使いなさい、と言ってみたり、会議室に用意されたミネラル・ウォーターが1本3ドルと聞いて、子供が一年間学校に通えるわ・・・と腹を立て、30年かけて作り上げた全国組織を鶴の一声で解散させたり・・・極端に無駄遣いを嫌った彼女は天国からこの映画を観てどう思うか?
この映画の制作費はいくら? あらあら、そんなにかかったの? 一体何人の子供を救えるかしら・・・
とご機嫌斜めにならねばいいが・・・(もちろんこの映画の利益の多くは慈善団体に寄付されるのだろうが)

そうとうでうでもいいが、マザー・テレサと言えば、なぜか最初に思いつくのは、マザー・テレサが亡くなったころに発表された、さいとうたかを著の"ゴルゴ13"の1エピソード
かつてゴルゴの命を救っていたマザー・テレサ。ゴルゴ相手に「あなたは悲しい目をしています」、みたいなこと言ったりしてた。そんでゴルゴはマザー・テレサが亡くなった後、お礼かお詫びか気まぐれか、うん千万ドルだかの莫大な献金をする・・・というお話です。わはは

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