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北京オリンピック開会式セレモニーの感想 [監督:チャン・イーモウ]

2008-08-09 13:06:59 | 映評でなく、映画についてのエトセトラ
チャン・イーモウの「王妃の紋章」(チョウ・ユンファ!、コン・リー!)が松本で公開されなくてとても悔しい思いをした今年。
オリンピックの開会式っていうより、チャン・イーモウの新作を観ることができたような満足感。
予算無制限っぽい豪華演出。チャン・イーモウ印の赤がふんだんに使われたアトラクション。赤い衣装で歌う女の子はチャン・イーモウ好みなアドケナロリ顔。膨大な数の人間たちがピタリと息をあわせて踊り歌う姿はとても美しかった。
そこには「秋菊の物語」や「あの子を探して」や「初恋のきた道」の田舎の素朴さはなく、「至福の時」の都会のすみの貧乏庶民たちの明るさも無く、初期作品や「英雄」でみせた色彩へのこだわりがあった。ストーリーに束縛されることなく、予算も(検閲も)気にすること無く、リミッタを外されたチャン・イーモウのイメージは色と光の洪水のように鳥の巣の中に溢れていった。

かつては当局からにらまれ、世界では有名だが中国では公開されない不遇の監督だったり、検閲が通らず「活きる」が何年もおくら入りになったり、何年か映画制作を許されなかったりしたチャン・イーモウ。
そんなに不自由なら西側で映画撮ればいいのに、と言われても、俺は中国人だから中国でしか映画を作れない、と言っていたとなんかの本で読んで、かっこいいと思った。
そんな彼が中国の国家イベントで総監督をつとめたのである。彼にしてみれば感無量な一日だっただろう。
改めて彼が世界を代表する芸術家の一人であることを実感した、光と色彩の60分間のオープニングショーであった。全然長く感じなかった。
あの国の政府は好かんが、チャン・イーモウは尊敬に値する芸術家だ。

チャン・ツィーイとかコン・リーとかでてこないかなと期待したが出てこなかった。2人がワイヤーにつるされて聖火を奪い合ったら色んな意味で面白かったのに。

ジョン・ウーに開会式の演出やらせて、ユンファが二丁拳銃で聖火点灯とかすればもっと面白かったな・・・と妄想。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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コメントありがとうございます (しん)
2008-08-30 00:59:13
>kossyさま
そうですね
あれだけ壮大なスペクタクルはチャン・イーモウ史上最高でした。
記録映画とか撮ってくれてないのでしょうか

仮に東京オリンピックが実現するとしてオープニングは誰が演出するんでしょうかね?
映画人でその務め果たせる人はいない気がします
宮崎駿くらいかなっ・・・て開会式アニメかよ
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イーモウ (kossy)
2008-08-28 07:28:48
さっそくのコメントありがとうございます!
やっぱり開会セレモニーは強烈でした。
いつものオリンピックなら閉会式は面白くなかったのに、開会式の興奮をそのまま残してくれたような感じでした。
花火のCGに対しての非難・・・CGをそのままテレビ中継に取り入れてビックリさせるんだから凄いことですよね~
同じく、チャン・イーモウの映画を観るつもりでテレビにかじりついていました!
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