自主映画制作工房Stud!o Yunfat 改め ALIQOUI film 映評のページ

映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

キネマ旬報の70年代外国映画ベストテンの感想

2018-07-08 18:30:05 | 映評でなく、映画についてのエトセトラ
キネマ旬報で70年代外国映画ベストテンと言う企画があり、特に驚くべき結果ではなかったので、同誌でのテンの詳細については書かない

アメリカ映画限定で私の考える70年代映画の系譜を記したくなった

70年代映画は、60年代末に始まったアメリカンニューシネマの終焉で始まる
と言っても、それはニューシネマが切り開いた新しい映画表現の幕開けでもあった

ニューシネマをこの側面だけ切り取るのは間違いかもしれないが、ニューシネマは映画のミニマム化、反体制側への移行、そして暴力表現で映画を新しいステージにあげたことが重要だ
ニューシネマがあったればこそ、70年代の百花繚乱たる暴力映画群があったと考える

ダーティハリー
フレンチコネクション
ゴッドファーザー
時計仕掛けのオレンジ
そしてニューシネマがこじ開けた、反体制映画と暴力表現の一つの到達点が

タクシードライバー

なのではないか
ただしスコセッシは映画オタクで今も当時も新しい映画より古典的映画を愛し続けていたくせに、新しい表現を求めていたところが、他の人と違う

一方で反体制的映画ではなく、ニューシネマ的ミニマム題材でありながら(あるいはだからこそ)、大衆迎合映画へとネガポジ反転を決めた映画も作られた。

ロッキー

ロッキーとタクシードライバーと同年に公開されかつ、ロッキーの方がアカデミー賞を受賞したのは興味深い

話を70年代初頭に戻すと、ニューシネマが面倒くさいスタジオや大プロデューサーの息がかかからないようにロケ中心で低予算の映画を作っていたことの反動で、ハリウッドではこれでもかと大スターを並べ豪華なスタジオを縦横無尽に使いまくるというかぶっ壊しまくる、100%ニューシネマにはできない映画を作り出した。
パニックスペクタクル超大作映画だ

大空港
ポセイドンアドベンチャー※
タワーリングインフェルノ※
大地震※
(この辺の作品がキネ旬70年代テンで悉く無視されていたのが気に入らなかった)

ニューシネマ発の「暴力」と、ニューシネマの反動による「パニック映画」
この二つが結びついたのが75年の

ジョーズ※

ではないのか

一方で特撮パニック娯楽スペクタクル映画は、70年代後半の特撮映画の下地になっていないか

未知との遭遇※
スターウォーズ※

そしてハリウッドはSF特撮映画という豊かな鉱脈を掘り当て、70年代終盤の
スタートレック
エイリアン
スーパーマン※

そして80年代のスピルバーグ・ルーカス・ブランドのSFX娯楽映画へと向かっていくのである

ちなみに※は音楽ジョン・ウィリアムズという共通項の映画で、反体制で破滅的なニューシネマで始まった70年代映画をペカペカの娯楽路線に強制軌道修正させたMVPはジョン・ウィリアムズなのではないかと思う

しかしスピルバーグのデビュー作「続激突カージャック」もルーカスの出世作「アメリカングラフィティ」もめちゃめちゃニューシネマチルドレンな映画である
80年代には少なくともスピルバーグルーカス印の映画からは消滅したニューシネマ魂が00年代くらいからまたむくむくと復活してきた気がする

などと70年代アメリカ映画を俯瞰してみたけど、その頃ヨーロッパでは、日本ではってなると途端に知識の浅さがバレてしまうので、このくらいにしておく

ちなみに私の選ぶ70年代(アメリカ)映画ベストテン

ジョーズ
チャイナタウン
スティング
フレンチコネクション
007 私を愛したスパイ
タワーリングインフェルノ
時計仕掛けのオレンジ
スタートレック
スターウォーズ
フレンチコネクション2

すげー娯楽寄りなチョイス


特撮が万能ではない時代に、表現の自由を得て、映画作家たちがカメラと演技と演出で想いのたけを作品にぶつけていた70年代映画が大好きです
そんな70年代映画大好きな私の撮影中の監督作 映画 #巻貝たちの歓喜 は、クラウドファンディングでご支援受付中です
モーションギャラリー「巻貝たちの歓喜」制作支援プロジェクト
8月10日まで!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。