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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

まだまだあぶない刑事 [俺は80年代にタイムスリップしてしまったのか?]

2005-11-01 01:01:23 | 映評 2003~2005
80年代・・・青春の時代・・・80年代の青春を象徴するのが「トップガン」と「あぶない刑事」だった・・・というのは嘘もしくは大げさな表現だが、個人的80年代のキーワードベスト20くらいには入るだろう。
その「トップガン」のトニー・スコットは20年の間に見事な進化を遂げたが・・・あぶ刑事は・・・変わっていないんだな。これが。
「あぶない刑事」はテレビの刑事ものとしてはかなり面白かった。当時は。だがその映画版はテレビと規模も内容もさして変わらず、それはそれで面白かったのだけど、「あまりあぶなくない刑事」だった。リーサルやダイハードの方がはるかにあぶなかったもん。だが、マンネリズム全開で2005年になって性懲りも無く登場すると、「ある意味たしかにあぶない刑事」である。

「この胸いっぱいの愛を」という映画がある。2000年代の世界で生きる主人公が飛行機事故にあって80年代へとタイムスリップする物語だった。そんな大仕掛け必用ない。「またまたあぶない刑事」を見に行けばいい。タカとユージの顔アップさえ気にしなければ、80年代と何も変わっていない世界が待っている。タイムスリップ完了だ。
拳銃ガンガンぶっ放す、という超だせー表現がこれほどぴったりくるものがあるだろうか?
柴田恭兵の"Running Shot"(挿入歌)なんて、新録もせずリミックスしただけっぽいし、舘ひろしの歌う主題歌"貴女と…"の新曲とは思えないあの感じ・・・上映前の場内でかかっていて「なお、ただいま紹介しました曲は、絶賛発売中です」というアナウンスまでご丁寧にかかるのだが・・・うう・・買いたくねえ・・・と思ってしまいます。
80年代のあのころと変わらず、それがかっこいいと信じてやっている芝居や演出
きめきめの舘ひろし。「リセットのきかないゲームもあるんだ!!」「なぜ、こんな生き方を選んだ!!」みてるこちらが赤面。
うひ~、あのころ俺はこんなだせーものが好きだったのか・・・と恥ずかしくなってくる。
「スタイリッシュ」から20万光年くらいはなれた銃撃戦の映像を見よ。
やる気のないシナリオはどうだ。それまでひとかけらも話されなかった過去をクライマックスでべらべらと喋るヒロイン(原沙知絵)。???と思ったままクライマックス終了し、エピローグで実はこうこうこういうことだったんだ・・・と説明。突然あらわれたキャラが実は犯人でしたと言うミステリーと同じ、下の下のシナリオだ。コンビものであるという便利さを利用して、ストーリーの説明は全部2人の会話で進行。モノローグを使わずに済んでいるだけで、本質は変わらない。とりあえず「あぶ刑事」ファンだけをターゲットにした映画作りであることは明白で、なんの野心もないしょーもない映画だ。

しかし、この居心地の良さはなんだろう。もちろん「あぶ刑事」ファンだった私のえこひいきのなせる技だが、無理に弁護すると、勢いさえあれば、ご都合主義もストーリーの矛盾もださい演出も全て乗り越える事ができたてきとー感むんむんの当時は悪しき、今は懐かしき80年代テイストが、現代によみがえった、その生きる化石ぶりが、ある意味斬新なのだ。
ご都合主義を開き直ってギャグにするところ(「どこでそのバイク調達したんだ」「あ、こんなところに工具が」など数限りなく)も野心がないからこそできる豪快な演出なのかもしれない。
でもそういうギャグより、舘ひろしや柴田恭兵が決めまくってるところの方が笑えるのですが
それから核弾頭については、少なくとも「ステルス」の脚本家よりは勉強していた・・・と、微妙な褒め方もしておこう。(その軽々しい扱いは批判されても仕方ないところだが・・・)

**********

ところで、シリーズもののレギュラーメンバーの位置に新キャラが現れ、さらに誰か裏切り者が・・・って展開になると、大抵その新キャラが裏切り者なんだよね。スタートレック6もブレイド2もそんな感じだったっけ。あれでベンガルが裏切り者だったらどぎも抜く展開だったのだが・・・そう思うと、フェルプスをあっさり悪役にした「ミッション・インポッシブル」は思い切った映画だったんだなあ・・・と、「ミッション・インポッシブル」公開当時そこを批判していた私は反省するのでした。

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5 コメント

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生きる化石の新鮮さ (えい)
2005-11-01 10:12:01
Yunfatさんのこの作品への愛憎がにじみ出ていて、

一気に読んでしまいました。

「生きる化石の新鮮さ」…まさにそのとおりだと思います。

返信する
ファン向け映画 (メビウス)
2005-11-01 19:12:22
こんばんわ♪TB有難うございます♪



出演者一同、内容無しを豪語するだけあって正にファン向けなアブデカ映画♪

ストーリーは部屋の隅に置くとして、アブデカシリーズお約束の展開が随所にあって、ファンかぶれな自分も楽しめました。



でもベンガルが黒幕だったら、自分はハラワタ煮えくりまくると思います・・(^▽^;)
返信する
コメどうもです (しん)
2005-11-03 11:51:48
>えい様

えい様の記事のあぶ刑事ファン臭はとても心地よいものでした。それでいいのだ、と思う映画です。

2012年ごろに定年まじかのあぶ刑事を見たいです



>メビウスさま

トオルや木の実ナナの黒幕の可能性も本気で考えながら見ていました。深読みしすぎ!!!って思わせるのもまたシリーズへの愛ゆえってことだご勘弁を
返信する
復讐いや、 (zazatto)
2005-11-04 07:31:14
復習のために見だしたレンタル・ビデオ(DVDは、ありませんでした)を、ようやく見終わりました。あ、本編は観賞済みです。

本編「悪役が小物でたよんない」

ビデオ「結局、昔はみんな若かった」
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zazattoさま (しん)
2005-11-08 04:33:32
私は

過去作「みんな若かった」

本作「まだまだ若いつもりなのね」

というわけでコメントありがとうございました
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