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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

ロスト・イン・トランスレーション

2004-11-03 21:13:40 | 映評 2003~2005
物語としては、英語ではない言語の国でさえあれば成立する。
だが、はっきり何故とは言えないのだけど、舞台が日本でなければ、これだけいい映画にはならなかったのでは・・・という気がする。

そこで描かれている日本は、サムライ、ゲイシャの日本ではなく、リドリー・スコット風の妙にきらびやかな日本でもなく、ほんとうに東京に行けば誰もが目撃する普通の日本。それでいて日本映画ではけして観れない日本。
文明的だが騒々しくて、でも香港や韓国のエネルギッシュな騒々しさではなく、どこか退廃的な喧騒。日本人ですら孤独感にさいなまれそうな、冷淡な都市。そこでアメリカ人のビル・マーレイとスカーレット・ヨハンソンが孤独感に押しつぶされそうになるのは100%理解できる。
年齢に関係なく誰もが持つ寂しさが、東京という街では堰を切ってあふれだす。
全てが美しい。しかし計算高く演出してるとはとても思えない、偶然の傑作?それともやっぱり親譲りの確かなセンス?

照明を使っていないのか、そんなわけないだろうが、少なくとも凝ってはいない。夜は暗いという当たり前のことを映像に焼きつけている撮影。
ああ、まとまらない。
がっちりした手応えはなく、するりと抜けていきそうな脆さ。でも決してこの映画を観たことを、感じたことを、忘れることはないだろう。
確かなことは、サントリーのウィスキーの売上がいくらか延びるだろうということ。観てすぐ買っちゃった。


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