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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

黒澤映画の一口感想集

2009-05-10 17:28:03 | 映画人についての特集
なんとなく黒澤映画短評。

これまでに観た黒沢作品全リスト
(映)→映画館で鑑賞、(V)→VIDEO, DVD, 衛星放送などで鑑賞
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]

 ■■■■■□ 姿三四郎 (V)
 フィルムの焼失部分を字幕で説明するのがそれはそれで効果的に思えてしまった。

 ■■□□□□ 一番美しく (V)
 いかにもな国策映画で・・・

 □□□□□□(未見) 続・姿三四郎  
 

 ■■■■□□ 虎の尾を踏む男たち (V)
 ラストの物悲しさがよかった

 ■■■■■□ 我が青春に悔いなし (映)
 黒澤の女映画ってだけでも珍しいが、原せっちゃんの力強さに惚れる

 ■■□□□□ 素晴らしき日曜日 (V)
 つまんなーい

 ■■■■■■ 酔いどれ天使 (映)
 猛烈感動。DVDで字幕ONで観るのをお薦め

 ■■■■■□ 静かなる決闘 (V)
 オーソドックスな黒澤現代劇。黒澤のテーマがソツなく詰まっている感じ

 ■■■■■■ 野良犬 (V)
 この熱さ。執念。傑作刑事映画だ。

 ■■■■■□ 醜聞 (V)
 いつの間にか主人公が入れ替わるヘンテコな脚本が面白い

 ■■■■■□ 羅生門 (V)
 初見ではあまり好きじゃなかったが、文句言いつつ繰り返し観ていくうちに好きになってきた。でもイタコの婆さんのシーンはいつ観ても笑う

 ■■■■■□ 白雉 (V)
 国籍不明感がいい。原節子×三船敏郎というのも豪華じゃないか

 ■■■□□□ 生きる (V)
 なんでこれがそんなに傑作傑作ともてはやされるのだろうか? わざとらしすぎる

 ■■■■■■ 七人の侍 (映)
 黒澤好きとしてはあえてこれを1位から外して「どん底」とか渋いやつを1位にしたくなる。でも「七人の侍」は面白すぎる。名場面ばかり、名台詞の連発。なんだかんだで一番好きなんじゃないか・・・という誘惑に抗いながらベストワンからあえて外す。

 ■■■■■□ 生きものの記録 (V)
 奇人・狂人のドラマは予測不能な物語の転がり方が楽しい。終の文字が消えても真っ黒画面のまま早坂文雄の音楽が鳴り続けるのも狂人のドラマっぽいか。早坂の遺作で早坂への敬意の現れだと思うけど。

 ■■■■■□ 蜘蛛巣城 (V)
 原作より面白いと思う。原作は森の偽装が最初から説明されるが蜘蛛巣城では最後に明かされる。

 ■■■■■■ どん底 (V)
 それ、こんちくしょう! と真似したくなる。黒澤映画で一番安上がりな感じの映画だが、おなじみ俳優たちのノリノリの芝居が楽しい。左卜全が最高だ。

 ■■□□□□ 隠し砦の三悪人 (V)
 味気ないエピソードがつづくばかりで面白くない。大作なのに地味。クライマックスも盛り上げそこなっている。

 ■■■■□□ 悪い奴ほどよく眠る (V)
 わりと原哲夫の「中坊林太郎」テイストを感じる、つっこみどころ満載の笑える社会派エンターテインメント。

 ■■■■■■ 用心棒 (V)
 七人と同じくどうしようもなく面白い。当たり前すぎて黒澤のベストに推すのをためらう。これも名台詞の宝庫。ラストの丑寅一味vs三十郎の決闘は名場面中の名場面だ。

 ■■■■□□ 椿三十郎 (V)
 ゆるい作風。都合良すぎる展開。初めて観た時はつまんねーと思ったけど、何度も観ていくうちにユルさが気持ちよくなってきた。ラストの三船vs仲代は時代劇史上に残る名シーンとして語りぐさになっている。

 ■■■■■■ 天国と地獄 (映)
 初めて観た黒澤作品。小学校の頃。黒澤のくの字も知らなかったが、後に大学生の頃劇場で観て、あ・・あれはあの時の・・・と思い出した。舞台劇チックな前半、スリル満点の身代金受け渡しシーン。警察の捜査過程を丹念に描く後半。逮捕より極刑に追い込むことに重点を置く警察の怖さと力強さ。超傑作犯罪映画。

 ■■■■■□ 赤ひげ (V)
 一番物議を醸している気がする黒澤映画。絶対泣けるいい話で、それゆえ毛嫌いする人も少なくない。であえて言おう。傑作であると。

 ■■■■□□ どですかでん (V)
 さすがに意味がよくわからない。が、今でいうところの脱力系ユルエピソードの羅列に癒され感がないでもなく、絵の具をぶちまけたような強烈な色彩との狙ったようなミスマッチ感が心に残る。

 ■■■■■□ デルス・ウザーラ (V)
 「純真さ」という黒澤映画のキーワードをロシアに持ち込んで作ったような映画。「白雉」の無国籍感と違い明白にロシアなので素直に楽しめる。普通にいい話なので人に薦めたくなる。

 ■■■□□□ 影武者 (V)
 3度ほど観たことはあるのだけど、初見で感じた不満をぬぐい去ることはできない。なんか違う音楽。編集ミスな気がする間延びした場面の数々。長篠の戦いのクライマックスも過程を省いて誰でも知ってる結末を長々見せるのでなく、人や馬がバタバタ倒れる過程に重点を追いてほしかった。悪趣味な感想だけど。

 ■■■■■■ 乱 (V)
 黒澤ベストは?と聴かれた場合、「七人」「用心」「天じご」と言いたいのをこらえて、あえて「野良犬」「どん底」とともにベスト1とするかどうか悩むのが「乱」だ。芸術家黒澤明のたどりついた境地ではないかと思う。

 ■■■■□□ 夢 (V)
 友達が「昨日こんな夢みてさ」て言ってきたら、まず間違いなくその話は面白くない。本人は楽しいつもりだから余計たち悪い。そういうコミュニケーションのタブーである「こんな夢をみた」に挑戦してしまう黒澤。黒澤の夢なら聴いてみたい。けどやっば面白くない話も多い。ゴッホの絵に入るところとか妄想もたいがいにせいとか思ってしまう。しかし絵はすべて美しく、話がつまんなくても絵がきれいなら2時間もつことを証明した映画かもしれない。黒澤の画集と思って観れば楽しめる。

 ■■■■■■ 八月の狂詩曲 (V)
 黒澤晩期の傑作。これも黒澤ベストと呼びたくなる衝動が強い。「我が青春に悔いなし」以来の女性映画かも。大人汚い、子供汚れてない、老人汚れが落ちている・・・的な判りやすい人間観

 ■■■■□□ まあだだよ (映)
 つまんないっちゃつまんないが、愛せる映画だ。黒澤ユルユルシリーズの最後にして最高傑作。純真さ、師弟愛、など黒澤映画のキーワードもしっかりおさえられている。万人に進めないけど黒澤好きが感慨にふけるのに適した穏やかな気持ちにさせてくれる作品。


・・・で勝手に黒澤ベストテン
自分の趣味+お薦め度のバランスとって選出したつもり
1.乱
2.どん底
3.野良犬
4.八月の狂詩曲
5.七人の侍
6.天国と地獄
7.用心棒
8.酔いどれ天使
9.赤ひげ
10.蜘蛛巣城

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2 コメント

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黒澤お奨め作品 (Kei)
2009-05-27 01:52:29
こんばんは。
私も黒澤映画大好きです。
個人的なベストも数年来固定ですが、重苦しいものからダイナミックな痛快娯楽作まで、幅が広過ぎて、誰にでも奨められる作品は限られると思いますね。
しんさんのベスト、分かる気はしますが、初心者にいきなり「どん底」見せたら「わあ、なんて退屈、ユルユル、つまんない~」といっぺんに黒澤嫌いになってしまいそうです(笑)。

で、奨める場合、相手が何のファンかによって分ける必要ありかと。
例えば、ミステリー・ファンになら
「天国と地獄」「野良犬」「用心棒」の3本。
「用心棒」を入れてるのは、これがD・ハメットの「血の収穫」が元になってるから。ちなみに3本とも菊島隆三が脚本に参加しており、この3本は菊島+黒澤ミステリー3部作とも言えます。
時代劇ファン向けなら
「隠し砦の三悪人」「七人の侍」「椿三十郎」。
「隠し砦」は「スターウォーズ」の元ネタになったくらい、冒険活劇チャンバラ映画のエッセンスがてんこ盛り。三船が馬上で手綱離して刀構えて追いかけるシーンは、時代劇ファンには興奮垂涎もの。私なら一押しです。
あと、医者を目指す人、ヒューマニズム派には「赤ひげ」「酔いどれ天使」「静かなる決闘」が医者3部作としてお奨め…
といった具合になるでしょうか。
「どん底」「羅生門」「乱」は、上記を足掛かりにして、黒澤映画にどっぷりハマった段階で奨める方が無難かと思います。
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コメントどうもです (しん)
2009-06-25 22:21:26
>Keiさま

おおいろんな組み合わせですね

無難なお薦め三部作は「七人」「用心」「天じご」で、これで三つとも駄目な人は黒澤の何観ても駄目でしょう

女性映画三部作「我が青春に悔いなし」「白雉」「八月の狂詩曲」
ミステリー三部作ならミスターミステリーの橋本忍作の「羅生門」は外したくないです
「赤ひげ」は私的には薦めるのが怖い映画で「黒澤って浅いね」と思われたらやだなあとか思ったりします
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