「オーメン」がリメイクされ、「スーパーマン」の続編が作られ、地味にリチャード・ドナー感謝イヤーの様相を呈している2006年(私はどっちも見てないけど)。そしてついにリチャード・ドナー御大自らが新作を引っさげて乱入。この調子でいけば「グーニーズ・リターン」(主題歌シンディ・ローパー、出演キー・ホイ・クワン他)とか、「陰謀のセオリー2」&「同3」の連続制作も夢じゃない!!
そして満を持して「リーサル5」だ!!下腹が醜く出たくたびれ初老になってもブルースはあんなに頑張ったじゃないか。メルギブだってまだいけるさ。
(以下いちお、ネタバレしてるので(隠すほどのネタでもないんですが)鑑賞後に読まれることをお勧めします。)
そんなこんなでリチャドナさんの新作は、「どっかで見たよな」のぎっしり詰め込まれたベタベタのB級アクションであった。映画史的価値は無いに等しいよくある映画ではあるが・・・完全に私の趣味の話だけど同じベタなら「フラガール」より「16ブロック」の方が好きさ。
デキの良さ(多くの人の共感得られるかどうか)って点では「フラガール」の方がずっと上だろうが、「16ブロック」の方が好みの映画です。バカアクション好きなので。
寡黙な白人とよく喋る黒人・・・アメリカで年に10本くらい作られてそうなキャラ設定
まったく違うタイプの二人が・・・ってそんな物語ありすぎて困るくらいだ
限定された空間で、その中の施設やアイテムをフル活用して孤軍奮闘するヒーロー・・・ブルースの代表作はじめ死ぬほど多く作られたパターン
バカでもわかる「実は録音してました」オチ。勘のいい人なら映画のファーストカットでオチがわかるかもしれない。
ドナー先生は定番詰め込んだ脚本で楽しく遊んでいるように感じる。
しかし、ジャック(ブルース)とエディ(モス・デフ)の人種とか立場とかを超えた友情という、今更書くのも恥ずかしいくらい使い古されたシチュエーションにやっぱり弱い私。「フラガール」でゆるまなかった涙腺が「16ブロック」ではゆるんでしまう。
「実は俺も悪党の一味だったんだ。すまない」でじーんときた
それから、ラストのエディからの手紙で彼が夢を実現させオープンした店の写真が同封されていて、その店名が「Eddie & Jack's なんとか」で「俺の名前を先にするのは許せよ」なんてとこでまたジーンときた
こんな映画に感動するなんて俺はバカだなあ・・・とわかっちゃいても逆らえない男泣きの映画であった。
事件発生前にエディがジャックになぞなぞ(というか性格テスト)を出す。
「大雨でバスが動かなくなった。あなたは車を走らせているとバス停で三人が途方にくれているのを見つけた。一人は病気のおばあさん。一人はあなたの親友。一人はあなたの理想の女性。あなたの車にはあと一人しか乗せることはできない。さて誰を乗せる?」
ジャックはエディを無視して答えない・・が、ラスト近く、ジャックとエディが別れるシーンで、ジャックはこのなぞなぞの完璧な回答をエディに語る。(多分、何らかの元ネタがあるのだろうが・・・)
なぞなぞの見事な回答に胸がすっきりするような思いを味わう一方で、妙なことも考えた。
ひょっとしてジャックがあれほど頑固にエディを悪党どもに引き渡さなかったのは、ずっとなぞなぞを考えていたからではないだろうか?
この映画の目的はエディを裁判所に送ることなんかではなくジャックがなぞなぞを解くことにあったのかもしれない。だからなぞなぞが解けたところでエディを開放してやったのである。
(ちなみに完璧な回答は「親友に車を預けておばあさんを送らせて、自分は理想の女性とバス停に残れば万事めでたし」でした)
しかしこの作品、ただベタなだけでもない。「すげー」と感じたところを幾つか挙げる・・・
中盤のバスでの篭城シーン。
悪党どもとの駆け引きのためとは言え、一般市民を人質にするブルース・ウィリス。
追い詰められた人間は何をするかわからない。危険だ。そして本気だ。個人的趣味で言えば、さらに乗客に死傷者出るような銃撃戦に発展させてくれりゃもっと本気汁があふれ出す映画史もののシーンになったと思うのだけど・・・。
まあ、何より、こんなシーンを撮ってしまうリチャード・ドナーがすごい。「良心的」な評論家から人命を軽視しているなどと批判されるに決まっているシーンを堂々と撮る。
「映画は映画だ現実じゃないよ」とベテラン監督なりに知り抜いている娯楽映画の呼吸にすぎないのか?
ヒットメイカーの余裕か?
単なるバカか?
マジで危険な奴なのか?
それから、警察関係者たちからバッシングくらうに決まってる、腐敗しきったNY市警の組織の描写。
この映画観た後なら、死んでもNYの警察にだけは助けを求めないぞ、と思ってしまう。
9.11からだいぶ経って、国家を軍を警察を信じて協力しましょう的風潮に堂々とNoを突きつけられるようになったのか?
そういえばドナーのリーサル3は元警官の拳銃横流しが描かれ、同作でメルは車道を横断しただけの市民を銃で脅したものだ。リーサル1では元特殊部隊たちの悪事、2では国家が裁けぬ悪党国家に私的制裁、「陰謀のセオリー」はもろ国家犯罪をテーマにしていて、実はリチャード・ドナーって反体制、反権力の社会派作家じゃないの?と思ってしまう。
ま、きっと彼はこう言うだろう。
「そんなんじゃないよ。ただそうした方が面白くなると思っただけさ」
*******
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
そして満を持して「リーサル5」だ!!下腹が醜く出たくたびれ初老になってもブルースはあんなに頑張ったじゃないか。メルギブだってまだいけるさ。
(以下いちお、ネタバレしてるので(隠すほどのネタでもないんですが)鑑賞後に読まれることをお勧めします。)
そんなこんなでリチャドナさんの新作は、「どっかで見たよな」のぎっしり詰め込まれたベタベタのB級アクションであった。映画史的価値は無いに等しいよくある映画ではあるが・・・完全に私の趣味の話だけど同じベタなら「フラガール」より「16ブロック」の方が好きさ。
デキの良さ(多くの人の共感得られるかどうか)って点では「フラガール」の方がずっと上だろうが、「16ブロック」の方が好みの映画です。バカアクション好きなので。
寡黙な白人とよく喋る黒人・・・アメリカで年に10本くらい作られてそうなキャラ設定
まったく違うタイプの二人が・・・ってそんな物語ありすぎて困るくらいだ
限定された空間で、その中の施設やアイテムをフル活用して孤軍奮闘するヒーロー・・・ブルースの代表作はじめ死ぬほど多く作られたパターン
バカでもわかる「実は録音してました」オチ。勘のいい人なら映画のファーストカットでオチがわかるかもしれない。
ドナー先生は定番詰め込んだ脚本で楽しく遊んでいるように感じる。
しかし、ジャック(ブルース)とエディ(モス・デフ)の人種とか立場とかを超えた友情という、今更書くのも恥ずかしいくらい使い古されたシチュエーションにやっぱり弱い私。「フラガール」でゆるまなかった涙腺が「16ブロック」ではゆるんでしまう。
「実は俺も悪党の一味だったんだ。すまない」でじーんときた
それから、ラストのエディからの手紙で彼が夢を実現させオープンした店の写真が同封されていて、その店名が「Eddie & Jack's なんとか」で「俺の名前を先にするのは許せよ」なんてとこでまたジーンときた
こんな映画に感動するなんて俺はバカだなあ・・・とわかっちゃいても逆らえない男泣きの映画であった。
事件発生前にエディがジャックになぞなぞ(というか性格テスト)を出す。
「大雨でバスが動かなくなった。あなたは車を走らせているとバス停で三人が途方にくれているのを見つけた。一人は病気のおばあさん。一人はあなたの親友。一人はあなたの理想の女性。あなたの車にはあと一人しか乗せることはできない。さて誰を乗せる?」
ジャックはエディを無視して答えない・・が、ラスト近く、ジャックとエディが別れるシーンで、ジャックはこのなぞなぞの完璧な回答をエディに語る。(多分、何らかの元ネタがあるのだろうが・・・)
なぞなぞの見事な回答に胸がすっきりするような思いを味わう一方で、妙なことも考えた。
ひょっとしてジャックがあれほど頑固にエディを悪党どもに引き渡さなかったのは、ずっとなぞなぞを考えていたからではないだろうか?
この映画の目的はエディを裁判所に送ることなんかではなくジャックがなぞなぞを解くことにあったのかもしれない。だからなぞなぞが解けたところでエディを開放してやったのである。
(ちなみに完璧な回答は「親友に車を預けておばあさんを送らせて、自分は理想の女性とバス停に残れば万事めでたし」でした)
しかしこの作品、ただベタなだけでもない。「すげー」と感じたところを幾つか挙げる・・・
中盤のバスでの篭城シーン。
悪党どもとの駆け引きのためとは言え、一般市民を人質にするブルース・ウィリス。
追い詰められた人間は何をするかわからない。危険だ。そして本気だ。個人的趣味で言えば、さらに乗客に死傷者出るような銃撃戦に発展させてくれりゃもっと本気汁があふれ出す映画史もののシーンになったと思うのだけど・・・。
まあ、何より、こんなシーンを撮ってしまうリチャード・ドナーがすごい。「良心的」な評論家から人命を軽視しているなどと批判されるに決まっているシーンを堂々と撮る。
「映画は映画だ現実じゃないよ」とベテラン監督なりに知り抜いている娯楽映画の呼吸にすぎないのか?
ヒットメイカーの余裕か?
単なるバカか?
マジで危険な奴なのか?
それから、警察関係者たちからバッシングくらうに決まってる、腐敗しきったNY市警の組織の描写。
この映画観た後なら、死んでもNYの警察にだけは助けを求めないぞ、と思ってしまう。
9.11からだいぶ経って、国家を軍を警察を信じて協力しましょう的風潮に堂々とNoを突きつけられるようになったのか?
そういえばドナーのリーサル3は元警官の拳銃横流しが描かれ、同作でメルは車道を横断しただけの市民を銃で脅したものだ。リーサル1では元特殊部隊たちの悪事、2では国家が裁けぬ悪党国家に私的制裁、「陰謀のセオリー」はもろ国家犯罪をテーマにしていて、実はリチャード・ドナーって反体制、反権力の社会派作家じゃないの?と思ってしまう。
ま、きっと彼はこう言うだろう。
「そんなんじゃないよ。ただそうした方が面白くなると思っただけさ」
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「ニック・オブ・タイム」をちょっと思い出したんですが、ジョン・バダムの新作アクション映画見たいな~。
「グーニーズ」の少年達が、中年になって冒険するのは、ワクワクします!!
コリー・フェルドマンもキー・ホイ・クァンも影も形も見えません
(悪役の一人は「メメント」とか「バッドボーイズ」シリーズで活躍してますが)
ハリウッド子役のお決まりパターンで、ドラッグとセックスに溺れ、あるものは逮捕され、あるものは夢やぶれて・・・醜くでっぷり太り、髪は抜け、それでもドナーの旗の元に再結集してくれたら、それだけで泣けてきます。
音楽はクラウス・バデルトなんかにせず、前のままデイブ・グルーシンでお願いします。
カーペンター自身による『ゴースト・ハンターズ』の続編希望!
って、そんな人は自分だけでしょうか(笑)。
てなわけで、TB&コメントありがとうございました。
カーペンターなら祭など関係なく、ほっとけばろくでもない新作作ってくれそうですが・・・
どうせ続編ならエスケープ・フロム・クリーブランドがいいなあ