映画監督の市川崑さんが死去
・・・でございますか。
ロイ・シャイダー氏につづいての悲報です・・・
黄金期の作品(「私は二歳」とか「おとうと」とか「炎上」とか「野火」とか「太平洋ひとりぼっち」とか「東京オリンピック」とか)は、実はほとんど観ていない。
そんなわけで必然的に市川崑といえば金田一シリーズのイメージがついてまわる。
それでもなんでも犬神家も手鞠歌も獄門島も女王蜂も病院坂も面白かった。もちろんすべてリアルタイム観賞ではなく、TV放映だけど
テレビや映画で色んな金田一が作られたけど、市川・石坂を超えるものはなかった。というか70年代以降はどの金田一も市川・石坂のイメージを踏襲しすぎてまがい物っぽさしか感じなかった。
同じまがい物でも市川・石坂が自分たちであえてまがい物にチャレンジした一昨年の「犬神家の一族」は、批判もずいぶんあったしオリジナルよりはだいぶ落ちるのは仕方ないにしても、巧みな話術にひきこまれあっという間の130分だった。その年の個人的ベストテンの第十位にしてしまったほどだった。
オリジナルの犬神家では、ラストで金田一が人目をはばかりながら逃げるようにそそくさと汽車に乗り込む。
リメイクの犬神家では、田舎道を歩く金田一の後ろ姿をカメラに収め、金田一はふと立ち止まり、映画館のお客さんたちに挨拶するかのように振り向いてドアップで微妙な笑顔を見せる。
今までありがとうと、一緒に映画を作ってきた仲間たち、一緒に映画を観てきたファンたちへの最後の挨拶のように写った。
でもその後「ユメ十夜」の一編を撮ったりしてたから、まだまだやる気充分だったに違いないのだが、その「ユメ十夜」が遺作になるとは。
そういえば「ユメ十夜」は実相寺明雄の遺作でもある。日本映画史的にちょっとだけ重要な意味をもつオムニバス映画となってしまった。「ユメ十夜」未見なのが悔やまれる。
70年代に金田一シリーズを終えてからは、作家的な面白さは急速にしぼんでいったような印象がある。「竹取物語」とか「つる」とか、どうもしょうもない映画ばかりを撮っていたが、それでもなんでも隠居などせず撮り続けるのは凄い。
黒澤・木下が亡くなればここぞとばかりに「どら平太」の企画を再起動させた貪欲さ。
「新撰組」はうすっぺらな紙に書いた漫画キャラを動かすという漫画でもアニメでも紙芝居でも人形劇でもないヘンテコな映画を作る実権精神。
年とってもバイタリティあふれる監督だった。
(「どら平太」も「新撰組」もそんなに面白くはなかったのが残念だが)
でも個人的には2001年の「かあちゃん」はすごく面白かった。江戸の長屋人情喜劇をそつなくテンポ良くまとめ、俳優たちも生き生きとしていて、笑えてほろりときて・・・そんな晩年の傑作であった。
50年代60年代の作品もちゃんと観てみよう。
ともかくまた一人巨匠が逝ってしまったことに寂しさをつのらせつつ、ご冥福をお祈りいたします。
・・・でございますか。
ロイ・シャイダー氏につづいての悲報です・・・
黄金期の作品(「私は二歳」とか「おとうと」とか「炎上」とか「野火」とか「太平洋ひとりぼっち」とか「東京オリンピック」とか)は、実はほとんど観ていない。
そんなわけで必然的に市川崑といえば金田一シリーズのイメージがついてまわる。
それでもなんでも犬神家も手鞠歌も獄門島も女王蜂も病院坂も面白かった。もちろんすべてリアルタイム観賞ではなく、TV放映だけど
テレビや映画で色んな金田一が作られたけど、市川・石坂を超えるものはなかった。というか70年代以降はどの金田一も市川・石坂のイメージを踏襲しすぎてまがい物っぽさしか感じなかった。
同じまがい物でも市川・石坂が自分たちであえてまがい物にチャレンジした一昨年の「犬神家の一族」は、批判もずいぶんあったしオリジナルよりはだいぶ落ちるのは仕方ないにしても、巧みな話術にひきこまれあっという間の130分だった。その年の個人的ベストテンの第十位にしてしまったほどだった。
オリジナルの犬神家では、ラストで金田一が人目をはばかりながら逃げるようにそそくさと汽車に乗り込む。
リメイクの犬神家では、田舎道を歩く金田一の後ろ姿をカメラに収め、金田一はふと立ち止まり、映画館のお客さんたちに挨拶するかのように振り向いてドアップで微妙な笑顔を見せる。
今までありがとうと、一緒に映画を作ってきた仲間たち、一緒に映画を観てきたファンたちへの最後の挨拶のように写った。
でもその後「ユメ十夜」の一編を撮ったりしてたから、まだまだやる気充分だったに違いないのだが、その「ユメ十夜」が遺作になるとは。
そういえば「ユメ十夜」は実相寺明雄の遺作でもある。日本映画史的にちょっとだけ重要な意味をもつオムニバス映画となってしまった。「ユメ十夜」未見なのが悔やまれる。
70年代に金田一シリーズを終えてからは、作家的な面白さは急速にしぼんでいったような印象がある。「竹取物語」とか「つる」とか、どうもしょうもない映画ばかりを撮っていたが、それでもなんでも隠居などせず撮り続けるのは凄い。
黒澤・木下が亡くなればここぞとばかりに「どら平太」の企画を再起動させた貪欲さ。
「新撰組」はうすっぺらな紙に書いた漫画キャラを動かすという漫画でもアニメでも紙芝居でも人形劇でもないヘンテコな映画を作る実権精神。
年とってもバイタリティあふれる監督だった。
(「どら平太」も「新撰組」もそんなに面白くはなかったのが残念だが)
でも個人的には2001年の「かあちゃん」はすごく面白かった。江戸の長屋人情喜劇をそつなくテンポ良くまとめ、俳優たちも生き生きとしていて、笑えてほろりときて・・・そんな晩年の傑作であった。
50年代60年代の作品もちゃんと観てみよう。
ともかくまた一人巨匠が逝ってしまったことに寂しさをつのらせつつ、ご冥福をお祈りいたします。