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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

エクスペンダブルズ2 [監督:サイモン・ウェスト]

2012-10-31 02:24:19 | 映評 2011~2012
この画ヅラ…レジェンド超えて神話の域に達しています。誰か人類が滅亡する前にこれをどこかの洞窟の壁画に残してください。

個人的評価: ■■■■■□
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]

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シルベスター先生による高齢筋肉祭り絶賛開催中。

ヴァン・ダムVSスタさん、シュワ、ブルース、チャック、ドルフ、ジェイソンもろもろ。ドルフ一人でもあんなに苦戦してたヴァン・ダムが勝てるわけねーだろ!!!
ふと東宝映画『怪獣総進撃』でゴジラ、ラドン、モスラ、アンギラス、バラゴンもろもろ10大怪獣とたった一匹で戦う羽目になったキングギドラを思い出すのであった。
全ライダーVS全戦隊とか、全ウルトラ兄弟とか、アベンジャーズとか目じゃない。こいつらのギャラだけで小国くらい充分乗っ取れそうな夢のオールスター映画の真打ちが登場だ。

冒頭、ネパールのとある村。軍隊的なやつらが男は殺し女は犯し的な支配をしている雰囲気の村に特殊武装しまくった装甲車で猛スピードで突っ込んでくるエクスペンダブルズの皆さん。
隊長は4回戦選手のくせにヘビー級王者のパンチをボコボコ浴びても倒れなかったあいつ、あるいはベトナム後遺症の悩める兵士がシリーズ三作目には悩みゼロでソ連軍50万と戦っていたあいつ、我らがシルベスター先生だ。
仲間には頭髪以外は異常に強靭で俊敏なジェイソン・ステイサム君。少林寺でワンス・アポン・ア・タイム・インなジェット・リー。そしてかつてロシアのリングでスタさんにボコボコにされた無駄にインテリ(MIT出身)な経歴を持つドルフ・ラングレンなどなど。
撃つは殴るは破壊するは吹っ飛ばすはオープニングから腹八分目どころか十二分超えてゲロ吐きそうになる大暴れをみせるエクスペンダブルズの皆さん。
特にジェット・リーことリー・リンチェイの超絶アクションは、傑作「ワンス・アポン・ア・タイムinチャイナ 天地大乱」に酔いしれた学生時代にタイムスリップさせてくれるかのようだ!! 銃の弾が切れたらフライパンや鍋で敵兵どもをまとめてやっつける。

難なく軍隊に捕われていた大富豪を救出する彼らだが、あれあれ、大富豪と一緒に捕まっているうすらでかい男がいるぞ。顔に布を被せられていて誰だかさっぱり判らない。誰だろう???とそいつの顔の布をひっぺがすスタさん。
そいつはなんと、かつてジャングルで通りすがりの宇宙人を倒し、火星で危うく顔を破裂させそうになったMr.アイル・ビー・バックのあいつだった。開始5分でもうこいつ登場かよと嫌でも上がるテンション。
ところがその元州知事で子づくり大好きなそいつは、ろくに銃も撃たずにじゃあなとフェードアウト。さらにジェット・リーもオープニングアクションの後は何の未練も無いかのようにエクスペンダブルズ専用機からパラシュート降下してチーム脱退。
ジェットのいないチームなんて…と寂しがる私だが、この後の展開の凄まじさをこの時はまだ知らない…

さてアメリカに帰ったスタさんにCIAのえらい奴、あの大ハード野郎に、前作ではよくもめちゃくちゃやってくれたなと説教されたスタさん。
国家権力に抗えず仲間とともに東ヨーロッパへ飛んで新たな任務に着くのであるが・・・なんとそこで待ち構えていたのは極悪非道な悪の組織「サング」。その首領は開脚180度だけでアクションスターにのしあがったJCVDことジャン=クロード・ヴァン・ダム氏だ!!
スタさんの仲間の若いイケメン(その前のシーンで、次の任務が終わったらチームを抜けて愛する女性と一緒になりたい…と死亡確定な台詞を吐いていた新メンバー)を、ヴァン・ダムがスタさんの目の前でナイフで刺し殺すのだが、そのナイフを普通に刺せばいいのにわざわざ開脚180°キックを併用してナイフを射し込むサービスぶり。
そんなJCVDを知らない人は「ハード・ターゲット」「タイム・コップ」「ダブル・チーム」のヴァン・ダム3大傑作を堪能し、さらに「マキシマム・リスク」「クェスト」「サドン・デス」「ユニバーサル・ソルジャー」なども観て充分にヴァン・ダムを見下したところで「その男ヴァン・ダム」を観て涙を流し反省してもらいたい
そんなヴァン・ダム愛を再確認させてくれた「その男ヴァン・ダム」の批評と、ヴァン・ダム代表作の短評はこちらhttp://blog.goo.ne.jp/studioyunfat/e/5041a7b7672469c4554585d7ca5ae716

そのヴァン・ダムと「ユニバーサル・ソルジャー」で戦ったドルフ・ラングレンは、スタさんチームの一員(スタさんともロッキー4で戦って負けている。主人公に負けた強敵が後に主人公の仲間になる少年ジャンプな展開)だが、ドルフは今作ではおとぼけキャラに徹し、失笑苦笑を誘う。
前作ではヤク中になりチームを裏切りスタさんを殺しかける大活躍を見せたのに、すっかり牙を抜かれたドルフ。ドルフ・ラングレン自身が実はMIT(マサチューセッツ工科大学)出身であるという1mmの役にも立っていない経歴をネタにさんざんおちょくられる元人間核弾頭なドルフであった。
ただしドルフの名誉のために言っておくと、彼のビデオスルーB級アクションは傑作の宝庫である。「リトル・トーキョー殺人課」「ヴァニシング・レッド」「ピースキーパー」「ブラックジャック(監督ジョン・ウー!!!)」などを是非ともご堪能いただきたい!!!

さて仲間の復讐のためヴァン・ダムを追うスタさんチーム。なんとヴァン・ダムは旧ソ連が埋めたプルトニウムの山を掘り出すため近くの村を占領し村人を奴隷にして採掘作業をさせているという。今時の映画では珍しい、死ぬしか無い、悪にも程がある悪っぷりのヴァン・ダム。
途中の村でスタさんたちは「サング」の一個師団とさらに戦車に行く手を阻まれる。いくらアポロのパンチを何発食らっても倒れなかったスタさんとはいえさすがに戦車砲を喰らってはひとたまりも無い。絶体絶命のスタさんたち!!
ところが突如助けに現れる謎の男がマシンガンと対戦車砲で一個師団を秒殺。硝煙の中を悠然と歩いてくる一人の男。その時かかる音楽がエンニオ・モリコーネの「続・夕日のガンマン」のメインテーマなものだから一瞬クリント・イーストウッドでも来たのかと思ったら、あれれれ、あのひげ面は!!! 御年72歳、かつて地獄のヒーローと呼ばれスクリーンよりむしろレンタルビデオや日曜洋画劇場でアメリカの敵どもを皆殺しにしていたチャック・ノリスではないかぁぁぁぁッ!!

スタさん「あんたはキングコブラに噛まれたって噂が…」
チャック「本当だ。5日間のたうちまわり…5日後、コブラが死んだ」

意味わからないがチャックが凄いといことだけは伝わりまくる謎の会話!!!

私はかつて、そんなチャックの歴史をうろ覚えでまとめた記事を書いたことがある。その記事はある検索サイトで紹介され、その当時のgooブログのアクセスランキングで一日だけだが23万ブログ中32位になったことがある伝説の記事だ。チャックについて詳しく知りたい方は「チャック・ノリスの歴史」へGO!→http://blog.goo.ne.jp/studioyunfat/e/837793e99fc1b87bdca38f857556a0ff

ところでかつてはあのブルース・リーと互角に戦うくらいの空手の名手だったチャックだが、本作「エクスペンダブルズ2」においては、凄すぎるオーラはぷんぷん漂わせてはいるものの、登場シーンといえば棒立ちでマシンガンを撃つのみ。やはり年には勝てないのか。
そして後のクライマックスシーンでもなぜだかチャック登場シーンには「続・夕日のガンマン」のテーマをまるで自分のテーマ曲かのように奏でさせるチャック。チャックと「続・夕日のガンマン」のテーマの関係について何か事情があるのでしょうか? 単にそれっぽいから使ってるだけでしょうか? 知っている方ご教示願えないでしょうか? 個人的にはチャック登場シーンはアラン・シルベストリのデルタフォースのテーマか、作曲家忘れたけど「野獣捜査線」のテーマかけて欲しかったけど…

そんな通りすがりに一個師団を殲滅してくれたチャックと別れたスタさんたちはついにヴァン・ダムの基地に到着。ど派手に突っ込むがヴァン・ダムごときの罠に引っかかり全員鉱山に閉じ込められてしまう。
すると、オープニングで姿を消したあの元州知事、元未来から来たサイボーグ、元コマンドー、元レッドブルなあいつが掘削機で岩盤を突き破り「アイム・バーーーック!!」と頭の悪そうな笑顔で助けに現れる。
さらにスタさんたちに地獄行きを命じたあの大ハード野郎も飛行機で駆けつける。あり得ないくらい役者がそろった。もうヴァン・ダムなんて軽く畳んじまおうぜ!! とアメリカ最強筋肉チームはヴァン・ダムを追って空港に向かう。
空港ロビーでの大銃撃戦。ランボー、ターミネーター、ダイハードの三人ズラリ横並びのマシンガン連射で筋肉祭りは映画史上最高の盛り上がりを見せる
さらにチャックもまたフラリと現れて悪党ども地獄送りにする。ジェイソン・ステイサムもドルフ・ラングレンも影が薄くなる四枚のエース。
しかしスタさん脚本とサイモン・ウェスト演出のわかってる所は、これだけ役者をそろえてもなお、脇のやつらを輝かせるところだ。
ジェイソン・ステイサムにはちょこちょこと見せ場シーンを用意してやるし、ヴァン・ダムの顔も立てる。
ラストはスタさんとヴァン・ダムのタイマン勝負。ヴァン・ダムがヴァン・ダムであることの証明のような飛び回し蹴りを何発も何発も繰り出させる。そして回し蹴りを何発も喰らいながら、根性とやせ我慢で踏ん張り逆襲の鉄拳をぶち込むロッキーイズムな戦いで勝利するスタさんもまた、男としてゆずれない部分にこだわるアクションスターだった。

のたうちまわる面白さ。
もう一回日本語吹き替えで観たい。スタ→ささきいさお、シュワ→玄田哲章、という完璧な配役とのこと。超聞きてえ!!!

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しかしこれだけのアクションバカの祭典を観て、スティーブン・セガールは何とも思わないのだろうか? 意地はってないで早く来いよ!! スタさんは「3」で待ってるぜ。
双子役が大好きだったヴァン・ダムのことだからきっと「3」で双子の兄弟として再登場して今度はスタさんの仲間になって、そしてセガールと戦う。そんな夢のような「3」を切望する。
けどさすがにシュワはもう一回は出ないだろうなあ…

[追記]
前作に引き続きパンフレットが凄く面白い。もの凄い情報量(ただしほとんど無駄な情報)。チャック・ノリス・ファクトは爆笑必至。スタ・シュワ他アクション好きのマストアイテム。映画館に行く際は入場料金+パンフレット代800円を持つことを忘れないようにしよう。

[追記2]
この男が地獄のチャック・ノリス!!

『エクスペンダブルズ2』木曜洋画劇場風予告第三弾 チャック・ノリス編


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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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3 コメント

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Unknown (hasebe)
2012-10-31 04:12:34
ダメじゃないすか!

スチールに、日本の情弱向けの3人組スチール使うなんて
そこチャックの登場シーンでしょ!
返信する
コメントありがとうございます (しん)
2012-10-31 20:00:52
hasebe様
コメントでのお叱り、恐れ入ります
反省したので最後をチャックで締めてみました。
これも巨大洞窟の壁画か、またはローマかどっかの大聖堂の天井画にしてほしいですね
返信する
チャック・ノリスの登場曲 (hasebe)
2012-11-05 17:17:27
いきなり対応してもらっちゃうと…すんませんです。
ありがとうございます!

>チャック登場シーンには「続・夕日のガンマン」のテーマ
以下、長くなりますがニコニコ大百科の転載です。

J・B・ブッカーの名は、チャック自身の企画第一作目、『暗黒殺人指令』(1978年)“Good Guys Wear Black”の主人公J・T・ブッカーへのオマージュ
二つ名である一匹狼(Lone Wolf)も、チャックが初の全米第一位を獲得した『テキサスSWAT』(1983年)“Lone Wolf McQuade”という原題へのオマージュ
そしてファースト・ミドルネームのJ・Bとは代表作『地獄のヒーロー』(1984年)の主人公、ジェームス・ブラドックの頭文字

EX2で「俺は群れない」と単独行動を取りながら最後は仲間と共闘するところも、『テキサスSWAT』と同じ主人公像である

ここまでのメタネタとオマージュの徹底を鑑みれば『暗黒殺人指令』原題“Good Guys Wear Black”と『続・夕陽のガンマン』(1966年)原題“The Good The Bas & The Ugly”の“Good Guys”と“The Good”を掛けたのかもしれない

さらに『テキサスSWAT』の音楽を担当したフランチェスコ・デ・マージは、『続・夕陽のガンマン』の音楽を担当したエンニオ・モリコーネと同時代に活躍した1960年代マカロニ・ウエスタンを多く手がけた職人

事実、『テキサスSWAT』でのフランチェスコ・デ・マージの起用は、現代を舞台としながらも西部劇を強く意識し『続・夕陽のガンマン』のエンニオ・モリコーネをイメージして発注されている
そして欧米でのチャック・ノリスの人気と地位を決定的にした大ヒット・ドラマ『炎のテキサス・レンジャー』(1993年 - 2001年)も『テキサスSWAT』をドラマ化したものであり
また『炎のテキサス・レンジャー』の企画・脚本を手がけたポール・ハギスは、チャック・ノリスの仕事で成功を収めた後、イーストウッドの 『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)『父親たちの星条旗』(2006年)の脚本を担当する

イーストウッドとチャック・ノリスはこのように実は親和性があり、それは共和党の協力な支持者であるという政治信条も共にしている

以上のような様々の理由のもとにチャックのテーマ曲として『続・夕陽のガンマン』が選ばれたのだと推測する
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