以下は前章の続きである。
文中強調は私。
近代化の歩みと戦争をどう捉えるのか
櫻井
憲法から少し離れて歴史論になるかもしれませんが、
日本は、明治維新のさいに自らの立場や国柄を、その当時の日本なりに堂々と主張できていた。
これは凄いことです。
私たちは6世紀ごろから今日まで非常に穏やかな歴史を生きてきた民族です。
国民一人ひとりは恐らくどの国と比較しても遜色のない程幸せに生きてきた、
西欧の真似をしなくても、私たちの文明は優れているのだという主張が出来たこと、
そのような自国に対する信頼と誇りを持っていたことが当時の日本を支えたと思います。
なんといっても現実は厳しく、砲艦外交で国をこじ開けられて、速やかに対応できなければつぶされてしまう立場に立だされていましたからね。
それで明治析政府が誕生すると、真っ先に五箇条の御誓文が発布されました。
五箇条の御誓文には事実上日本国の土台となる価値観が見事なまでに示されています。
そこに込められた価値観は、2600年近い日本の歴史の中で築き上げてきた民族共同体としての日本の枠に、新しく眼前で進行する世界情勢に対応するための智恵を盛り込んだものです。
国憲というには、全てをカバーできていないかもしれませんが、大事な点、これが日本を支える柱だというものが凝縮されています。
この稿続く。