ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城郷土料理自慢:2回目「県央地区の郷土料理編」

2024-09-30 07:10:52 | 日記

農林水産省では、2023年でユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎える中、第4次
食育推進基本計画(令和3年3月食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化
を次世代に継承していくための活動に力を注いでいます。
その活動の中の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固
有の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理
~次世代に伝えたい大切な味~」を令和元年に開設しました。そして、毎年都道府県別に
郷土料理として認定した品目をデータベース化して発信してきました。そして、令和4年
に20都府県579品の追加掲載をしました。これにより掲載品目数は1,365となり、全47都
道府県の郷土料理が勢ぞろいしました。各地域で選定された郷土料理のいわれや歴史、そ
してレシピ等にとどまらず、郷土料理を生んだ地域の背景等についてもデータベース化し
て広く情報発信をしています。「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業
での商品化、郷土料理の調査などに是非、ご活用ください」と言うのが狙いです。このデ
ータベースを覗いてみましたが、各地域の郷土料理がかなり広い視点で捉えられており、
読み物としても大変面白いです。茨城県では30品目が紹介されていました。
今回はこの選定が納得できるものなのかどうか、私見で納得度の評価してみたいと思いま
す。今回は2回目で「県央地区の郷土料理編」で6品目です。品目によっては「県内全域」
など地区を特定していないものもあります。私見で割り振ったものがあることをご承知く
ださい。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発
       展等により他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらない
   が、歴史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである。
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」
   の提供があるか

   ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
   ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り
        刺身こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」
       「赤餅」(9品目)
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼ
        ろ納豆」「かぼちゃのいとこ煮」(6品目)
3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉て
        んこん」「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味
        噌」「れんこんのきんぴら」(8品目)
4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「い
        もがらの炒め煮/いもがらの五目煮」(5品目)

<今回紹介する茨城県央地区とはどんなところか>

茨城県央地区は、茨城県中部に位置する地域の総称です。この地域には県庁所在地の水戸市、
ひたちなか市、小美玉市、笠間市、那珂市、東茨城郡の大洗町、茨城町、城里町、那珂郡の
東海村が含まれています。人口は約69万6,602人で、面積は1,145.83 km²、人口密度は
603人/km²です。交通面ではJR常磐線が県南地域から県北地域へ、小美玉市から水戸市経由
で東海村を結んでいます。また、JR水戸線、JR水郡線、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線、ひたちな
か海浜鉄道湊線もこの地域を走っています。観光名所やおすすめスポットも豊富にあります。

<県央地区発祥の郷土料理>

県央地区の中心は水戸。水戸は言わずと知れた納豆の名産地。藁で包んで発酵させると、適
度に水分を飛ばし、より凝縮した味わいが出ます。米も大豆もつくる、この地区ならではの
郷土料理といえます。もちろんこの地区では野菜の栽培も盛んで、どれも関東ローム層の黒
土が支えた農業です。納豆に続く名産品の「ほしいも」は、さつまいも栽培に適した地質が
貢献しています。冬の乾燥した北風と、海からの潮風がほしいもの乾燥に良いのです。空は
どこまでも広く、冬はかなり寒くなります。この自然を受け入れて暮らす、この地区は食に
恵まれた場所なのです。 海に面する那珂湊では、アンコウに加えて、県魚のヒラメ、ホウボ
ウなど、様々な魚種が日々漁獲され、活気よく競り落とされています。そして、新鮮な野菜
も年中揃う豊かな場所なのです。県央地区の郷土料理として選定されたのは6品目です。
早速、一品目別に納得度の評価に入ります。

1.「煮合い」

「煮あい」は、茨城県水戸市の下市地方で愛される郷土料理です。この料理は、地元でとれ
る食材を活用して作られ、特にレンコンやゴボウなどの野菜を「煮て和える」ことから名付
けられました。酢を加えてさっぱりとした味わいに仕上げられ、お正月や祝いの席などで提
供されることが多いです。具材や味付けは家庭ごとに異なり、白ごまをふりかけて食べるこ
ともあります。酢が入るため日持ちします。現在水戸市で栽培されているごぼうは、根の長
さが40cm前後の短根ごぼうです。シャキッとした食感と食味が自慢で、香りが良く甘みが
あるのが特徴です。柔らかく、歯ざわりが良いのでさっと湯がいてサラダにしたり、酢漬け
にするとおいしく食べられます。お正月やお祝いごと等人が集まる時に作られてきたもので
す。煮合いは昔ながらの材料とともに、特産物のごぼうを使って郷土食を出しています。
地元生まれの郷土料理ですから、選定に納得です。

2.「紫錦梅(しきんばい)」

「紫錦梅」は、茨城県水戸市の郷土料理で、別名「梅びしお」とも呼ばれています。水戸藩
徳川家9代藩主・徳川斉昭が作らせた偕楽園には約100品種3000本の梅が植えられ、梅の名所
として知られています。偕楽園で採れた梅の実は、傷がないきれいなものは梅干しにしたり、
梅酒として利用されますが、傷があったり、見た目が悪い梅の実を木槌などでたたき割って
種を除き、果肉のみを紫蘇(しそ)、塩と共に漬けたものが紫錦梅です。赤しそを加えて発
色を良くし、白米やおかゆのお供、おにぎりの具材としても活用されています。梅の実の収
穫時期は6月中旬から下旬ですが、紫錦梅は保存食でもあるため年間を通して食べられます。
各家庭でも作られますが、偕楽園でも園内で採れた梅を使った紫錦梅が販売されており、土
産としても人気が高いです。斉昭公が梅の木をたくさん植樹したのには理由があり、一つは、
梅が春の訪れを告げる花として人々を前向きな気持ちにさせるというもの。そして、梅の実
の酸味は、喉の乾きと疲れを癒してくれるため、軍事用の食料として最適だったということ
から、梅の木が数多く植えられたとなっています。偕楽園で実った梅を余すことなく有効活
用しようと斉昭公が考案したのが「紫錦梅」です。実は食用梅は県内であまり流通していま
せんでしたが、近年になって茨城県産のブランド梅・常陸乃梅が普及しつつあり、食の面で
も梅が名産となっています。柔らかくなりすぎた梅で漬ければ、形が無くなり、これが本来
の「梅びしお」です。水戸藩主導の郷土料理ですから、選定に納得です。

3.「こも豆腐」

「こも豆腐」は、豆腐をわらで包み、出汁や砂糖や醤油などで煮込むため、わらの香ばしい
匂いや、旨みがしみ込んだ優しい味わいを楽しむことができます。大豆を使ったこの料理は、
茨城県だけでなく、福島県や群馬県、岐阜県などの一部の地域でも作られています。豆腐は
紀元前2000年ごろに中国で誕生し、その後、奈良時代に遣唐使を通じて日本にもたらされた
と言われています。食べる際は、醤油や酢味噌につけて食べるのが一般的です。こも豆腐は
「こも」と呼ばれるわらで編んだ包みで豆腐を包んで作られますが、わらで包んだ食品のこ
とを「つと(苞)」とよぶことから「つと豆腐」とも呼ばれます。茨城県といえば水戸納豆や
豆乳など、さまざまな大豆製品が有名であり、豆腐もそのひとつです。「豆腐=長期保存が
難しい」を解決して生み出されたのが、こも豆腐。風味だけでなく、利便性にも長けている
食品なのです。こも豆腐に使用されている主な食材は、豆腐、砂糖、醤油、煮出し汁です。
また、ニンジンやゴボウを芯にして豆腐をわらで包む作り方も存在します。レシピによって
は、料理酒やみりんを使用することもある。作り方も非常に簡単で汎用性も高いため、普通
の豆腐に飽きてしまった人や、さまざまな豆腐料理に興味がある人はぜひ一度こも豆腐を食
べてみてほしい。酢味噌を乗せた「こも豆腐」は美味しいです。選定に納得です。

4.「五目いなりずし」

関東全域でよく見られるいなりずしの一種です。五目いなりずしの定義は「さま ざまな具
材を米と一緒に詰めていること」なので、好きな食材を自由に組み合わせることができます。
ニンジン、ゴボウ、レンコン、シイタケなどは一応五目いなりずしの鉄板の具材ですが、必
ず使用しなければいけないという決まりはないため、アレンジしやすいのも五目いなりずし
の魅力といえるでしょう。特に笠間市では、日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社が、古
くから市民や参詣客に「笠間いなり寿司」を振る舞ってきたと言われています。五目いなり
に使用する食材は先述した野菜に加え、油揚げ、米、糸こんにゃくなどが挙げられます。
また、地域や季節によってはギンナンやタケノコ、ひじきなどを加える場合もある。作る人
や店によって、使用する具材が異なるのです。あえていうなら、農業県の茨城のいなり寿司
の中身は、地元でとれる農産物をたっぷり使った「五目いなり」です。いなり寿司は江戸時
代、稲荷神社に供えてあった油揚げの中にごはんを詰めたことが始まりだという説が知られ
ています。江戸時代の文献には、屋台でいなり寿司が売られている様子が描かれているそう
です。当時から安価で、素朴な味でおいしく、手頃な食べ物として人気を博したと言われて
います。現在もスーパーやコンビニにならんでいますね。江戸代から現代まで食べられてい
るファストフード、それが五目ちらし寿司です。関東全域で食べられていますので、郷土料
理として選定されたのに疑問がありますね。でも笠間稲荷寿司は有名ですよ。

5.「そぼろ納豆/しょぼろ納豆」

水戸市を中心とする県央地域で見られる伝統的な料理です。納豆に塩漬けにした 切り干し
大根を混ぜ、しょう油などの調味料で味をつけたものです。小粒の大豆が特徴で、保存食と
して水戸地方の農家で作られています。そのまま酒の肴として、ご飯にかけたり、お茶漬け
の具にして食べるなど、様々な食べ方が楽しめます。シャキシャキとした切り干し大根の歯
ごたえと、納豆の柔らかさがよく合い、まろやかな味わいとなっています。独特の食感と風
味があります。「そぼろ納豆」の名前の由来は、納豆に混ぜる切り干し大根が、細かくほぐ
れている様子を「そぼろ」に見立てたことに由来しています。「そぼろ丼」「そぼろ煮」な
どそぼろの名がつく料理がありますが、納豆というのが茨城らしいじゃないですか。
選定に納得です

6.「かぼちゃのいとこ煮」

茨城県を中心に根付いた郷土料理で、冬至の定番料理として親しまれています。いとこ煮と
は、富山県をはじめとした北陸地方、奈良県、山口県でも郷土料理として食べられている根
菜と小豆を甘しょっぱく味つけた煮物です。神様に供えた食材を寄せ集めて煮たことがはじ
まりで、もともとはお盆やお正月、祭礼の際に食べられていました。今でも一般家庭で楽し
まれているほか、地域の祝い事のときにはいとこ煮がよく食べられています。根菜の部分が
かぼちゃであることが茨城県スタイルですが、実はこのかぼちゃと小豆の組み合わせが他県
でも多いです。しかし、煮物ではなく汁物であったり、小豆や大根の味噌汁のことを指す地
域もあります。このような地域差があるのも、いとこ煮の面白いところです。「いとこ煮」
の名前は、野菜別にめいめいに煮ることから「姪々」とかけ、姪同士はいとこであるからと
いう説もあります。さらに、野菜や豆は畑でとれるもので、いとこのようなものだからとい
う説もあります。かぼちゃは保存がきくため、あまり食糧がとれない時代の貴重な栄養源と
なっていました。冬至の日にかぼちゃを食べるのは、保存していた栄養価の高いかぼちゃを
食べて健康に乗り越えられるように願いを込めていたと言われています。県外でも広く郷土
料理として知られていますから、選定漏れの中にもっとふさわしいものがあるのではないか
と思うのですがね。

今回は県央地区の郷土料理として取り上げられた6品目を紹介しました。次回は県南地区の
郷土料理を紹介します。

皆さんが茨城県の郷土料理を知り、親しんでいただけることを願っています。

 

 

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茨城郷土料理自慢:1回目「県北地区の郷土料理編」

2024-09-09 07:06:40 | 日記

『うちの郷土料理』という農林水産省が運営しているWebサイトをご存知でしょうか。

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html

 

平成25年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを契機に、
先進諸国の主要都市には日本食レストランが当たり前にある時代になっています。こうした日本
食の広がりのある話の一方で、おひざ元の国内では食の多様化や家庭環境の変化が進んでおり、
和食文化の保護・継承が課題なのだと、農林水産省では、第4次食育推進基本計画(令和3年3月
食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化を次世代に継承していくための活動を
進めています。

その活動の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固有の多様な
食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理~次世代に伝えた
い大切な味~」を開設しました。各地域で選定された郷土料理が、その料理を生んだ地域の背景、
いわれや歴史、そしてレシピ等をデータベース化して広く情報発信を始めました。この活動は都
道府県全てを網羅したもので、データベース化を終えた県から随時公開され、2022年に全国制覇
されて完了しました。データベースは「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業
での商品化、郷土料理の調査などに是非、ご活用ください」と広く公開されています。このデー
タベースを覗いてみましたが、全国の郷土料理がかなり広い視野の目(歴史や風土などが検証さ
れて)で捉えられており、読み物としても大変面白いです。データベースでは47都道府県の郷土
料理1,365種のレシピ・歴史などが検索できます。各県から30品目前後が登録されています。
茨城県も30品目が紹介されています。ここではこの茨城県版30品目の郷土料理を取り上げます。
茨城県の食文化は、地域ごとの気候風土にあわせて、多様な進化を遂げてきました。茨城県は地
域的特徴に分けると、県北地区、県央地区、県南地区、県西地区、鹿行地区(ろっこうちく)の
5つに大別されています。今回からこの5地区を代表する郷土料理についてデータベースの記述
を横に置きながら、取り上げられた郷土料理は納得できるものなのかどうか、私見で評価してみ
たいと思います。1回目は「県北地区の郷土料理編」です。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等に
                         より他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、歴
                史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の提
   供があるか

  ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
  ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されていました。

<茨城県の食文化>

日本列島のほぼ中央。関東地方の北東に位置する茨城県は、東は太平洋に臨み、北は福島県、西
は栃木県に接し、南は利根川をもって千葉県に接しており、県都の水戸市は首都東京から100km
圏内にある。県土一帯には一級河川の利根川・那珂川・久慈川をはじめ、およそ200の河川が流れ、
全国第2位の面積を誇る湖の霞ヶ浦及び北浦を中心とする水郷地帯となっている。関東平野の一部
である常総平野が広がり、豊かな水質を活かして古来より農業が営まれてきた。農業産出額は、
全国トップクラスの農業県なのだ。また、延長190kmに及ぶ海岸線を有し、県の沖合は、親潮と
黒潮が交差する豊かな漁場で、季節ごとに様々な魚介が水揚げされる漁業県でもある。特に冬の
アンコウは大変質がよく、近年では高級食材となっています。

<データベースの「茨城県」の項に記載されている郷土料理>

データベースでは茨城県内の郷土料理ということで、水戸地区など地場の郷土料理として地域名
を明記したものがある一方で、「県内全域」の表示や、またがった複数地区表示もあります。こ
こでは地域特定で表記されたものは、それに従いますが、「全域やまたがり表記」の場合は、私
見で「あえて言うなら、この地区だな!」と分類しています。了承願います。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺身
  (9品目) こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「パイタ焼き」「赤餅」
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ納
  (6品目) 豆」「かぼちゃのいとこ煮」
3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉てんこん」
  (8品目)「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」「れんこん
        のきんぴら」
4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」
  (2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いもが
  (5品目) らの炒め煮/いもがらの五目煮」

 ・各県とも30品目ほどに絞られていますので、選定もれした有名な郷土料理もあります。
  茨城県で選定されなかった郷土料理については、5地区の紹介を終えてから報告します。

<茨城県北部地区とはどんなところか>

茨城県北部地区(いばらきけんけんぽくちく)は、茨城県のうち、北部に位置する地域を指しま
す。この地域は茨城県日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、久慈郡大子町の
5市1町から構成されており、2022年時点での面積は1,652.27 km²、人口は335,942人です。地理
的には久慈川や那珂川が流れ、太平洋側の地域と内陸側の地域を結ぶJR常磐線やJR水郡線が走っ
ています。観光名所としては、美しい海岸線や清流、山々、滝、渓谷、里山などの自然景観が楽
しめるスポットがあります。また、文化的にも岡倉天心ゆかりの六角堂や徳川光圀公の隠居所で
ある西山御殿、日立製作所創業者・小平浪平の足跡を記念した小平記念館などがあります。

地形は北部から北西部にかけては、阿武隈山地の南端部となる久慈山地・多賀山地の山々が連な
ります。この間に山田川、里川、久慈川、那珂川とその流域の平地が広がっています。気候とし
ては沿岸部では気温の日較差が小さく、海洋性気候の特徴を持っています。猛暑日、真夏日、熱
帯夜の増加が観測されており、降水量も湖沼や河川が多い地形の影響を受けて多いことも特徴です。

<県北地区発祥の郷土料理>

県北地区といえば「水戸藩の財政を支えた、こんにゃくづくり」が最も知られています。山間地
で古くからはじまっていたこんにゃく生産ですが、こんにゃくは腐りやすいため流通させるのが
困難でした。江戸時代、こんにゃく生産に転機をもたらしたのが農民の中島藤右衛門です。藤右
衛門は、こんにゃく芋を乾燥させる保存方法を確立。こんにゃくの質も高く評価され、水戸藩の
専売品として藩の財政を支えました。この地区からエントリーされた郷土料理は9品目です。
その一品一品について評価します。(紹介順位に意味はありません)

 

1.つけけんちん:

けんちん汁と蕎麦を組み合わせた美味しい料理です。この料理は、暖かく濃いめの味わいのけん
ちん汁に、冷たく風味深い蕎麦をつけて食べるスタイルで、根野菜やキノコの風味が香ばしい逸
品となっています。江戸時代の後期から食べられていたとされ、旧暦の新年(現在の節分の時期)
にそばを食べる風習が水戸藩から広がったと言われています。今でも茨城県全域で愛されている
郷土料理です。
この地区は昔から蕎麦の名産地で、芳醇な香りとほんのりした甘さが特徴のブランド品種「常陸
秋そば」のルーツです。そして根野菜の生産量も多く、キノコも採れました。こうした地区環境
から「けんちん汁」が生まれ、必然の流れとして、そばをけんちん汁につけて食べる風習が生ま
れたのでしょうね。江戸時代から現在まで食べ続けられているのですから、選定は納得です。

2.干し芋:

老若男女から親しまれているさつまいもの加工品です。茨城県は日本全体の干し芋の生産量の8割
以上を占めており、その市町村別生産量でも県北地区にある、ひたちなか市、東海村、那珂市が
トップ3を占めています。干し芋は、さつまいもを蒸して薄く切り、外で干して乾燥させることで
作られます。素朴な甘さとほっくりとした食感が特徴で、そのまま食べるほか、かき揚げやケーキ
の中に入れるなど、アレンジも豊富です。茨城県の干し芋は、たまゆたか、紅はるか、希少品種
(いずみ)などの品種が評価されています。干し芋は例年12月から翌年2月末まで生産され、年末
には予約でいっぱいになることもあるため、「ほしいも品評会」での受賞品を食すためにはお早め
に。これを選定から外したら非難が来るでしょうね。生産量の視点から、この選定に納得です。

3.「いわしの卯の花漬け」

県北地区で長く親しまれている郷土料理です。「卯の花」とは「おから」を指します。新鮮なイワ
シを長く味わえるよう、時間をかけてしっかり酢と合わせたおからに漬けることで長持ちするため、
地元では保存食としても重宝されてきました。この料理はおせち料理としても食べられていたため、
各家庭では11月くらいからとれるマイワシを使って作られています。新鮮なイワシの頭と内臓、骨
を取り出して水洗いをしたら、塩を振って数時間寝かせ、その後、水で塩気をとり、10時間以上酢
につけます。さらに、砂糖を加えた酢に、さらに10時間漬けることで保存力が高まります。最後に、
酢を切ったイワシとおから、柚子の皮、赤唐辛子、ごま、塩を混ぜていただくと、お酒の肴にも
、ごはんのおともにも合う美味しい料理が完成します。

これは千葉県の九十九里地方でも郷土料理となっており、茨城県北地区の専売ではありませんが、
昔の山間部は鮮度の良い魚が入手できない土地柄です。保存食そしてめでたいおせちに欠かせない、
土地の人の思い入れが込められた料理です。これも選定に納得です。

4.「柚子大根」

酢でサッパリとした味わいが特徴で、箸休めの一品として日常の献立に取り入れられています。簡
単に作れるため、常備菜としても重宝します。柚子大根は、その重宝さの故、関東の幅広いエリア
で郷土料理として登録されています。茨城県もその中の一つです。特に、ごぼうやピーマン、れん
こんなどの食材の収穫量全国1位を誇る、農業県である茨城県では郷土料理として定着しています。
使用する食材のひとつである柚子は、温暖な気候を好み、主に徳島県や高知県などの四国地方で栽
培されていますが、関東では茨城県や埼玉県でも栽培されています。柚子は8~10月に出回り、緑
色から黄色に変化します。柚子大根は、大根を輪切りにして天日干しする伝統的な作り方もありま
す。柚子大根が、主に使用する食材は大根と柚子です。調味料は昆布、砂糖、酢、塩、水を使いま
す。柚子大根をおせち料理として食べる際は、くり抜いた柚子を器にすると見栄えが良くなります。
大根を輪切りにして天日干しし、その後千切りにした柚子を巻いて昆布で結び、合わせ酢をかけて
食べます。酢でさっぱりとした味わいが特徴で、箸休めとして日常の献立に取り入れられています。
冬になると各家庭の軒先に大根をつるしている風景が昔から見られ、常備菜としても重宝されてい
ますから、この選定も納得です。

5.「手作り刺身こんにゃく」

県北の奥久慈地方は、こんにゃく栽培が盛んで、こんにゃく発祥の地とされています。現在でもこ
んにゃく芋の生産量では日本一です。江戸時代には水戸藩の専売品としても知られ、こんにゃくの
食べ方はさまざまです。刺身こんにゃくは、こんにゃく芋の精粉から作られ、アクが少なく、下茹
でが不要で、生のまま刺身にして食べることができます。薄くスライスして、わさび、しょうが、
柚子、青ねぎなどの薬味を添え、だし割り醤油を付けて楽しむことができます。その他にも、「煮
しめ」や「肉じゃが」などの料理、そして「こんにゃくの田楽」も地元民に親しまれており、柚子
味噌を付けるのが特徴です。さしみこんにゃくは、特別な日の食卓を飾る一品として、かつて祭り
の日や新年などの特別な日に家庭で手作りされていました。こんにゃくの歴史や提供している飲食
店舗などの情報は自治体のホームページで発信されていますよ。生産量日本一のこんにゃくが選定
されるのは納得です。

6.「凍みこんにゃく」:

これも奥久慈地方で作られる伝統的な食材です。つくられるのは、12月~2月にかけての厳冬期。畑
に敷きつめたわらの上に、こんにゃくを1枚1枚並べ、水をかける。すると、夜の冷気によってこんに
ゃくはすっかり凍ってしまう。翌日、日中の気温で解凍されると、夜にふたたび水をかける。この作
業を繰り返すことで、水分が抜けスポンジ状になり「凍みこんにゃく」となります。完成するのは約
20日後である。手間がかかることから、昭和30年代以降は生産者が激減しており、現在は茨城県北地
区のみで生産されている希少な食材です。乾燥状態を保てば長く食べることができるため、冬の風物
詩として知られています。一般的には「煮しめ」という調理法で楽しまれており、その独特の食感を
味わうことができます。また、近年は唐揚げや天ぷら、フライ、グラタンなど、さまざまな調理法が
考案されています。手間暇がかかるのにこれまで生き残って来ました。土地柄が生んだ逸品です。
選定に納得です。

7.「あんこうの共酢和え」:

県北部の北茨城・水戸・日立でなじみのある郷土料理です。共酢和えは、アンコウの身を茹でたものや、
皮や胃などの部位を煮凝り状にしたものを、共酢(アンコウの肝を合わせた酢味噌、共酢とは(肝のこ
とを「とも」ともいうことが由来))につけて食べる料理です。アンコウの各部位の異なる食感を楽し
める一品で、わかめを添えて食べることが一般的です。地元では、いまでも地元の飲食店では提供して
おり、観光客からも人気があるアンコウ料理の一つなのです。アンコウは茨城県の地場産品で、質の良
い常磐ものとして評価されています。江戸時代には水戸藩からの献上品とされ、昔からアンコウ漁が盛
んに行われてきました。他県でもアンコウ料理は食べられますが、「あんこうの共酢」は茨城県特有の
もので、地元以外ではなかなか見かけない一品です。あんこうは7月、8月の禁漁期以外は、1年を通じ
て漁がおこなわれており、冬になると「あんこう鍋」そして、「あんこうの共酢和え」の最盛期になり
ます。あんこうは茨城県を代表する食材です。この選定に納得です。

8.「パイタ焼き」

ひたちなか市を中心に親しまれています。この料理は、サンマやイワシをミンチにして、味噌やねぎな
どの薬味を混ぜ、焼いた漁師料理です。「パイタ」とは、舟を漕ぐ櫂(かい)のことを指し、船が手漕
ぎだった時代に、船乗りが櫂の平らな部分で魚を叩いて焼いたことから、カイイタ(櫂の板)が訛って
「パイタ」と呼ばれるようになったと言われています。茨城県では、サンマやイワシの漁獲量が多いた
め、これらの魚を使用して作られています。特に、那珂湊(なかみなと)では、サンマの漁獲量が多い
ことから、地域の家庭料理として広く親しまれています。しかし現在は、サンマの漁獲量が減少してい
るため、イワシを使うことも多くなっているそうです。千葉県他の他県でも「なめろう」や「さんが焼
き」に似る郷土料理として、魚を叩いて味をつける料理が存在します。「バイタ焼き」は、一般家庭で
も広く食べられており、主な材料であるサンマやイワシが旬を迎える時期に楽しまれています。魚を三
枚におろして皮を剥ぎ、内臓を取り出した際にきれいに洗って血を落としておくと、生臭さが出づらく
なります。また、焼く際に薄めにのばして焼くと火が通る前にパサつかずに美味しくいただけます。味
付けは味噌で行い、薬味としてねぎやしょうがを加えます。しっかり味がついているのでそのままで食
べられます。魚が主役の郷土料理としてこれも外せません。選考に納得です。

9.「赤餅」

金砂郷地区で受け継がれる郷土菓子です。「赤餅」はお菓子ですよね。でも、郷土料理に含まれていま
す。その理由に興味はありませんか。実は、その背景には歴史的な経緯があります。赤餅は赤いもろこ
しの粉を主成分としています。もろこしはこの地域で栽培され、水害の多い土地で重宝されていました。
赤餅は、もろこしの栄養価が高く、保存性があるため、農村の人々にとって重要な食品でした。もろこ
しは、日本の伝統的な食文化においても重要な役割を果たしており、餅や粉物として広く利用されてき
ました。赤餅は、もろこしの粉をお湯で練って作る伝統的な製法を守り、きなこや砂糖をまぶして食べ
ることで、地域の風味を楽しむ料理として受け継がれてきたのです。すなわちお菓子としてではなく、
料理として伝承されてきたのです。現代では、もろこし粉の入手が難しくなり、赤餅を作る機会は少な
くなっていますが、その歴史的な背景と伝統的な製法が、茨城県の郷土料理として大切にされています。
選定に納得です。

 

農林水産省が「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」として、全国各地域で選定された郷土
料理の内、茨城県編の中の県北地区の9品目の郷土料理を紹介してきました。
さすが、農林水産省です。選定した郷土料理すべてに納得です。ただ、この9品目で全てではないのです。
この地区の隠れた郷土料理を発掘して紹介する機会を持ちたいと思います。

次回は県央地区の6品目について評価します。

茨城県では 保存と継承の取り組みとして、学校で料理授業を通じて地域の食文化を伝える取り組みが行
われています。おいしい郷土料理を次世代に伝えるために、こうした努力が大切ですね!

 機会があれば県北の郷土料理をご賞味あれ!

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茨城味自慢:茨城県には特色のある水産加工品がいっぱい!

2024-08-19 07:06:10 | 日記

茨城県の水産加工品の販売金額は3,619百万円で全国11位、事業体の数は10事業体で全国
30位です(平成29年)。茨城県は多様な水産加工品を製造していますが、総生産量比較
では、とても全国トップクラスの生産地とは言えません。しかし、品種別では塩干品の
「干しホッケ」が、全国生産量32,122tの内、茨城県が7,178t(22.3%)で日本一のシェアで
す。他にも「煮タコ」「佃煮製品」など地域環境に合った特色のある加工品を生産してい
ます。茨城県は大消費都市東京から北東40~160㎞という好位置にあり、その上、太平洋
に面する長い海岸線と、内陸には霞ヶ浦・北浦を有していることから、海面漁業と内水面
漁業の両方で漁獲された魚介類を地元産原料として入手できるのが強みです。現在は漁獲
量が不安定な地元の海面漁獲量だけに頼らず、積極的に輸入品の魚介類を受け入れて、安
定生産を強化しています。出来上がった製品の販売先は国内にとどまりません。例えば、
サバ・イワシの生鮮冷凍品やタコ製品などは、諸外国に向けて輸出されています。
今回は茨城県で生産している特色のある水産加工品を紹介します。

※海面漁業:海で行われる漁業。内水面漁業:河川・湖沼などで行う漁業および養殖業。

 

<水産加工食品とは>

水産加工とは水産物を生ではなく、なんらかの手を加えることをいい、腐りやすい魚を保存
性の高い食品にする目的から生まれた技術ですが、生とは一味違った食品にする優れた技術
に発展し、そこから更に、家庭における食事、弁当食材に利用される自然解凍食品や電子レ
ンジ解凍食品など、多彩な製品が生まれてスーパーや店頭などで販売されています。日本で
は国内で獲れた魚の約60%が水産加工原料です。このうち約70%が食用向けとなり、残りの
30%は家畜の餌や農産物などの肥料となります。

 

<水産加工業者の挑戦>

今は魚を好んで食べない人も多くなってきています。昔のように、食卓にブリの照り焼きや
鮭の塩焼きが頻繁に出されることが減ってきました。確かに、国民の「魚離れ」による水産
物消費の減退、漁業生産量の減少等に呼応して、日 本の水産加工業は全体として縮小傾向に
あります。 しかし、世界有数の漁業国である日本が、将来にわたり持続可能な漁業経営を展
開し、 豊かな食生活を支える魚食文化を後世に伝えていくためには、国内水産加工業の健全
な発 展が不可欠であり、水産加工業の再生・発展をいかにして図るかは重要な課題です。
また、東日本大震災による大津波は、東北3県を中心とした太平洋沿岸地域の水産業に未曾
有の被害をもたらし、現在も、その復興は道半ばにあります。こうした中、県内の水産加工
業者は食の多様化をプレゼンスすることが生きる道と考えて、特色のある新技術そして加工
品のブランド化を目指して懸命に努力しています。 

      

<水産加工品の豆知識>

1.原料原産地を表示しなければならないワケ
   TPPへの参加が契機です。加盟により安い外国産が国内に流入して来るから、原料
   原産地を表示させることで、国内産との識別をはっきりと分かりやすくさせる。こ
   うすれば、国民は愛国心を持って国内品を積極的に購入してくれるだろうから、国
   内生産者の保護になるとの考えから生まれたようです。

2.勝手に販売してはいけない?販売のルール
   農作物を販売する際は農家から直送したり、加工品を仕入れて販売したりするのは
   特別な許可を取る必要がありません。しかし、鮮魚をそのまま販売したり、加工し
   て販売したりする場合は、都道府県の保健所に届け出を出す必要があります。水産
   加工品であれば、缶詰は許可が不要ですが、生物や干物、燻製などは許可なく販売
   できない決まりとなっています。

3.出来たてより時間が経ったほうがおいしい!?水産加工品
   ナマ物は鮮度が命!というように食品は新鮮なものほど味がおいしく、時間が経つ
   と味が落ちると言いますが、水産加工品はそうではありません。缶詰でも、製造日
   が新しいほどおいしいというわけではないように、時間を置くことで発酵熟成され
   て旨味が増す水産加工品もあります。

4.かまぼこはうま味にこだわった水産加工品
   「かまぼこ」は平安時代の古文書にその名が登場するほど、歴史の古い食品でその
   製法のメカニズムは未だに謎の部分が残っています。 面白いのはその加工の主眼で
   す。大半の水産加工品が保存性を重視するのに比べ、かまぼこは「うまみ」にこだ
   わって誕生しました。現在の生産地としては静岡県焼津市が有名ですね。

5.たらこ(明太子)  
   たらこの原料は「スケトウダラ」の卵です。スケトウダラは、すり身にされて蒲鉾
   やその他の水産加工品としても重宝されています。そのスケトウタラの卵つまり
   「子供」と言う意味合いで「タラ(の)子」→「たらこ」となったと言われています。
   その「たらこ」に辛子を加えた調味液に漬け込んだものが「辛子明太子」です。 で
   は、この「明太子」 と言う言葉はどういう意味なのでしょうか? 実は 朝鮮半島で
   「タラ」は昔から「ミョンテ(明太)」と呼ばれ、卵が食べられてきました。 この
   「ミョンテ(明太)」の卵と言うことで「明太子」と呼ばれていたのが現代でもそ
   のまま用いられ「めんたいこ」となったと言われています。

6.たらことイクラ
   タラの卵は「たらこ」ですが、なぜ鮭の卵は「イクラ」というのでしょうか?実は
   ロシア語で魚の卵のことを総じて「イクラ」と言うのだそうです。

7.魚の栄養価
   魚は非常に栄養価が高く、健康に良い食品です。
  ①高たんぱく質: 魚は高品質なたんぱく質を豊富に含んでおり、筋肉の成長や修復に役
          立ちます。
  ②オメガ-3脂肪酸: 魚にはオメガ-3脂肪酸が多く含まれており、心臓病のリスクを低減
          し、脳の健康をサポートします。特にサーモン、マグロ、サバなどの
          脂肪が多い魚に多く含まれています。
  ③ビタミンD: 魚はビタミンDの優れた供給源であり、骨の健康を維持するために重要です。
  ④ビタミンB群:魚にはビタミンB12やナイアシンなどのビタミンB群が豊富で、エネルギ
         ー代謝や神経機能の維持に役立ちます。
  ⑤ミネラル: 魚にはセレン、ヨウ素、亜鉛などのミネラルが含まれており、免疫機能や甲
       状腺機能のサポートに重要です。

  魚を定期的に食事に取り入れることで、これらの栄養素を効果的に摂取することができます。

 

<海産物の流通の仕組み あなたの食卓に魚が届くまで>

 (1)市場内流通

海産物はまず、水揚げ港に開設されている「産地市場」に水揚げされます。そして、水産加工
会社や冷凍冷蔵業者、鮮魚卸業者などの買受人が購入し、大都市や地方都市など一定の消費人
口がいる「消費地市場」に出荷されます(消費地市場のうち、人口20万人以上の自治体にある
消費地市場を中央卸売市場と呼びます)。市場内流通は一見複雑に見えますが、この仕組みが
あることで産地から遠く離れた消費地でも、全国で水揚げされたさまざまな魚を店の規模に見
合った量だけ仕入れることが可能となります。産地市場は全国に313カ所、 消費地市場は278
カ所あり、セリや入札の市況がすべて公表されるため、 取引する際の海産物の参考になる価格
(最高値)が判断でき、公正な取引の指標にもなっています。

(2)市場外流通

今やネットショッピングが主流の時代。近年増えているのが、市場を通さない「市場外流通」
です。ネットショッピングだけでなく、例えば業者や飲食店から漁師が直接注文を受けて出荷
することもあれば、「今日はこんな魚が入ったぞ!」と漁師自ら船の上で営業の電話をするこ
ともあります。市場外流通のメリットは、市場の動きに合わせることなく出荷ができることや、
流通段階でかかる費用を省けるということ。また、消費者と直接繋がれる機会があるのも魅力
的です。一方で、自然相手の仕事をこなしながら、販路の確保・開拓、出荷作業をするという
のは大変なこと。顧客対応や、市場内流通では起きないトラブルが発生する場合もあります。

(3)漁協などを通じて販売する「共同販売」

養殖業の現場では、漁業協同組合(漁協)が行う「共同販売」(共販)が主流です。共販とは、
漁協が漁師から仕入れた海産物を一括して仲買加工業者に入札(もしくは相対で)販売するシ
ステムのこと。養殖業の現場は家族単位の経営体も多く、販路の確保まで行うのは大変です。
漁師にとっては、共販で売ることで代金回収の手間や売れ残りのリスクを抱えることなく販売
ができるメリットがあります。

 

<県内水産加工製品の地域別特色>

茨城県の水産加工品は量も種類も豊富で、地元産原料を使ったサバ・イワシの生鮮冷凍品やシ
ラス干し、ワカサギの佃煮・煮干しをはじめ、県外産原料を使ったホッケ・シシャモの塩干品
や煮タコなど、地域ごとに特色のある多彩な製品が生産されています。製品の販売先は国内だ
けでなく、サバ・イワシ・タコ製品は、諸外国に輸出されています。 本県において水産加工業
が主に営まれている地域は,大きく沿海の六地区と霞ヶ浦・北浦に分か れます。具体例で地域
特産の水産加工品を紹介します。

 

1.北茨城地区:「揚げかまぼこ」と「煮たこ」が有名。他に「しらすぼし」「こうなご(い
        かなごの稚魚)」「惣菜品」「タイの干物」・「ニギスの丸干し」・「いわ
        しのみりん干」・「いわしの丸干し」など

2.日立地区:タコ製品といわし製品が多い。「蒸しタコ」「酢タコ」「いわしのごま漬け」
       「たたみいわし」「丸干いわし」「煮干いわし」「いわしみりん干し」、他に
       「しらすぼし」「こうなご」「惣菜品」など

3.那珂湊地区:塩干品が主力の生産地。輸入産タコを使った「タコ製品」「ホッケの干物」
        が有名。他に「ボイルエビ」・「サケのみりん干」・「イカの塩辛」・
        「明太子」など

4.大洗地区:県外産のホッケ・シシャモなどを使った塩干品やタコ製品、そして明太子など
       が主力、他に「サバの焼き魚」・「サンマの加工品」・「しらす干し」

5.鹿島灘地区:地元で獲れる「鹿島灘蒸しハマグリ」「焼はまぐり」他に「海産つくだ煮」
        「ちりめんしらす」「煮干いわし」「しらす干し」

6.波崎地区:サバ・イワシなどの生鮮冷凍品を主体とした付加価値の高い製品づくり「サバ
       の缶詰」・「イワシの加工品」・「サンマの加工品」・「サバの加工品」・
       「いわしピーマンボール」・「さくら干し」これら水産加工品の生産高は
       約13~15万トンで県内生産量のおよそ70%を占めています。

7.霞ヶ浦北浦地区:古くから、湖で獲れるワカサギ・シラウオ・テナガエビなどを使った佃
          煮や煮干しなどの生産が盛ん。「ハゼの佃煮」・「ワカサギの佃煮」・
          「エビの佃煮」・「アサリの佃煮」など

 

<生産量の多い代表的な水産加工品>

(1)干しホッケ:ホッケには、北方のオホーツク海で漁獲される「シマホッケ」と北海道近
     海で漁獲される「マホッケ」があります。「シマホッケ」は輸入品になります。
     「マホッケ」はほとんどが北海道で漁獲されています。ホッケの加工品である干し
     ホッケは茨城県の那珂湊地区、大洗地区で多く製造されており、シェア22.3%で日
     本一の生産量を誇りますが、原料はシマホッケが中心です。ロシアとの関係悪化で
     今後どうなるのか心配です。

(2)タコ製品:県北方面が中心で生産されています。特に茨城県ひたちなか市は、タコの加
     工量が日本一で、街を歩くとタコ文化に満ち溢れています。 原料のタコは主にモロ
     ッコやモーリタニア等の西アフリカ産を中心にした輸入品が 多い です。輸入原料
     以外にも日本海沿岸で獲れるマダコ、 ミズダコ、ヤナギダコも煮だこや酢だこなど
     として加工されています。 独特の歯ごたえと扱いの簡便さから親しまれている加工
     品と言えます。

(3)いわし製品:県南地区で多く生産されています。いわしの水揚げ量6年連続全国1位を誇
     る銚子漁港があります。いわしは水揚げ後の傷みが早いことなどから、加工品として
     出回ることも非常に多い魚です。たとえば、煮干し、ちりめんじゃこ(しらす干し)、
     釜揚げしらす、めざし、つみれ、オイルサーディン、アンチョビ、みりん干し、など
     など。これらが、品種の違いや干すときのやり方・度合い、調味料の違い、成長によ
     る大きさの違いなどでさらに細かく分かれたり、各地で別の呼ばれ方をされたりしま
     す。そして食用以外にも「いわし」は有効活用されており、魚油の採取、養殖魚や家
     畜の飼料、肥料などの用途があります

(4)明太子:茨城県屈指の観光地・大洗には、明太子の老舗メーカー「かねふく」が運営する
     明太子専門のテーマパークがあります。一日5トンを超えることもあるという明太子が
     施設内の工場で生産されており、実際に作っている工程を間近に見学できます。出来
     上がったばかりの明太子を購入したり食べたりできるほか、明太子についてゲーム感
     覚で学べるギャラリーもあり、子どもはもちろん大人も楽しめると好評。周辺には
     「アクアワールド」といった人気スポットや、四季の花々が彩る国営ひたち海浜公園
     があり、観光ついでに立ち寄るのもおすすめです。

     

茨城県で生産されている水産加工品の中から優れた製品を選定し、消費者が水産加工品を安心して
購入できるように推奨マークを添付して販売する「水産加工優良推奨品制度」を行っています。
ですから安心して茨城県産の水産加工品をご賞味あれ!

 

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茨城味自慢:茨城県の水戸納豆がどうして有名になったのか?

2024-07-29 07:09:32 | 日記

茨城県の名産品として「納豆」を思い出す方は、「水戸納豆」という固有名詞まで連想されるのでは
ないでしょうか。それほどに、茨城県の納豆は、水戸納豆として全国に知られています。水戸納豆の
特徴は、小粒で柔らかく、糸引きがよく、わらの香りがすることです。これが、水戸納豆が有名にな
った理由ですが、実は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりなどの下支えが背景にあるのです。
水戸納豆の名前が知られるようになったのは意外に新しく明治になってからです。かつて、納豆が江
戸に出回っていたことを本で知った水戸の笹沼清左右衛門(現在の水戸天狗納豆の始祖)が、納豆を
水戸の名物にしようと製造に乗り出したのがきっかけでした。清左右衛門の納豆が本当に世に出るよ
うになったのは、明治20年代に鉄道が敷設されてからです。最初は水戸駅前の広場で売られていまし
たが、やがて駅のホームで、今でいうアイドル少年たちがお土産として売るようになると、汽車の窓
から奪い合うほどの人気が出たということです。
今回は水戸納豆の歴史と背景、そして、納豆雑学も紹介します。

<納豆とは>

納豆とは、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を納豆菌によって発酵させた発酵食品です。一般的
に「糸引き納豆」と呼ばれるもので、日本の伝統食品の一つです。納豆はたんぱく質、脂質、カルシ
ウム、鉄などの栄養素を含み、納豆菌が作り出すナットウキナーゼやビタミンK2などの特有の成分も
あります。納豆はご飯と一緒に食べるのが一般的ですが、ほかの食材と合わせても美味しくいただけ
ます。納豆には独特の匂いと粘りがあり、好き嫌いが分かれることもあります。

<納豆のいわれ>

納豆の歴史は古く、縄文時代の終わり頃には既に納豆のようなものが食べられていたとも言われてい
ます。納豆の名前の由来には諸説ありますが、お寺の納所で作られた豆や、神様に納めた豆などから
「納豆」という説があります。納豆は日本だけでなく、中国やアジア、アフリカの一部の国々でも作
られていますが、日本の糸引き納豆とは異なり、調味料や保存食として使われることが多いようです。

<納豆の生産量ランキング>

納豆の生産量は、関東地方が全国の約70%を占めています。茨城県は納豆の最大の生産地で、全国の
約4分の1を生産しています。千葉県と埼玉県も納豆の生産量が多いです。

1位は茨城県で29,000 t( 25.0%)、2位は千葉県で18,000 t(15.5 %)、3位は埼玉県で | 14,000 t( 12.1 %)、
4位は群馬県で10,000t( 8.6 %)、5位が栃木県で9,000t(7.8%)、

その他が33,000t(28.5%)となっています。

<納豆の消費量ランキング>

(1)都道府県別ランキング:納豆の消費量は、都道府県や都市によってかなり違います。総務省統
     計局の「家計調査」によると、2020年の納豆の消費量ランキングでは、1位は長野県で、
     一世帯当たり約7パック、2位は福島県で約23.6パック、3位は栃木県で約23.4パック
     ・・・茨城県は5位で約22.1パックを消費しました。納豆の消費量は、東北や関東、九州
     地方で多く、近畿や中国、四国地方で少ない傾向があります。

(2)都市別消費量ランキング:人口あたりの消費量(kg) は1位が東京で23,000t(1.7㎏)、2位は大阪
     で6,000 t|(1.3kg)、3位は名古屋で5,000 t(1.4kg)、4位は札幌で4,000t(1.8kg)、5位は福岡
     で3,000t( 1.2kg)、でした。納豆の消費量は、東京が全国の約20%を占めています。人口あた
     りの消費量は、札幌が最も高く、納豆の好きな人が多い。福岡は人口あたりの消費量が最
     も低く、納豆の嗜好が弱いことがわかります。

 

<納豆の豆知識>

1.大豆が納豆になるには納豆菌の存在が必要です。納豆菌は枯れ草菌の一種で、土の中や稲藁、空
   気中などどこにでも存在しています。稲藁1本には約1,000万個の納豆菌が胞子の状態で付着し
   ていますから、稲藁の中で大豆が偶然発酵した可能性も非常に高かったのです。古くから納豆
   が食べられていた理由もここにありそうです。

2.納豆は大きく分けると三種類になります。
  (1)甘納豆:お菓子で、豆を砂糖で煮詰めたものです。
  (2)糸引き納豆:いつもご飯と一緒に食べているお馴染みの納豆です。
     ①丸大豆納豆:大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させたもので、一番ポピュラーな納豆です。
       大豆の大きさによって、大粒納豆、小粒納豆、極小粒納豆などに分けられます。また、
       黒大豆や青大豆を使った納豆もあります。
     ②ひきわり納豆:大豆を炒って荒く挽き、表皮を取り除いてから煮て納豆菌で発酵させた
       ものです。青森、秋田、岩手などで江戸時代以前から作られていました。ひきわり納
       豆は、大豆の皮がないので、糸引きが強くなります。
     ③五斗納豆:山形県米沢地方の郷土食で、雪割り納豆とも呼ばれます。ひきわり納豆に、
       麹や塩を混ぜて樽に仕込み熟成させたものです。発酵・熟成して いるので独特の香
       りとうまみがあります。
     ④干し納豆;糸引き納豆を乾燥させたもので、干すことにより納豆の旨味や栄養が凝縮さ
       れ、一般的な納豆とはまた違った味わいを楽しむことができます。
 (3)寺納豆:別名、塩辛納豆とも呼ばれ、大豆と小麦と麹菌(味噌やお酒を作る菌と同じ)を一
     緒に塩水に漬け込んで熟成させるので、作るのに数カ月から1年かかります。出来上がると
     黒褐色の半分乾燥したものになります。糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩味と旨味
     が調和した独特の風味があります。

3.世界の納豆

納豆は外国でも作られています。中国の「タチオ」は日本の寺町納豆や塩辛納豆に近いもので、塩気
の効いた味。その他、アジア諸国にはさまざまな大豆の加工品があり、タイは「トアナウ」、ミャン
マーでは「ペーポー」、アフリカでは「ダワダワ」と呼ばれています。しかし、それらは日本で食べ
られているような、ネバネバ納豆ではありません。主に調味料や保存食にして食べられているようで
す。ネパールの「キネマ」やインドの「バーリュ」などは、味や香りが日本の糸ひき納豆に近いよう
です。

4.納豆の粘り・ねばねば

納豆の最大の特徴といえば「ネバネバ」と「香り」です。ネバネバは納豆菌が大豆のたんぱく質を分
解してできたグルタミン酸とフラクタンという物質からできており、グルタミン酸は昆布などに含ま
れるうま味の成分の一つです。香りは納豆菌が作り出すピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸、ジアセチル
などの化合物が主な成分です。

5.納豆の匂い

納豆のにおいは納豆菌が作りだすものです。納豆菌は大豆の成分を分解しながら増殖し、独特の粘り
やにおいを作り出します。においの主成分はピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸およびジアセチルです。
製造後も日が経つにつれて少しずつ発酵が進みますので、においは徐々に強くなります。

6.容器の秘密

納豆の発酵は、納豆菌を接種させた大豆を容器に詰めてから始まります。容器は保温性が高く、酸素
を取り入れるために底に凹凸や蓋に小さな穴があいているものが多く使われます。発酵室で温度管理
をしながら約20時間発酵させると、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移り、
冷蔵庫内に置いて発酵で増えた納豆菌を休眠させていきます。

7.納豆のネバネバは酢水で洗い流せる 

  スポンジを使って水洗いはNGです。スポンジの中にネバネバが入り込みます。「ネバネバ成分は
  水溶性のため、『ぬるま湯に1~2分漬けておいて、流水で洗い流す』、『漬ける時間がない場合
  は、そのままぬるま湯で流し洗いする』ことですぐに汚れを落とすことができます。また、酢が
  ネバネバ成分を切る役割をしますので、ネバネバが付いた容器に酢を入れて、水を加えて酢水に
  して、つけておくと洗いやすいです。
  ちなみに、手で洗うのにどうしても抵抗がある方の場合は、(ゴミが増えてしまいますが)キッ
  チンペーパーなどを使用して流水で洗うと良いと思います。

8.納豆に含まれる様々な栄養素や成分

納豆は日本の伝統食品の一つです。主な栄養成分は、たんぱく質、脂質、カルシウム、鉄など大豆とほ
ぼ同じ栄養を含んでいますが、脂質代謝に欠かせないビタミンB2を大豆に比べ多く含んでいるのが特徴
です。納豆特有の成分として特に注目されているのがナットウキナーゼです。これは大豆を納豆菌で発
酵させることによって生まれる酵素で大豆には含まれていません。ナットウキナーゼは血管のつまりの
原因である血栓を分解する作用があると言われています。ほかにも納豆菌が作り出す成分としてはビタ
ミンK2があります。ビタミンK2はカルシウムを体内に取り込むために無くてはならない栄養素です。
このように「大豆」にはない栄養素も含有する納豆は手軽に食事に取り入れる事ができる優れた食品な
のです。

<大豆が納豆になるまで>

納豆は大豆が発酵してできたもの。この発酵を促すのに欠かせないのが納豆菌です。高圧力の釜で蒸煮
されふっくら柔らかくなった大豆の表面に納豆菌を接種させます。これを熱いうちに容器に詰め、発酵
室の中で温度管理をしながら発酵させていきます。室温40度の発酵室でおおよそ20時間発酵させる過程
で、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移ります。冷蔵庫内に置いて、発酵で
増えた納豆菌を休眠させていきます。納豆の出来は、発酵から熟成までの温度管理にかかっているとい
っても過言ではありません。

<水戸納豆が有名になった理由>

(1)茨城県は、水戸藩の時代から台風による水害を防ぐために、早生大豆を栽培するようになりまし
   た。早生大豆は小粒で納豆に適していました
(2)明治時代に水戸駅が開業し、水戸納豆が駅のお土産として、少年たちが販売するようになり、一
   気に知名度が広がりました。

(3)茨城県は専業農家の比率が高く、農本主義が徹底していました。納豆は農家の主食や保存食とし
   て重宝されました

(4)茨城県の納豆は、パック納豆だけでなく、わらに包まれた「わらつと納豆」も生産されています。
   わらつと納豆は、稲わらの中で直接大豆を発酵させる伝統的な製法で、わらの香りが染み込んで
   うま味が強いのです

茨城県の納豆は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりが下支えとなり、有名になりました。農学者桜
井武雄氏によると、茨城県は専業農家の比率は60%と全国平均35%と比べて非常に高く、耕地面積が平
均1~2町歩という中監農家の率が高く、農産物では陸稲、サツマイモ、家畜はトリ、ブタが全国1、2位
など農本主義が徹底していたことも「水戸納豆」を有名とした下地となっていると分析されています。

<茨城県の納豆誕生秘話>

水戸藩は、那珂川の氾濫に備えて、台風が来る前に収穫できる早生(わせ)大豆づくりを奨励しました。
しかし、早生大豆は、台風の後に収穫する大豆に比べて粒が小さく、豆腐や味噌などの加工には向きま
せんでした。そこで、小さい大豆でもおいしく作れる加工品として注目したのが、清左右衛門の納豆づ
くりだったのです。県内では一般的だった小粒の納豆。明治時代に常磐線が開通し、旅行者から小粒な
納豆は米に絡みやすく、「豆がちっちゃくて、うまい!」と大評判に。お土産としても広まり、その名
が全国に知られるようになりました。

<茨城県の小粒大豆とは>

茨城県の小粒大豆の代表といえば、茨城県の育成品種「納豆小粒」(なっとうしょうりゅう)。茨城で生
産されていた小粒大豆から、納豆への加工に適した品種を選抜し、改良が重ねられ「納豆小粒」が誕生
しました。小粒で米に絡みやすく、糸引きが良く、独特の口当たりと風味豊かなのが特長です。

<水戸納豆ができるまで> (画像参照)

1.大豆の選別:原料の大豆を選別機にかけ、石などの異物や割れた大豆、形の悪い大豆を取り除きます。
2.洗浄:大豆の皮に付着している土や細かいゴミなどを洗浄します。
3.浸漬:大豆にきれいな水を吸わせます。気温や大豆の種類により浸漬時間を調整します。
4.蒸煮:豆を高圧の圧力釜で蒸しあげます。
5.納豆菌植菌:納豆菌を煮豆に噴霧して煮豆の表面に付着させます。雑菌の混入を防ぐために、煮豆の
        温度が70~90度くらいで植菌します。
6.発酵容器充填:発泡スチロール、紙カップ、などの発酵容器に移します。雑菌の混入を防ぐため、煮
         豆が熱いうちに充填を終わらせるよう注意します。
7.発酵:発酵室で16~24時間発酵させます。納豆のネバネバはここで生まれます。
8.熟成:発酵で増えた納豆菌を休眠させます。熟成は、通常5度以下の低温で行います。
9.包装・出荷:できた納豆を包装して出荷します。

  手間ひまをかけて、美味しい納豆が完成します。

<水戸納豆の紹介>

納豆といえば中粒以上が主流だった当時、「小粒で粘りが強く、風味豊かでご飯にからみやすい」水戸納豆
は旅行者達に大ヒットしました。水戸納豆には、老舗の「天狗納豆」や「総本舗水戸納豆」など、様々なメ
ーカーや商品があります。それぞれに独自の製法や味わいがあり、お土産にもおすすめです。

(1)水戸元祖 天狗納豆(天狗納豆株式会社)

①「極小粒わら納豆」:白髭の天狗が目印!創業明治43年の老舗の味。昔ながらの製法で作るわら納豆。
           わら納豆は、わらが納豆の水分を適度に吸収するため旨味が凝縮!粘りが強く、大
           豆に程よい歯ごたえがあります。

②「黒豆わら納豆」:黒豆特有の適度な歯ごたえと本格的な味わい。程よい歯ごたえのある黒豆のわら納豆。
          そのまま食べれば、黒豆特有の濃厚な風味と食感を味わえます。付属の「たれ」に
          「わさび」を添えると絶品の美味しさ!

(2)総本舗 水戸納豆(水戸納豆製造株式会社)

①「経木納豆」:経木(きょうぎ)とは、木材を薄くスライスしたもの。納豆を松の経木に包むことで自然
        な湿度を保ち、乾燥やべたつきを防ぎます。国産大豆を使い、昭和4年の創業以来変わらな
        い製法で作られています。

②「雪あかり」:宮城県産大豆ミヤギシロメを使用した白い納豆。名前の通り、豆の表面にうっすら霜が降
        りたような白い納豆。豆は通常の水戸納豆よりも少し大きめサイズで、食感の良さを楽し
        めます。

(3)だるま納豆(だるま食品株式会社)

①「わら納豆」:昔ながらのパッケージのわら納豆は茨城土産にぴったり。創業当時から販売しているわら
        納豆。極小粒大豆を使用した、本場水戸の「わらつと納豆」です。「わらつと」とは稲わ
        らを束ねて中にものを包むようにしたもののこと。わらの香りが納豆の風味をいっそう引
        き立てます。

②「だるま国産小粒」:大豆もタレも茨城県産。地元で愛される毎日のおいしさ。納豆の加工に適した品種
        として選抜・改良が重ねられた、小粒大豆「納豆小粒」を使用した納豆。地元茨城でも親
        しまれている納豆です。

(4)トーコーフーズ

①「豆殿」:希少な在来種の黒小粒大豆を使用した黒豆納豆。茨城県で100年続く納豆専門店が、試行錯誤の
      末に作り出したこだわりの納豆。素朴な甘みと旨みを味わえます。付属の「たれ」と「わさび」
      でそのままおいしく食べられます。

②「そぼろ納豆」:納豆と大根を秘伝のタレに漬け込んだ伝統の味。納豆と切り干し大根を合わせて醤油など
         に漬けこんだ「そぼろ納豆」は茨城県で昔から食べられてきた郷土料理です。素朴な風味
         とパリパリとした歯触りが癖になります。

納豆は、ご飯や味噌汁と一緒に食べるのが一般的ですが、他にも色々な食べ方があります。例えば、納豆をパ
スタやピザにトッピングしたり、納豆を使ったお菓子やドリンクなどもあります⁴。納豆は、自分の好みに合わ
せてアレンジして楽しむことができます。

是非、水戸納豆をご賞味あれ!

 

 

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茨城味自慢:県産のミニトマトはトップブランドの果実

2024-07-15 07:06:57 | 日記

茨城県は露地栽培とハウス栽培で、高品質でおいしいトマトを多品種栽培しています。この内、
ミニトマトの品種に関しては鉾田市が生産の中心で、JA茨城旭村トマト部会とJAほこたト
マト部会が中心となっています。春作と抑制作の2つの作型でほぼ通年で収穫し、年間300トン
以上を目指しています。露地栽培の旬は6月~8月の夏です。ミニトマトは高温多湿に弱いので、
あまり暑くない時期のほうが甘味や酸味が強くなります。そして、ハウス栽培での甘くておい
しい時期は夏から秋にかけてです。ミニトマトには赤や黄色、緑などの色や、丸いものや卵型、
イチゴ型などの形があります。品種によって味や糖度も異なりますが、一般的には糖度が高く
甘味が強いものが人気です。栽培に工夫を凝らしたフルーツトマトは、果物並みに糖度が高く、
8度~9度以上あります。露地もののミニトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動してい
きますから、時期に応じてその時の旬の産地のものを選ぶとおいしいですよ。例えば、冬春ト
マトは熊本県や愛知県、夏秋トマトは北海道や茨城県などが有名です。ミニトマトはビタミン
Cやリコピンなどの栄養素が豊富で、美容や健康にも効果があります。美味しく食べる方法と
しては、生のままサラダやお弁当に入れたり、加熱してパスタやスープなどに使ったりすると
良いです。今回は茨城県産のミニトマトの紹介です。

<ミニトマトと普通トマト(中玉・大玉)との関係>

トマトは、南アメリカのアンデス地方が原産で、小さくて酸っぱい果実でした。その後、ヨー
ロッパに伝わり、品種改良されて大きくて甘い果実になる中で、突然変異によって種とゼリー
の部分の部屋の数が増え、大きくなったものが出てきて、それが現在の普通トマトの元祖と考
えられています。つまり、普通トマトはミニトマトの品種改良品種ではなく、その過程で生ま
れた突然変異品種なのです。

<トマトの生産量ランキング>

1.国別の生産量:1位は中国 62,764,671t  (34.7%),  2位はインドで19,007,000t (10.5%)、
         3位はトルコで12,841,990t  (7.1%), 4位がアメリカ 10,858,990t  (6.0%)
         ・・・ 27位が日本で714,600t  (0.4%)  (2019年)

2.国内都道府県別の生産量:
  (1)トマトの全品種を含めた生産量:1位は熊本県で132,500t  (18.27%)、2位は北海道
         で65,200t(8.99%)、3位は愛知県で49,200t(6.78%)、4位が茨城県で
         47,600t (6.56%)、5位は千葉県で32,500t(4.48%)でした。(2021年)
  (2)ミニトマト品種の生産量:1位は熊本県33,000t  (22.8%)、2位は北海道14,700t、
        (10.2%)、3位は愛知県13,900t(9.6%)、4位は宮崎県10,200t、(7.0%)
         5位は茨城県6,650t、(4.6%)でした。

  茨城県のミニトマト生産の特徴は、露地栽培ものがハウス栽培ものよりも多いことでした 。

   2020年度の統計では、露地栽培面積は1,200ヘクタールで、収穫量は15,600t、一方、ハ
   ウス栽培面積は300ヘクタールで、収穫量は4,500tでした。しかし、2020年以降にオラン
   ダ式コンピューター制御のメガ工場が稼働しましたので、現在の露地栽培ものは半分ぐ
   らいになっていると思います。そして、生産量のランキングも上がっているでしょう。

<トマトの分類>

  トマトは日本だけでも、約340種類が品種登録されています。ここでは果実の大きさや用途
  による分類を記します。

  • 大玉トマト:重さが200g以上になる生食用の品種です。皮が薄く甘みがあるのが特徴です。
          品種には、桃太郎シリーズや王様トマトシリーズなどがあります。
  • 中玉トマト:重さが40〜60g程度の品種で、水分ストレスを与えて栽培すると、甘さと酸味
          のバランスが良くなります。品種には、フルティカや湘南ポモロンなど。
  • ミニトマト:重さが15〜20g程度の品種で、お弁当やサラダに使われます。赤、黄色や緑な
          ど様々な色の品種があります。品種に千果やアイコなどがあります。
  • 加工用トマト:果肉部が多く加工に向く品種で、トマトジュースやトマトケチャップに使わ
           れます。重さは80〜100g程度で、形は楕円形で細長いものが多いです。品種
           には、サンマルツァーノやシシリアンルージュなどがあります。
  • 台木用トマト:根の特性に特化して改良された品種で、果実を収穫するための品種ではあり
           ません。大玉、中玉、ミニトマトを穂木として接ぎ木をして利用します。接
           ぎ木をすることで、台木の根と穂木の果実の両方の特徴を引き出せます。

<ミニトマトの品種>

  ミニトマトの品種は、日本だけでも約200種類あると言われています。色や形、味や糖度など、
  さまざまな特徴があります。色系別の品種名と特性を記します。

1.赤系ミニトマト:
    ①アイコ:コクのある甘さで、糖度は9〜10度。リコピンが豊富に含まれています。
    ②プチぷよ:はじける食感で、糖度は9〜10度。果実が大きくて収穫量が多いです。

2.黄系ミニトマト:
    ①イエローアイコ:甘くて風味が良いで、糖度は9〜11度。カロテンが豊富です。
    ②イエローピコ:甘くて控えめな酸味があり、糖度は9〜11度。果実が小さくて丸い。

3.黒系ミニトマト:
   ①ブラックチェリー:甘くて濃厚な味、糖度は9〜10度。アントシアニンが豊富。
      ②インディゴローズ:甘酸っぱい味で、糖度は9〜10度。果実が黒紫色で美しい。

4.緑系ミニトマト:
   ①グリーンゼブラ:甘酸っぱい味、糖度は8〜10度。ビタミンB6やカリウムが豊富。
   ②カプリエメラルド:甘くて風味の良い味で、糖度は8〜10度。果実が小さくて丸い。

<露地栽培の春作と抑制作の違い>

  ミニトマトは一年中栽培できますが、春作と抑制作では栽培方法や収穫時期が異なります。
  春作とは、冬に種まきをして春に収穫する栽培方法です。抑制作とは、夏に種まきをして
  秋に収穫する栽培方法です。

(1)春作は、冬の低温期に種まきをするため、発芽に時間がかかりますが、春になると生育
   が早くなります。そのため、春作は発芽から収穫までは約4ヶ月です。気温の上昇に伴っ
   て生育が早くなるため、茎が細くなりやすく、支柱やネットなどの支持が必要です。
   また、日照時間が長くなるため、花が多くつきますが、果実の着果率が低くなります。
   そのため、収穫量が少なく、果実も小さくなりやすいです。

(2)抑制作は、夏の高温期に種まきをするため、発芽は早いですが、生育は遅くなります。
   秋には更に気温が下がり生育が遅くなります。そのため、抑制作は発芽から収穫までは
   約6ヶ月です。気温の下降に伴って生育が遅くなるため、茎が太くなりやすく、支持があ
   まり必要ありません。また、日照時間が短くなるため、花が少なくつきますが、果実の着
   果率が高くなります。そのため、抑制作は収穫量が多く、果実の大きさも大きくなりやす
   いです。

<露地栽培とハウス栽培の比較>

1.農林水産省によると、2022年度の国内生産量は約10万トンで、そのうち約9割がハウス栽
  培でした。ハウス栽培は一年中収穫できるし、収量も高く、品質も安定しているため、ミ
  ニトマトの主流な栽培方法となっています。茨城県もハウス栽培のメガ工場が稼働しまし
  たので、ハウス栽培のミニトマトが多くなってきました。

2.ハウス栽培の平均収量は、1平方メートルあたり約10Kgです。露地栽培の平均収量は、1平
  方メートルあたり約3Kgです。ハウスの方が3倍以上収穫量は多いです。

3.収穫されたハウス栽培のミニトマトの平均単価は、1Kgあたり約300円で、露地栽培のミニ
  トマトの平均単価は1Kgあたり約200円です。当然ですけど露地栽培の方が安価で栽培でき
  ますが、栽培期間は春から秋と制約されます。

以上のことから、ハウス栽培のミニトマトは露地栽培よりも、収量は多いが、しかし、単価は
高いことがわかります。運転コストが高いのですね。

<ミニトマトの豆知識>

1.トマトの普及
   ミニトマトは南アメリカのアンデス地方が原産地です。コロンブスがヨーロッパに持ち帰
   ったとされます。日本には江戸時代に観賞用として入ってきましたが、食用での普及は昭
   和50年代後半ごろからです。その見た目のかわいらしさと美味しさから人気を集め、全国
   に普及するようになりました。

2.ミニトマトは、プチトマトとも呼ばれますが、正式にはミニトマトが正しい名前です。プチ
   トマトというのは、家庭菜園でミニトマトを栽培できる種の商品名です。

3.ミニトマトと普通のトマトではどちらが栄養価は高いか?
   ミニトマトです。普通のトマトは皮が柔らかく完熟で収穫すると崩れてしまうので完熟よ
   り手前で収穫します。ミニトマトは皮が固く完熟でも収穫出来るので、しっかり栄養を蓄
   えた状態で収穫します。具体的には、トマト(大玉)に対するミニトマトの栄養価はリコ
   ピンが約3倍、ビタミンCが約3倍、βカロテンが約1.7倍、食物繊維が約1.4倍含まれています。

4.栄養価と効能
   ①ビタミンC:風邪の予防や疲労回復に効果的です。ミニトマト10個で1日に必要なビタミ
          ンCの約半分を摂ることができます。
   ②リコピン:赤色の色素で、強力な抗酸化作用があります。シミやシワの予防や、生活習
         慣病のリスクを低減する効果が期待できます。
   ③クエン酸:糖質や脂質の代謝を助ける作用があります。エネルギーを生成し、疲労を回
         復する効果が期待できます。野菜類の中で含有量がトップクラスです。
   ④モリブデン:血液を作る効果があります。鉄分の働きを促進し、貧血の予防に役立ちま
          す。ミニトマト10個で1日に必要なモリブデンの約3割を摂れる。
   ⑤カリウム:余分な塩分を排出する効果があります。高血圧やむくみの予防に役立ちます。
         ミニトマト10個で1日に必要なカリウムの約2割を摂れる。
   ⑥葉酸:赤血球やDNAの合成に必要な栄養素です。妊娠中の女性にとって特に重要です。
       ミニトマト10個で1日に必要な葉酸の約2割を摂ることができます。

   ミニトマトは生で食べると美味しいですが、加熱するとリコピンの吸収率が上がります。
   一方で、ミニトマトは体を冷やす食材とされています。冷え性の方は食べ過ぎに注意です。

5.フルーツトマト
   ミニトマトの中に、フルーツトマトと呼ばれるものもあります。これは、水や肥料を抑え
   たり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマトで、糖度は8度
   から9度以上と果物並みの高さがあります。フルーツトマトは、ブランド化されているもの
   も多く、高級品として人気があります。

6. 新鮮でおいしいミニトマトの見分け方
   鮮度はヘタと実の表面の状態を見ます。ヘタが濃い緑色をしていて萎れがなく、実の表面
   にハリとツヤがあるものが新鮮なトマトです。美味しいトマトはずっしりと重みがあり、
   おしりの部分から放射線状に線が伸びている「スターマーク」のあるトマトが美味しいと
   いわれています。

7.色と栄養素
  ①赤色:天然色素「リコピン」の色です。抗酸化作用があります。
  ②緑色:クロロフィルの色です。美顔効果、デトックス効果がある成分です。
  ③黄色:ルチンの色です。毛細血管を強く丈夫にする作用があります。
  ④オレンジ:βカロテンが豊富。体内でビタミンAに変換されます。

8.10月10日はトマトの日
   トマトの栄養価値や美味しさをアピールし、トマトを使った料理の普及をはかり人々の健康増
   進に貢献することを目的に一般社団法人全国トマト工業会が2005年に制定した日です。10月
   は食生活改善普及月間であり「体育の日」もあって健康への関心が高まる月です。10と10
   で「トマト」と読む語呂合わせもあり、この日を記念日としました。

9.トマトに花言葉ってあるの?
   トマトの花の花言葉は「感謝」です。トマトをひとつ食べるだけで、さまざまな嬉しい効果・
   効能が期待されることから、「感謝」という花言葉になったようです。

10.トマトが料理を美味しくする理由
    トマトには旨味成分である「グルタミン酸」が含まれており、一緒に料理する食材の旨味を
    引き出します。さらにクエン酸等のトマトの酸味が肉や魚の臭みを消してくれる効果がある
    ためです。

11.トマトの保存方法

  • 常温で保存する:冷蔵庫で保存すると味が落ちる可能性がありますので、日陰で涼しい場所に
    置いて保存します。へたを下にして、一枚ずつ新聞紙などに包んで、重ならないように並べま
    す。この方法で約1週間は保存可能です。
  • 水に浸けて保存する:水に浸けると鮮度が保たれるという特徴があります。水に浸ける場合は、
    へたを取り除いて、水を替えないことがポイントです。水に浸けたミニトマトは、冷蔵庫で保
    存します。この方法であれば、約2週間は保存できます。

<県内で生産されているミニトマトの品種>
  茨城県で生産されている品種は、茨城県農業総合センター園芸研究所や常磐興産などの研究や
  開発によって生まれたものが多いです。

  • あまエル:JAほこたの部会独自のブランドで、営農指導員が畑での糖度検査と味の確認を受け
         てから出荷されるこだわりぶりです。甘くてL(エル)サイズが名前の由来で、糖度
         は約9度。ジュースやドレッシングなどの加工品も販売されています。
  • キストマト:JAなめがたしおさいが手がける、初恋の味がするミニトマトです。糖度は約10度
          で、色の種類も多く、果実は小ぶりで可愛らしいです。
  • 夏娘(なつっこ)トマト:丸種(株)の開発品種です。ナツメのような楕円形で、甘酸っぱい
          味が特徴です。糖度は約8度で、ミニトマトの中では大きめのサイズで、食べ応え
          があります。

<茨城県に日本最大級のミニトマト生産施設が稼働しました>
  メガ工場での栽培は水に栄養素を溶かし、根を浸す「水耕栽培」ではありません。コンピューター
  制御のテクノロジーを使った新しい栽培方法です。

 1.「たねまき常総」は、茨城県常総市内に日本最大級、約7ヘクタールのミニトマト生産拠点を完
    工しました。2023年2月に完工した大規模なミニトマトの生産拠点は、「オランダ・ボスマン
    社製の最先端ハウス」、「環境に配慮したトリジェネレーションシステム」、「1日約5トンの
    選果能力を誇る先進的な選果設備」の3つを導入した次世代型の園芸施設です。他にも最先端
    の環境制御システムを導入し、コンピューターによって、気温や湿度、CO2濃度などミニトマ
    トの栽培に必要な環境を24時間コントロールするのが特長で、年間約1000トンの収量が目標で
    す。現在150人ほどが働いているそうです。

2.「常磐興産」は、茨城県北茨城市にミニトマトの大規模農業施設を完成させました。温泉リゾート
   施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する同社は、石炭を採掘していた常磐炭鉱の跡地を活
   用しています。ITを活用したスマート農業で「赤いダイヤ(ミニトマト)」の生産に挑んでおり、
   面積約1万8000平方メートルのハウスで栽培・収穫しています。化石化した天然サンゴ砂を培地
   に使い、糖度と収穫量のアップを狙っています。年間300トンの生産を目指しており、2021年11
   月9日から出荷を開始しました。

<茨城県生産のミニトマトの特徴>

  茨城県のミニトマト生産量では全国5位ですが、ミニトマトの生産品種は多い県なのです。そして、
  生産量も平成30年度の統計では、ミニトマトの生産量は「約3万t」で、全国の約3割を占め、第1位
  だったのです。それだけ盛んでしたから、品種改良の技術も確かで、独自ブランドで「甘さ」「酸
  味」、「旨味」、「香り」、「食感」などの特徴が高められています。特に、「糖度」が高く、
  「果皮」が薄く、「果肉」がやわらかいのが特徴です。それだけではありません。茨城県のミニト
  マトは、「赤色」、「黄色」、「オレンジ色」、「ピンク色」などの色彩豊かなものがあります。
  また、「丸型」「ハート型」、「プチプチ型」などの形も様々です。

茨城県産のミニトマトはトップブランドの果実、是非ご賞味あれ!

 

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