ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城郷土料理自慢:5回目は「番外編」

2024-11-18 06:54:01 | 日記

 

農林水産省が次世代に継承したい「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」として
各都道府県から約30品目が選抜され、全国計1,365品目がデータベース化されて紹介されま
した。茨城県からは30品目が選抜されています。この30品目をこれまでに県内5地域(県北、
県央、県南、県西、鹿行)に分類して紹介してきましたが、茨城県の郷土料理がこの30品目
で収まるはずもなく、選抜漏れした郷土料理が各地区にまだまだ多くあります。
今回は「番外編」として、この選抜漏れした中から、私見で選りすぐりの郷土料理を紹介し
ます。

 

1.古河の鮒甘露煮

  古河市の名産品・鮒甘露煮は文化庁主催「2023年度「100年フード」に認定された逸品
  です。県内食品の認定は4件目で「伝統部門~江戸時代から続く郷土の料理」の部門から
  は初です。100年フードは、世代を超えて地域で受け継がれてきた食文化の継承を目的に、
  文化庁が2021年度から公募で認定しています。県内では「ほしいも」「牛久ワイン」
  「栗菓子文化」が認定されています。「ほしいも」は農林水産省の選抜30品目にも入っ
  ていますが、この「鮒甘露煮」は選抜から漏れました。なぜなのでしょうね!
  古河は江戸時代日光街道の宿場町で、現在の渡良瀬遊水地で捕れた鮒を煮付けにしてい
  ましたが、そこから加工して旅人をもてなすように工夫したのが甘露煮の起源とされて
  います。一度素焼きしてから煮詰める伝統的な製法で骨まで柔らかいのが特徴です。加
  盟店文化庁認定のロゴマーク包装紙や100歳を超えた市民に贈呈するなどのPR活動をし
  ています。是非、ご賞味あれ!

2.アンコウ鍋

  あんこう料理として「あんこうの共酢和え」が選抜されました。でもあんこう料理には
  他に、「あんこう鍋」「あんこうどぶ汁」「あん肝」など多様な料理があります。共酢
  和えは共酢(あんこうの肝を合わせた酢味噌。肝のことを「とも」ともいうことが由来)
  につけて食べる料理ですが、どぶ汁はあんこうと野菜から出る水分だけで煮込む、野趣
  溢れる濃厚な風味の料理です。そして、あん肝は蒸した肝を、さっぱりとしたポン酢で
  食べます。ここで紹介したいのはアンコウ鍋です。どぶ汁がベースになっているため、
  北茨城市のあんこう鍋は味噌仕立てです。どぶ汁同様のあん肝が溶け込んだ濃厚なスー
  プ、あんこうの七つ道具、そして季節の野菜や豆腐などもふんだんに入った鍋で、各地
  の鍋グランプリで金賞を受賞するなど、全国に認められている逸品です。他の地方では
  塩や醤油ベースのあんこう鍋もあります。「東のあんこう、西のふぐ」と並び称される
  美味食材「あんこう」。茨城県内各地で底びき網漁船によって漁獲されており、特に平
  潟、大津、久慈、那珂湊漁港で多く水揚げされています。常磐沖で獲れるあんこうは
  「常磐もの」として市場で高い評価を受けています。7月から8月の禁漁期を除いて一年
  中水揚げされ、一番の旬は水温が下がって肝が肥大化する冬場の11月から3月頃。肥大
  化した肝には脂がのって、味わいも深まります。今では「大洗のあんこう鍋」は多くの
  人が知る郷土料理として定着しており、これも選んで頂きたかったな。

3.奥久慈の「しゃも料理」

  奥久慈しゃもには「育ちのよさは味に出る」という言葉がしっくりきます。奥久慈大子
  町の大自然の中、穀物や青菜などを与えられ、充分な運動をしつつ、悠々と育つのです。
  ブロイラーは飼育期間約50日前後で3キログラムまで成長。一方、奥久慈しゃもは、オ
  スの場合、120日で2.6キログラム、メスにいたっては150日で2.1キログラム程度なので
  す。 地鶏と呼ばれるものは、全国に百種類以上いますが、ブロイラーとのかけ合わせが
  ほとんど。しかも飼育期間も大抵80日以内で100日を超えるものは奥久慈しゃもや比内
  鶏など数えるほどしかいません。 もともと、しゃもは、気性が荒く、群れで飼うのは難
  しい種ですが、肉、卵ともに味が優れていることから、茨城県養鶏試験場が改良して、
  奥久慈しゃもが誕生しました。肉質は低脂肪で歯ごたえ抜群。ブロイラーの水っぽい弾
  力のない肉と違い、締りがあり、深い味わいが特徴です。奥久慈しゃもは、名古屋コー
  チンやロードアイランドレッドとの交配によって生まれた品種で、肉質が緻密でしっか
  りとしており、ジューシーで香りが良いのが特徴です。また、脂肪分が少なく、歯ごた
  えがあるため、非常に高い評価を受けています。奥久慈地域は自然豊かで、寒暖の差が
  大きい気候がしゃもの飼育に適しています。茨城県ではしゃも鍋やしゃも焼き、親子丼
  など、さまざまなしゃも料理が楽しめます。特にしゃも鍋は、しゃもの旨味を最大限に
  引き出す料理として人気があります。選抜してほしい逸品です。

4.常陸牛のステーキ

  常陸牛の歴史は、天保3年(1832年)にまで遡ります。江戸時代末期の水戸藩主徳川斉昭
  は、牛馬を放牧するために「桜野牧」を作りました。「桜野牧」で飼われていた黒牛が、
  常陸牛のはじまりと言われているのです。そして、時代を重ねて、昭和51年7月に茨城
  県産牛銘柄確立推進協議会が発足し、本県の優秀な黒毛和種を『常陸牛』と命名、昭和52
  年には現在の茨城県常陸牛振興協会が設立されました。この協会は「常陸牛」に定義を定
  めました。

  定義:「常陸牛とは,指定生産者が茨城県内で最も長く飼育した黒毛和牛の内,(社)日本
     食肉格付協会の枝肉取引規格が歩留A等級又はB等級かつ肉質等級が5等級と4等級
     のもので,茨城県常陸牛振興協会が認定したものとする」

  常陸牛は、厳選された飼料と飼育環境で約30ヶ月間丁寧に育てられた黒毛和種です。肉質等
  級がA・Bの4と5等級にランク付けされており、脂肪と筋繊維がバランス良く混ざった極上の
  霜降り肉が特徴です。そして食感としては柔らかさと風味が自慢です。特に雌牛の肉質が柔
  らかく、口の中でとろけるような食感とジューシーで甘みのある味わいが評価されています。
  これらの要素が組み合わさり、常陸牛のステーキは高い評価を受け、全国的に有名になって
  います。選抜されなかった理由が分からない。

5.納豆餅

  納豆餅は、茨城県以外でも岩手県、山形県、新潟県、京都府などで食べられている納豆を用い
  た餅料理です。どの地域でも正月の祝い料理や地域の人々が集まる祝いの場でふるまわれるこ
  とが多いです。納豆餅の作り方は地域によって異なりますが、茨城県では、「餅に納豆を絡め
  て食べる」のが一般的です。納豆は、年末に作られ、正月に食べる風習が残っている地域もあ
  ります。納豆餅が生まれた背景には、納豆の保存性と栄養価の高さが関係しています。納豆は
  発酵食品であり、保存がきくため、冬の間の貴重なタンパク源として利用されてきました。
  また、餅も保存がきくため、これらを組み合わせた納豆餅は、冬の間の栄養補給に適した料理
  として発展してきました。納豆餅は、地域ごとに異なる風味や作り方があり、茨城県の食文化
  を象徴する逸品です。茨城県だけの品目ではないのですが、選ばれてもいいと思うのです。

6.しらす丼

  茨城県沖は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場であり、プランクトンが豊富なため、しらすの漁獲
  量が多いです。「しらす」は主に「カタクチイワシ」や「マイワシ」などイワシ類の稚魚です。
  育つにしたがって、鱗ができて、イワシの形に変わっていきます。獲れた時は半透明なのに茹
  でると白くなるから白子(しらす)と言われています。茨城県では好漁場から、新鮮なしらす
  が手に入りやすく、地元の食材として親しまれています。茨城県では、漁師たちが自信を持っ
  て一網で獲ったしらすを低温で維持管理し、新鮮な状態で水揚げしています。このような漁業
  の伝統が、しらす丼の普及に寄与しています。特に、茨城県大洗町の名物「生シラス」は、す
  ぐに鮮度が劣化し、漁当日に食べなければならない産地ならでは味わいです。大洗ではごはん
  の上に生しらすをたっぷりと山のように乗せた「生しらす丼」の形で提供されていることが多
  いです。茨城県の漁港や市場では、新鮮なしらすを使った料理が観光客に人気です。
  これも選んでほしかったです。

今回は農林水産省が次世代に継承したい「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」で、選
抜漏れした郷土料理の中からその一部を紹介しました。まだまだオラが茨城県には隠れた郷土料理
がいっぱいあります。これからは私の知らない郷土料理を掘り起こして、6品目程度にまとまった
ら紹介します。

茨城県に遊びに来た時は是非ご賞味あれ!

 

 

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茨城郷土料理自慢:4回目は「県西地区・鹿行地区の郷土料理編」

2024-11-04 07:21:47 | 日記

 

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、登録申請した内容が評価されたということです。
その内容は「一つ目は日本人が抱く自然を尊重した精神を体現した食であり、二つ目は特定の調理法
や具体的なメニューがあるわけではなく、和食全体を巡る日本の文化」となっています。
和食には4つの特長があって、

1.多彩で新鮮な食材とその持ち味の尊重:海、山、里と多様な食材と、素材の味わいを活かす調理
     技術や調理道具も発達している。
2.栄養バランスに優れた県好意的な食生活:一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な
  栄養バランス、「うま味」を生かした動物性油脂の少ない食生活。
3.自然の美しさや季節の移ろい表現:食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現する。季節
  の花や葉などで料理を飾りつけ、季節に合った調度品や器を利用する。
4.正月などの年中行事と密接な関わり:自然の恵みである「食」を分け合い、家族や地域の絆を深
  めている。

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等により
   他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、歴史的
   に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の提供が
   あるか

   ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
   ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺身こん
        にゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」「赤餅」
        (9品目)
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ納豆」
       「かぼちゃのいとこ煮」(6品目)

3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉れんこん」
       「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」「れんこんの
        きんぴら」(8品目)

4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いもがらの
        炒め煮/いもがらの五目煮」(5品目)

茨城県は30品目が紹介されています。茨城県の食文化は、地域ごとの気候風土にあわせて、多様な進
化を遂げてきました。茨城県は地域的特徴に分けると、県北地区、県央地区、県南地区、県西地区、
鹿行地区(ろっこうちく)の5つに大別されています。今回は第4回目で最終回です。この5地区を代
表する郷土料理について公表されているデータベースの記述を横に置きながら、取り上げられた郷土
料理は納得できるものなのかどうか、私見で評価してみたいと思います。
最終回は「県西地区・鹿行地区の郷土料理編」です。

1.県西地区の代表として取り上げられた郷土料理

  <茨城県西地区とはどんなところか>

  筑波山の西側に続く広大な平野部。中央を鬼怒川が流れ、肥沃な土地と豊富な水資源に恵まれた県
  内有数の農業地帯でもあります。観光資源としては、国の重要伝統的建造物群保存地区になってい
  る真壁の町並みやひなまつりをはじめ、ユネスコ無形文化遺産にも登録された結城紬や結城の街の
  見世蔵、日光街道の宿場町として栄えた古河宿など、古き良き町並みを活用したものが目立ちます。
  また、国の名勝に指定されている磯部桜川公園の山桜やユネスコ「メリナ・メルクーリ国際賞」を
  受賞した古河公方公園(古河総合公園)のピンク色に染まる桃林など美しい景勝地も見どころの一つ
  です。交通手段としては、JR水戸線、JR宇都宮線、関東鉄道常総線の沿線では公共交通機関の利用
  が可能ですが、その他の地域は自動車での移動がおすすめです。

<県西地区の郷土料理>

  県西地区から登録されたのは「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」の2品目
  だけです。なぜなのでしょうかね。

(1)しもつかれ/すみつかれ

   独特の風味や見た目から、非常に好みが分かれる郷土料理ですが、ていねいに下ごしらえをして
   生臭さをおさえ、食べやすくする工夫がなされています。今でも近所で「しもつかれ」をやりと
   りする地域があります。大鍋で大量につくるからこそ味が出る料理といわれ、家庭ごとの味があ
   ります。「しもつかれ」は、正月の残りのサケの頭に、節分でまいた豆の残り、そして根菜など
   を酒粕で煮こんだ県の西部地域に伝わる郷土料理です。正月からの残り物を大事に使い、また、
   冬場の栄養摂取や保存性に優れた先人の知恵がつまった料理といえます。「鬼おろし」と呼ばれ
   る竹製の鋭利な刃がついたおろし器で粗くすり下ろした大根と人参、短冊切りにした油揚げを、
   大豆およびサケの頭とともに、酒粕、だし汁で煮こんでいく。鬼おろしは、竹製のため素材に熱
   が伝わりづらく、さらに一般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、野菜の余分な水分
   が出ず、食べるときにしっかり食感を感じることができます。サケの頭がない場合は、サケの切
   り身でもよく、食べ方もさまざまで、ごはんにかけたり、茶請けとしても食べます。また酒の肴
   として、こたつに入りながら凍った「しもつかれ」を熱燗と一緒に楽しむ地域もあり、先人の知
   恵が詰まった料理なので登録に納得です。

(2)すだれ麩(ふ)のごま酢和え

   茨城県結城市でつくられている郷土料理です。結城市がある西部地域は、1年を通じて晴天の日が
   多く、また利根川や鬼怒川の恩恵を受け、古くから農耕が盛んであり、米や麦、大豆、そばなどさ
   まざまな食材がつくられています。結城城があった北部は、城下町として栄え、寺院なども多く建
   てられました。そこで食べられる精進料理に使われた食材の一つが、すだれ麩です。小麦の保存も
   兼ねてつくられたといい、江戸時代後期にはすでに食べられており、当時の貴重な食材であったと
   いう。他の県にもすだれ麩はありますが、結城市のすだれ麩は、小麦粉から取り出したグルテンに、
   再び小麦粉を加えてよく練ったものを薄くのばして全体に塩をまぶします。それをゆでた後、竹で
   つくったすだれに広げて天日干しにします。保存性が高い麩としては焼き麩があるが、結城市のす
   だれ麩は、生麩に塩をまぶし、加熱して乾燥させることでより高い保存性を実現しています。全て
   手づくりでつくられており、現在でもその生産量は限られたものであることから、結城市のみで食
   べられているそうで、煮物やお吸い物などにも使われるようです。

 

2.鹿行地区の代表として取り上げられた郷土料理

<茨城鹿行地区とはどんなところか>

  茨城県の鹿行(ろっこう)地区は、県の南東部に位置し、鹿島郡の「鹿」と行方郡の「行」から名付
  けられました。この地域は、太平洋(鹿島灘)と霞ヶ浦に挟まれた場所で、水郷筑波国定公園の一部
  として美しい自然環境に恵まれています。この地域は、農業が盛んで特にメロンの生産が有名です。
  また、鹿島臨海工業地帯があり、鉄鋼や石油化学などの産業も発展しています。観光地としては、鹿
  島神宮や霞ヶ浦、北浦などがあり、サーフィンや釣りなどのレジャーも楽しめます。さらに、Jリーグ
  の鹿島アントラーズのホームタウンでもあり、サッカーが盛んな地域です。

<鹿行地区の郷土料理>

  登録されたのは5品目です。この地域は、霞ヶ浦や北浦、太平洋に囲まれた豊かな自然環境に恵まれて
  おり、特産品や郷土料理が豊富ですので登録された品目も多いです。

(1)はまぐりごはん

   茨城県大洗岬から千葉県犬吠埼にいたる海域の鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる潮目であるため、豊
   富な海の幸に恵まれます。鹿島灘の砂地が続く沿岸部では春ごろになると、産卵前の大ぶりなハマグ
   リがとれます。時に10cmを超えるハマグリがとれ、市場では「鹿島灘はまぐり」の名前で高値で取引
   されています。今でこそ希少となったハマグリですが、昔は大洗や鹿行地域の沿岸部でよく採られて
   いたため、茨城県では身近な食材でした。とれたハマグリを新鮮なまま刺身や網焼きで味わうものか
   ら、味噌汁に入れたり、酒蒸しにするなど、さまざまな調理方法で親しまれてきたのです。「はまぐ
   りごはん」もはまぐり料理の定番料理として、家庭でもよく食べられてきました。作り方はハマグリ
   を食べやすい大きさに切り、千切りにした人参、しいたけとともに油で手早く炒め味付けをします。
   炒めすぎると身がかたくなりすぎてしまうので注意が必要。米に炒めた時に残った煮汁と水を入れて
   炊き上げ、最後に具を混ぜ込んでいただく。ハマグリのぷりぷりとした食感と、旨味を存分に味わえ
   ます。大好物で個人的理由から登録に納得です。

(2)ござい漬け

   茨城県大洗から千葉県犬吠埼の間で広がる鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場。戦前戦後の昭和
   時代は、秋になるとイワシが大量に獲れ、家々に配られました。たくさん獲れるイワシを11月ごろか
   ら塩漬けにし、発酵してきたところで大根と一緒に漬け込んだ「ごさい漬け」は冬の郷土料理として
   長く愛されており、庶民の重要なタンパク源でもあったのです。かつては家庭ごとの味があり、盛ん
   につくられていましたが、近年では、その手間の多さや温暖化で昔ながらの製法ではできない等の理
   由から、ごさい漬けを作る家庭も減ってきています。また、いわしの水揚げの減少と、形が崩れて見
   栄えが悪くなることから、現在はサンマで作られるようになりました。作り方はサンマの頭と腹わた
   をとり、腹を何度も流水中で洗い、しっかり血と脂を洗い流したら、4等分から5等分にぶつ切りにす
   る。2週間から1ヶ月、塩をまぶして樽に漬け込み、その後、そのサンマを再び水で洗い、血と脂を流
   す。一口大の半月切りにした大根とサンマ、赤唐辛子、柚子の果汁と皮、塩の順に繰り返し入れて漬
   けます。冷暗所もしくは冷蔵庫で保存をし、途中水をとり除きながら、2週間後に食べられるようにな
   ります。そのままでも食べられますが、完成した「ござい漬け」を一度水で洗って塩気を抜き、醤油
   を少量たらして食べるのも好まれているという。手間のかかる料理が今日まで伝承されてきました。
   登録に納得です。

(3)海藻よせ

   海藻よせは、茨城県鹿嶋から千葉県・銚子に至る鹿島灘沿岸で食べられている郷土料理です。鹿島灘は、
   親潮と黒潮がぶつかる潮目であるため、さまざまな海の幸に恵まれていて、日本一の水揚げ量を誇る銚
   子港では、魚のほかにも海藻も豊富にとれます。その中の一つが、「海藻よせ」のメイン食材となる、
   コトジツノマタやツノマタです。コトジツノマタは、潮間帯の岩上に付着する、高さ20cm程度の海藻で、
   規則正しく、二又に分枝しながら成長していく。その枝のかたちが琴の弦を支える琴柱に似ていること
   から、この名がついたといわれます。火にかけるととろみが出て、冷ますと凝固する特性を生かし、古
   くは石けんや接着剤として使われていたという。年末になると、銚子から商人が正月用にコトジツノマ
   タを売りにきたことから、おせち料理に「海藻よせ」がつくられるようになったそうです。作り方は、
   コトジツノマタをしっかり洗って汚れを落とした後、沸騰したお湯に入れ、とろみが出るまで煮る。と
   ろみが出てきたら、型に流し、冷やしてかたまったら食べやすい大きさにカットしていただく。磯の香
   りを存分に楽しめるさっぱりとした味わいなので、醤油に加えて、カツオ節やねぎ、唐辛子をのせて食
   べます。また、「海藻よせ」のアレンジとして、細かく刻んだ人参やごぼうを一緒にかためることで、
   食べた時の風味や食感の違いを楽しむこともできます。地元の環境に合わせた郷土料理で登録に納得です。

(4)みつめのぼたもち

   みつめのぼたもちとは、第1子の赤ちゃんが生まれて3日後に食べる大きなぼたもちのことをいうそうです。
   かつて、食糧を満足に得ることが難しかった時代、子育てのために栄養が必要な出産直後の母親のために、
   栄養豊富なもち米や小豆を使った大きなぼたもちを食べさせたことがはじまりだという説があります。滋
   養食代わりにしっかり食べ、出産の疲労回復や母乳がよく出ますようにという想いが込められているほか、
   親戚や近所に赤ちゃんが生まれたことを知らせる意味もあり、重箱に詰めたものを挨拶しながら配って回
   る習わしがあったといわれています。江戸時代には多くの地域でこの風習があったとされますが、現在で
   は茨城県(鹿嶋市、神栖市、水戸市など)のほか、千葉県(銚子市、市原市など)や神奈川県、愛知県などの一
   部の地域に限られています。最近では家庭ではつくらなくなり、和菓子店での購入や、ネット注文するこ
   とが多いそうです。食べ方は、もち米、うるち米を炊き上げて蒸らした後、重箱につぶさず、丸めず、そ
   のまま敷き詰め、上からあんこをのせる。食べるときは、食べやすい大きさにカットする。重箱に入れず、
   一般的なサイズよりも大きなぼたもちを3つ用意することもあります。「みつめのぼたもち」は、とにかく
   “大きい”ことが重要で、米どころの茨城県らしい郷土料理なので納得です。

(5)いもがらの炒め煮/いもがらの五目煮

   いもがらは、里芋などの葉柄の芋茎と呼ばれる部分を乾燥させたもの。呼び名は各県によってさまざまあり、
   芋茎のことを「ずいき」と呼ぶことから、「ほしずいき」と呼ばれたり、または「割菜(わりな)」とも呼
   ぶ地域もあります。いもがらは乾燥もののため、保存食としてつくられており、通年の常備菜にも活用され
   てきました。茨城県は、古来より農業が営まれ、昔からさまざまな野菜が収穫されてきました。そうしたな
   か、豊富にとれる野菜を飽きずに美味しく食べるため、多くの料理のバリエーションや「いもがら」や「凍
   みこんにゃく」、「干しいも」などの長持ちさせるための保存食が多くあります。いもがらは料理に使うと
   きには水で戻してから使います。乾燥したいもがらは水で戻すとふっくらとした食感になり味が良く染み、
   煮物やきんぴら、酢の物などに良く合います。人参、れんこん、こんにゃく、油揚げと合わせて、たっぷり
   の煮汁で時間をかけて煮ることで、材料に味が染み込み美味しくいただけます。いもがらは味はないが、煮
   物や味噌汁などに入れることによって味が染みこみ美味しくなるので、さまざまな料理に合わせることがで
   きます。また、食物繊維が豊富で、食べるとシャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。
   これも登録に納得ですね。

次世代に大切に伝えたい「うちの郷土料理」の茨城県版に登録された30品目の品目とその内容を紹介してきました。
これでこのシリーズの紹介を終了しますが、私には今回の選抜に漏れた品目の中に「この料理も茨城県の郷土料理
だ!」と自信を持って言える品目があります。選抜に漏れた理由は分かりませんが、私個人が推薦する「追加の茨
城県の郷土料理5品目」を次回に5回目として紹介します。私が今は知らない郷土料理がまだまだあると思います
よ。調べてまとまったら、更に追加で紹介しましょう。

機会があれば茨城県の郷土料理を是非ご賞味あれ!

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茨城郷土料理自慢:3回目は「県南地区の郷土料理編」

2024-10-14 06:56:00 | 日記

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、登録申請した内容が評価されたという
ことですよね。その内容は「一つ目は日本人が抱く自然を尊重した精神を体現した食であり、
二つ目は特定の調理法や具体的なメニューがあるわけではなく、和食全体を巡る日本の文化」
となっています。和食には4つの特長があって、

1.多彩で新鮮な食材とその持ち味の尊重:海、山、里と多様な食材と、素材の味わいを活
  かす調理技術や調理道具も発達している。

2.栄養バランスに優れた県好意的な食生活:一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは
  理想的な栄養バランス、「うま味」を生かした動物性油脂の少ない食生活。

3.自然の美しさや季節の移ろい表現:食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現す
  る。季節の花や葉などで料理を飾りつけ、季節に合った調度品や器を利用する。

4.正月などの年中行事と密接な関わり:自然の恵みである「食」を分け合い、家族や地域
  の絆を深めている。

農林水産省では、2023年でユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎える中、第4次食
育推進基本計画(令和3年3月食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化を次
世代に継承していくための活動に力を注いでいます。

その活動の中の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固有
の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理~次
世代に伝えたい大切な味~」を令和元年に開設しました。そして、毎年都道府県別に郷土料
理として認定した品目をデータベース化して発信してきました。そして、令和4年に20都府
県579品の追加掲載をしました。これにより掲載品目数は1,365となり、全47都道府県の郷土
料理が勢ぞろいしました。各地域で選定された郷土料理のいわれや歴史、そしてレシピ等に
とどまらず、郷土料理を生んだ地域の背景等についてもデータベース化して広く情報発信を
しています。「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業での商品化、郷土料
理の調査などに是非、ご活用ください」と言うのが狙いです。このデータベースを覗いてみ
ましたが、各地域の郷土料理がかなり広い視点で捉えられており、読み物としても大変面白
いです。各都道府県から30品目前後が選抜されて登録されています。茨城県では30品目が登
録されました。
今回はこの選定が納得できるものなのかどうか、私見で納得度の評価してみたいと思います。
今回は3回目で「県南地区の郷土料理編」で8品目です。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等
   により他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。

(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある

(3)家庭・地域で作られ、継承されている

(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、
   歴史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある

(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか

(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである

(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の
   提供があるか

 

※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。

    ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

 

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺
        身こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」
       「赤餅」 (9品目)

2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ
        納豆」「かぼちゃのいとこ煮」 (6品目)

3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉れん
        こん」「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」
       「れんこんのきんぴら」 (8品目)

4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)

5,鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いも
        がらの炒め煮/いもがらの五目煮」 (5品目)

 ※県全域など地域表示のない品目もありますので、この割り振りは私見が入っています。

 

<今回紹介する茨城県南地区とはどんなところか>

茨城県内で最も人口が多い地域で、約100万人が暮らしています。この地域は東京の都心に近
いことからベッドタウンとして発展し、筑波研究学園都市の存在もあり、人口が増加してい
ます。また、つくばエクスプレス沿線や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの交通イン
フラも整備されており、近代都市としてのさまざまな特色を持つエリアとなっています。
しかし、ドカンと霞ヶ浦を包含しており、昔から霞ヶ浦を糧として生活している人も多いので
す。霞ヶ浦の帆引き船は今では観光用になっていますが夏の風物詩です。

<県南地区の郷土料理の特長>

国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦と利根川に囲まれた穀倉地帯でもあり、稲作の歴史も長いで
す。また、霞ヶ浦の湖畔での「れんこん栽培」も盛んです。土浦市は、れんこんの作付面積
・生産量ともに日本一。土浦のれんこんは、肉厚で繊維質が細かいのが特徴で、1年を通して
出荷されています。この地区の郷土料理はこの霞ヶ浦と深く関わっているものが多いのです。

 

県南地区の郷土料理として選定されたのは8品目でした。早速、一品目毎に納得度の評価に
入ります。

 

1.「ワカサギとれんこんの酢漬け」

霞ヶ浦の特産品です. この料理は、ワカサギとれんこんを使って作られます。豊富な水と肥沃
な湿地帯に恵まれた霞ヶ浦周辺では、古くかられんこんの栽培が始まり、いまでは国内生産
量日本一の産地として知られています。ワカサギは骨が柔らかく、丸ごと食べられるため、
手軽に調理できることから多くの人に親しまれています。この料理は、酢を使って味付けされ
るため日持ちが良く、さわやかな風味を楽しめます. 食べ方は、ワカサギのうろこを取り、塩
水で洗って水気を切り、片栗粉をまぶして油で揚げ、れんこんは薄切りにして甘酢に漬け込む
という手順です。現在では、南蛮酢(甘酢、醤油、唐辛子)を使って「南蛮漬け」としても食
べられています. この料理は、夏から冬にかけて収穫されるワカサギとれんこんを使って作られ、
地域の伝統的な味を次世代に伝える大切な料理となっています。レンコンそしてワカサギは共
に霞ヶ浦があって存在しています。地場特産品として、登録に納得です。

 

2.「がりがりなます」

目の粗いおろし器でおろした大根とにんじんを和えた酢の物です。白と赤の色合いが目にもおめ
でたい紅白なますは、お正月にはなくてはならない一品です。その最大の特徴は調理器具にあり
ます。「がりがりなます」の名の通り、大根を「鬼おろし」という器具を使用して、“ガリガリ”
と粗くすりおろしていく。「鬼おろし」とは、竹製の鋭利な刃がついたおろし器のこと。その歯
が鬼の歯を連想させることからその名がつきました。この地域では、鬼おろしを保有している家
庭も少なくないです(我が家も使っている)。竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらには一
般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、素材の水分や食感を残しておろすことができ
ます。レシピを試してみる際は、材料は、「だいこん、にんじん、フナ(酢漬け)」で、「だい
こんとにんじんは、鬼おろしでおろし、フナの酢漬けを加え、合わせ酢(酢、砂糖、塩)と混ぜ
合わせる」のが基本です。小骨など気になる場合はコイやタコを使用してつくられることもあり
ます。つくりたてを食べると素材の味を楽しめるが、味が馴染んでからも美味しくいただけます。
実は「がりがりなます」は、県内全域で食べられていますが、酢漬けの魚は霞ヶ浦産のフナが基
本ですので、この地域の郷土料理としました。登録に納得です。

 

3.「たがね餅」

たがねとは、浸水した生米をつき、かためたもので、「しとぎ」の古語といわれています。しと
ぎとは、米粉ともち米を楕円形にした餅のことで、神前などのお供えものとしても使われます。
そんなたがね餅は古くから茨城県で親しまれてきた餅料理のひとつです。茨城県では、たがね餅
は多くの家庭で手作りされます。材料はもち米とうるち米、塩、青のり、白ゴマ、片栗粉だ。
まず、もち米を洗って一晩浸水し、うるち米は洗って1時間ほど浸水させておく。浸水させたもち
米とうるち米を合わせて水きりをしたら、蒸し器で1時間ほど蒸しあげる。蒸しあがったら餅つき
機でつく。そこに塩や青のり、白ゴマなどを混ぜる。なまこ型に整え、打ち粉として片栗粉をま
ぶす。なまこ型とは楕円形のかまぼこのような形のことです。1時間ほど置いて硬くならないうち
に1cmほどの厚さに切って、焼いたり、揚げたりして食べます。「たがね餅」はもち米とうるち米
を合わせて作る餅です。たがね餅は主に正月に食べられ、茨城県内では、正月が近くなるとスーパ
ーや道の駅など県内の多くの店には、たがね餅が並べられます。もともと、もち米は赤飯やおこわ
などハレの日に食べられることが多く、もち米とうるち米を合わせたたがね餅もハレの日に食べら
れることが多いのが特徴です。これも登録に納得です。

 

4.「小倉れんこん」

「小倉れんこん」は、れんこんと小豆を一緒に煮込んで作る料理で、特に「紫峰色(しほういろ)」
にするのがポイントです。この「紫峰」は、茨城県の名峰・筑波山の別称で、朝夕に陽を受けて山
肌が赤く染まることから名付けられました。作り方は、れんこんの穴に小豆を詰めて鍋でゆっくり
煮込む方法です。砂糖と塩を加えて味付けし、冷ましてから食べると美味しくいただけます。 お正
月には特に欠かせない料理とされています。茨城県は、出荷量および作付面積ともに全国一位で、
国内50%以上のシェアを誇るれんこんの産地です。霞ヶ浦周辺は、豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれ、
れんこん栽培が盛んに行われています。特産のレンコン料理です。登録に納得です

 

5.「うなぎの帆引き煮」

主な伝承地域は利根川、霞ヶ浦周辺です。うなぎといえば贅沢な食材ですが、かつてはこの地域では
よくうなぎが取れたため、茨城県ではうなぎ料理は一般的によく食べらました。このとき余ったうな
ぎを冷凍しておき、急な来客などがあったときに凍ったままのうなぎを手早く、豪勢な料理にできる
ようにと考えられたのが「うなぎの帆引き煮」です。“帆引き”とは、霞ヶ浦で漁業をおこなっていた
巨大で真っ白な帆が特徴的な“帆引き船”を指します。現在では、機械トロール船による漁になってい
ます。その巨大で真っ白な帆が特徴的な帆引き船を模した笹の葉をあしらったため「うなぎの帆引き
煮」と呼ばれるようになりました。現在、帆引き船は、春から秋にかけて観光用に運用されています。
食べ方は鍋に酒を入れ、煮立ったところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら醤油、砂糖を入れてふ
っくらと仕上げる。煮汁が煮つまってきたら、うなぎを取り出してさらに煮つめ、煮汁をうなぎにか
けていただく。多めの酒で煮ると、よりふっくらと仕上がる。大きめの笹を用意し、帆引き船に見立
てて飾ってから食べる。ごはんにのせてうな丼として食べても良い。また、山椒などの薬味を加えて
食べることもある。尚、霞ヶ浦のうなぎは川を下らず、海に出ない珍しいうなぎで、6月から10月ご
ろまでが旬とされています。登録に納得です。

 

6.「鯉の唐揚げ」

主な伝承地域 南部地域、霞ヶ浦・行方市・土浦市です。鯉の唐揚げが郷土料理として親しまれていま
す。この料理は、骨までそのまま食べられるため、子どもたちにも大人気で、学校給食のメニューにも
取り入れられています。鯉は、立身出世のたとえに使われる縁起物としても知られており、滋養に富む
魚として結納などの祝いの席や妊婦に食べさせる風習もありました。鯉の唐揚げは、コイの切り身に片
栗粉をまぶして揚げることで作られ、その風味は地域ごとにさまざまです。 作り方は、コイの切り身に
片栗粉をまぶし、油で揚げるだけ。唐揚げ用のたれにくぐらせて食べることもあります。コイ料理で重
要なのは、生臭さをしっかりとること。何度も水を取り替えながら洗うことで生臭さが消える。この時、
お湯を使ってしまうと風味を変えてしまうので、必ず水でおこなうことが大切です。また、コイを捌く
ところからはじめる場合は、鮮度が重要なので生きたコイを使うこと。そして、内臓を傷つけないよう
にすることがポイントです。胆汁や未消化の餌が身についてしまうと、臭みが染みついたり、変色して
しまうため、細心の注意を払っておこなう必要があるのです。霞ヶ浦におけるコイの養殖は、1年から
3年かけて育て上げる。1年目のコイは小骨が口に当たりづらいため、「鯉のあらい」という刺身料理に
使われることが多い。また、2歳から3歳のメスは卵を持っているので、「鯉の甘露煮」といった料理に
向いている。色々なサイズのコイを手に入れることができるからこそ、その他にも「鯉こく」や「鯉の
うま煮」などのコイ料理が浸透していったと考えられる。現在、子どもから大人まで人気があるコイ料
理の一つが「鯉の唐揚げ」です。登録に納得です。

 

7.「ピーナッツ味噌/落花生味噌」

「ピーナッツ味噌」は、茨城県で古くから伝わる郷土料理です。この料理は、規格外の落花生を活用す
るために農家の人々が考案したもので、いまでも多くの家庭で好みの味付けで作られ、常備食品として
親しまれています。炒った落花生に甘い味噌が絡んでいるため、ごはんに乗せたり、おやつやお酒のつ
まみとして楽しむことができます。落花生味噌は、落花生を味噌や砂糖で味付けしたもので、カロリー
は1人前(約23g)およそ73kcalほどだ。落花生に含まれる脂肪酸は血中脂質のバランスを正常に保つ効
果が期待できる。そのほか、ビタミンE や薄皮に含まれるレスベラトロールは抗酸化作用があり、身体
にとって有害な活性酸素を除去してくれると注目されている食材だ。そんな落花生を落花生味噌にする
ことで、ごはんのおともや、お茶うけ、酒のつまみにといろいろな食べ方を楽しむことができるのです。
さらに日持ちができるので、落花生味噌にして保存する家庭も多い。落花生の旬は基本的に9月下旬~
10月といわれていますが、落花生味噌は落花生を加工したものなので、茨城県の家庭では通年食べられ
ている。日常的に食べられている郷土料理なので、学校給食の献立にも使われたりもする。落花生味噌
は茨城県民の生活には欠かせないものとされているのです。これも登録に納得です。

 

8.「れんこんのきんぴら」

茨城県の霞ケ浦湖畔ではれんこんの栽培がさかんで、国内1位の生産量を誇ります。そんな茨城県の特産
品であるれんこんは、加熱しても食感が損なわれにくく油との相性もよいため、きんぴらにふさわしい
食材です。地元産の食材を有効活用するために、茨城県でれんこんのきんぴらが食べられるようになっ
たのも自然な流れですね。れんこんのきんぴらは、レンコンとにんじんを炒めて、醤油やみりん、砂糖
で味付けするシンプルなレシピが一般的です。薄い輪切りにして炒めるのが一般的ですが、茨城県では
太めに切って調理します。輪切りではなく繊維に沿って縦切りにすることも多く、よりシャキシャキと
した食感を楽しめるのが魅力です。副菜や弁当のおかずに重宝するれんこんのきんぴらは、常備菜の定
番です。日本人なら知らない人はいないといえるほど有名な料理ですが、れんこんの名産地・茨城県の
郷土料理ということを知っていましたか。材料はレンコン、ごぼう、人参、鷹の爪、油、酒、醤油、砂
糖など。準備としてはレンコンは皮をむいて酢水につけてアクを抜き、短冊に切ります。鷹の爪は種を
取り輪切りにします。調理は 鍋に油を熱し、鷹の爪とレンコンを炒め、酒、醤油、砂糖を加えて炒めま
す。今でも日常的に食べられているレンコンのきんぴらは登録に納得です。

 

是非、茨城県の郷土料理に感心を持ってご賞味あれ!

 

 

 

 

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茨城郷土料理自慢:2回目「県央地区の郷土料理編」

2024-09-30 07:10:52 | 日記

農林水産省では、2023年でユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎える中、第4次
食育推進基本計画(令和3年3月食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化
を次世代に継承していくための活動に力を注いでいます。
その活動の中の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固
有の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理
~次世代に伝えたい大切な味~」を令和元年に開設しました。そして、毎年都道府県別に
郷土料理として認定した品目をデータベース化して発信してきました。そして、令和4年
に20都府県579品の追加掲載をしました。これにより掲載品目数は1,365となり、全47都
道府県の郷土料理が勢ぞろいしました。各地域で選定された郷土料理のいわれや歴史、そ
してレシピ等にとどまらず、郷土料理を生んだ地域の背景等についてもデータベース化し
て広く情報発信をしています。「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業
での商品化、郷土料理の調査などに是非、ご活用ください」と言うのが狙いです。このデ
ータベースを覗いてみましたが、各地域の郷土料理がかなり広い視点で捉えられており、
読み物としても大変面白いです。茨城県では30品目が紹介されていました。
今回はこの選定が納得できるものなのかどうか、私見で納得度の評価してみたいと思いま
す。今回は2回目で「県央地区の郷土料理編」で6品目です。品目によっては「県内全域」
など地区を特定していないものもあります。私見で割り振ったものがあることをご承知く
ださい。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発
       展等により他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらない
   が、歴史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである。
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」
   の提供があるか

   ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
   ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り
        刺身こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」
       「赤餅」(9品目)
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼ
        ろ納豆」「かぼちゃのいとこ煮」(6品目)
3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉て
        んこん」「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味
        噌」「れんこんのきんぴら」(8品目)
4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「い
        もがらの炒め煮/いもがらの五目煮」(5品目)

<今回紹介する茨城県央地区とはどんなところか>

茨城県央地区は、茨城県中部に位置する地域の総称です。この地域には県庁所在地の水戸市、
ひたちなか市、小美玉市、笠間市、那珂市、東茨城郡の大洗町、茨城町、城里町、那珂郡の
東海村が含まれています。人口は約69万6,602人で、面積は1,145.83 km²、人口密度は
603人/km²です。交通面ではJR常磐線が県南地域から県北地域へ、小美玉市から水戸市経由
で東海村を結んでいます。また、JR水戸線、JR水郡線、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線、ひたちな
か海浜鉄道湊線もこの地域を走っています。観光名所やおすすめスポットも豊富にあります。

<県央地区発祥の郷土料理>

県央地区の中心は水戸。水戸は言わずと知れた納豆の名産地。藁で包んで発酵させると、適
度に水分を飛ばし、より凝縮した味わいが出ます。米も大豆もつくる、この地区ならではの
郷土料理といえます。もちろんこの地区では野菜の栽培も盛んで、どれも関東ローム層の黒
土が支えた農業です。納豆に続く名産品の「ほしいも」は、さつまいも栽培に適した地質が
貢献しています。冬の乾燥した北風と、海からの潮風がほしいもの乾燥に良いのです。空は
どこまでも広く、冬はかなり寒くなります。この自然を受け入れて暮らす、この地区は食に
恵まれた場所なのです。 海に面する那珂湊では、アンコウに加えて、県魚のヒラメ、ホウボ
ウなど、様々な魚種が日々漁獲され、活気よく競り落とされています。そして、新鮮な野菜
も年中揃う豊かな場所なのです。県央地区の郷土料理として選定されたのは6品目です。
早速、一品目別に納得度の評価に入ります。

1.「煮合い」

「煮あい」は、茨城県水戸市の下市地方で愛される郷土料理です。この料理は、地元でとれ
る食材を活用して作られ、特にレンコンやゴボウなどの野菜を「煮て和える」ことから名付
けられました。酢を加えてさっぱりとした味わいに仕上げられ、お正月や祝いの席などで提
供されることが多いです。具材や味付けは家庭ごとに異なり、白ごまをふりかけて食べるこ
ともあります。酢が入るため日持ちします。現在水戸市で栽培されているごぼうは、根の長
さが40cm前後の短根ごぼうです。シャキッとした食感と食味が自慢で、香りが良く甘みが
あるのが特徴です。柔らかく、歯ざわりが良いのでさっと湯がいてサラダにしたり、酢漬け
にするとおいしく食べられます。お正月やお祝いごと等人が集まる時に作られてきたもので
す。煮合いは昔ながらの材料とともに、特産物のごぼうを使って郷土食を出しています。
地元生まれの郷土料理ですから、選定に納得です。

2.「紫錦梅(しきんばい)」

「紫錦梅」は、茨城県水戸市の郷土料理で、別名「梅びしお」とも呼ばれています。水戸藩
徳川家9代藩主・徳川斉昭が作らせた偕楽園には約100品種3000本の梅が植えられ、梅の名所
として知られています。偕楽園で採れた梅の実は、傷がないきれいなものは梅干しにしたり、
梅酒として利用されますが、傷があったり、見た目が悪い梅の実を木槌などでたたき割って
種を除き、果肉のみを紫蘇(しそ)、塩と共に漬けたものが紫錦梅です。赤しそを加えて発
色を良くし、白米やおかゆのお供、おにぎりの具材としても活用されています。梅の実の収
穫時期は6月中旬から下旬ですが、紫錦梅は保存食でもあるため年間を通して食べられます。
各家庭でも作られますが、偕楽園でも園内で採れた梅を使った紫錦梅が販売されており、土
産としても人気が高いです。斉昭公が梅の木をたくさん植樹したのには理由があり、一つは、
梅が春の訪れを告げる花として人々を前向きな気持ちにさせるというもの。そして、梅の実
の酸味は、喉の乾きと疲れを癒してくれるため、軍事用の食料として最適だったということ
から、梅の木が数多く植えられたとなっています。偕楽園で実った梅を余すことなく有効活
用しようと斉昭公が考案したのが「紫錦梅」です。実は食用梅は県内であまり流通していま
せんでしたが、近年になって茨城県産のブランド梅・常陸乃梅が普及しつつあり、食の面で
も梅が名産となっています。柔らかくなりすぎた梅で漬ければ、形が無くなり、これが本来
の「梅びしお」です。水戸藩主導の郷土料理ですから、選定に納得です。

3.「こも豆腐」

「こも豆腐」は、豆腐をわらで包み、出汁や砂糖や醤油などで煮込むため、わらの香ばしい
匂いや、旨みがしみ込んだ優しい味わいを楽しむことができます。大豆を使ったこの料理は、
茨城県だけでなく、福島県や群馬県、岐阜県などの一部の地域でも作られています。豆腐は
紀元前2000年ごろに中国で誕生し、その後、奈良時代に遣唐使を通じて日本にもたらされた
と言われています。食べる際は、醤油や酢味噌につけて食べるのが一般的です。こも豆腐は
「こも」と呼ばれるわらで編んだ包みで豆腐を包んで作られますが、わらで包んだ食品のこ
とを「つと(苞)」とよぶことから「つと豆腐」とも呼ばれます。茨城県といえば水戸納豆や
豆乳など、さまざまな大豆製品が有名であり、豆腐もそのひとつです。「豆腐=長期保存が
難しい」を解決して生み出されたのが、こも豆腐。風味だけでなく、利便性にも長けている
食品なのです。こも豆腐に使用されている主な食材は、豆腐、砂糖、醤油、煮出し汁です。
また、ニンジンやゴボウを芯にして豆腐をわらで包む作り方も存在します。レシピによって
は、料理酒やみりんを使用することもある。作り方も非常に簡単で汎用性も高いため、普通
の豆腐に飽きてしまった人や、さまざまな豆腐料理に興味がある人はぜひ一度こも豆腐を食
べてみてほしい。酢味噌を乗せた「こも豆腐」は美味しいです。選定に納得です。

4.「五目いなりずし」

関東全域でよく見られるいなりずしの一種です。五目いなりずしの定義は「さま ざまな具
材を米と一緒に詰めていること」なので、好きな食材を自由に組み合わせることができます。
ニンジン、ゴボウ、レンコン、シイタケなどは一応五目いなりずしの鉄板の具材ですが、必
ず使用しなければいけないという決まりはないため、アレンジしやすいのも五目いなりずし
の魅力といえるでしょう。特に笠間市では、日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社が、古
くから市民や参詣客に「笠間いなり寿司」を振る舞ってきたと言われています。五目いなり
に使用する食材は先述した野菜に加え、油揚げ、米、糸こんにゃくなどが挙げられます。
また、地域や季節によってはギンナンやタケノコ、ひじきなどを加える場合もある。作る人
や店によって、使用する具材が異なるのです。あえていうなら、農業県の茨城のいなり寿司
の中身は、地元でとれる農産物をたっぷり使った「五目いなり」です。いなり寿司は江戸時
代、稲荷神社に供えてあった油揚げの中にごはんを詰めたことが始まりだという説が知られ
ています。江戸時代の文献には、屋台でいなり寿司が売られている様子が描かれているそう
です。当時から安価で、素朴な味でおいしく、手頃な食べ物として人気を博したと言われて
います。現在もスーパーやコンビニにならんでいますね。江戸代から現代まで食べられてい
るファストフード、それが五目ちらし寿司です。関東全域で食べられていますので、郷土料
理として選定されたのに疑問がありますね。でも笠間稲荷寿司は有名ですよ。

5.「そぼろ納豆/しょぼろ納豆」

水戸市を中心とする県央地域で見られる伝統的な料理です。納豆に塩漬けにした 切り干し
大根を混ぜ、しょう油などの調味料で味をつけたものです。小粒の大豆が特徴で、保存食と
して水戸地方の農家で作られています。そのまま酒の肴として、ご飯にかけたり、お茶漬け
の具にして食べるなど、様々な食べ方が楽しめます。シャキシャキとした切り干し大根の歯
ごたえと、納豆の柔らかさがよく合い、まろやかな味わいとなっています。独特の食感と風
味があります。「そぼろ納豆」の名前の由来は、納豆に混ぜる切り干し大根が、細かくほぐ
れている様子を「そぼろ」に見立てたことに由来しています。「そぼろ丼」「そぼろ煮」な
どそぼろの名がつく料理がありますが、納豆というのが茨城らしいじゃないですか。
選定に納得です

6.「かぼちゃのいとこ煮」

茨城県を中心に根付いた郷土料理で、冬至の定番料理として親しまれています。いとこ煮と
は、富山県をはじめとした北陸地方、奈良県、山口県でも郷土料理として食べられている根
菜と小豆を甘しょっぱく味つけた煮物です。神様に供えた食材を寄せ集めて煮たことがはじ
まりで、もともとはお盆やお正月、祭礼の際に食べられていました。今でも一般家庭で楽し
まれているほか、地域の祝い事のときにはいとこ煮がよく食べられています。根菜の部分が
かぼちゃであることが茨城県スタイルですが、実はこのかぼちゃと小豆の組み合わせが他県
でも多いです。しかし、煮物ではなく汁物であったり、小豆や大根の味噌汁のことを指す地
域もあります。このような地域差があるのも、いとこ煮の面白いところです。「いとこ煮」
の名前は、野菜別にめいめいに煮ることから「姪々」とかけ、姪同士はいとこであるからと
いう説もあります。さらに、野菜や豆は畑でとれるもので、いとこのようなものだからとい
う説もあります。かぼちゃは保存がきくため、あまり食糧がとれない時代の貴重な栄養源と
なっていました。冬至の日にかぼちゃを食べるのは、保存していた栄養価の高いかぼちゃを
食べて健康に乗り越えられるように願いを込めていたと言われています。県外でも広く郷土
料理として知られていますから、選定漏れの中にもっとふさわしいものがあるのではないか
と思うのですがね。

今回は県央地区の郷土料理として取り上げられた6品目を紹介しました。次回は県南地区の
郷土料理を紹介します。

皆さんが茨城県の郷土料理を知り、親しんでいただけることを願っています。

 

 

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茨城郷土料理自慢:1回目「県北地区の郷土料理編」

2024-09-09 07:06:40 | 日記

『うちの郷土料理』という農林水産省が運営しているWebサイトをご存知でしょうか。

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html

 

平成25年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを契機に、
先進諸国の主要都市には日本食レストランが当たり前にある時代になっています。こうした日本
食の広がりのある話の一方で、おひざ元の国内では食の多様化や家庭環境の変化が進んでおり、
和食文化の保護・継承が課題なのだと、農林水産省では、第4次食育推進基本計画(令和3年3月
食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化を次世代に継承していくための活動を
進めています。

その活動の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固有の多様な
食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理~次世代に伝えた
い大切な味~」を開設しました。各地域で選定された郷土料理が、その料理を生んだ地域の背景、
いわれや歴史、そしてレシピ等をデータベース化して広く情報発信を始めました。この活動は都
道府県全てを網羅したもので、データベース化を終えた県から随時公開され、2022年に全国制覇
されて完了しました。データベースは「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業
での商品化、郷土料理の調査などに是非、ご活用ください」と広く公開されています。このデー
タベースを覗いてみましたが、全国の郷土料理がかなり広い視野の目(歴史や風土などが検証さ
れて)で捉えられており、読み物としても大変面白いです。データベースでは47都道府県の郷土
料理1,365種のレシピ・歴史などが検索できます。各県から30品目前後が登録されています。
茨城県も30品目が紹介されています。ここではこの茨城県版30品目の郷土料理を取り上げます。
茨城県の食文化は、地域ごとの気候風土にあわせて、多様な進化を遂げてきました。茨城県は地
域的特徴に分けると、県北地区、県央地区、県南地区、県西地区、鹿行地区(ろっこうちく)の
5つに大別されています。今回からこの5地区を代表する郷土料理についてデータベースの記述
を横に置きながら、取り上げられた郷土料理は納得できるものなのかどうか、私見で評価してみ
たいと思います。1回目は「県北地区の郷土料理編」です。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等に
                         より他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。
(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある
(3)家庭・地域で作られ、継承されている
(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、歴
                史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある
(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか
(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである
(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の提
   供があるか

  ※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。
  ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されていました。

<茨城県の食文化>

日本列島のほぼ中央。関東地方の北東に位置する茨城県は、東は太平洋に臨み、北は福島県、西
は栃木県に接し、南は利根川をもって千葉県に接しており、県都の水戸市は首都東京から100km
圏内にある。県土一帯には一級河川の利根川・那珂川・久慈川をはじめ、およそ200の河川が流れ、
全国第2位の面積を誇る湖の霞ヶ浦及び北浦を中心とする水郷地帯となっている。関東平野の一部
である常総平野が広がり、豊かな水質を活かして古来より農業が営まれてきた。農業産出額は、
全国トップクラスの農業県なのだ。また、延長190kmに及ぶ海岸線を有し、県の沖合は、親潮と
黒潮が交差する豊かな漁場で、季節ごとに様々な魚介が水揚げされる漁業県でもある。特に冬の
アンコウは大変質がよく、近年では高級食材となっています。

<データベースの「茨城県」の項に記載されている郷土料理>

データベースでは茨城県内の郷土料理ということで、水戸地区など地場の郷土料理として地域名
を明記したものがある一方で、「県内全域」の表示や、またがった複数地区表示もあります。こ
こでは地域特定で表記されたものは、それに従いますが、「全域やまたがり表記」の場合は、私
見で「あえて言うなら、この地区だな!」と分類しています。了承願います。

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺身
  (9品目) こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「パイタ焼き」「赤餅」
2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ納
  (6品目) 豆」「かぼちゃのいとこ煮」
3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉てんこん」
  (8品目)「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」「れんこん
        のきんぴら」
4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」
  (2品目)
5.鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いもが
  (5品目) らの炒め煮/いもがらの五目煮」

 ・各県とも30品目ほどに絞られていますので、選定もれした有名な郷土料理もあります。
  茨城県で選定されなかった郷土料理については、5地区の紹介を終えてから報告します。

<茨城県北部地区とはどんなところか>

茨城県北部地区(いばらきけんけんぽくちく)は、茨城県のうち、北部に位置する地域を指しま
す。この地域は茨城県日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、久慈郡大子町の
5市1町から構成されており、2022年時点での面積は1,652.27 km²、人口は335,942人です。地理
的には久慈川や那珂川が流れ、太平洋側の地域と内陸側の地域を結ぶJR常磐線やJR水郡線が走っ
ています。観光名所としては、美しい海岸線や清流、山々、滝、渓谷、里山などの自然景観が楽
しめるスポットがあります。また、文化的にも岡倉天心ゆかりの六角堂や徳川光圀公の隠居所で
ある西山御殿、日立製作所創業者・小平浪平の足跡を記念した小平記念館などがあります。

地形は北部から北西部にかけては、阿武隈山地の南端部となる久慈山地・多賀山地の山々が連な
ります。この間に山田川、里川、久慈川、那珂川とその流域の平地が広がっています。気候とし
ては沿岸部では気温の日較差が小さく、海洋性気候の特徴を持っています。猛暑日、真夏日、熱
帯夜の増加が観測されており、降水量も湖沼や河川が多い地形の影響を受けて多いことも特徴です。

<県北地区発祥の郷土料理>

県北地区といえば「水戸藩の財政を支えた、こんにゃくづくり」が最も知られています。山間地
で古くからはじまっていたこんにゃく生産ですが、こんにゃくは腐りやすいため流通させるのが
困難でした。江戸時代、こんにゃく生産に転機をもたらしたのが農民の中島藤右衛門です。藤右
衛門は、こんにゃく芋を乾燥させる保存方法を確立。こんにゃくの質も高く評価され、水戸藩の
専売品として藩の財政を支えました。この地区からエントリーされた郷土料理は9品目です。
その一品一品について評価します。(紹介順位に意味はありません)

 

1.つけけんちん:

けんちん汁と蕎麦を組み合わせた美味しい料理です。この料理は、暖かく濃いめの味わいのけん
ちん汁に、冷たく風味深い蕎麦をつけて食べるスタイルで、根野菜やキノコの風味が香ばしい逸
品となっています。江戸時代の後期から食べられていたとされ、旧暦の新年(現在の節分の時期)
にそばを食べる風習が水戸藩から広がったと言われています。今でも茨城県全域で愛されている
郷土料理です。
この地区は昔から蕎麦の名産地で、芳醇な香りとほんのりした甘さが特徴のブランド品種「常陸
秋そば」のルーツです。そして根野菜の生産量も多く、キノコも採れました。こうした地区環境
から「けんちん汁」が生まれ、必然の流れとして、そばをけんちん汁につけて食べる風習が生ま
れたのでしょうね。江戸時代から現在まで食べ続けられているのですから、選定は納得です。

2.干し芋:

老若男女から親しまれているさつまいもの加工品です。茨城県は日本全体の干し芋の生産量の8割
以上を占めており、その市町村別生産量でも県北地区にある、ひたちなか市、東海村、那珂市が
トップ3を占めています。干し芋は、さつまいもを蒸して薄く切り、外で干して乾燥させることで
作られます。素朴な甘さとほっくりとした食感が特徴で、そのまま食べるほか、かき揚げやケーキ
の中に入れるなど、アレンジも豊富です。茨城県の干し芋は、たまゆたか、紅はるか、希少品種
(いずみ)などの品種が評価されています。干し芋は例年12月から翌年2月末まで生産され、年末
には予約でいっぱいになることもあるため、「ほしいも品評会」での受賞品を食すためにはお早め
に。これを選定から外したら非難が来るでしょうね。生産量の視点から、この選定に納得です。

3.「いわしの卯の花漬け」

県北地区で長く親しまれている郷土料理です。「卯の花」とは「おから」を指します。新鮮なイワ
シを長く味わえるよう、時間をかけてしっかり酢と合わせたおからに漬けることで長持ちするため、
地元では保存食としても重宝されてきました。この料理はおせち料理としても食べられていたため、
各家庭では11月くらいからとれるマイワシを使って作られています。新鮮なイワシの頭と内臓、骨
を取り出して水洗いをしたら、塩を振って数時間寝かせ、その後、水で塩気をとり、10時間以上酢
につけます。さらに、砂糖を加えた酢に、さらに10時間漬けることで保存力が高まります。最後に、
酢を切ったイワシとおから、柚子の皮、赤唐辛子、ごま、塩を混ぜていただくと、お酒の肴にも
、ごはんのおともにも合う美味しい料理が完成します。

これは千葉県の九十九里地方でも郷土料理となっており、茨城県北地区の専売ではありませんが、
昔の山間部は鮮度の良い魚が入手できない土地柄です。保存食そしてめでたいおせちに欠かせない、
土地の人の思い入れが込められた料理です。これも選定に納得です。

4.「柚子大根」

酢でサッパリとした味わいが特徴で、箸休めの一品として日常の献立に取り入れられています。簡
単に作れるため、常備菜としても重宝します。柚子大根は、その重宝さの故、関東の幅広いエリア
で郷土料理として登録されています。茨城県もその中の一つです。特に、ごぼうやピーマン、れん
こんなどの食材の収穫量全国1位を誇る、農業県である茨城県では郷土料理として定着しています。
使用する食材のひとつである柚子は、温暖な気候を好み、主に徳島県や高知県などの四国地方で栽
培されていますが、関東では茨城県や埼玉県でも栽培されています。柚子は8~10月に出回り、緑
色から黄色に変化します。柚子大根は、大根を輪切りにして天日干しする伝統的な作り方もありま
す。柚子大根が、主に使用する食材は大根と柚子です。調味料は昆布、砂糖、酢、塩、水を使いま
す。柚子大根をおせち料理として食べる際は、くり抜いた柚子を器にすると見栄えが良くなります。
大根を輪切りにして天日干しし、その後千切りにした柚子を巻いて昆布で結び、合わせ酢をかけて
食べます。酢でさっぱりとした味わいが特徴で、箸休めとして日常の献立に取り入れられています。
冬になると各家庭の軒先に大根をつるしている風景が昔から見られ、常備菜としても重宝されてい
ますから、この選定も納得です。

5.「手作り刺身こんにゃく」

県北の奥久慈地方は、こんにゃく栽培が盛んで、こんにゃく発祥の地とされています。現在でもこ
んにゃく芋の生産量では日本一です。江戸時代には水戸藩の専売品としても知られ、こんにゃくの
食べ方はさまざまです。刺身こんにゃくは、こんにゃく芋の精粉から作られ、アクが少なく、下茹
でが不要で、生のまま刺身にして食べることができます。薄くスライスして、わさび、しょうが、
柚子、青ねぎなどの薬味を添え、だし割り醤油を付けて楽しむことができます。その他にも、「煮
しめ」や「肉じゃが」などの料理、そして「こんにゃくの田楽」も地元民に親しまれており、柚子
味噌を付けるのが特徴です。さしみこんにゃくは、特別な日の食卓を飾る一品として、かつて祭り
の日や新年などの特別な日に家庭で手作りされていました。こんにゃくの歴史や提供している飲食
店舗などの情報は自治体のホームページで発信されていますよ。生産量日本一のこんにゃくが選定
されるのは納得です。

6.「凍みこんにゃく」:

これも奥久慈地方で作られる伝統的な食材です。つくられるのは、12月~2月にかけての厳冬期。畑
に敷きつめたわらの上に、こんにゃくを1枚1枚並べ、水をかける。すると、夜の冷気によってこんに
ゃくはすっかり凍ってしまう。翌日、日中の気温で解凍されると、夜にふたたび水をかける。この作
業を繰り返すことで、水分が抜けスポンジ状になり「凍みこんにゃく」となります。完成するのは約
20日後である。手間がかかることから、昭和30年代以降は生産者が激減しており、現在は茨城県北地
区のみで生産されている希少な食材です。乾燥状態を保てば長く食べることができるため、冬の風物
詩として知られています。一般的には「煮しめ」という調理法で楽しまれており、その独特の食感を
味わうことができます。また、近年は唐揚げや天ぷら、フライ、グラタンなど、さまざまな調理法が
考案されています。手間暇がかかるのにこれまで生き残って来ました。土地柄が生んだ逸品です。
選定に納得です。

7.「あんこうの共酢和え」:

県北部の北茨城・水戸・日立でなじみのある郷土料理です。共酢和えは、アンコウの身を茹でたものや、
皮や胃などの部位を煮凝り状にしたものを、共酢(アンコウの肝を合わせた酢味噌、共酢とは(肝のこ
とを「とも」ともいうことが由来))につけて食べる料理です。アンコウの各部位の異なる食感を楽し
める一品で、わかめを添えて食べることが一般的です。地元では、いまでも地元の飲食店では提供して
おり、観光客からも人気があるアンコウ料理の一つなのです。アンコウは茨城県の地場産品で、質の良
い常磐ものとして評価されています。江戸時代には水戸藩からの献上品とされ、昔からアンコウ漁が盛
んに行われてきました。他県でもアンコウ料理は食べられますが、「あんこうの共酢」は茨城県特有の
もので、地元以外ではなかなか見かけない一品です。あんこうは7月、8月の禁漁期以外は、1年を通じ
て漁がおこなわれており、冬になると「あんこう鍋」そして、「あんこうの共酢和え」の最盛期になり
ます。あんこうは茨城県を代表する食材です。この選定に納得です。

8.「パイタ焼き」

ひたちなか市を中心に親しまれています。この料理は、サンマやイワシをミンチにして、味噌やねぎな
どの薬味を混ぜ、焼いた漁師料理です。「パイタ」とは、舟を漕ぐ櫂(かい)のことを指し、船が手漕
ぎだった時代に、船乗りが櫂の平らな部分で魚を叩いて焼いたことから、カイイタ(櫂の板)が訛って
「パイタ」と呼ばれるようになったと言われています。茨城県では、サンマやイワシの漁獲量が多いた
め、これらの魚を使用して作られています。特に、那珂湊(なかみなと)では、サンマの漁獲量が多い
ことから、地域の家庭料理として広く親しまれています。しかし現在は、サンマの漁獲量が減少してい
るため、イワシを使うことも多くなっているそうです。千葉県他の他県でも「なめろう」や「さんが焼
き」に似る郷土料理として、魚を叩いて味をつける料理が存在します。「バイタ焼き」は、一般家庭で
も広く食べられており、主な材料であるサンマやイワシが旬を迎える時期に楽しまれています。魚を三
枚におろして皮を剥ぎ、内臓を取り出した際にきれいに洗って血を落としておくと、生臭さが出づらく
なります。また、焼く際に薄めにのばして焼くと火が通る前にパサつかずに美味しくいただけます。味
付けは味噌で行い、薬味としてねぎやしょうがを加えます。しっかり味がついているのでそのままで食
べられます。魚が主役の郷土料理としてこれも外せません。選考に納得です。

9.「赤餅」

金砂郷地区で受け継がれる郷土菓子です。「赤餅」はお菓子ですよね。でも、郷土料理に含まれていま
す。その理由に興味はありませんか。実は、その背景には歴史的な経緯があります。赤餅は赤いもろこ
しの粉を主成分としています。もろこしはこの地域で栽培され、水害の多い土地で重宝されていました。
赤餅は、もろこしの栄養価が高く、保存性があるため、農村の人々にとって重要な食品でした。もろこ
しは、日本の伝統的な食文化においても重要な役割を果たしており、餅や粉物として広く利用されてき
ました。赤餅は、もろこしの粉をお湯で練って作る伝統的な製法を守り、きなこや砂糖をまぶして食べ
ることで、地域の風味を楽しむ料理として受け継がれてきたのです。すなわちお菓子としてではなく、
料理として伝承されてきたのです。現代では、もろこし粉の入手が難しくなり、赤餅を作る機会は少な
くなっていますが、その歴史的な背景と伝統的な製法が、茨城県の郷土料理として大切にされています。
選定に納得です。

 

農林水産省が「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」として、全国各地域で選定された郷土
料理の内、茨城県編の中の県北地区の9品目の郷土料理を紹介してきました。
さすが、農林水産省です。選定した郷土料理すべてに納得です。ただ、この9品目で全てではないのです。
この地区の隠れた郷土料理を発掘して紹介する機会を持ちたいと思います。

次回は県央地区の6品目について評価します。

茨城県では 保存と継承の取り組みとして、学校で料理授業を通じて地域の食文化を伝える取り組みが行
われています。おいしい郷土料理を次世代に伝えるために、こうした努力が大切ですね!

 機会があれば県北の郷土料理をご賞味あれ!

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