ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:日本一の生産地、露地物エシャレットは春が旬

2022-04-14 08:07:12 | 日記

エシャレットは静岡県西部地区で昭和 30 年ごろに漬物用に栽培していたラッキョウ

を生食 用として早採りのラッキョウ栽培に挑戦したことが起源です。当初「根ラッ

キョウ」の名で市場に出しましたが広まらず、イメージアップを図るために、フラン

スの 野菜「エシャロット」に似ていることから「エシャレット」と名付けたところ、

これが料理関係者などに注目されて広まりました。ですからエシャレットとは品種

名ではなく、早採りラッキョウの商品名で日本生まれの名称です。早採りでやわら

かいので上部まで食べられますし、ラッキョウと比べてクセも辛みも少ないので、

生のまま味噌やマヨネーズを付けて食べる定番以外にも、天ぷらや炒め物などにし

てもおいしいです。茨城県のエシャレット栽培は後発組です。それでも、まだ全国

で馴染みのなかった昭和の終わりごろから栽培が始まりました。現在では収穫量の

日本一は茨城県(76.4%)で断トツの1位、2位は発祥の地、静岡県(21,2%)で合

わせて2県だけで約98%を占めています。県内では霞ヶ浦と北浦に挟まれた行方台

地が栽培の中心地で、県の銘柄産地指定を受けています。現在、エシャレットのハ

ウス栽培ものは、通年で安定して出荷され市場に出回っています。露地栽培ものは

2月頃から5月頃までは葉が青く柔らかいので、葉も食べられますが、夏に入ると

葉が衰え、枯れ始めるので、最も美味しい旬の時期はやはり春、3月~5月頃まで

といわれています。今回は茨城県の露地栽培のエシャレットを紹介します。

 

<後発組がエシャット生産量、日本一となった背景>

日本にラッキョウが中国から伝わったのが平安時代、最初は薬用として使われてい

たそうです。今のように野菜として食べられるようになったのは江戸時代に入って

からのことです。とても丈夫な野菜で、砂丘や開墾地など、痩せた土地でも栽培で

きるのが特徴。エシャレット発祥の地は、静岡県浜松市にある日本三大砂丘のひと

つ中田島砂丘がある浜松遠州灘です。ラッキョウは丈夫で手間いらずの野菜ですか

ら、こうした水はけの良さしか利点のない土壌でも栽培の適地でした。この場所で、

ラッキョウの早採りの着想が生まれ、そして栽培が始まったのです。後発組の茨城

県では行方地区・玉造地区の赤土台地で栽培しています。この地区の赤土は適度に

栄養があり水はけが良くエシャレット栽培に向いていました。結局、如何に丈夫な

野菜といっても、砂地と赤土では生産量に差が出るのでしょうね。現在は後発組の

茨城県が断トツの日本一の生産地となっています。

 

<エシャレットの豆知識>

1.エシャレットとエシャロットの違い

     エシャレットとエシャロットは名前が似ていてややこしいのでよく間違えら

    れますが、見た目がまったく違います。エシャロットは小型のタマネギで

    す。フランス料理には欠かせない素材ですが全て輸入ものです。紫たまねぎ

    の超小型版のような見た目で、強い刺激臭を持っています。名前が似ている

    だけでラッキョウではありません。(写真参照)

2.エシャレットと島ラッキョウの違い

    エシャレットと姿、形がよく似ているのが沖縄の「島ラッキョウ」です。見

    た目が良く似ていて、なにが違うの?とよく混同されがちなこの二つです

    が、もちろん、全く別ものです。島ラッキョウは一般的なラッキョウよりも

    辛みが強く小ぶりな沖縄県の伝統野菜です。対してエシャレットは早採りを

    したラッキョウなので、辛みが控えめです。見た目は似ていますが、味は

    まったく異なります。(写真参照)

3.エシャレットの「ちょんまげ結い」

    行方ではエシャレットを4月~7月にかけて1年分を収穫します。その内、4月

    ~5月に収穫したエシャレットは、本葉と呼ばれる本物の葉の付いたものを出

    荷します。その時期のものは、葉から根まで全部食べられます。葉も甘くて

    美味しいのです。この春収穫エシャレットは 7 ~8 本を束ね、葉を独特な縛り

    方「ちょんまげ結い」にして出荷されます。春以降は冷蔵庫で保存するため葉

    を切り落とします。ちょんまげ結いはエシャレットの白色がより綺麗に見える

    ように考えた装飾結いなのです。ひと手間かけた出荷の演出は発祥の地、静岡

    からの伝統を引き継いだものです。生産者の「売る為の工夫」が見える工程で

    すね。尚、貯蔵品もわざわざ麦の葉(本葉の代わり)を添え葉にして手間をか

    けて出荷しています。「島田結い」と呼ぶところもあります。

4.栄養価と効能

    結論として、①免疫力アップ ②血液サラサラ効果 ③便秘の改善 ④疲

    労回復が期待できるとても優れた野菜です。。

 

  (1)水溶性食物繊維が野菜類の中でトップクラス;水溶性食物繊維は胆汁酸

      を包み込んで、腸内で胆汁酸が吸収されないように防ぎ、大腸の働き

      を活発化させて、ほどよく水分を含んだ便を形成してくれます。その

      ため、便秘の改善や予防に効果的です。

(2)アリシンが豊富:エシャレットの辛味の香り成分。高い殺菌効果があ

    り、特にO-157に効果絶大で、夏場の食中毒を防いでくれる。又、糖

    質代謝に必要なビタミンB1の吸収も助けるので、肉類、大豆製品、卵

    などと一緒にとるのがおススめ。血液サラサラ効果も報告されている。

(3)カリウムも多い:体内の余分なナトリウム(塩分)とくっつき、尿と一緒

    に体外に排出してくれる働きがあります。これによって、体内の塩分

    量を調節してくれるのです。

(4)硫化アリルを含む:抗酸化作用や抗がん作用があるにんにくやねぎ類の

    ツンとする香り成分です。抗菌作用も持ち体内に入った細菌の駆除効

    果だけではなく、血中のコレステロールの低下や肝臓の解毒補助を担

    う栄養素です。

(5)その他:カリウムやビタミンCも多く含みます。

 

5.生だとちょっと辛いと感じる方は

  生だとやはり少し辛いと感じる方、その場合はオリーブオイルでさっと他の

  野菜と一緒に炒めると良いです。さっと火を通すだけでも甘味が出て、食感

  も残っていますので美味しいです。もう少し加熱するとトロッとした食感と

  甘みが出てきますので、てんぷらやギョウザに入れたりもできます。

 

<おすすめの食べ方と保存方法>

さわやかな辛みが、脳内を刺激し、まさに暑い時季のための野菜だと納得する味。

とはいえ、味噌をつけてそのままぽりぽりとかじるのが定番で、食べ方のバリエ

ーションが多くないと思われがちなのが残念なところです。でもひと手間加える

と違う食感が味わえます。

 

1.おすすめの食べ方:

①定番は生で味噌をつけて食べたり、細かく切って薬味のような使い方です。辛

  味が気になる方は塩もみした後にさっと水で洗うか、炒めて食べてください。

②天ぷら:カラリと揚げた天ぷらは、エシャレットの香りと食感を味わうのに

  ぴったり!余計な味が入らないことで、エシャレット本来のおいしさが引き

  出されます。何本でも食べられちゃいます。おススメです!

③エシャレット入り卵チャーハン:ねぎの代わりにエシャレットを使ったチャー

  ハン。エシャレットの味と食感がよいアクセントになっています。

  いつものチャーハンに飽きたときに、ぜひ作ってみてください。

④エシャレットのベーコン揚げ:まるでフライドチキン?ユーモアたっぷりの

  見た目もかわいいエシャレットのベーコン揚げ。ベーコンの旨みとエシャ

  レットの辛みが相まって最高なんです!おもてなし料理にもぴったりです。

⑤エシャレットの和風バター醤油パスタ:にんにく香る、エシャレットの和風

  パスタ。エシャレットを斜めに切ることで形が崩れず、より食感を楽しめ

  ます。コク旨のバター醤油にエシャレットのさわやかさをプラスした、一

  味違ったパスタです。

➅エシャレットのお手軽チヂミ:フライパンで簡単!お手軽チヂミ。エシャ

  レットをチヂミの具にすることで辛みが和らぎ、苦手な方でもおいしく食

  べられちゃうレシピです。


  尚、生で食べる場合には水道水で表面の汚れなどを洗い流してください。

2、保存方法:冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食してください。

 

<エシャレットの栽培>

エシャレットの栽培は土壌づくりに機械の手を借りても、栽培作業の植え付けから

収穫までほとんどが手作業です。そして、一般的なラッキョウ作りとは栽培方法が

少し違い、深植えをして白い部分をできるだけ多くつくります。白い部分が7cm以

上のものだけを「エシャレット」として出荷します。茨城県の露地栽培では、耕し

た畑に9月ごろ種球を植え付け、収穫までの間に四回ほど土を根元に寄せることで、

白くて柔らかい部分を増やしていきます。収穫は翌年の4月~8月で、出荷時期は

5月下旬~8月で初夏から夏にかけて出回ります。

行方市の農家・島田さんは「こだわりは土作りですね。作物はそれぞれ、作った土

から出る味があると思うんです。力強い土からは、力強い味が出る。いくらキレイ

な形をしていても、やっぱり食べ物は「味」。毎年、種を撒く前の年から畑に完熟

たい肥や緑肥を入れて土作りをしています」といっています。

 

<JAなめがたしおさいのエシャレット部会>

部会員は180名を超えます。日本トップの産地として、作り手も多い中で、島田さん

をはじめ生産者は、品質や味のバラつきが起こることを懸念しています。そのため、

JAなめがたしおさいでは、栽培技術委員会を立ち上げ、行方市内の北浦地区・麻生地

区・玉造(たまつくり)地区の各地区ごとに、定期的に目揃え会(※)や栽培講習会を

実施し、産地のブランドを守っているそうです。また、平成26年からは種球(たねだ

ま)をお湯で消毒する「温湯消毒」による減農薬栽培も実践しています。島田さんは

「毎年全員の畑を土壌診断して、施肥設計を行い、土作りをしっかりとしてから生産

に入ります」といっています。


※目揃え会とは…ブランドを守るため、生産者が成果物を持ちより、サイズ・品質

 ・選別基準等を話し合い、出荷規格の統一を図るもの。

 

エシャレットは味噌につけるだけで酒の肴になります。肴は炙ったイカだけではな

いのです。肴は味噌ったエシャレットもいけるんです。それに、暑くなると食欲不

振になりがちですが、さっぱり食べられるエシャレットを食べれば、元気に夏を乗

り切れますよ。

 

是非、行方のエシャレットをご賞味あれ!

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする