ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:パワフルフードの「くわい」をご賞味あれ!

2024-01-22 07:15:48 | 日記

「慈姑(くわい)」は丸い塊茎の部分から芽が伸びている姿から「芽(目)が出る」縁起物
として、お正月のおせち料理に欠かせない食材ですね。そのため、11月下旬~12月下旬まで
が出荷の最盛期という、短期集中型の値段の高い高級冬野菜となっていますが、実はくわい
の収穫の時期は秋~春までと以外に長いのです。ですから、お正月を過ぎると急に値段が安
くなりますので、時期外れの今頃は安く手に入ります。国内で生産されるくわいは、皮が美
しい青色の青くわいがほとんどで、独特のほろ苦さがあり、加熱するとホクホクした食感に
なります。含め煮などの和食が一般的ですが、素揚げやクリーム煮にしても楽しめます。
茨城県はこのくわいの生産量が国内第3位です。(でも、シェアは高くないですが・・)
くわいは中国原産のオモダカ科の水性野菜で、見た目は里芋に似た球形です。中国と日本で
しか栽培されていないようで、中国のものが「白くわい」と呼ばれ、日本のものは青いので
「青くわい」と呼ばれています。中国のものは、しゃきしゃきした独特の歯ざわりがありま
す。今回は日本のもので茨城県産の「くわい」の紹介です。

<くわいの歴史>

くわいという名前は、「鍬芋(くわいも)」から来ているといわれ、芽が鍬に似ていること
が由来だとか。くわいは中国南部が原産地とされていて、日本へは平安時代には伝わってい
たといわれています。平安時代の書物「本草和名」では「烏芋(くわい)」の項で「於毛多
加(おもだか)」「久呂久和為(くろくわい)」とあり、同じく平安時代の「和名抄(わみ
ょうしょう)」でも「烏芋」が紹介されているそうです。くわいがいつ頃から食べられてい
たのかは定かではありませんが、少なくとも江戸時代には広く食べられていたようです。
食用にしているのは日本と中国だけのようです。

くわいの国内生産量ランキング(2020年)>

1位が広島県147t(54.0%)(福山市、東広島市、世羅町)。2位埼玉県90t(33.1%)(さいたま
市、越谷市、草加市)この2県だけで87%のシェアです。そして、3位が茨城県で13t(4.8%)
(かすみがうら市)です。

くわいの栽培品種>

(1)青くわい(アオクワイ)
       国内の各地で栽培されているのはほとんどがこの品種です。正月のおせちに入るのも
   これを使います。扁球形で皮が青みがかっていて、肉質がやわらかくホクホクとした
   食感が特徴。別名「京くわい」や「新田くわい」ともいわれます。京野菜や加賀野菜
   としてのくわいも在来の青くわいです。出回り時期は11月下旬から1月下旬頃。
(2)吹田くわい(スイタクワイ)
   大阪府吹田で古くから栽培されている青くわいより小ぶりの品種です。皮は青〜赤紫
   色で苦味が少なめ。口当たりのよい緻密な肉質で、栗のような食感があります。くわ
   いの中では一番食味がよいとされています。小粒なので「姫くわい」「豆くわい」と
   もいわれ、なにわの伝統野菜の1つに指定されています。
(3)白くわい(シロクワイ) 
   中国の品種で、青クワイよりも大きな楕円形で、硬めで味的には青クワイより劣りま
   す。日本にはお正月時のみに輸入されますが、国内ではほとんど生産されません。
(4)大黒くわい
   日本のくわいとは別の品種で、中華料理で炒め物などに使われています。サクサクと
   した食感が特徴です。青くわいや吹田くわいはオモダカ科ですが、この大黒くわいは
   カヤツリグサ科なのです。皮が黒く果肉は白色。中華料理でよく使われ、シャキシャ
   キした歯触りが魅力。炒め物や揚げ物などにも使います。ちなみに、日本に古くから
   自生していた「黒くわい」もカヤツリグサ科なのでこの大黒くわいとは近縁になります。

くわいの豆知識>
1.おめでたい「くわい」
  縁起ものの理由は「芽(目)が出る」だけではないのです。くわいの塊茎(芋)は水鳥のく
  ちばしのような大きく長い芽があること、茎葉は夏の最盛期には、3日に1枚展葉するな
  ど旺盛な生育をすること、塊茎の着生は慈母が幼児に授乳する様子を連想させることか
  ら、健康で立身出世をする、幸運にめぐり合う、子孫が繁栄するなど、おめでたい野菜
  として利用されています。
2.日本と中国以外ではほとんど栽培されていない
  日本と中国でしか栽培されていなくて中国は南部、日本は広島県、埼玉県、茨城、大阪
  府、石川県などで栽培されています。平安時代ぐらいに中国から伝わり、生産されるよ
  うになってきました。中国産は白くわいと呼ばれ、色は薄く少し硬さがあるのが特徴で
  す。そして、日本でくわいの生産量が高いのが、広島県の松山市が1位で、埼玉県と続い
  ていきます。日本で栽培されているのが青くわいと呼ばれ、独特のほろ苦さ、つやのあ
  る青みを帯びた色、ホクホクした食感が特徴です。日本で一般的に出回るのが、青くわ
  いと言われています。他は大阪府吹田で古くから栽培されている、小ぶりのくわいが吹
  田くわいや姫くわいと呼ばれています。甘みがあり栗を思わせる味となっていますが、
  生産量が少ないので一般には、あまり出回ることはないようです。
3.栄養価と効能
  くあいは、お正月のおせち料理によく使われる野菜ですが、普段の食事にもおすすめで
  す。くあいには、カリウム、炭水化物、ビタミンE、銅、葉酸などの栄養素が豊富に含
  まれています。

(1)カリウムは、むくみや高血圧の予防や改善、筋肉の収縮の正常化などに役立ちます。
(2)炭水化物は、身体や脳の活動に必要なエネルギー源となります。くあいは高タンパ
   クな野菜でもあり、筋肉や骨の形成にも重要です。
(3)ビタミンEは、抗酸化作用で老化防止や美肌効果があります。また、血行を良くして
   冷え症や肩こりなどを改善したり、ホルモンバランスを整えたりする効果もあります。
(4)銅は、鉄の利用を促進して貧血の予防や改善に効果があります。また、髪の毛の黒色
   素やコラーゲンの生成にも必要なミネラルです。
(5)葉酸は、DNAやタンパク質の合成を促し、細胞の新生を進めます。特に妊娠中や妊娠
   を希望する女性には必須の栄養素で、胎児の先天性異常の予防や造血の効果がありま
   す。
4.くわいの芽は食べられるのか?
  縁起物とされる理由となった「くわいの芽」は、 苦味があるのであまり食べられていま
  せん 。しかし、毒性などは一切ないので食べることができます。丸い部分は芋類のよう
  にホクホクとした食感ですが、芽はやや硬く、好き嫌いが分かれる部位です。煮物など
  料理に使う時は芽も一緒に調理することが多く、エビの尻尾のように食べる時に避ける、
  といった感じです。
5.くわいの下処理方法と剥き方
 (1)下処理:くわいはアクが多いため、アク抜きが必要です。薄皮を2枚ほど剥がし、
        芽を2cm残して切り落とす冷水に入れて1時間ほどさらす。そして、

         <アク抜き>沸騰後弱火にしたお湯で10分ほど茹でる
         <下茹で>下茹ではできればお米のとぎ汁を混ぜると好ましいです。ない場
             合は、少量の小麦粉で代用できます。
 (2)剥き方:くわいには薄皮がありますが、下処理の段階では1〜2枚程度剥がすのがオ
        ススメです。芽が折れないよう、芽の反対側に切り込みを入れて剥くと綺麗
        に剥けます。
6.くわいの選び方
  芽がきれいに伸びていて、皮にツヤのあるものを選びましょう。芽がしっかりと伸びてい
  て、皮が乾燥しておらず光沢のあるもの。色はなるべく青みのきれいなものがよいでしょう。
  サイズは直径4cmくらいまでを目安に。素揚げにする場合は直径1.5cm~2cmくらいの小さ
  いものがおすすめです。
7.くわいの保存方法
  購入してきたくわいは、数日で使ってしまう場合は乾燥しないように、袋に入れるなどして
  冷蔵庫の野菜室で2~3日保存できます。もう少し長く保存したい場合は、さっと水洗いして、
  そのまま口が閉まるジプロップやラップにしっかり包んで冷蔵庫の野菜室で保存するか、ボ
  ールやタッパなどの容器に水を入れてくわいを浸して冷暗所に置いてくともう少し長く
  (2週間くらい)保存することも可能です。少し長く保存する時の注意は浸している水はこ
  まめに変えるようにしてください。
8.くわいの花
  花には3枚の花弁があり、雌雄異花です。雄花は多くの黄色い雄ずいを持ち、花穂の上部につ
  きます。雌花は花穂の下にあって、多くの雌ずいを持ちますが、結実することはまれです。
9.くあいの収穫時期と旬
  くあいの収穫は9月ごろから始まり春先まで続きます。しかし、年間流通量の大半は11月下旬
  から年明けの1月ごろまでに集中しています。その意味ではこの時期が旬といえますね。又、
  年明けには一気に値段が下がり、価格が落ち着くので、お買い得になります。

くあいの美味しい食べ方>
 (1)くあいはお正月料理に欠かせない縁起の良い食材ですが、そのほかにも素揚げやクリーム
    煮、くわいご飯などにしても楽しめます。
 (2)くあいを調理するときは、皮をむいて芽の部分を少し残し、水につけてアクを抜きます。
    その後、だし汁や調味料で煮たり、油で揚げたりします。
 (3)くあいの煮物は、一度しっかり冷まして味を染み込ませた後に食べることがポイントです。

  くあいの食べ方はいろいろありますが、基本的には皮をむいてアク抜きをした後に煮物や素揚
  げにするのが一般的です。煮物の場合は、だし汁、砂糖、みりん、醬油、塩で煮含めて味をし
  み込ませます。素揚げの場合は、油でカリッと揚げて塩をふって食べます。くわいの芽はサク
  サクとした食感が楽しめるので、炒めたり、サラダにしたりするのもおすすめです。くわいは
  温かいままでも食べられますが、一旦冷蔵庫で冷やすことで、味がしっかりとなじみます。
  くあいは見た目も可愛く、ほくほくとした食感とほろ苦さが特徴的な野菜です。

<茨城県のくわい栽培>
(1)6月中旬~ 施肥
    くわいを植える前に、田んぼに十分な肥料をまきます。収穫までの間に1回~2回の追肥を
    行います。
(2)6月下旬~7月上旬 植付け
    前年のくわいから、傷や病気のないものを選び貯蔵しておいたものを、種芋として植付け
    ます。機械化は難しく、手作業で行うため、非常に重労働です。
(3)8月 葉欠き
    葉を剪定することにより、根の栄養がくわいの実にいきわたるようにします。また、風通し
    をよくして病気の発生を少なくする効果もあります。これも全て手作業です。
(4)8月下旬~9月上旬 走り切り(根回し)
    大きなくわいをつくるため、走り切りといわれる最初の頃に出来た根の部分を切る作業を行
    います。根の周り、10cm~30cm程度を鎌などで切ります。
(5)11月中旬 収穫調査
    収穫を目前に控え、各地区では「坪堀り」と呼ばれる収穫調査が行われます。くわいの田ん
    ぼ1坪を掘り上げ、収量や規格(大きさ)、品質を調査し、全体の予測をします。収穫に備え
    る大切な調査です。
(6)11月下旬~12月上旬 収穫
    クワイはレンコンと同じ水生植物で、ハス田よりも浅い、深さ40~50センチほどの場所で育
    ちます。そのため、ホースの水圧を横から当ててくわいをすくうようにして掘り出します。
    最盛期にはほぼ毎日、午前7時半から午後3時ごろまで水に漬かっています。真冬の水の中で
    行う、非常に厳しい作業です。
(7)皮むき・選別・箱詰め・出荷
    掘り出して水洗いした後は、手袋を付けた手で皮をむいていく。一日あたり6~7時間かかる。
    次々と皮むきされたくわいはサイズごとに仕分けられ、水に一晩さらして細かな汚れを落と
    してから選別、箱詰めされる。箱詰め作業では、ざっくりと収納するのではなく、整然と並
    べる。丁寧に梱包された青く光沢のあるクワイは、各家庭で正月を迎えるため、きれいな姿
    になって出荷されます。

  JA水郷つくばによると、ここのところコロナ禍でお家時間が増え、高級おせちを注文する人が相
  次ぎ、クワイの需要が増加。今年もその傾向が続いているそうです。

  くわいは、血行を促進して、肩こりや関節痛などの改善に役立ち、美容面においてもダイエット、
  美白におすすめ。また、のどの炎症、せき止め、たんのからみにもよいといわれる「のどあめフ
  ード」でもあります。さらに利尿作用が高く、むくみ、結石にも威力を発揮!
  お正月に食べるだけでは、もったいないパワフルフードなのです。

是非、茨城県産のパワフルフードの「くわい」をご賞味あれ!

 

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