ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:常磐ものの「ヤリイカ」はイカの最高峰

2022-05-05 08:03:38 | 日記

 

茨城沖の太平洋で、春に旬を迎えるのがヤリイカ。甘味が強く、柔らかいのが特徴です。

イカ類の漁獲量が関東圏1位の茨城県は、中でも高級イカとして有名なヤリイカの一大漁

場です。そして、最大の水揚げを誇るのが那珂湊漁港です。その那珂湊漁港で水揚げさ

れたヤリイカの船上体験が3月のテレビ番組で紹介されていました。ヤリイカは大きくな

ると体長は40センチほどになり、ほっそり型で、ヒレが大きく、腕は短く槍の穂に似た

姿をしていて名前の由来になっています。旬の時期のヤリイカは身が厚く、味わいは絶

品。簡単に皮が剥けるうえ、火を通しても身が硬くならないので、調理のバリエーショ

ンが広がります。刺身にすれば程よい食感のなかに甘みと旨味が楽しめ、火を通しても

身が柔らかく、煮ても焼いても食べやすくて美味しい。茨城沖のイカは常磐ものと言わ

れ、イカの最高峰として市場で取引されています。今回は茨城沖のヤリイカをご紹介し

ます。

 

<世界のイカ類漁獲量ランキング>

イカ類は世界で約450種、このうち食用となるのは約30種類といわれています。この食

用イカの消費量国世界一はなんと日本なのです。全体の約半数というから驚きです。

日本は他の国に比べて、イカを好んで食べる国民であることがこの数値でよくわかりま

す。でも漁獲量は1位ではありません。現在の世界のイカ類漁獲量ランキングでは1位が

中国、2位ペルー、3位インドネシア・・・・10位が日本(2019年)です。過去には1位

中国、2位ペルー、3位韓国、そして第4位に日本という年(2013年)もありました。

 

<都道府県別イカ類漁獲量ランキング>

国内でのランキングでは1位は青森県、2位北海道、3位長崎県・・・10位が茨城県

(2019年)でした。近年の日本沿岸でのイカ漁獲量は全国的に不漁で5年で1/3以下にな

って、輸入イカが増えています。

 

<イカの豆知識>

1.日本で捕れるイカの種類:大きく二つに分類されます。

(1)ツツイカ目:見た目は胴が細長く筒形。先端にエンペラと呼ばれる三角形の 部分

         が左右にある

(2)コウイカ目:ぽってりとした大きめの胴体の中に石灰質でできた甲(「フネ」と

         呼ぶ)を持っている

2.日本の近海で獲れる食用イカの代表的な種類

(1)庶民の味方!スルメイカ:ツツイカ目。細く切った刺身である「イカそうめん」

    や、天日で干した「スルメ」で食されることが多いイカです。ねっとりとした

    甘さに加え、腑(内臓)の味がとても良いので、塩辛を作る際もこのスルメイカ

    が用いられる事が多いのです。調理する際にはアニサキスという寄生虫が居る

    ことがあるので注意が必要です。

(2)北の刺身イカの代表はヤリイカ:ツツイカ目。甘さが控えめで食感が良いのが特

    徴。調理法は刺身、煮付け、焼き物と、種類を問わずにさまざまな料理にマッチ

    します。冬の高級刺身イカとして知られ、その上品な味は多くの人を魅了してい

    ます。スーパーに出回る事は殆ど無く、料理屋や寿司屋で味わう事が多い。

(3)南の刺身イカの代表はケンサキイカ:ツツイカ目。上品な味わいが特徴です。刺身

    やナメロウでの生食、天ぷらや炒め物と調理法を問わず美味しく食べられます。

    南の方で多く水揚げされ、ヤリイカと見た目が似ていて、同じく高級イカとして

    市場に出回らず、料理屋や寿司屋で味わう事が多い。

(4)近年注目を集めるアカイカ:ツツイカ目。形こそスルメイカに似ているが、全長

    40~50cmの大型イカです。燻製やサキイカ、ソフトサキイカ、冷凍食品などに

    加工されるため鮮魚で流通することは少ない。火を通したり加工したりしても

    身が固くなりにくいことから、1970年代中ごろから注目を集めるようになった。

(5)暗い海に輝く宝石!ホタルイカ:ツツイカ目。キラキラと光って綺麗なホタルイ

    カ。富山県が有名な産地で、春の風物詩とされていますね。非常に美味しいこ

    とで有名ですが、内臓に寄生虫などが居る可能性が高いので、調理の際には内

    臓をしっかり取り除き、加熱して食べるようにしてください。

(6)季節を感じさせる!コウイカ:コウイカ目。肉厚ながら柔らかく甘い身が特徴。

    刺身や寿司ネタにはもちろん、熱を通しても硬くなりにくいので、天ぷらにし

    たり茹でたりして食べるのがおすすめです。

(7)キングオブスクイドはアオリイカ:ツツイカ目。その味から、「イカの王様」と

    称されています。見た目はコウイカと似ていますが、おでこに甲骨が入ってら

    ず、頭を割ると平べったい軟骨が入っています。呈味成分である遊離アミノ酸

    が国産のイカとしては最高水準であり、旨みが非常に強いです!


食用イカは、軟骨とクチバシ以外ほぼ全身が使われます。そして、殆どの種類が寿命1年です。

3.イカの栄養素と効能

   イカは低カロリー・低脂質な食材で、良質のたんぱく質やコレステロール・タウリ

   ンなどが豊富に含まれています。タウリンには、血中コレステロールや中性脂肪を

   下げる効果だけでなく疲労回復効果も期待できます。しかし、イカにはプリン体が

   多く、食べ過ぎると痛風につながる可能性があるだけでなく、噛み応えもあり胃腸

   に負担がかかりやすい点からも、食べ過ぎには注意したほうが良い食材と言えます。

   またイカには妊娠中に必要な栄養素が豊富ですが、抵抗力が落ちているため、生よ

   り加熱調理したイカを食べると良いでしょう。

4.イカ釣りに行くときの豆知識

①シーズンに合わせた釣り方が大事:イカはその多くが1年で死んでしまいます。そのた

   め釣れるサイズまで大きくなっているシーズンや釣りやすい季節を知って狙わない

   と釣れないことが多いです。

②鮮度が命!イカの締め方:釣れたイカの鮮度を保つためには、締め方を知っておきま

   しょう。急所を知っておき、イカ締め用の道具を持っておいてコツを掴めば簡単

   に締めることが出来ます。活かしたままにしておくと、鮮度が落ちてしまいます

   ので注意してください。

5.ちなみによく耳にする「真イカ(マイカ)」というのは俗称で、分類上の正式な名

   称ではありません。スルメイカやヤリイカの大型のものが真イカの市場名で店頭

   にならぶことがあります。

6.イカは漢字で「烏賊(カラスの賊)」と書きます。海面に浮いているイカを死んだ

   ものと思い、食べようと海面に下りてきたカラスが、イカを捕まえようとした瞬

   間、イカはその足でカラスに絡みついて海中へ引き摺り込み、逆にカラスを食べ

   てしまうということから中国では烏賊と書くのが日本にも伝わったそうです。

 

<茨城県のヤリイカ漁>

茨城県でのヤリイカ漁は主に底びき網によって1~5月に行われ、2~4月に旬を迎えます。

主な水揚港は那珂湊より以北です。そして旬の後半に向かうにつれて身が厚く、雌は卵

を持つようになって食べごたえが増していくと言われています。ヤリイカは生きたまま

の水揚げが多く、冷凍よりも新鮮な生が出回る傾向があります。身は薄いもののスルメ

イカより味に甘みと品があり、寿司種として人気があります。ヤリイカを干したスルメ

は「笹するめ」、「竹葉するめ」の名で高値です。栄養値はスルメイカとほとんど同じ。

 

<茨城のヤリイカ漁は朝が勝負>

底引き網漁が茨城沖の主力漁法です。狙いはスルメイカ、ヤリイカ、コウイカなど。

ヤリイカの旬である2月。陸の灯りが静かに灯る夜明け前の3時30分、那珂湊港を底びき

網漁船が僚船と一緒に出港します。甲板では船の灯りに照らされた漁具の最終点検を

3人の乗組員が行っています。なぜ、朝が勝負なのか。答えは「夜中、中層に浮いてい

たイカが朝には底近くに沈んで、網によく入るようになる。晴天で潮が澄んでいると日

があがって明るくなると獲れない。潮が濁っていれば晴れていても獲れる。曇っている

日は1日獲れる。やっぱり網がみえてるんじゃないかな。」だそうです。5時22分、投網

が始まり、およそ30分経ってから網を曳き始めます。漁場の水深は約130メートル。底

びき網は、通常、水深の3倍の長さのワイヤー等で曳かれるから船から網までの距離は約

400mもあることになり、網の揚げ降ろしだけでも時間がかかる。しかも、それだけ船か

ら離れたところにある漁具でも、船長はギリギリの調整を行っているという。「底は擦る

けどゴミは入れない。ゴミをきらって網を浮かせばイカは網から逃げる。」まさに長年

の経験がなせる技。これも本当に驚きです。その他、釣り漁法も盛んです。

※ゴミ:ここではヒトデなど水揚げしない底生生物や海底の石などのこと。

 

刺身や煮物、フライなど、調理方法によってさまざまな味を楽しめるイカ。学校の給食で

もよく使用される素材で、お気に入りの献立があったという人も多いのではないでしょうか。

是非、常磐もののヤリイカをご賞味あれ!

 


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