ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

東京駅と寝台特急

2014-12-22 08:11:21 | 日記




夫:オッ、寝台特急「富士」が走り出したよ!東京駅のホームは観客で一杯だ!

妻:エッ!「富士」は4、5年前に引退したんじゃなかったっけ。復活したの?


テレビニュースの画面に老夫婦は釘付けになっています。
東京駅開業100周年を記念したイベントのひとつ、「101年目の出発式」と銘打って、
寝台特急「富士」が臨時団体列車として、東京から伊東まで運行されたのだそうです。


夫:ちゃんと走れるように整備しているのなら、定期的に運行すればいいのにな。

妻:そうよ、走らせるべきよね。私たちの想い出の列車なんだから。

夫:廃止する理由があったんだろ。僕たちは「富士」と「あさかぜ」には何度も乗ったね。

妻:乗った、乗った。懐かしいな~、このブルーの車体。寝台車の上段と下段のどちらに
  寝るかを決めるのに、あなたとジャンケンしたこともあったわ。朝、下車するまでの
  時間、下段同士になった初対面の人と話に花が咲いたこともあったし。

夫:寝台特急って、もうほとんど走っていないんだよね。時代遅れになっちゃったのかな?

妻:採算が合うほどの利用者がいれば、廃止しないでしょ。利用者の減少と車両の老朽化
  が原因なんじゃないの?だけど、時代遅れって言葉は嫌だな。

夫:新幹線であっという間に目的地に行けるようになったのも原因なんだろうね。移動時間
  を短縮できれば、滞在時間が長く取れるし、寝台列車はちょっと割高に感じられたのか
  もしれないし。

妻:宿泊込みの値段なんだから多少は割高になっても仕方ないじゃない。

夫:格安ホテルが増えたから、サッサと移動してホテルに泊まる方が好まれたのかも。新幹
  線だけじゃなく、国内線の旅客機を利用する人も増えて、乗り物が移動手段に過ぎなく
  なっちゃったね。

妻:そこよ、残念なのは。寝台列車には旅情というものが漏れなく付いていたのに、それを
  味わうことができなくなっちゃたのよ。白々明けに見た瀬戸内海は本当に美しかったわ。
  何度も何度も見たけれど、見飽きることなんてなかった。ア~、いつかまた、あの景色
  を眺めたいけど、もう無理なのね。

夫:最近話題の「ななつ星」があるじゃないか。あれに乗れば、ゴージャスな旅情を楽しめ
  るよ、きっと。JR九州の管轄だから、瀬戸内海を見ることはできないけどね。

妻:「ななつ星」ネ~。私に言わせれば、あれは庶民感覚とは、かけ離れ過ぎてる。コツコ
  ツ働いて、いつか乗ってみたいと思う人も多いとは思うけれど、高嶺の花だわ。

夫:JR九州といえば、<指宿のたまて箱>や<いさぶろう・しんぺい号>が良かったな。

妻:3年前のあの旅は最高だったわね。<指宿のたまて箱>では車窓から桜島の雄大な姿を
  ゆったりと眺められたし、車内も素敵だった。出入口から白い煙が立ち昇った時には、
  白髪が増えそうだから、サッサと逃げちゃった・・・なんてね。
  <隼人の風>に乗れなかったのが今でも心残りよ。

夫:他にも乗りたい列車があるけど、列車旅のテレビ番組が増えたから、実際には旅に出
  なくても、疑似体験ができちゃうよ。年金生活の我々にとっては、ありがたい番組だ。

妻:そうね。だけど、いつか寝台特急が復活したら、一緒に乗りましょうね。

夫:チャンスがあれば、是非、そうしたいな。

妻:話は変わるけど、東京駅って素敵に変身を遂げたわね。構内も外観も。

夫:特に開業当時の姿に復元された丸の内駅舎が素晴らしいな。

妻:そうそう、美しいし上品さと重厚感を感じさせるわ。先日の夜、<JPタワーKITTE>
  の屋上庭園から駅舎を眺めて「よくぞ、復元してくれた!」と、感激したばかりよ。

夫:同級生との忘年会の時だね。周辺のイルミネーションもキレイだったそうじゃないか。

妻:しっかりと楽しんできたわ。

夫:近い内に一緒に行こうよ。僕は今年、まだイルミネーションを見ていないんだ。

妻:そうだったっけ?今年も見どころが多いようだから、クリスマスからお正月にかけて
  出かけてみてもいいわね。

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