ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城郷土料理自慢:3回目は「県南地区の郷土料理編」

2024-10-14 06:56:00 | 日記

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、登録申請した内容が評価されたという
ことですよね。その内容は「一つ目は日本人が抱く自然を尊重した精神を体現した食であり、
二つ目は特定の調理法や具体的なメニューがあるわけではなく、和食全体を巡る日本の文化」
となっています。和食には4つの特長があって、

1.多彩で新鮮な食材とその持ち味の尊重:海、山、里と多様な食材と、素材の味わいを活
  かす調理技術や調理道具も発達している。

2.栄養バランスに優れた県好意的な食生活:一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは
  理想的な栄養バランス、「うま味」を生かした動物性油脂の少ない食生活。

3.自然の美しさや季節の移ろい表現:食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現す
  る。季節の花や葉などで料理を飾りつけ、季節に合った調度品や器を利用する。

4.正月などの年中行事と密接な関わり:自然の恵みである「食」を分け合い、家族や地域
  の絆を深めている。

農林水産省では、2023年でユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎える中、第4次食
育推進基本計画(令和3年3月食育推進会議決定)を踏まえ、日本人の伝統的な和食文化を次
世代に継承していくための活動に力を注いでいます。

その活動の中の一環として、「和食」の特徴である、全国各地で受け継がれてきた地域固有
の多様な食文化を地域ぐるみで次世代に継承していくことを目的に、「うちの郷土料理~次
世代に伝えたい大切な味~」を令和元年に開設しました。そして、毎年都道府県別に郷土料
理として認定した品目をデータベース化して発信してきました。そして、令和4年に20都府
県579品の追加掲載をしました。これにより掲載品目数は1,365となり、全47都道府県の郷土
料理が勢ぞろいしました。各地域で選定された郷土料理のいわれや歴史、そしてレシピ等に
とどまらず、郷土料理を生んだ地域の背景等についてもデータベース化して広く情報発信を
しています。「家庭での調理や外食企業でのメニュー化、食品製造企業での商品化、郷土料
理の調査などに是非、ご活用ください」と言うのが狙いです。このデータベースを覗いてみ
ましたが、各地域の郷土料理がかなり広い視点で捉えられており、読み物としても大変面白
いです。各都道府県から30品目前後が選抜されて登録されています。茨城県では30品目が登
録されました。
今回はこの選定が納得できるものなのかどうか、私見で納得度の評価してみたいと思います。
今回は3回目で「県南地区の郷土料理編」で8品目です。

 

<農林水産省が定義する「郷土料理」とは>

「うちの郷土料理」の選定基準

1.必須項目

(1)地元で入手できる食材を利用する:地元で生産された食材のみならず、流通網の発展等
   により他の地域から入手した食材を用いた郷土料理も含む。

(2)歴史・文化・風習的な特徴、又は気候・風土を背景とした特徴がある

(3)家庭・地域で作られ、継承されている

(4)全体数のうち1~2品以下:(1)~(3)の選定基準(必須項目)に当てはまらないが、
   歴史的に残すべきと考えられる

2.推奨項目

(1)地域において人気・愛着がある

(2)都道府県内の地域バランスに著しい隔たりがないか

(3)伝統的な郷土料理から、現代的な文脈で変容したレシピである

(4)地域におけるメニュー化や新たなレシピ化などの次世代継承に向けた「新しい価値」の
   提供があるか

 

※データベースからダウンロードできる画像は二次利用も可能です。

    ※茨城県では7名の方が検討委員会の委員として公表されています。

 

(データベースに記載されている茨城県の郷土料理30品目の地区別の振り分け)

1.県北地区:「つけけんちん」「干し芋」「いわしの卯の花漬け」「柚子大根」「手作り刺
        身こんにゃく」「凍みこんにゃく」「あんこうの共酢」「バイタ焼き」
       「赤餅」 (9品目)

2.県央地区:「煮合い」「紫錦梅」「こも豆腐」「五目いなりずし」「そぼろ納豆/しょぼろ
        納豆」「かぼちゃのいとこ煮」 (6品目)

3.県南地区:「ワカサギとれんこんの酢漬け」「がりがりなます」「たがね餅」「小倉れん
        こん」「うなぎの帆引き煮」「鯉の唐揚げ」「ピーナッツ味噌/落花生味噌」
       「れんこんのきんぴら」 (8品目)

4.県西地区:「しもつかれ/すみつかれ」「すだれ麩(ふ)のごま酢和え」(2品目)

5,鹿行地区:「はまぐりごはん」「ござい漬け」「海藻よせ」「みつめのぼたもち」「いも
        がらの炒め煮/いもがらの五目煮」 (5品目)

 ※県全域など地域表示のない品目もありますので、この割り振りは私見が入っています。

 

<今回紹介する茨城県南地区とはどんなところか>

茨城県内で最も人口が多い地域で、約100万人が暮らしています。この地域は東京の都心に近
いことからベッドタウンとして発展し、筑波研究学園都市の存在もあり、人口が増加してい
ます。また、つくばエクスプレス沿線や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの交通イン
フラも整備されており、近代都市としてのさまざまな特色を持つエリアとなっています。
しかし、ドカンと霞ヶ浦を包含しており、昔から霞ヶ浦を糧として生活している人も多いので
す。霞ヶ浦の帆引き船は今では観光用になっていますが夏の風物詩です。

<県南地区の郷土料理の特長>

国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦と利根川に囲まれた穀倉地帯でもあり、稲作の歴史も長いで
す。また、霞ヶ浦の湖畔での「れんこん栽培」も盛んです。土浦市は、れんこんの作付面積
・生産量ともに日本一。土浦のれんこんは、肉厚で繊維質が細かいのが特徴で、1年を通して
出荷されています。この地区の郷土料理はこの霞ヶ浦と深く関わっているものが多いのです。

 

県南地区の郷土料理として選定されたのは8品目でした。早速、一品目毎に納得度の評価に
入ります。

 

1.「ワカサギとれんこんの酢漬け」

霞ヶ浦の特産品です. この料理は、ワカサギとれんこんを使って作られます。豊富な水と肥沃
な湿地帯に恵まれた霞ヶ浦周辺では、古くかられんこんの栽培が始まり、いまでは国内生産
量日本一の産地として知られています。ワカサギは骨が柔らかく、丸ごと食べられるため、
手軽に調理できることから多くの人に親しまれています。この料理は、酢を使って味付けされ
るため日持ちが良く、さわやかな風味を楽しめます. 食べ方は、ワカサギのうろこを取り、塩
水で洗って水気を切り、片栗粉をまぶして油で揚げ、れんこんは薄切りにして甘酢に漬け込む
という手順です。現在では、南蛮酢(甘酢、醤油、唐辛子)を使って「南蛮漬け」としても食
べられています. この料理は、夏から冬にかけて収穫されるワカサギとれんこんを使って作られ、
地域の伝統的な味を次世代に伝える大切な料理となっています。レンコンそしてワカサギは共
に霞ヶ浦があって存在しています。地場特産品として、登録に納得です。

 

2.「がりがりなます」

目の粗いおろし器でおろした大根とにんじんを和えた酢の物です。白と赤の色合いが目にもおめ
でたい紅白なますは、お正月にはなくてはならない一品です。その最大の特徴は調理器具にあり
ます。「がりがりなます」の名の通り、大根を「鬼おろし」という器具を使用して、“ガリガリ”
と粗くすりおろしていく。「鬼おろし」とは、竹製の鋭利な刃がついたおろし器のこと。その歯
が鬼の歯を連想させることからその名がつきました。この地域では、鬼おろしを保有している家
庭も少なくないです(我が家も使っている)。竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらには一
般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、素材の水分や食感を残しておろすことができ
ます。レシピを試してみる際は、材料は、「だいこん、にんじん、フナ(酢漬け)」で、「だい
こんとにんじんは、鬼おろしでおろし、フナの酢漬けを加え、合わせ酢(酢、砂糖、塩)と混ぜ
合わせる」のが基本です。小骨など気になる場合はコイやタコを使用してつくられることもあり
ます。つくりたてを食べると素材の味を楽しめるが、味が馴染んでからも美味しくいただけます。
実は「がりがりなます」は、県内全域で食べられていますが、酢漬けの魚は霞ヶ浦産のフナが基
本ですので、この地域の郷土料理としました。登録に納得です。

 

3.「たがね餅」

たがねとは、浸水した生米をつき、かためたもので、「しとぎ」の古語といわれています。しと
ぎとは、米粉ともち米を楕円形にした餅のことで、神前などのお供えものとしても使われます。
そんなたがね餅は古くから茨城県で親しまれてきた餅料理のひとつです。茨城県では、たがね餅
は多くの家庭で手作りされます。材料はもち米とうるち米、塩、青のり、白ゴマ、片栗粉だ。
まず、もち米を洗って一晩浸水し、うるち米は洗って1時間ほど浸水させておく。浸水させたもち
米とうるち米を合わせて水きりをしたら、蒸し器で1時間ほど蒸しあげる。蒸しあがったら餅つき
機でつく。そこに塩や青のり、白ゴマなどを混ぜる。なまこ型に整え、打ち粉として片栗粉をま
ぶす。なまこ型とは楕円形のかまぼこのような形のことです。1時間ほど置いて硬くならないうち
に1cmほどの厚さに切って、焼いたり、揚げたりして食べます。「たがね餅」はもち米とうるち米
を合わせて作る餅です。たがね餅は主に正月に食べられ、茨城県内では、正月が近くなるとスーパ
ーや道の駅など県内の多くの店には、たがね餅が並べられます。もともと、もち米は赤飯やおこわ
などハレの日に食べられることが多く、もち米とうるち米を合わせたたがね餅もハレの日に食べら
れることが多いのが特徴です。これも登録に納得です。

 

4.「小倉れんこん」

「小倉れんこん」は、れんこんと小豆を一緒に煮込んで作る料理で、特に「紫峰色(しほういろ)」
にするのがポイントです。この「紫峰」は、茨城県の名峰・筑波山の別称で、朝夕に陽を受けて山
肌が赤く染まることから名付けられました。作り方は、れんこんの穴に小豆を詰めて鍋でゆっくり
煮込む方法です。砂糖と塩を加えて味付けし、冷ましてから食べると美味しくいただけます。 お正
月には特に欠かせない料理とされています。茨城県は、出荷量および作付面積ともに全国一位で、
国内50%以上のシェアを誇るれんこんの産地です。霞ヶ浦周辺は、豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれ、
れんこん栽培が盛んに行われています。特産のレンコン料理です。登録に納得です

 

5.「うなぎの帆引き煮」

主な伝承地域は利根川、霞ヶ浦周辺です。うなぎといえば贅沢な食材ですが、かつてはこの地域では
よくうなぎが取れたため、茨城県ではうなぎ料理は一般的によく食べらました。このとき余ったうな
ぎを冷凍しておき、急な来客などがあったときに凍ったままのうなぎを手早く、豪勢な料理にできる
ようにと考えられたのが「うなぎの帆引き煮」です。“帆引き”とは、霞ヶ浦で漁業をおこなっていた
巨大で真っ白な帆が特徴的な“帆引き船”を指します。現在では、機械トロール船による漁になってい
ます。その巨大で真っ白な帆が特徴的な帆引き船を模した笹の葉をあしらったため「うなぎの帆引き
煮」と呼ばれるようになりました。現在、帆引き船は、春から秋にかけて観光用に運用されています。
食べ方は鍋に酒を入れ、煮立ったところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら醤油、砂糖を入れてふ
っくらと仕上げる。煮汁が煮つまってきたら、うなぎを取り出してさらに煮つめ、煮汁をうなぎにか
けていただく。多めの酒で煮ると、よりふっくらと仕上がる。大きめの笹を用意し、帆引き船に見立
てて飾ってから食べる。ごはんにのせてうな丼として食べても良い。また、山椒などの薬味を加えて
食べることもある。尚、霞ヶ浦のうなぎは川を下らず、海に出ない珍しいうなぎで、6月から10月ご
ろまでが旬とされています。登録に納得です。

 

6.「鯉の唐揚げ」

主な伝承地域 南部地域、霞ヶ浦・行方市・土浦市です。鯉の唐揚げが郷土料理として親しまれていま
す。この料理は、骨までそのまま食べられるため、子どもたちにも大人気で、学校給食のメニューにも
取り入れられています。鯉は、立身出世のたとえに使われる縁起物としても知られており、滋養に富む
魚として結納などの祝いの席や妊婦に食べさせる風習もありました。鯉の唐揚げは、コイの切り身に片
栗粉をまぶして揚げることで作られ、その風味は地域ごとにさまざまです。 作り方は、コイの切り身に
片栗粉をまぶし、油で揚げるだけ。唐揚げ用のたれにくぐらせて食べることもあります。コイ料理で重
要なのは、生臭さをしっかりとること。何度も水を取り替えながら洗うことで生臭さが消える。この時、
お湯を使ってしまうと風味を変えてしまうので、必ず水でおこなうことが大切です。また、コイを捌く
ところからはじめる場合は、鮮度が重要なので生きたコイを使うこと。そして、内臓を傷つけないよう
にすることがポイントです。胆汁や未消化の餌が身についてしまうと、臭みが染みついたり、変色して
しまうため、細心の注意を払っておこなう必要があるのです。霞ヶ浦におけるコイの養殖は、1年から
3年かけて育て上げる。1年目のコイは小骨が口に当たりづらいため、「鯉のあらい」という刺身料理に
使われることが多い。また、2歳から3歳のメスは卵を持っているので、「鯉の甘露煮」といった料理に
向いている。色々なサイズのコイを手に入れることができるからこそ、その他にも「鯉こく」や「鯉の
うま煮」などのコイ料理が浸透していったと考えられる。現在、子どもから大人まで人気があるコイ料
理の一つが「鯉の唐揚げ」です。登録に納得です。

 

7.「ピーナッツ味噌/落花生味噌」

「ピーナッツ味噌」は、茨城県で古くから伝わる郷土料理です。この料理は、規格外の落花生を活用す
るために農家の人々が考案したもので、いまでも多くの家庭で好みの味付けで作られ、常備食品として
親しまれています。炒った落花生に甘い味噌が絡んでいるため、ごはんに乗せたり、おやつやお酒のつ
まみとして楽しむことができます。落花生味噌は、落花生を味噌や砂糖で味付けしたもので、カロリー
は1人前(約23g)およそ73kcalほどだ。落花生に含まれる脂肪酸は血中脂質のバランスを正常に保つ効
果が期待できる。そのほか、ビタミンE や薄皮に含まれるレスベラトロールは抗酸化作用があり、身体
にとって有害な活性酸素を除去してくれると注目されている食材だ。そんな落花生を落花生味噌にする
ことで、ごはんのおともや、お茶うけ、酒のつまみにといろいろな食べ方を楽しむことができるのです。
さらに日持ちができるので、落花生味噌にして保存する家庭も多い。落花生の旬は基本的に9月下旬~
10月といわれていますが、落花生味噌は落花生を加工したものなので、茨城県の家庭では通年食べられ
ている。日常的に食べられている郷土料理なので、学校給食の献立にも使われたりもする。落花生味噌
は茨城県民の生活には欠かせないものとされているのです。これも登録に納得です。

 

8.「れんこんのきんぴら」

茨城県の霞ケ浦湖畔ではれんこんの栽培がさかんで、国内1位の生産量を誇ります。そんな茨城県の特産
品であるれんこんは、加熱しても食感が損なわれにくく油との相性もよいため、きんぴらにふさわしい
食材です。地元産の食材を有効活用するために、茨城県でれんこんのきんぴらが食べられるようになっ
たのも自然な流れですね。れんこんのきんぴらは、レンコンとにんじんを炒めて、醤油やみりん、砂糖
で味付けするシンプルなレシピが一般的です。薄い輪切りにして炒めるのが一般的ですが、茨城県では
太めに切って調理します。輪切りではなく繊維に沿って縦切りにすることも多く、よりシャキシャキと
した食感を楽しめるのが魅力です。副菜や弁当のおかずに重宝するれんこんのきんぴらは、常備菜の定
番です。日本人なら知らない人はいないといえるほど有名な料理ですが、れんこんの名産地・茨城県の
郷土料理ということを知っていましたか。材料はレンコン、ごぼう、人参、鷹の爪、油、酒、醤油、砂
糖など。準備としてはレンコンは皮をむいて酢水につけてアクを抜き、短冊に切ります。鷹の爪は種を
取り輪切りにします。調理は 鍋に油を熱し、鷹の爪とレンコンを炒め、酒、醤油、砂糖を加えて炒めま
す。今でも日常的に食べられているレンコンのきんぴらは登録に納得です。

 

是非、茨城県の郷土料理に感心を持ってご賞味あれ!

 

 

 

 

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