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第1話 年賀状
妹 :お姉さま、お正月早々、事件、事件!
お母さんが「あなた宛よ。」と渡してくれた年賀状の中に、お姉さま宛のもの
が一枚入っていたの。本文がチラッと見えちゃったんだけど、「性が変わりま
した」って書いてあったのよ。事件でしょ。この方、男になったの?
姉 :何を馬鹿なことを言ってるの。あら、秋に結婚した佳代子からだわ。
フフフ、相変わらずオッチョコチョイね。「姓」と「性」を書き間違えたんだわ。
でも、本当だったら事件よね。今年一番の傑作年賀状かもね。
この人、どことなくあなたに似ているのよ。
妹 :私を引き合いに出さないでくれる?今年から私、「物事は落ち着いて、よく考
えてから行動する」を座右の銘にするんだからね。
姉 :フ~ン、ちゃんと実行できるのかな~?あなたも年賀状に間違った字を書かな
かったかどうか、思い返してごらんなさいな。
妹 :大丈夫よ。辞書でしっかりと確認しながら書いたから、バッチリよ。
姉 :そういえば、あなた、年賀状が足りなくなって、私の分を何枚か持っていった
わよね。まだ差出人の欄を記入していなかったから、あなたにあげたんだけど、
投函する前にちゃんと自分自身で差出人欄を記入したの?
妹 :エッ、そうだったっけ。ウ~ン、書いたと思うけど、思い出せないわ。どうしよう。
姉 :差出人の名前が書いてなかったら、誰から来たのかわからないじゃないの。
妹 :どうしよう。お姉さんが描いたイラストの横にメッセージを書き添えたから、その
内容で私からの年賀状だと分かってくれると思うんだけどな。ア~ァ、心配だ。
姉 :「よく考えてから行動」と言ったけど、今年も相変わらずかもね。
妹 :ムムッ、痛いところをついてきたナ。でも、年賀状を出したのは、去年だからさ・・・・
第2話 初詣
妹 :お姉さま、事件です!すごい人出ね。こんなに混んでいるとは思わなかったわ。
鳥居からこんなに離れた所に並んでいたんじゃ、お参りまでに1時間近くかかっ
ちゃう。お友達と私の家で会う約束をしているのに、遅刻しちゃいそうよ。
<このまま待つか?今日は諦めて帰るか?それが問題だ。>
姉 :こんなところで<ハムレット>なんか、やってんじゃないわよ。答えはひとつ。
お友達との約束は守らなくちゃダメ。今日は歩いてきたから、家に戻るのに
30分はかかるのよ。あなたの分までお祈りしておくから、直ぐに帰りなさい。
妹 :分かった。それじゃ~、お願いします。私は戻るわね。
姉 :あなたのお賽銭は?
妹 :お賽銭?そういえば、まだお姉さまからお年玉をもらっていなかったわね。
だから、お金は持っていないの。ここでお年玉をチョーダイ・・マセマセ~。
姉 :今度は<さだまさし>?あきれた子ね。私に出させるつもりで、始めからお金
を持ってきてないんでしょ。魂胆、丸見えよ。
妹 :見すかされちゃったか。スミマセン、いつも頼りになるのはお姉さまだけなので
す。今年も、ど~か、よろしくお願い申し上げます。
姉 :あなたの要領の良さだけは今年、更に磨きがかかりそうね。ウカウカできないわ。
用心、用心。
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