すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

キヨちゃんの伝言

2015-07-19 20:17:24 | うちのキヨちゃん
 先日、仕事中何度かキヨちゃんから留守電があった。仕事中で気付かなかったのだが、公衆電話なのでどうしようもない。キヨちゃんは携帯は聞き取れないと、2度種類を変えてみたがダメだったので結局持っていないのだ。
 仕事を終えてから病棟に電話すると折り返してくれた。その時看護師さんから、
 「21日に主治医からお話がありますが来られますか?」
と聞かれた。その時は、
 「これから月末ですし・・・、これ以上休めません。」
と言い、
 「主人かどちらか休めるか聞いてみます。」
と答えた。実際、私は一人の仕事なので、休めないわけではないが、休むと自分の首を絞める。とは言え、くりりんはくりりんで、この台風と雨で仕事はずっとお休みなので、逆にこれからは仕事が入るはずだ。
 結局私が休んで何とか仕事は工面するしかないのだが、おそらく退院に向けての相談であろうし、退院の日も相談しなくてはならないから仕方が無い。ちょっとくりりんに我慢して貰って、残業すれば何とかなるだろうか?
 さて、その日看護師さんの話の後でキヨちゃんに代わったのだが、病院がかけてくれたのが私の携帯だったので、キヨちゃんは聞き取れないと言う。そう、自分が携帯で聞こえないだけでなく、相手が携帯でも聞きとりにくいらしい。
 で、結局看護師さんが通訳?してくれた。
 「えっと、持ってきて欲しいものがあるようです。ベレー帽・・・部屋にあるそうです。」
・・・。キヨちゃんは未だかつてベレー帽を持っていた事はない。まあ、帽子だろう・・・。
 「パジャマの長袖。ハサミ。ゴム・・・?(キヨちゃんに)何に使うんですか?ああ、はあ・・・。えっと、ズボンの裾が長いので止めたいそうです。これも部屋にあるそうです。」
 おそらく、アームバンドの事を言っているのだろうがこんな小さいものを人の部屋で探すのは面倒なので、ダイソーで買う事にした。そして、リハビリ用に靴が欲しいとくりりんが行った時に伝言があったので、家にあるもので柔らかくて軽い靴を用意した。
 ところが、台風が来ると言うので、キヨちゃんも心配して前日には、
 「今度は来なくていい。台風の後は大変だろうから。」
と念押しの電話が2度ほどあった。それでも、行かなければ困るだろうから今日行く事にした。
 台風は被害も無く良かったが、それでも家の周辺の掃除は必要だったので、くりりんと一緒に掃除した。今日は地域の夏祭りだったので、朝のうちに大急ぎで掃除して出掛けた。昼からくりりんと親戚の見舞いに行き、しばらく行けていなかった父の墓にも行った。幸い雨が続いていたので、ハナシバなどは枯れずにいてくれたが、新しいものに変える。
 それから病院へ。「来なくていい」とは言うものの、行けば嬉しそうなキヨちゃん。自分で買っておいたであろう靴を履いてみて、
 「ちょっと大きいんちゃうか。まあ、いけるか。高かっただろう。お金は支払うけん、母ちゃんの財布から取れ。」
と言う。箪笥の肥やしじゃないが、自分の靴くらいは覚えておかなきゃ。
 それから、帽子はとりあえずかぶれれば何でもよかったようだ。髪を洗うと爆発するので、寝ぐせよけにかぶりたかったらしい。
 「今日まではこれを被って、人が来たら外しよった。」
と枕もとを指差す。そこには巾着袋が下がっていた。
 こんなものを被って寝ていたら、人に見られたら笑われるより心配されるだろうが、私とくりりんは爆笑だった。
 さあ、キヨちゃんの退院は間近なようだ。何たって元気ハツラツ。

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コメント (2)
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