すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

頃合いが難しい

2014-04-30 20:11:50 | ひとりごと
 退院し自宅療養に切り替えて早一週間。安静にしなくてはならない部分と、リハビリのためにも動かなくてはならない部分と、その兼ね合いと言うか頃合いが分からない。
 まず、家事。
 簡単な調理と洗い物は出来るが、長く同じ姿勢はきついので、くりりんに助けてもらっている。朝食に関しては、少しでもゆっくり起きるようにと、くりりんがトーストとバナナジュースをしてくれる。
 掃除は、掃除機はまず無理なので、クイックルワイパーやクイックルハンディ、コロコロをいずれも長いバージョンの物を使用している。それでも、一日全種使うときついので、今日はここまで・・・としている。風呂掃除は体調によってキヨちゃんと交替。
 洗濯はまあ、洗濯機がしてくれる。干すのも大丈夫だが、重いものや大きいものはくりりんに頼む。
 外周りについては、キヨちゃんがきちんとしてくれているが、庭の草むしりは地面に段ボールを敷いて座り込んでしまえば、椅子に座っているよりも楽なので、30分~1時間程度なら休みながら出来る。
 意外にも一番辛いのが、同じように座っていること。来客などがあって、椅子や上がり框に無理ないように座っていても、暫くするときつくなってくる。テレビを観るのも同じ。
 そして、横になって安静にする時間も必ずとって・・・とくりりんに言われているが、横になる分にはいいのだが、うっかり寝てしまうと、これが仮眠ならいいのだが、がっつり寝てしまうとこれはこれで返って身体が辛くなる。この安静も頃合いが難しい。
 なかなか、思うようにはいかないものである。

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お向かいの椅子

2014-04-28 19:47:45 | うちのキヨちゃん
 入院中、携帯にメモしていたワードが幾つかあった。退院してからそのメモを見て、???と思っていたのだが、それはキヨちゃんに関することだと思いだした。
 私が入院して、ほとんど毎日友人が世話に来てくれていたので、キヨちゃんはたまに来る程度だった。それでも、初めの動けないうちは、心配してそばにいてくれたのだが、その間にも「キヨちゃんワールド」全開だったため、うんうん言いながらも、ついつい忘れるのが勿体なくてメモしたのだ。
 その中の一つが、「お向かいの椅子」である。
 おそらくどこの病院も似たり寄ったりだろうが、そもそも付き添いが何人も待機できるようにはなっていない。せいぜいベッドに一つずつ椅子があるくらいである。
 だから、何人か面会があるとその病室の他の椅子を拝借する。もっとも他の患者さんに面会があれば、それはもう仕方ない。
 キヨちゃんは小さいので、くりりんと面会に来ると、くりりんに椅子を勧めて、キヨちゃんは私のベッドの足元にちんまりと正座するのがお決まりだった。ただ、最初の内は私もきつい時期だったので、キヨちゃんもそれは出来なかったようだ。
 ある日くりりんとキヨちゃんが面会に来た。ちょうどお向かいのおばあちゃんの面会者がいなかったので、椅子を借りることにしたのだが、キヨちゃんは何故か椅子を借りて持って来ずに、そのままお向かいのお婆ちゃんの隣に座ってしまったのだ。
 くりりんは、
 「お母さん、こっちに椅子を持ってきては・・・。」
と勧めていたのだが、くりりんと二人にしてやろうという親心があったとも思えないのだが、キヨちゃんはそのままお向かいにいた。
 幸いと言うか、おばあちゃんは寝ていたのか気付かなかったのか、不審者扱いは受けなかったが、しばらくすると看護師さんがやってきた。
 「すいません、術後の説明をしたいのですが・・・。」
と、当然その方の手術の説明をしようとしていた。
 「えっと、ご家族ですか?」
 看護師さんは聞いた。勿論、間違いがあってはいけないからでもあろうが、年齢的に家族としても微妙だったのだろう。
 「いいえ。」
 「え?じゃあ、お友達ですか?」
 「いいえ。」
 そこまで聞いて看護師さん軽くパニック。そりゃそうである。家族でも友人でもない面会者がなぜ座っている?
 「えっと、それじゃあ・・・あの?」
 そこで異変に気付いた私たちが、
 「すいません!」
と声をかけるが、キヨちゃんは堂々と、
 「私はすずしろです!」
と言い切った。
 「あ、すずしろさんのご家族・・・。」
 なら、何でこっちに座ってるんだ・・とは、彼女は聞かないでくれた。キヨちゃんは笑いながらこちらのベッドに戻ってきて、
 「アハハ、看護婦さん母ちゃんがあの婆ちゃんの家族じゃと勘違いしとったなあ!」
と言い切った。
 いや・・・、あなたのせいですがな。

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使わないと、動かなくなる身体

2014-04-27 19:54:02 | ひとりごと
 入院して一番びっくりしたのが、筋力の低下や関節の可動域が小さくなること、そして平衡感覚の問題だ。
 平衡感覚は、初め35度しかベッドを起こせない状態から、僅かに15度挙げただけで酷いめまいがして、翌日は一日何も食べられなかった。徐々に起こして身体を慣らすのはその為だろう。車いすに初めて乗った時も、既に起きて平衡感覚が戻っていたにも関わらず車いす酔いをした。
 そして筋力低下。リハビリは早くから開始しており、自主トレも真面目にしていたので、PTからも太鼓判を押された状態だったが、それでも驚くほど下肢筋力は低下していた。さらに関節については、はじめて立った時、膝も足首もがくがくして痛みもあった。
 歩行練習を始めると、関節の他に足の裏やふくらはぎに痛みが出た。そして、歩行器などを支える手首にも痛みが出た。
 それらをクリアして、コルセットをすればフリーである程度の距離を歩ける状態となり退院したが、戻って最初にブログをパソコンから更新した時、新たな痛みに驚いた。何とキーボードを叩く指先がひどく痛んだのだ。
 人間の身体は使わないとダメだな・・・と思う。まだ正座も出来ないし、長い距離も歩けない。まだまだリハビリが必要である。

*甘えん坊に戻った子供たち。









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カラーリング

2014-04-26 19:45:47 | ひとりごと
 今日は友人の車で、久しぶりに美容院に行った。
 入院中は、当然髪を切ることも染めることも出来なかったので、それは無残に白髪混じりとなった。入院しているおばさまが、
 「ここ(病院)におったら、みんな80過ぎのババアになってしまうわ。」
とおっしゃっていたが、本当に白髪になるだけでずいぶん老けこんでしまう。こんなに白髪を放置したことはないので、毎日鏡を見てはため息が出ていた。
 だから久しぶりのカラーリングはとても楽しみだった。
 しっかりとコルセットをしているものの、長い時間同じ姿勢でいることは結構きつい。だから、心配もあった。案の定、途中で右足の脹脛がつりそうになったが、何とかしのげた。
 仕上がりは完璧。仕事帰りのくりりんは、
 「白髪でも構わないけど、すずがカラーすることで表情が明るくなって良かった。」
と言ってくれた。
 夕飯は久しぶりにキヨちゃんと1品ずつ作った。簡単な生姜焼きだが、キヨちゃんは、
 「美味しい。すずのおかずが食べられるようになって本当に良かった。」
と涙ぐんだ。
 家事はまだまだ出来ない。ちょっとずつ、ちょっとずつである。

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ただいま

2014-04-25 10:26:22 | ひとりごと
 4月23日、実に52日ぶりに我が家に帰ってきた。
 親友二人と、キヨちゃんとくりりんと一緒にお昼はステーキハウスで久しぶりの「いいお肉」ランチを食べた。もう、カレー味のしないカレーライスや、色だけケチャップの和え物を食べなくてもいい。胃にも心にもジーンとくる味だった。
 家には買い物するくりりんとキヨちゃんを残して、友人一人と先に戻った。くろべえは呼び声に返事しながらも、抱っこは嫌がる「ツンデレ」状態。リュウは初めは怪訝な感じで、探り探り甘える感じだった。多分、まだ帰ってきた感じよりも「本当にいるの?」という不安が大きかったのかもしれない。
 その日は友人にお風呂に入れてもらい、のんびりするつもりだったが、とりあえずご近所と親戚に退院の報告電話をするだけで、結構時間がかかった。また、その内に親戚からお祝いの訪問もあり、バタバタとした。
 とにかく、何が気になってもしばらくは「安静に何もするな」と家族からも友人からも口酸っぱくして言われての退院だった。しかし、戻って部屋に戻ると引っ越ししたての部屋の状態(つまり病院から持ち帰った物や出し入れしたもののどこにしまっていいか分からないもので溢れていた)で、しばらく固まる。入院した頃はまだ冬支度だったし、それの出し入れも必要・・・。う~ん。
 その夜は、疲れもあったので病院の消灯時間には就寝。
 24日、くりりんは仕事。今の仕事はゆっくりお弁当を広げる時間がないので、また、屋外で簡単に摘まめる物がいい時があるようで、もっぱらパンやおにぎり、カロリーメイトなどを持って行っているらしい。簡単でいいなら、おにぎりや卵焼きくらいは作れるのだが、
 「無理しちゃダメ!」
と拒否される。
 くりりんを送り出してから、庭のリュウとまったりしたくて、庭に小さな椅子を据えて過ごす。手の届く範囲だけちょっと草むしり。リュウは腕の下や足の下などから顔や身体を擦り付けては甘えてくる。ようやく、ああ家にこのままいるのだな・・・と感じ取ったらしい。
 その内、近所の人などが入れ替わり何度かお祝いに駆けつけてくれた。まだ正座が出来ないので、椅子に座って応対したが、意外にこれが疲れる。午後一段落してから、仮眠を取った。
 そして今日はくりりんお休み。明日からおそらくGW明けまでノンストップの忙しい仕事となる予定なので、一昨日に続いての休み。朝リュウを散歩させてくれる。後ろをちょっとだけついて行って歩行リハビリ。山の木々が綺麗でフジの花も綺麗だった。私はすぐに帰宅。



 戻ってから、リュウはくりりんがシャンプーしてくれた。今の私の状態がシャンプーできる状態でない上に、トリミングのお店の予約がいっぱいなのだ。だから、今日はくりりんが初めてのシャンプー。でも、リュウはおりこうさんに洗わせてくれた。


  
 昼からは滞っていた金融機関の出し入れや記帳をして、家計簿をつけなくちゃ。

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退院決定!

2014-04-22 07:59:10 | ひとりごと
皆様、大変長らくご心配お掛けしましたが、明日退院することに決まりました。
ありがとうございました。次はリュウやくろべえの写真アップ出来そうです。
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新緑

2014-04-19 17:08:13 | ひとりごと
日に日に緑が濃くなっていく。
私も杖で歩行練習しているし、ゴールデンウィークまでには退院したいな。
くりりんのバイトは、当然ゴールデンウィークは休み無しで、2週間くらい通しかもしれない。
だから、家でお帰りなさいと迎えたい。
後少し頑張らなきゃ。
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銀行出し入れ

2014-04-14 10:38:37 | うちのキヨちゃん
うちのキヨちゃんの金銭管理は、キヨちゃん本人がしている。ただ、カードでの出し入れは私がしていた。
と言うのも、機械操作が分かりにくいからと、私にでも銀行員さんにでも、大きな声で、

「暗証番号は~」

等と言ってしまった事があるからだ。
そんなわけで、私が出し入れするときに、番号も変えた。キヨちゃんには、通帳の記帳で説明する。
さて、私が今回入院してしまったので、出し入れすることが出来なかった。まあ、通帳と印鑑を持参すればいいのだが、不安もあったのだろう。
取り急ぎ支払いがあると言うので、とりあえず私の銀行からくりりんに引いてもらって貸すことにした。
そして、先日キヨちゃんが銀行に行く機会があり、家でくりりんが封筒を預かった。
そこでくりりんは病院に封筒を持参し、私にきちんと報告してくれた。
封筒はきっちり糊貼りしている。
一応確認に封を切ったくりりんが絶句した。私も確認し、今度は二人で爆笑。
何故なら、封筒には現金ではなく、領収書の束が入っていたのだ。

「お金返すんじゃなくて、更に払えってか?」

私はそう言って笑った。
それから、家に帰ったくりりんは、

「すずちゃんは、これはいらんって。」

と封筒を返した。中を見たキヨちゃんも大笑いだったらしい。
やれやれである。
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歩行器から次のステップ

2014-04-12 07:49:27 | ひとりごと
昨日コルセットが出来上がった。立ったり歩いたりには非常に安定するが、腰掛けたりベッドに足を伸ばして座ると、胸の下辺りが当たって痛い。
まあ、これも慣れかな。
自立での歩行器歩行が許されたので(階下へは車椅子)、早速朝は館内を散歩した。
土日は理学療法士の先生がいないので、自主練である。
先生の話では、来週は杖歩行を練習し、状態によっては階段の上り下りを練習するらしい。
夕べは足元の歩行器の黒いカーブが、くろべえの尻尾に見えた。
家が益々恋しくなる。
リュウの鼻に顔つけたり、くろべえの肉球触ったり、キヨちゃんとテレビ見て笑ったり、くりりんとまったりしたい。
後もう少し。
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捕まらないくりりん

2014-04-08 15:54:29 | うちのキヨちゃん
昨日、お風呂に入れた報告の電話をキヨちゃんにすると、とても喜んでくれた。
その電話で、

「さっきから、くりちゃんに何べんも電話するけど、出ん。」

と言う。
時間的に既に職場を出た後なので、多分運転中だろうと説明した。

「いやな、ほうれん草が美味しかったけん、お前に食べさせたかったんじゃ。」

キヨちゃんは、そう残念そうに言った。

「ありがとう。また次に貰うね。」

私はそう答えて電話を切った。
さて、ほどなくくりりんは病院に来てくれた。キヨちゃんから電話があっただろうと確認すると、くりりんは笑いながらこう言った。

「こっちについて、買い物するときに着信に気付いた。だから、すぐ折り返したんやけど、
『もしもし、お母さん、くりりんです。』
って言ったのに、
『こちらは○○ですが』
って言うん。多分聞こえないんやろから、もう一度
『お母さん、くりりんです。お電話頂きましたか?』
って言うたら、
『かけていません』
って言われちゃった。仕方ないから
『そうですか』
って切ったん。めちゃめちゃ他人行儀やったね。」

オレオレ詐欺にかかるよりはマシだが、不憫なくりりんであった。
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