Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

今年のレコード大賞新人賞は真田ナオキさん。最優秀新人賞確実の声も

2020-12-08 | 人物

   

              

 

第62回レコード大賞新人賞に、真田ナオキさんがノミネートされました。

これは下馬評ですが、もしかして最優秀新人賞に選ばれるかも。

もちろん「恵比寿」の大ヒットで、すでに2020の有線ヒット演歌・歌謡曲で年間第1位の実績があります。

話はかわりますが、今年のNHKの紅白の出場メンバーをご覧になりました?

何と横文字ばかり。演歌はほんの一握り。寂しいネ。

「惚れちまったの俺」でナオキ君、ひとつ歌謡界に風穴をあけてほしい。

なまえは云いませんが、歌謡界のおじさん、おばはんは潔くNHK紅白を辞退してほしいものです。

後輩のためにも。

今月30日、午後7時30分よりTBSテレビの生放送で、『真田ぶし』をご堪能くださいね

 

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歌舞伎の味を伝えた最後のひと  ー中村 歌江さんご逝去ー

2016-04-01 | 人物

       

 

  

 

いいえわたしは歌舞伎座の女方(おんな)

お気のすむまで 笑うがいいわ

あなたはあそびのつもりでも 地獄のはてまでついて行く

思いこんだら いのちいのちがけよ

そうよ私は歌舞伎座の女方(おんな)

歌舞伎の星は 一途な星よ

                       (歌舞伎の歌  作詞・中村歌江)

 

小山三さんが亡くなってからちょうど一周忌。またもや追うように歌江さんの逝去である。

歌江は昭和7年、湯島天神下の酒屋の息子として生まれた。

ひところ湯島は色街ともいわれ粋筋の町であった。

近所の芸者衆と踊りはもとより端唄や常磐津も習った。そうこうするうち常磐津師匠の 三味線を持ってついて歩くようになった。

歌江は8人兄弟のド真ん中。すぐ上の兄は新東宝の中山昭二で、『ウルトラマン』 『特別機動捜査隊』に主演した映画スター

だった。

 

局、廓の番新、茶店の女房など,高貴な役から市井の女房役まで歌江の芸域は幅広い。

歌江が出ると舞台にパッと花が咲き、あのベットリした粘着性の物言い、それでいて古風な江戸の香りをかもし出す。

歌舞伎の味を、楽しさを再認識させてくれる貴重な女方である。

 

私が最後に観た舞台は歌舞伎座で川口松太郎の『お江戸みやげ』であった。

湯島天神の境内での宮地芝居に出ている下ッ端役者。なにせお酒をキューとひっかけないと舞台がつとまらないという女方

の紋次が歌江の役どころ。

茶店の女(吉之丞)に酒をねだったり、居合わせた紬の行商人(富十郎、芝翫)にまで盃をもらったり、吞まないと夜も日も明け

ない酒豪の女方をみごとに好演。その吞みっぷりが実にうまかった。

 

ほかに『沼津』の旅の若夫婦が茶店で弁当をつかっていて、そのうち喉につかえ、さすって貰う腹のおおきな女房とか、『文七

元結』の左官長兵衛がしびれを切らすのを笑う女郎。

仲居役でけっさくなのは『七段目』の一力茶屋で、平右衛門に頼まれ,うたた寝してる内蔵助に掛布団を用意するのだが、

注意されていながら、わざと大声を出すところ。その呼吸のうまさは一頭地を抜いている。

 

また歌江の声色は天下一品。なにせ師匠大成駒(歌右衛門)のお墨付きだという。

なかでも歌右衛門の声色は一段抜き出ている。

幕内はおろか、新派の喜多村録郎、初代水谷八重子までやってのける。

 

それに歌江は名後見であり、引き抜きはお得意の芸だった。

いつだったか衣装の引き抜きをほめると、「あんなの単なるマジックショーなのよ」と歌江はあだっぽく笑った。

 

お葬式は3日、上野の寛永寺で執り行われる。

謹んでご冥福をお祈り申し上げる。  合掌

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又吉直樹さんの『火花』が日本中を席巻!!

2015-08-16 | 人物

 

 いつにない”芥川賞”騒ぎであった。

それは吉本芸人の又吉直樹さんの小説『火花』が芥川賞に選ばれたからである。

250万部も本が売れ、すでに17版を重ねている。

かなり前から予想はしていただけに、今年の3月11日の発売日に買っておいた。もちろん初版本である。

予想していたのは、作者が一介の芸人だからではない。

『火花』の初出は雑誌『文学界』である。『文学界』は純文学誌で、あまり売れないし、地方の書店などはほとんどが取り寄せない限り、

店頭には置いていないのである。

その『文学界』も品切れになり、前代未聞の増刷に踏み切った。それでなくても”本が売れない”と出版業界は喘いでいる。

ましてや純文学誌が増刷するのは、異例中の異例である。これはもちろん漫才師・又吉直樹さんの小説『火花』が掲載されていたからだ。

世のおじさんたちは漫才師・又吉を知るまい。芥川賞を取ったからこそ、時代に乗り遅れまいと身銭を切る。

瀬戸内寂聴さんは(『火花』を読んで)「なかなか面白かったわ。しかしこんなに売れるなんて、妬けるわね」とテレビ番組で語っていた。

 

『火花』を手にした3月11日の日記に「小説『火花』は出だしは面白そうだが、中途でたるんだ感じ~」と記している。

主人公は売れない漫才師。熱海の花火大会のイベントの仕事で、のちの師匠と仰ぐことになる同じ芸人の神谷と出会う書き出しは、うまいし、

読ませるが、途中から文章が乱れ、後半はなんとか持ち直した感じ。阪神のなんとか投手のコントロールに似ている。

いくつかの場面で私は笑った。言葉の面白さではない。苦しむ漫才師の姿が愚かだからだ。

よくある”芸人物”というかバックステージものではない。作者は、苦悩や懊悩を芸人という器に入れ、語りかけた私小説である。

又吉自身がいちばん崇拝しているという太宰治の匂いもたしかにある。

しかし太宰治ほどの文章に透明感がない。

その太宰は芥川賞に落選した。太宰は当時の選考委員であった川端康成、佐藤春夫に抗議の長い手紙を出したことは世にも知られている。

しかし2度目も3度目も落選。ついに脳病院に入院した。病院の紹介状を書いたのは佐藤春夫だったという。

 

ところでピース・又吉直樹の漫才は見ていない。

しかし3年前だったかピースの相方とともに映画に出ているのを見たことがある。ワンカットだけの端役であったが、味のある芝居をした。

ピースでなければできないほどの好演だった。

映画は三浦しをんさんの『舟を編む』である。

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小山三さん逝く  歌舞伎はもう面白くなくなった!!

2015-04-08 | 人物
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このところ訃報記事の連続で心が痛む。

小山三さんが94歳で逝かれた。中村屋四代を支えられ、歌舞伎の生き字引をまた失ってしまった。

生前に『小山三芝ひとり語り』を著された。それによると十七代勘三郎が選んだそうだが”小山三十種”というのがあるという。

 

わたしには忘れがたい舞台が二つある。

『文七元結』の角海老のお抱え花魁と宇野信夫の『巷談宵宮雨』の大詰めに出る酔っぱらいの芸者は絶品である。

出てきただけで舞台に古風な芝居の味が溢れていた。江戸の日陰に生きる女の人生をさりげなく感じさせてくれた。

小山三のような役者は、これから出ないであろう。

一つの時代がおわった感じをひとしお感じられる今日この頃である。

         画像は楽屋で、児太郎さんと戯れているところ。小山三さんの手 をごらんください。”女形魂”がこんな時でも~。 

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桂米朝さんの俳句   ー米朝さんを偲んでー

2015-03-27 | 人物

     今月19日に桂米朝さんが天上に旅立たれた。

     米朝さんが米寿に先がけて刊行された、はじめての句集

     『桂米朝句集』は、わたしの愛読書であった。

     号は八十八<やそはち>と詠むそうだ。俳号の歳を一歳超えて、天上人になられた。

     「俳句はほんまの素人やから・・・・・・」といつも謙遜されていたという。

     故小沢昭一さん、永六輔さんら粋人の集う「東京やなぎ会」の仲間だった。

     その仲間うちでしばしば話題になった名句がある。

           春の雪誰かに電話したくなり

     人恋しさが感じられ、上品な色気がある。

     色気といえば、わたしの好きな句に

           パンティはふとんの外に朝寝かな

     下ネタと言うなかれ。思わず吹き出してしまいそうな句である。俳句には人となりが現われる。

     上方特有の洒落ていて、どこか端正な味がある。東京人ならデッタイにこうゆう風には詠みません。

           ランドセルこれが苦労のはじめかも

     孫可愛さに何十万もするランドセルがよく売れているそうである。

     わたしも他人事ではなく、まもなく1年生になる孫がいる。身につまされる一句である。

     

     米朝さんと同じ思いを抱きながら、今日も『米朝句集』をひらいているのであります。

           末尾ながら、あらためてご冥福をお祈り申し上げる。                                                                                       

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