Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

うなぎパーティーの一夜    =日本橋・小網町”喜代川”=

2012-01-29 | 特別バージョン

 


今年の「グループ・オータニ」の新年会は、うなぎの老舗『喜代川』でした。

いつの頃からであろうか、「うなぎ」大好き人間である私の「うなぎ」行脚がはじまった。
東京だと、東銀座の「竹葉亭 本店」、飯倉の「野田岩」、浅草の「前川」と。
さては博多の「吉塚」にも数回(←おまえさ、うなぎよりも「吉塚」という名前が気に入ってんじゃん!!)。
そんな陰口を浴びたことも。

さて日本橋の「喜代川」は二度目。
前回は1階の椅子席で、「うな重」と「きも吸」だった。
いつか冬場に「喜代川」のお座敷で、熱燗でうなぎコース~を。
「わたしはそっと心に決めている」と自身のブログでつぶやいたっけ。
それが、こんなに早く実現するとは思わなかった。

「喜代川」というお店を知ったのはNHKの朝ドラ『こころ』だった。
のちに渡辺淳一の小説『化身』の舞台にもなった。
最近では「週刊モーニング」でラズヴェル細木の人気コミック『う』で「喜代川」が描かれている。
数寄屋の建物、雰囲気、それに、びっくりしたのは女将の顔がチョーそっくり!! 
皆さんも是非ご覧になってください。笑っちゃいますから。

 

 


うなぎコースの主役はやはり、あのいい香り、艶やかな「かば焼き」でしょう。

「喜代川」では蒲焼き用と白焼き用とを、うなぎの大きさで使い分ける。
創業以来そんな「こだわり」のあるお店です。

かば焼きは長めに蒸して、備長炭で秘伝のタレをつけて一枚一枚焼き上げる。
ふっくらした肉質は口の中でとろけるような味わいでした。

ちなみに飲み物は、、ビール(←キリンラガー)、日本酒は特撰白鹿、つまりは灘の生一本。

 


うなぎの肝にはうなぎ同様に栄養が豊富。

運ばれてくるお料理の順序は目茶苦茶に書いてますが、お通し、刺身、煮物と、たしか4番目でしたっけ。

1本の串に6個~7個の肝がさしてあります。

さてここで問題です!!

うなぎ1尾に肝が何個ついていると思いますか?

うなぎ1尾に肝は1つなんです。

正解されたかたは、「うなぎ検定」は合格ですね(笑)。 

 


「喜代川」の絶品は「白焼き」だといいます。

うなぎの”通”とよばれる人はどちらかというと「かば焼き」よりも、この「白焼き」を好まれるようです。

普通「わさび」でいただきますが、好みで「山椒」でも。 

 

 


画像/左は煮物で、今月だけの「銀鱈の宮重蒸し」

旬の銀鱈とおろし大根に卵を混ぜて蒸し上げたもの。

仕上げには、出汁の餡をかけ梅麩と青ぎんなん。

この季節に躰がほっこりする一品でした。 

 

 


「大将ねェあたしゃァまた新香がなくちゃいられない。(うなぎが)焼けてくる間この新香でつなげるてえやつだ。」
                                                                                                   (落語「うなぎの封間」より)

むかしの『うなぎ屋』では、まずこの新香が出たらしい。

うなぎが焼けるまで、新香をアテにして呑んだという。

ところで「喜代川」のお新香(←画像/左)は,代々女将の手作りなんだそうです。

女将が毎日欠かさず糠床をかき混ぜ、伝統の味を守ってるとか。


その「喜代川」の女将が今春ご結婚されるそうです
男まさりで、あのダミ声、チャキチャキの江戸っ子の女将さん。
われわれのお座敷に見えても・・・・・

!! お銚子おつもりですわねえ」

「おつもり」~なんと美しい下町の江戸ことばでしょう。

ちなみに今春5月から、いよいよ若女将が登場とか(←現在は日本橋の料亭で修行中)。

すごい美人だそうですよ!!

行かなくっちゃ 

 


通されたお座敷は2階の「茜の間」。

二階には大小異なるお座敷があり、それぞれ見事に床がしつらえてある。

坪庭を囲んで江戸情緒たっぷりの空間。

 


築75年という数寄屋風の日本建築。

突き当りがトイレ。トイレというより『廁(かわや)』と言いたくなる江戸風の便所(←水洗です)。

 このトイレをみて、私は江戸落語の 『うなぎの幇間(たいこ)』を思いうかべた。

 


『うなぎの幇間(たいこ)』は幇間持ちの一八が通りがかりの男にうなぎをご馳走になろうと取り入った。ご馳走になっている途中にその男が厠へたった。実はその男は反対にご馳走になって食い逃げを決め込んで厠からそのまま姿を消した。一八は食事だけでなく土産代まで払う羽目になり、買ったばかりの下駄までその男の汚い下駄にすり替えられてしまった。    
    ※参考文献:『古典落語(大尾)』興津要編 講談社文庫



今回から「グループ・オータニの幹事をしてくれたイチ君

ほんとにお疲れさまでした!!

翌日はロシアのラブロフ外相がニューオータニに宿泊のため、早朝出勤とか。

「うなぎでスタミナがついて、明日はキバられそうです!!」

そう云ってくれました!!

来年もまた「グループ・オータニ」のメンバーでどこかに行きたいです


ごちそうさまでした

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遅まきながら初芝居を見てきました!!   -大阪・松竹座 新春大歌舞伎ー

2012-01-21 | 歌舞伎

初芝居も中日(なかび)を過ぎれば、劇場には繭玉(←関西では餅玉)こそ飾ってあるが、正月気分になれない。

東京の劇場では、新橋演舞場、ル テアトル銀座、浅草公会堂、中村座、国立劇場と、そのすべてが歌舞伎公演。

それに大阪・松竹座を加えると、、なんと6座が競っていますが、不入りの劇場もあるとか。

さて私、年末から3Dテレビに凝って、あのヘンなメガネをかけていたせいか、眼を少々患って、、今年の始動がおそくなりました。

今年の観劇は大阪・松竹座の昼の部でした。

「吃又」、「修禅寺物語」、「関の扉」の三本立て。



「修禅寺物語」の夜叉王は我当。
海老蔵の頼家、扇雀の桂、吉弥の楓、市蔵の下田五郎と役者に申し分がないが、全体に白々しく、あまり面白くない。
それに観客もあまり乗らない。
岡本綺堂の名作でありながら、今日の客に受けないのはなぜか。
平成の時代にこの名作があまりに符牒が合わないのかもしれない。

そんな中で一頭地を抜いていたのは我当の夜叉王(←画像/上)。
芝居のうまさといい、味わいといい、さらに彫りが深く渾身の力演である。
しかしひとつ間違えば「くさい芝居」になりかねないが、そこは一線を画しているところに我当の芸の心境があるのだろう。
セリフの一つひとつが観客の心をえぐるのである。

姉むすめ桂の断末魔を写し取る幕切れに、今回は独自の工夫を凝らしている。
ここで原作の「筆と紙を持て・・・・・」をカットして、「後の手本に我が眼に焼き付けておかん」と娘を凝視したまま幕にしたのは、今日的でよかった。 

 

   


頼家は海老蔵(←画像/右)である。
いかにも源氏のご曹司らしいその高貴さ、音吐朗々、言語明晰、立ち身のよさ、申し分がない。
往年の名舞台といわれた寿海とはまた異なった朗誦術。
若いだけに、見ていて爽快である。
悲劇の武将とよばれた頼家の寂しさや翳りを垣間見せたのはさすが。今回は初役だそうだ。

難をいえば、ときに「光源氏」めくところがあるのと、二場の桂川のほとりの花道の出で「おゝ、月が出た・・・」と逆七三で云ったのは疑問がのこる。

妹婿の春彦は進之介(←画像/左端)。
正面のれん奥で桂のセリフをきいているところは秀逸。じっとしているだけで芝居になっている。
前半は父我当の口跡にだいぶ似て「聞かせどころ」をうまくおさえている。
しかし後半になると崩れる。すべてが段取り芝居になる。
早口になるとセリフも現在調になってしまう。

春彦という役はなんでもない役だが、それだけに難しい。
段四郎といういいお手本がある。自分の足元をいまいちどよく見て精進されたい。 

 

 


姉の桂は扇雀(←画像/左)。
気位のお高いところはよく出ている。
「夢のような望みが今かのうた」と妹楓を振り切るところがお粗末。
先代の時蔵はこの場面が実にうまかった。

妹楓の吉弥(←画像/右)は平凡。
岡本綺堂のよくできたホンだけに「しどころ」があるはず。今回は淡白である。
 


今回いちばん感心したのは市蔵(←画像/中央)の下田五郎。
「吃又」では貫禄不足だと思ったが、今月いちばんの出来。

 


僧の當吉郎(←画像/右端)は生彩を欠く。
さほど広くない夜叉王の生家で、上手の端では位置がわるい。
これでは夜叉王との話が通らない。だから説得力に欠ける。
上方役者のベテランだけに惜しい。

百姓は千志郎以下の門弟の手揃いで、アンサンブルもよかった。 

 

 


「修禅寺物語」の前に義太夫狂言「吃又」がある。
翫雀(←画像/中央)の又平はかなりの力演。
言葉が不自由な障害の苦しさで全身が動くのはお見事。
見ているこちらまでその痛みを感じる。
しかも竹本のイトによく乗って、義太夫味がある一幕であった。
 

   


対するおとくは秀太郎(←画像/上)。
秀太郎らしく「花車方」めくが、これはこの人の持ち前だからしかたがない。

又平とのイキもよく、花道の出の沈んだ性根がよく出ていた。
ラストの幕外の引っこみでは、笑いをよんで余裕さえ見られた。
余裕といえば、大頭の舞では、自分で鼓を打つのだが、合わなければ捨て台詞がとんだりして笑わせる。

ただ苦難を乗り越えてゆく又平夫婦の情愛があまり感じられなかった。
それもいま一つ芝居が盛り上がらなかった一因ではないだろうか。

 

  


ついで家橘(←画像/左)の北の方がうまい。
最近老け役が多いが、「江戸の夕映」や「髪結新三」の白木屋の後家をやらせば天下一品である。
出過ぎず、邪魔にならず、、出ているだけで芝居になっているのは大したものだ。

つづいて笑也(←画像/右)の修理之助がよくできている。
芝居が丁寧だし、行儀も正しく、色気がある。
最近ではいちばんの修理之助だと思う。

「関の扉」は時間の都合で見なかった。お断りしておく。

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今年はぼちぼち行きます!!   -新年のごあいさつー

2012-01-02 | ごあいさつ


あけましておめでとうございます。

昨年はなんだかんだといま思えば身震いのする大変な一年でした。

「がんばろう日本」が、いつのころからか「がんばれ東北」に更新されたりして・・

ともあれ日本人は世界のどの国よリも「頑張り屋」さんです。いつの日か、きっと「美しい東北」によみがえりますよ。

映像で見るかぎりでは、中東などでは、老人も子供も主婦も道端でうろうろ、ぎょろぎょろしている人をよく見かけますよね。

日本人は片手に携帯、片方に手帖をもって歩いてる人が多い。それに喫茶店で、新幹線車内でも、パソコンに向かってデーターと睨めっこ。

さて年が改まりましたが、「竜天に昇り 気運の兆しあり」と申します。

ですが事は始めなければ、何事も進みません。

ことしはあまり欲張らずに、ぼちぼち、のろのろ歩いていくつもりです。わたしは丑年ですから(笑)。

本年もまたよろしくお願いいたします。

それからたくさんの方から年賀状をいただきました。この場をかりてお礼申し上げます。

ほんとうにありがとうございました。

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