Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

【東京・2009夏】  これが中華料理なの?-赤坂・Wakiya-

2009-08-31 | グルメ
             



      赤坂の中華料理と聞いて出かけていくと、すべてにおいて裏切りに出会う。
      
      まず玄関入口(画像)で「ここが本当の中華料理店なの?フツウの邸宅じゃん!!」
      とまどった。ほんと・・・。
      一言でいえば、一般的な中華料理の常識を覆している。
       
      日本料理やフレンチを組み合わせた中華だと思えばいい。
      発想がユニークだからファンも多い。幅広い層に受け入れられているという。
      しかも脇屋友詞シェフが独自のアレンジを効かせたもので、たとえば、
      「オマール海老と朝天唐辛子のヒーヒーアーヒー」は席の予約とともに、こちらにも
      予約が入るとか。
      ここでしか食べられない人気メニューだそうです。


      ワイン好きなゲストと一緒なら、4人いるソムリエが料理に合うものを択んでくれるという。
      これは真っ赤なウソ!!
      店内にソムリエらしき人の顔も見かけない(←4人とも本日は公休ですか?)
      それにグラスワインの種類が少ない。
      ご一緒したワイン通のフロントマンのY君もあまりよい顔をしませんでした
      辛口でもジワッと甘さが。
      つまりこのお店のです。


      その日は、「おもてなしコース」をオーダー。
      当日のメニュー




          「土楽山牛肉」がメーンディシュだそうです。
          お話に夢中で赤ワインのオーダーを忘れてました(←不覚)
      




        前菜
         九つの喜び   季節の香り盛り。
         ⑨の数字は日本では嫌われますが、
        中国ではおめでたい数なんです
(←知ってるから)。


            


         デザート
              杏仁豆腐とマンゴプリン

       前菜からデザートまで五味(←甘味、苦味、塩味、酸味、うま味)
       の調和を楽しんだ気がします。

       とにかく、中国料理の固定観念を打ち破る”驚きのもてなし”であった・・・と思いたい。

                         
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【東京・2009夏】新感線流の『牡丹燈籠-渋谷・シアターコクーンー

2009-08-31 | 演劇


     三遊亭円朝を知らなくても、「カランコロン、カランコロンと下駄の音・・・」で知られているお露と
     新三郎のコワ~イお噺はご存知でしょう。
     これが円朝の代表的な怪談噺『牡丹燈籠』なんです。

     『怪談 牡丹燈籠』は、人気を博した円朝の落語を脚本家の大西博行が劇化し、1974年に
     文学座で初演され、杉村春子の代表作の1つになりました。
     このたび、段田安則さんら新メンバーが渋谷のシアターコクーンで上演。
     中日(なかび)に観てきました。

     ダイナミックな活劇で知られる劇団☆新感線のいのうえひでのりの演出。
     若い浪人の新三郎に瑛太、幽霊になったお露に柴本幸。
     貧しいながら睦まじく暮らしていた伴蔵(段田安則)とお峯(伊藤蘭)の夫婦ですが
     ひょんなことから運命が狂うのです。
     お国(秋山菜津子)と源次郎(千葉哲也)は、愛欲が絡んで血塗られた末路をたどります。

     ありきたりの怪談劇ではなく、3組の男女を中心にして人間模様が描かれています。
     人間の業や欲が明かになる世話物的な部分は、現在風でわかりやすい。
     とはいえ、しっとりとした人間ドラマが、いのうえの手に掛かると劇画になる。
     ロックが大音響で流れ、立ち回りこそないが、無数の”仕掛け”があり、盆を使って、
     テンポのよさもありますが、世話物の雰囲気が皆無。
     もっと座り心地のよい舞台に仕上げてほしい。

     前半は説明的すぎるし、後半は、お峯(伊藤蘭)の嫉妬だけが前面に出て、
     伴蔵(段田安則)の殺意が上がらない。2人とも怒鳴り過ぎ。もっと抑えた芝居をしてほしい。

     お国の秋山菜津子は淋しい女の感情を出して上出来。
     ことに小料理屋「笹谷」の酌婦になってからが秀逸。
     お米の梅沢昌代には存在感がありました。


                       

     お露の柴本幸はともかく、瑛太(↑画像)の新三郎はおいしい役。
     舞台初出演だそうですが、これではイケメン人形にすぎない。
     もう一度出直してきてほしい。やはり映像の人。
     ちなみに観客の8割が瑛太ファンとおぼしき若い女性だった。
     人気スターさえ出ていれば、客席は満員になるという時代でもない
     でしょう。

         いつもならハードロックに激しい殺陣と様式美の『いのうえ歌舞伎』だが、
     今回は、下野したどこかの政党のように、”ぬるま湯”に浸かった『牡丹燈籠』であった。
     






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【東京・2009夏】漂泊の画伯 ゴーギャン -東京国立近代美術館ー

2009-08-31 | 本日の○○
                
                                <ゴーギャンの自画像>

       正直な話、画家ゴーギャンを知ったのは松本清張の『駅路』という短編でした。
       某銀行営業部長を定年退職した主人公・小塚が行方不明になったところから物語が
       はじまります。
       彼の家の応接間に懸けてあるゴーギャンの複製画が巧みにトリックとしてつかわれており、
       作品の主題にもなっています。

                
                                  <どこへ行くの?>


       西欧文明に背をむけ南海の孤島タヒチにひとり向かったポール・ゴーギャン(1848~1903)。
       その波乱の生涯は、芸術に身を捧げた孤独な放浪の画家だったといえましょう。


                
                                  <かぐわしき大地>

          

          


       申し遅れましたが、皇居の近くにある東京国立近代美術館で『ゴーギャン展』を見てきました。
       今回の展覧会では、日本初公開となる<我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々は
       どこへ行くのか>(画像↑)が展示されていました。
       この作品はタヒチで製作されたゴーギャンの最高傑作であり、彼の目指した芸術の集大成で
       あるともいわれています。



 

      
       わたしの好みからすれば、印象主義の影響が色濃く残っている上掲のような
       初期の淡彩なタッチに心を打たれます。
       
       (画像/左は『洗濯する女たち』  画像/右は『水車小屋の水浴』)
 
                  






       会場へは、シャトルバスが出てました。
       どのバスも満員の盛況。
       山形から見にきたという女子大生。ゴーギャンの大ファンだそうです。

       「ゴーギャンには、絵があった。しかし、小塚氏には絵がない。絵は彼の愛する女性だった」
       小説『駅路』の五十近い刑事のせりふが今も心に残っています。



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【東京・2009夏】八重子のあとに八重子なし-初代水谷八重子写真展ー

2009-08-30 | 演劇




                水中花水谷八重子という女優

                寒牡丹八重子のあとに八重子なし   嵐楓子

       
         水谷八重子の舞台には常に気品がただよっていた。
         八重子が舞台にあらわれると、一瞬、客席にざわめきのさざ波が立つ。
         舞台用語では「ジワ」がくるという。
         彼女は亡くなるまで「ジワがくる」女優であり続けた。

         このたび没後30年を追悼して、「初代水谷八重子写真展」が銀座の資生堂で開催され、
         見てきました。
         展示された写真から往年の輝かしい舞台が偲ばれて、素敵な時間をすごしました。


                            
                                 写真展が開かれた資生堂ビル

         わたしは、水谷八重子さんとは二度お会いしてます。
         1度目は京都・南座のロビーでお目にかかりました。
         2度目は銀座で、3丁目の和装小物の「くのや」さんでした。

         彼女のいちばん好きな花は「冬バラ」だそうです。
         「弱そうで強いから」と何かの本で読んだことがあります。
         
         わたしの長いおしゃべりは無粋というもの。
         水谷八重子の舞台写真をアップしましたので、ごゆっくりとご覧になってください。

         これらの写真には、透きとおるようなさわやかさの中に、どこか芯の強さが伺えます。
         
         水谷八重子は「冬バラ」のような人でした。  
     

                                       



                          ↑『鹿鳴館』 影山朝子

                     新橋演舞場、名古屋の中日劇場と観ております。

 
  ↑『金色夜叉』 宮 (貫一)中村吉右衛門     ↑『明治一代女』<新富座茶屋の二階> 叶家お梅




                 

                   ↑『十三夜』 せき  (父親)大矢市次郎



                          ↑『大つごもり』 みね



                            ↑『蛍』  とき



 
↑『鶴八鶴次郎』 鶴八 (鶴次郎)中村勘三郎        ↑『寺田屋お登世』 登世





                       ↑『智惠子抄』  智惠子

            感動して、お芝居が終わってから、しばらくは席を立てませんでした。



                        ↑『婦系図』<めの惣>   お蔦





                  ↑素顔の水谷八重子   出雲大社にて


                        お疲れさまです


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しっとりと充実した「引窓」     -上方歌舞伎会ー

2009-08-24 | 演劇
 

      
      今年の上方歌舞伎会は、「修善寺物語」 「引窓」 「京人形」と例年になく充実しているが、
      なんといっても、唯一の義太夫狂言「引窓」が抜群にすぐれている。
      滅多に見られない「引窓」には違いない。

      まず、純弥のお早がいい。
      前々回の「野崎村」のお光もよかったが、この人のニンのせいであり、
      こうした「義太夫狂言」に俄然むいているのかもしれない。

      お早のいいところは、1つに義太夫狂言の肚が十分に抑えられていることである。
      義太夫の味までもいかなくても、丸本では肚が薄いと観客は感動しない。
     
      つぎに、お早には女形の愛嬌を売るための入れ事が多い。
      まず幕開けの月見の飾り物をする動作など上出来。
      上方の場合、裾こそ引かないが、次から次へと仕事を丁寧に演じている。
      しかも、この役には人のセリフを聞くところ、受けの芝居が多い。
      肚で受けて、体を殺すという修行が足りている。
      ただ、夫の与兵衛の出世ぶりを喜ぶところが少々はしゃぎすぎ。
      ここだけが浮いたように見えてしまう。





      とはいっても、見せ場の引窓を引く件りの形がじつによかった。
      それでいて、遊女上がりらしい風情をきっちり見せた。
      たいしたものだ。


      主人公の与兵衛には松次郎
      「人の出世は時知れず」で花道からの出がいい。
      肩を小さく振って歩く。その歩き方がいかにも「八幡の町人」になっている。
      「女房ども、今戻った」も抑えて、リアルである。
      それに松次郎の与兵衛は、二階の濡髪を見つけての二度のきまりが上出来である。

      しかも仕事は、行儀よくキッパリしているので好感がもてる。

      「伊勢音頭」の福岡貢では不安定なところがあったが、ここでは水を得た魚のようにさっぱりと
      爽やか。

      ただ上方型でよくやる、一人うなずいたり、十手をいかにも嬉しそうに持ったりするのが、
      真面目な松次郎の芸風に合わない。
      嫌味になる。やめた方がよい。

      つぎに當吉郎の濡髪は、姿かたちが立派。
      ところが肝心の義太夫の肚が不足。
      「剃りやんす、落ちやんす」など、搾りだすような苦渋がなければいけない。
      それが上っ面だけできこえるのは、肚が薄いからである。

      立派な体格、性根とが渾然一体になっていないのが問題だと思う。
      濡髪のニンだけに惜しい。
      また、この人のセリフに現代語が交じるのも芝居のぶち壊し。

      扇乃丞のお幸は初の老け役。
      大芝居せず、サラサラとして淡彩。
      さすがに濡髪の肩に手拭を掛けてジッとなるところは情が溢れる。
      円熟の味といえる。

      今ひとつ感心したのが、二人侍である。
      上方歌舞伎会初参加の松太朗(←前進座出身)の三原伝造が上出来。
      声ガラがよく、間のとり方、せりふ廻しがしっかりしている。
      芝居を受けるところが多いが、肚で受けているのには感心した。
      「出過ぎず引き過ぎず」で脇の分をわきまえた二人侍であった。

      それと、竹本の愛太夫の熱演も忘れがたい。
   
      「京人形」は、千次郎の吉原の太夫が滅法きれいで、しかもこれが
      男の振りになるので客席は大ウケ。

      長唄と常磐津の掛け合いで一興をそそるが、作品としては大したものではない。

      見どころは、ラストの殺陣。
      大工に、千志郎、松次郎、祐次郎、當吉郎、松四朗、松太朗
      とイケメン揃いだが、肝心のトンボがサッパリ。
      初日夜の部の所見だったが、千志郎丈が2回も失敗する。それだけならまだしも、
      ミスった後に「二ヤッ!!」と笑うのはよくない。

      もう一つ。
      郎党、捕手のリーダー役の千蔵
      それ、行け!!とかいざ!!だけのセリフしかない。
      見ていて気の毒な気もするが、舞台が引き締まるのも、こういう人が
      いるからである。

      上方歌舞伎会19回目にして、新歌舞伎「修善寺物語」が出るのは初めて。
      下田五郎に祐次郎。凛々しい若者を見せていい出来栄え。
      夜叉王に松之助
      抑えに抑えて演じながら、それでいて芝居をしている。さすがベテラン。
      姉桂のりき彌はともかく、妹楓の當史弥がいい歌舞伎味を匂わせた。

            (舞台写真「引窓」は国立文楽劇場のご好意で掲載させていただきました)



   

◆ 幕間のひととき ◆
      

 


      劇場ロビーで見かけたブロンズ像(画像/左)と文楽人形のくいだおれ太郎(画像/右)。

      道頓堀の食堂「くいだおれ」の名物であった「くいだおれ太郎」
      シフト先をめぐって取り沙汰されましたが、元祖・くいだおれ太郎君
      は、その後どうなっているのでしょうか?




      幕間のお食事

      劇場内にある食事処「文楽茶寮」にてリザーブ。

          




     幕間30分(←正味20分)。急げ!急げ
     これだけの品数(←画像)を20分で食べきれると思います?
     食後にはまだ、コーヒーとフルーツが付きます。

     こうなれば、ブログ用の写真撮りなんかどうだっていい!!
     そんな心境になりました(笑)。


 


     お芝居がハネてからは、道頓堀へ出て夜のお散歩。
     といえば聞こえがよろしいが、本当のところは飲み歩き(笑)。


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