Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

心のひだを感じさせる人間ドラマ    長塚、麻美主演の『みんな我が子』 

2011-12-24 | 演劇

 


一発の銃声が響き、このドラマは終局をむかえる。

息子・クリス 「 お母さん、僕はこんなことになろうとは思ってなかった 」

母・ケイト 「 いいんだよ。お前の責任じゃない。つとめて忘れること、そして,生きぬいてゆくことですよ・・・・・」

みごとな終幕である。
この芝居の中で起きる出来事は、戦争という大きな枠組みの中で起こったドラマである。
そしてこの枠組みを越えて、人はいかに生きるべきか、人はいかにあるべきか、という普遍的な問いを観客に投げかけている。

『みんな我が子』はアーサー・ミラーのデビュー作。
この非凡なミラーの力量が、二年後に20世紀を代表する『セールスマンの死』という傑作を生み出すことになる。
ミラーのテーマは、いつも父と息子の対立、葛藤である。


舞台は第二次世界大戦のアメリカ。
戦争特需で事業を成功させた父・ジョ-に長塚京三。
次男ラリーの戦死を受け入れられず苦悩する母に麻美れいという配役。

問題を抱えながらギリギリのバランスで保たれたケラー家族の関係が、戦死したラリーのかつての恋人・アン(←朝海ひかる)の来紡によって不協和音を奏ではじめる・・・・・・・。

次男ラリーが亡くなる日に恋人・アンに宛てた一通の手紙を、敢えてラリーの母であるケイトに見せる。
その手紙こそ、ラリーの真相が明らかにされる。
ラリーは行方不明でも戦死でもなく、自殺していたのである。

「ぼくはこれ以上生きるのに耐えられない」と。               (画像はその一場面) 

 

 
戦争で一財産を築きながら、妻や息子たちの思いに翻弄され、人間の業(ごう)や悔恨をむきだしに見せつけた長塚京三(←画像/左)はさすがにベテランの境地。

事実を直視できない人間の脆さをしかと表現した麻美れい(←画像/右)。
ケイトが昨夜の夢について語るシーンなどは、異様な緊張をはらんだ盛り上がりを見せる。
しかも哀愁のトーンをにじませて好演。

 


今や蜷川作品の常連になった田島優成(←画像/左)は正義感の強い実直な青年を演じきった。

朝海ひかる(←画像/右)は『ローマの休日』を見て以来だが、可憐なたたずまいはこの人の真骨頂。
それはいいのだが、もう少し芯の強さを感じさせてほしかった。

 


今回一番よかったのはアンの兄・ジョージを演じた柄本 佑(←画像)だ。
登場するなり異様な空気を持ち込む。
と同時に、それぞれが抱える秘密や疑惑が、徐々にあぶりだされていくのである。
柄本 佑はNHKの朝ドラ『おひさま』の”タケオ”くんでお馴染。俳優柄本明の長男。
本作品ではいわば「招かざる客」なんだが、ニンがピタリと合っている。
彼の登場により、ありふれた日常の家庭劇が、ラリーの生死をめぐる衝突が起こり、ついには衝撃の結末をむかえてしまう。

出演者の全身からあふれる熱演で、心のヒダを感じさせる見応えのあるドラマに仕上がっていた。

最後にひとつ苦言を。
堀尾幸男の舞台美術に疑問が残る。
正面だけの白壁のカントリー調の建物にウッドデッキがある広い庭。全幕いっぱいセットである。
上・下手は黒幕で仕切られている。
原作のいうポプラの木々が密生した,ある郊外の邸宅とはほど遠い。

しかも裏庭の片隅には、昨夜の嵐で折れたりんごの木の切り株があまりにも貧弱すぎる。
この木はドラマの重要なモメントでもある。
なぜなら、パイロットとして戦場に行き、行方不明になっている次男ラリーを記念して植えられたものである。
この木は、ジョー(長塚京三)の犯した犯罪を無口のうちに告発し続けることになるのだから・・・・・・・

                           (2011年12月20日  サンケイホール・ブリーゼで所見) 

 

お芝居がハネて劇場を出ると、街はクリスマスのイルミネーション。

肌寒い夜であったが

スバラシイ芝居を観たあとは、心は温かい。 

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わたしの好きなティルーム ⑦      =トアーロードCafe"Borsi”=

2011-12-22 | 喫茶店めぐり

 


よく行くサテンのなかでも、今回はちょっと風変りな喫茶店。

神戸元町大丸東玄関の北側にある「Borsi」というお店です。

1階はヒロシキのテイクアウト店。2階がCafeなんです。

3階はノンブランドから有名ブランドまで統一感ゼロのアウトレット店というわけ。

 


2階のカフエでは神戸大丸の北向いとあって、窓越しから人通りがみわたせます。

一杯のコーヒーをのみながら”人の動き”をながめるのが大好きな私。

 


Cafe「ラデユレ」から見た銀座四丁目の交差点

 

”人の動き”といえば、銀座三越の2階にある喫茶室「ラデュレ」

大きなガラス窓越しには銀座四丁目の交差点。人の行き来を眺められるのはここが日本一。

ただしいつ行っても窓際席は満席。コーヒーと人気のマロンを注文すれば3000円はお覚悟。

おまけに写真撮影は禁止されてます。
 

このお店の窓際席も、人の行き来をながめられます。

 


神戸大丸前の時計台がクリスマスツリーに早変わり。

昼時で、まだ人通りは少ないほう。

3時すぎにでもなれば買い物客でごったがえします。

とはいえ、銀座4丁目の交差点の人通リにはおよびません。



窓際の席はわたしの指定席。ただし4席しかありません。

チョコマロン、ナッティーテラなど女の子が好きそうなオリジナルドリンクがいっぱい。

「ボルシイ」の一押しメニューはやはり神戸名物のヒロシキ。

ヒロシキは、もともと神戸に移住したロシア人によって、日本に初上陸したそうですよ。

 


ベイクドレアチーズケーキ

クリームチーズとサワークリームの2種類のチーズを使用したあっさりめ。

でも濃厚な味わいのチーズケーキでした。

さっぱりしたアイスクリームがベリーソースにぴったりの相性でしたよ。

この日はコーヒーとベイクドレアチーズケーキのドリンクセットで980円。

というわけでばっちり1時間ねばりました。

 

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「Borsi」

神戸市中央区三宮町3-1-2

営業時間 11:30~19:30

ランチタイム 11:30~15:00

定休日   なし  (予約可)

 

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ことしも”京の顔見世”観てきました!!

2011-12-18 | 演劇


今年の「京の顔見世」は、昼の部はどれも江戸が舞台の演目が並んでいる。

京の顔見世で江戸の芝居を見る!!

おかしな話だが、それも東西合同歌舞伎と銘打ってはいるが、東京勢は菊五郎、三津五郎、左団次、時蔵ら幹部クラスの役者は4人だけ。

どうしても藤十郎をはじめ上方役者が大勢を占めている。


江戸が舞台といえば、『勧進帳』に次いでよく上演される『寿曽我対面』。その舞台となった工藤祐経の館は鎌倉の材木座。

続く川口松太郎の『お江戸みやげ』は、天保初年の梅香る湯島天神の境内が舞台。

所作事で清元の『隅田川』はいうまでもない。

歌川広重「江戸百景」でもお馴染である。

最後の演目の『与話情浮名横櫛(切られ与三)』は木更津の見染と源氏店の二場。

「いやさ、お富・・・・」で有名な「源氏店」は、東京・日本橋人形町の一角。

このあたりは幕府のお抱え医者が多く住んでいたらしい(←松竹歌舞伎検定二級の設問にありました)。


● お江戸みやげ

 川口松太郎が歌舞伎に書いて評判をとった肩のこらない喜劇。
結城紬の行商に来たお辻(三津五郎)とおゆう(翫雀)は、人の情けという「みやげ」を貰って江戸から帰って行く心温まる人情ばなしである。
さらりとした芝居だが、芸も気心も互いに知りつくした腕のある役者同志でないと、この芝居の面白さが充分に生かされない。
東京・歌舞伎座で観たときはお辻に芝翫、おゆうに富十郎だった。
どちらも故人になってしまった。


今回は三津五郎のお辻に翫雀(←画像/上)のおゆうという若返った配役。
感心したのはおゆうの翫雀のうまさ。まさしく富十郎ばりである。観客も爆笑の渦。
三津五郎のお辻はこの女のケチなところ、一筋の純情をうまく引き出していた。

お辻はたまたま湯島境内にかかっていた宮地芝居を見て、栄紫(愛之助)という役者に一目惚れする。
栄紫の愛之助はどう見ても江戸の役者に見えない。
なよなよとした上方役者になってしまっている。
その恋仲になるお紺の梅枝は一本調子。もう少しツンツンしたところがあってもよい。 

 

       

 
お紺の養母である常磐津の師匠文字辰には竹三郎(←画像/右)。
川口作品特有のチャキチャキ江戸っ子役には、このひとの芸風からして不向きなことは分かっている。
それはこの人のガラでしかたがない。
今回はどちらかというと悪親分の姐御に見える。
それだけに腹黒いところが出ていたのはさすが。

一座の女形紋吉吉弥(←画像/左)も、チョイ役とはいえ重要な役どころ。
酒を飲まないと舞台が務められないというのんべーの女形役者。
かんじんの酒の飲みっぷりがよくない。
この役は歌江が実にうまかった。うだつの上がらない役者の味を見せていた。

茶店のお長(右之助)、鳶頭の権十郎、角兵衛獅子の満太郎がそれらしく演じていた。 

 


● 寿曽我対面

我当(←画像/右)の工藤は、芝居が丁寧で苦味走った悪の影の濃いのがよい。
愛之助初役の五郎は、たしかに勢いはあるが、ただの力だけ。
これでは荒事の芸とは言えない。
勢いをイキに見せてこそホンモノの芸。
対する兄十郎は江戸和事の代表格だ。孝太郎の十郎は全体的に柔らかな味が足りないのである。
秀太郎(←画像/左)の舞鶴が精一杯の力演であろうが、この役にはもっと洒落っ気が欲しい。

「対面」は祝祭劇ともいわれ、ドラマがなく、役者の持ち味だけで見せる芝居。
その持ち味がないと、面白くももおかしくもない芝居になる。
どうしたわけか間ばかりが目立った今回の「対面」であった。


 

● 清元「隅田川」

坂田藤十郎(←画像/上)の名では初めてとなる今回の「隅田川」。
そもそも出典は”能”だが、能よりも登場人物も少なく、シンプルに仕上げながら、歌舞伎味がしっとり滲み出ている。
今回は幕切れの照明に一工夫こらし、余韻を漂わせた。
舟長の翫雀も初役ながらこまかな情にあふれた舟長であった。


● 与話情浮名横櫛 (切られ与三) 

ごちそう役でもなかろうが、今回の『切られ与』では蝙蝠安を菊五郎がやる。
歌舞伎座でさえ考えられそうにないキャスチング。もちろん初役である。
これが昼の部の大目玉か。
一見どうやっても出来るように見えるが、これがなかなかイキをつかむにも型がある。
軽妙で、間もよく、それでいてさり気ないところが絵になっている。
いい蝙蝠安である。

時蔵のお富は色気が少なく、冷たさだけが目につく。
与三郎は仁左衛門、藤八は松之助

                                        (2011年12月13日  京都・南座昼の部所見)

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月食を見て風邪ひいちゃいました!!

2011-12-11 | おまけ


昨夜の月食を見ましたか?

私はよる7時のニュースで知りました。

慌ててデジカメを充電して、診療所の屋上で11時ごろから待機。

星がとってもきれいな夜でした。

冬の夜空の星ってきらめきかたがチガイますよね。

さて、太陽と月のあいだに地球が入るという宇宙の神秘!!

撮影するのも忘れてしばらく空を見上げてました。

ところが・・・・です。

そうとう着込んでましたが、鼻水、くしゃみ・・・・ひどい風邪の症状です。

とうとう・・・・ダウンしちゃいました。

3日前にインフルエンザの予防接種したばかりなのに

年末だというのに

観劇予定が年内にまだ2公演も控えているというのに

年賀はがきもまだ買ってないというのに

届いたお歳暮の礼状もまだ書いてないというのに

今回はとんだ私のつぶやきブログになっちゃいました。

ごめんなさい!

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本日のお刺身

2011-12-03 | 本日の○○


行きつけの和食屋さんで別注したお刺身の一品。
赤身のまぐろと明石鯛。
この店のお造りは厚い切れ目と新鮮さがワタクシ的には好きです。

この和食屋さんは大衆食堂であり、実を明かせば「居酒屋」さん。

 日曜祝日以外なら、朝10時半から営業している。

「この店なら朝から呑めまっせ!!」

しかもホッピー、焼酎、ビール、日本酒と豊富。
この時節なら、おでん一皿とかす汁、熱燗を注文されてもいい(←但しコップ酒ですよ)。 

 


お店の奥には画像のように所狭しと「お惣菜」が竝べてある。

肉じゃがなどの煮物、揚げ物、だし巻き、酢の物、シュウマイなど目移りするほどの品数です。 

 

 


店に入ったらまず、ご飯の大・中・小(←ミニライス100円もあるよ!!)と汁の種類を注文する。
汁ものは、味噌汁、豚汁、かす汁・・・とこれも豊富。

上の画像は別注文しただし巻き香の物。
このお店のだし巻きはホントに旨い!!
アツアツ、トロけるようなだし巻きです。

オーダーした飯と汁が運ばれると同時に勘定伝票が裏返しに置かれる。。
伝票はわら半紙のようなものを小さく切った紙片。
ローテイクながら、まことにシスマチックに仕事が運んでいるようです。

この日も昼食時であったせいか、近くの商店街に勤めてるらしい女の子2人が入って来た。
彼女たちはいきなり店の従業員に・・・・

「鴨なんば 二つ!!」

 

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   ● 金時食堂 ●

   神戸市中央区元町1-7-2

    078-331-1037

   営業* 10:30~21:00

   休日* 日曜 祝日

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