Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

主演 成宮寛貴 ニヒルさと切なさと -舞台版『太陽に灼かれて 』-

2011-08-23 | 演劇


久しぶりに骨太のかなり食べ応えのある芝居を観た。
モスクワ近郊ののどかな田園地帯にある幸せそうな家庭の風景。

そこからこの芝居ははじまる。
しかしその裏に隠されたロシアの社会的背景が。

一見チエホフ劇を思わせる豪華な屋敷で、家族と穏やかに暮らすロシア革命の英雄コトフ大佐(鹿賀丈史)のもとに、ある夏の日、ひとりの男ミーチャ(成宮寛貴)が一家を不意に訪れる。
彼はコトフ大佐の妻マルーシャ(水野美紀)の幼馴染であり、かつては将来を約束した恋人であった。
彼の突然の生還を一家は歓迎するが、コトフ大佐とマルーシャは彼の帰還に不穏な空気を感じていた。

最初はまた先日見た嵐が丘のようなミーチャによる復讐劇かと思った。

そうではなかった。

舞台はロシア。しかもスターリンの大粛清時代(←大規模な政治弾圧を「大粛清」と呼ぶ)。
ですから復讐という単純な感情論でなく、もっと深い思惑と揺らぎのない策謀がミーチャにあったのだ。

脚本を手がけたミハルコフは「私は政治を描こうとは思わない。田園地帯に生きる人々の心の葛藤を描きたい」と。

だからこれは政治劇ではない。日本人好みの引き裂かれた男女の悲劇でもない。
スターリンによる絶対主義は、国民一人ひとりの人間性を剥奪した。
それが奪われたとき、人はどれほどの存在として在るのか。
いわばこの「不条理」の中で生きるしかなかった壮大な人間ドラマなのだ。

表向きはそうであっても、スターリンの大粛清という時代背景は日本人にはあまりにも理解しがたい。
それが舞台としてもイマイチ咀嚼しきれておらず、人間ドラマとして奥行までは伝わらなかった。
その一例が、ラストでミーチャのピストルによる自害すら納得しがたい。

正直に云って、全体に「難解」なお芝居だった。
ロシアの小説を読まれた方はおわかりになるだろう。登場人物の名前を覚えるだけで一苦労ですよね
でも、ナマの役者がうまかっただけに愉しかったのも事実です。



主人公のミーチャには成宮寛貴(←画像/左)。
私が見たのは、渋谷コクーンの「キッチン」以来。 今回の舞台は4年ぶりとか。
不気味さと、持ち前のニヒルさもあって好演した。
表向きの明るさとは別の陰のある役が成宮にはよく似合う。

コトフは鹿賀丈史(←画像/右)。
さすが安定感があり、男として、夫として、軍人としてその存在感が抜群でした。

妻マルーシャには水野美紀(←画像/中央)。
往年の秋吉久美子を思わせた。
清楚感のなかに妖艶さも覗かせた。
でもあくまで日本的な若妻にしか見えなかったのは私だけであろうか。

竹内都子のメイドが茶目っ気があって面白い役作り。

奇妙なことに、この芝居には三婆が同居している。三婆に那須佐代子、今 陽子、鷲尾真知子らベテランキャストが脇をかためている。
ことに青年座の那須佐代子は出ただけで舞台が引き締まる。たいした女優さんだ。
今 陽子がいい喉を披露する”おまけ”が付く。 

 

  

   成宮寛貴の舞台衣装

                                 

                                            (2011年8月21日  県立芸術文化センター中ホールで所見)

コメント

世紀を越える天才ジャズ・ヴォーカル 小林圭のアルバム  -So nice- 

2011-08-14 | ジャズ

 

日本にはなぜか本格的な男性ジャズ・シンガーがあらわれなかった。
ところが彗星のごとく本格派の男性歌手が誕生した。

それが小林 圭くんです。

今回紹介したいアルバムは、東芝EMIでの第1作『ソー・ナイス』(←画像)です。
彼は1979年生まれだから、このアルバムをレコーディングした当時は弱冠20歳の若者だった。
友人のススメで大分前に買ったのですが、長いことCDボックスで眠っていた。

今度あらためて聴いてみると、彼のフイリング、のりのよさ、スキットでも歌えるジャズのセンス。
それに歌詞を通しての表現のよさ。

聴き手は安心して彼の歌にスムーズに入っていける。
しかも躰全体がジャズになっているのです。
アルバム『ソー・ナイス』は著名なトランペッターやサックス奏者と共演しています。
なのに少しもおくすることなく、堂々と歌っている。

彼の父はジャズピアニスト、母親はジャズ・シンガー、祖父もジャズ・ミュージシャン。
並の環境ではない。
どうりで彼のジャズ・フィリングも天才的なものを感じるのです。

お気に入りは「ヴァーモントの月」

ジャズのスタンダートといえば、圧倒的に愛や恋が多い。
そうでないのがアルバムの4番目に収録の「ヴァーモントの月」です

先日でしたか某局のラジオ番組で、この曲が採りあげられたとき・・・・。

ハウスヴァーモントカレーだよね」

「ちやう ちやう」

アナウンサーも大阪弁で必死に否定してましたが・・・・(笑)。

このヴァーモントというのは、アメリカの北東部、カナダとの国境に近い州をさしています。
ヴァーモントは、豊かな自然に恵まれ避暑地として有名です。
夏はサマーキャンプ、冬はスキーやりんご狩りで観光客が目白押しだそうです。

私がヘタに説明するよりも小林 圭くんの曲を聴けば、行ったことのないヴァーモントがどんなに美しい所かおわかりになる。
冬のヴァーモントの夜空に凍てつく月。
そして・・・寄り添う若い男と女。
同じ月を、もし同じ場所で見られたら唄がもっと近くなる気がするのです。
最後の詞章がいい。

           You and I and moonlight in Vermont

これを小林 圭くんの歌唱で聴くと、もう最高のラブソングなのだ。
アルトサックスの美しい音色が、とつとつと、ヴァーモントの月を輝かしてくれるのです。

                                 

                                                                                                                             「ヴァーモントの月」の洋盤を銀座の山野楽器から取り寄せたのだが(←画像/上)、さほど感銘はしなかった。

小林 圭くんの「ヴァーモントの月」の歌唱には、アメリカの黒人ミュージシャンに似たピート感がある、と思った。

 

コメント

夏本番 今日も かき氷 

2011-08-06 | 本日の○○

             
                      


少年の頃だった。

のりのよく効いた浴衣を初めて着せてもらって、縁日に出かけたものだった。

金魚すくいよりも、綿菓子よりも、なにより好きだったのが「かき氷」

鼻を突くようなアセチレンガスの匂い。 色とりどりのシロップ。

デカい氷削機に、ボンと氷をのせて、素手でハンドルを回して氷をかき、なにがしかのシロップをかけてくれる。


いま思えば、メロンだのレモンとは名前ばかり。色付きの砂糖水だったんです。

それをザラメのかき氷にかけてくれる簡素な”かき氷”だった。

でもその”かき氷”の美味しかったこと。

バリバリ シャクシャク バリバリ・・・・

氷のかき方がバリバリ系で食感がたまらない。


以前このブログで「東京のかき氷めぐり(詳しくはコチラを紹介しました。

主に宇治金時でしたが、今回は”かき氷”のいろんなバリエ―ションを紹介したい。 

 




   

  ① いちご氷・・・・・・京都の河原町で食べました。
             ふわふわのかき氷と、いちごのフレッシュさがマッチして最高!!

  ② 雪山・・・・・・・・・ミルク味の氷に、抹茶のシロップ、テッペンに抹茶ソフトクリームがのっかった超豪華版の”かき氷”。

 ③ マンゴーかき氷・・・・東京・銀座七丁目にあるお店。
                台湾産のマンゴーをかき氷とたっぷり味わえます。 季節限定メニューですが。

 ④ 宇治金時・・・・・・・・・近所の和菓子司さんのかき氷。
                大盛りの氷がとければ、白玉、あんこ、みかんが見えてくる。小豆は大納言。

 ⑤ 黒糖寒天ミルク氷・・・京都・清水寺にある「梅園」。
                 寒天と氷のコラボ。浅草の「梅園」にはなく、京都店らしい逸品です。

 ⑥ キャラメルかき氷・・・・映画館に行けば”キャラメルコーン”。 氷屋さんに行けば”キャラメルかき氷”(笑)。
                                    とかく私はキャラメル党人間。
                                    コクのあるシロップで食感も抜群。

 

        ◆ かき氷のお取り寄せ ◆ 


かき氷好きが高じて、自分で氷削機を買っちゃった友人がいます。
そこまでしなくても、手軽にご家庭で”かき氷”を楽しめる通販があります。

コンビニでもたまに見かけますが、鹿児島の「白熊」(←画像/右)というかき氷。
「白熊」とは、ミルク味の氷にフルーツや豆を盛りつけた鹿児島の名産。

本元は天文館むじゃき店(詳しくはコチラ)。
このお店なら年中”かき氷”をネットでも取り寄せられますよ。
まずはお近くのコンビニを覗いて見てください。


それと町を歩いていると「氷」と書かれた小旗を見かけますよね。 正式には「氷旗」というそうです。昭和の匂いがします。
注意してよく見ると、下のほうに「白雪氷削機」と書かれた小旗があります。
このお店ならまず信用できます。「白雪氷削機」(←画像/左)を使っているからです。
「白雪」は氷削機のピカイチのメーカーです。

話がまたとびますが、この間テレビで秩父の長瀞(ながどろ)で冬場に行われる天然氷の切り出し作業を見ました。
切り出した氷を<阿佐美冷蔵>にある貯水庫の中に6月ころまで保存しておくのです。
天然氷のかき氷はふわふわして柔らかな味がするそうです。

機会があれば、秩父に行ってみたいです。 秩父って何県でしたっけ?

 

コメント