Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

夢の続きはおしまいですか?        ―ブログ「Dream Gate」 閉幕のごあいさつ―

2013-06-30 | ごあいさつ

夢の続きはおしまいですか  全て白紙にかえるのですか

 

ブラジル出身のマルシアさんが歌った 「ふりむけばヨコハマ」の一節である。

Dream Gate(中野浚次のブログ)」もわずか5年間でありましたが” 夢 ”をつぶやいてまいりました。

誠に残念ではありますが、お別れのときがやってまいりました 夢の続きはおしまいなんです。

始まりには終わりがあります。

ブログをはじめたころは、世の中ブログの全盛期でした。数年たってブログにかわるツイッターやフェイスブックなるものが出現しました。

一時は一日に300件近いアクセスをしていただいたこともあります。

タンゴの国アルゼンチンからコメントをいただいたこともあり、とても嬉しかったです。

グルメ記事で紹介したお店が、無くなってしまったり、取材を拒否されたり、いろんなことがありました。かとおもえ

ば、なにげなく入ったお店から、後でお礼が届けられたり、いろんな思い出があります。

わずか5年間でありましたが、皆様方のご支援、ご愛読を賜りましたことを、七重の膝を八重九重に厚くお礼申し上げます。

ほんとうにありがとうございました。いつまでもお元気でいてくださいね 


(註)  今ままでのブログは今後も保存されていますので、よろしければアーカイブとしてお楽しみください。

         「これからの観劇予定」は通常通り続けます。またどこかの劇場でお会いするかもしれませんね!!

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海老蔵の『助六』にもの申す!!      ―新装の歌舞伎座葺落とし ③ ―

2013-06-29 | 歌舞伎


今月のいちばん目玉の記事が、いちばん最後になってしまった。お許しを乞う。

さて、6月公演第3部の『助六』を見たのが、杮落とし公演の3月目である。

はじめは父団十郎が助六を勤める予定であり、海老蔵は福山かつぎの配役で早くから宣伝のチラシが届けられていた。

それが、団十郎丈の急死で、父に代わって海老蔵が「助六」を勤めることになり、福山かつぎは菊之助に配役変更された。


ご承知のように『助六』は成田屋の”家の芸”であり、歌舞伎十八番の名作中の名作である。

舞台は吉原の「三浦屋」の店先のたった一場で、2時間10分の長丁場。殆んどの役者が、それも当を得た配役で、宵から、廓の夜がふけていくまでを

大勢の役者が次から次へと出入りして、芸を楽しむというより、登場する役者を見ているだけで2時間はすぐにたってしまう。

 


そもそも歌舞伎とは、いろんな約束ごとがあって、ほかのリアリズム演劇とはやはり一線を画するものである。

それが大前提であるはずなのだが・・・・。

今回の海老蔵の『助六』には、そうした歌舞伎本来の伝統がいささかも守られてはいなかった。

端的なことをいえば、助六のさがりの位置がどうもおかしかったし、大詰め紙衣に着替えてからの衣装の着崩れの激しいのが気のなった。

たしかに「助六」の出場の「カタリ」」には、「めぐる日なみ」で哀愁の実感、「約束の」で青春がにじむなど、雰囲気だけはただよわせていたが、セリフはあ

まりにもリアルに誇張するあまり、この「助六」が本来もっている歌舞伎のおおらかな味が損なわれたのは、これからの歌舞伎の方向を考えると淋しい。

勘三郎、団十郎をはじめ大物を亡くし、これはあまり知られてはいないが、とかく若い役者に「口うるさい」といわれた各門の番頭さんがいなくなったことで

ある。

「お前さんね、先代はここはこうしたのよ!!」 いわゆる歌舞伎の生き字引といわれた人々である。

役者を叱るというか、支えるというか、そうしたサポートがだんだん少なくなった現実がある。

それらのことが顕著に露見した、このたびの『助六」』であった。

 

 とはいううものの、揚巻の花道行列の最後に出る時蝶、それと手紙を揚巻に届けにくる文使い白菊の歌江の2人がわずかの登場だが、古劇の歌舞

伎味を見せてくれた。嬉しい限りである。

まず皮きりの松本幸四郎の口上に、今回いろんな物議を醸し出したようである。

普通は下手からの登場が、板付きだったこと。しかも下手へ入るのが、上手へ退場したこと。

「河東節の御連中に失礼ではないか」とか、歌舞伎評論家の渡辺保氏などは「どっちでもいいでしょう」と仰る。

さては、「下手からだと他家(成田屋)のご贔屓の目の前を横切ることになるので遠慮したのではないか」という意見もある。

 

    

   今回の「助六」拾い物もいくつかある。まず正面暖簾口から壱太郎、右近、米吉、児太郎の「並び傾城」

   の登場。            

   平成生まれも混じる綺麗どころを揃えた。そのなかでリーダー格の壱太郎が、セリフといい、芝居の大き

   さといいさすが。壱太郎は上方の役者。江戸吉原のおいらんの風情がないのは無理もない。

   いつもなら傾城になる巳之助松也だが、こんどは意休の子分。この2人は立役のほうが私的にはニン

   に適っているように思える。   

   吉右衛門のかんぺら門兵衛は、江戸っ子らしいしゃれた味。又五郎の朝顔仙平のモサ言葉のうまみ。

   良かったのは七之助の白玉。白玉は菊之助、亀治郎(現猿之助)、福助、玉三郎とみてきた。

   このたびの七之助がやはりいちばんよかった。

   

苦界に生きるる花魁らしい。私の好きなせりふ「ほんの莟の藪椿」がこの人こそドンピシャリだと思うし、またキッパリと決めた。

 
最後にあと2人だけ書いておきたい、。東蔵三津五郎である。

東蔵の満江は安定している。しかも「さようなら公演」よりも格段の進歩。

廓の夜も更けて、くるわ騒ぎもヤロメたちの喧嘩もなく、静かな舞台。兄の十郎を従えて花道の引っ込み。 私の『助六』でいちばん好きな場面だ。

曽我十郎と五郎を育てた母としての貫目が充分あり、花道七三での決まりも歌舞伎味をだして楽しませてくれた。

もう1人は通人の三津五郎。さようなら公演は亡き勘三郎であった。

例によって、テレビのCMや流行語で大いに笑わせる「股くぐり」。おそらく「助六」を見る人の大半はこの「股くぐり」に期待してるのではないか。

私の見た日は、海老蔵に第二子が産まれるらしい。それも男の子。

三津五郎が花道へ行ってからこのネタを暴露したのである。

「この子が、歌舞伎座の舞台で『助六』をやるまで皆さん生きていましょうね!!」

海老蔵丈のブログから盗用したネタだった。

 

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新装歌舞伎座の屋上庭園    ― 新装の歌舞伎座葺落とし ② ―

2013-06-26 | 歌舞伎


岸田國士の戯曲に『屋上公園』という一幕物がある。

7年前に別れた恋人同士が、デパートの屋上公園で再会する話であったように思う。

新しく開場した歌舞伎座の目玉の一つに回廊式の屋上公園がある。

劇場部分の屋根の上につくられている。

枝垂れ桜を中央にシンボルツリーとして、灯籠などが配置されている。

ビルに囲まれた借景は、いかにも銀座のオアシスだ。 

 


庭園内でお茶席が開かれるように設計されているという。

お茶席といえば、銀座通リのど真ん中で天王寺屋さん(中村富十郎丈)がお茶席をひらいた。

まだうわてがある!!

ご存知だろうか? 故森繁久彌のご婦人。

サワラ砂漠でお茶席を開き、当時はマスコミ界が大騒ぎした。

お茶席というより、一大イベントの色が濃い 。


この屋上公園に便乗したのが、海苔の老舗「丸山海苔店」。

約3000本の竹を使い、日本茶カフエなる喫茶スペースをつくった。

もちろん屋上庭園が一望でき、和の空気を感じながら極上のお抹茶を!!

というのがキャッチコピー。


柚子煎茶が900円に消費税。

これまさに銀座料金。客はお店のテナント料まで払わせられているのである。

テナントいえば、歌舞伎座の上階に聳える銀座ビル。

松竹さんは年間数億円の家賃収入を当て込んでいるのに、、空室だらけでいまだ借り手が無いという。  

これ『獲らぬ狸の皮算用』。    

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井の頭公園 点描

2013-06-24 | おでかけ


野口五郎に『私鉄沿線』という歌がある。

京王・井の頭線の「井の頭公園駅」は、この歌そっくりの今でも伝言板のある私鉄の小さな駅である。

それに駅前では、花屋さんや『宵待草』というレトロな喫茶店もある。

吉祥寺までは数分だが、町のほぼ半分が井の頭公園。

雨模様の泣き出しそうな空であったが、取材をかねて半日愉しんだ。

 


東京のど真ん中にこんなに静かなところが・・・。

池と雑木林がかもしだす武蔵野の面影があった。
 


花もたぐ立藻浮藻や七井の池

 御殿山を覆う雑木林の井の頭池。

『江戸名所百景』では、井の頭池のことを『七井の池』とよんだそうだ。

 

その木立の中の清々しい空気 !

早朝に散歩したい気分である。


夏にはクヌギ、ケヤキ、シラカシなどが生い茂る。

公園内の木陰の散歩道は、涼しく快適である。
 


水鳥の水に貼りつき居たりけり

上の画像はスマホで撮った。さっそく友人に写メールした。

「おまえスワンに乗ったのか?」と返メールが来た。

乗るわけないでしょ!!

一度だけスワンに乗ったことがある。

最近、世界文化遺産に登録された河口湖であった。
 


スワンの大行列。

 


  池の中央を渡る七井橋から眺めると、岸からせり出す枝々は、池に向かって水面を覆わんとするほどに折り重なっている。、

その淡い色が水面や空とコントラストになって不思議な空間を醸し出すのである。

 

 


弁財天近くの噴水。

 

絶えず人寄る噴井あり句碑もあり 

 


石橋の低きに咲ける蓮かな

 


このあたりで物騒なお話を!!

平成6年に「井の頭公園バラバラ殺人事件」があった。

7か所のごみ箱から、頭部や胴体が出てきたのである。

その事件は迷宮入りとなり、今では時効が成立している。

「おお・・・怖!!」


女性のひとり歩きは危険です!!

私もそろそろ帰ろうか・・・・

今夜は渋谷で飲み会があるんです。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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東京・吉兆のこと     ― 新装の歌舞伎座葺落とし ① ―

2013-06-23 | グルメ

 

 

歌舞伎座の幕間に3階にある「吉兆」で食事する。

世に「吉兆」といえば、最高の日本料理だというけれど、値段だけはとびきり高く、見栄えばかりで、お味はイマイチ。

「東京吉兆」の本店は銀座8丁目にある塀のある大料亭。

ホテル西洋、帝国ホテルにも出店がある。

「京都吉兆」が南座にあったが、最近その姿を消した。

なにぶん庶民には縁のないお店で、格式からいえば一流中の一流。

そもそも「幕の内弁当」とは、お芝居の幕間にたべる弁当のことである。

京都の南座では、土地柄、劇場外の料理屋さんから出前してもらっている観客も多い。

歌舞伎見物では、幕間に客席にいたまま弁当がたべられる。歌舞伎だけの特権である。

なかには、しばいの上演中にもさもさと弁当をたべている観客もいる。これには、さすが劇場スタッフが注意した。

これを舞台から見ていた勘三郎(十八代目)が激怒して、注意したスタッフは後でつるし上げをくった、という逸話がある。 

 


さて幕間に用意されたのは、松花堂弁当(画像/上)

これに、お椀、御飯、果物がつく。お値段は6300円(税込)。

全65席のカウンター席は予約客で満席の盛況であった。

飲み物は冷酒(吉兆貞翁)、生ビール、白、赤ワイン、ソフトドリンクと揃えている。

 

 
献立は月ごとにかわる季節料理。

ことさら珍しいものはなく、私的には歌舞伎座建て替え中に近くの新橋演舞場でたべた幕「篝火」が忘れ難い。

「篝火」はすぐ傍の料亭「金田中」の謹製だという。

「金田中」といえば、吉兆に負けない一流中の一流の格式ある東京の料亭である。

 

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