今年最終の観劇は、京都・南座の「顔見世」夜の部。4本立である。
とりわけ「元禄忠臣蔵 大石最後の一日」がいちばん見応えがあった。
作者の真山青果が、史料『堀内伝右衛門覚書』をもとに書かれた作品であるが、おみの(芝雀)と磯貝十郎左衛門(錦之助)の恋は、作者の創作であって、この恋をめぐる大石内蔵助(吉右衛門)と堀内老人(歌六)の葛藤が鮮やかに描かれており、青果作品の中でも上演回数が多い。「琴の爪」のタイトルで映画化もされた。
大石ら17人の赤穂浪士が預けられたのが細川越中守の屋敷。
今回注目したのが、その細川家の家臣役を演じた片岡松之(松嶋屋)である。
彼は上方歌舞伎塾の第2期卒塾生で今年で8年目。80年生まれの松坂世代。
「対面」の曽我五郎、昨年の「大蔵譚」ではお京の大役をつとめた。
この公演を最後に舞台を去る。
元禄16年2月4日。ついに赤穂浪士全員切腹の沙汰が下る。
この日は、細川家にとっても浪士預かりの最後の大仕事である。些事の粗相とて許されない。
死装束に身を調えた浪士たちの先導役は、細川家の家臣(松之)である。
肩衣の片方をはずし、手燭を持って本舞台から花道への引っ込みとなる。
松之のニンに申し分なく、重責感と緊張の奥行きを表現した。さらに浪士たちへのいたわりの気持ちをにじませた。それが舞台にふくらみをあたえている。
見事な花道の引っ込みであった。
松之君、8年間本当にお疲れさまでした。
そして、感動をありがとう!!
◆年末のご挨拶◆
さて今年もあと2日。本年6月に開設しました「Dream Gate(中野浚次のブログ)」ですが、予想以上の訪問者があり大変よろこんでおります。
2009年は益々パワーアップして、「美しさを感じる」ブログをめざして頑張りますので、来年もどうかよろしくお願い致します。
では、みなさんどうぞ佳いお年を!!