Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

6 回目の美輪明宏の 「黒蜥蜴 」     ― 梅田芸術劇場メインホール ―

2013-05-27 | 演劇


「黒蜥蜴」という芝居には、何か人を魅了してやまないものがある。
日常のムシャクシャした生活のなかで、この芝居を見ると文句なしにスカッとした気分にさせてくれる。

現在わたしたちは、パッケージ化された商品が並んでいるような世界に生きている。
しかも日常は常にぬるま湯の中に浸かっている。
毎日は平板で、魂の本当の昂揚を感じることがほとんど皆無だといえないだろうか。

でも、「黒蜥蜴」にはかけがえのない"一瞬”に満ち溢れている。
まさにその"一瞬”のためにすべての力を注ごうとする「見世物」だと云っていいだろう。

まず、全編に宝石を散りばめたような三島由紀夫のレトリックな台詞と出会う一瞬。

「美」と「死」が結びつく盗みの一瞬。

孤高の魂を持つ者同士が火花を散らす一瞬。

そもそも芝居とは、そういった「一瞬」のためにすべての力を注ごうとする「見世物」なのだが・・・。

 

         


さて、このたびの『黒蜥蜴』も例によって、美輪明宏(画像/左)は、主演、演出、美術、音楽、衣装を担当。
総合舞台人としても、三島由紀夫の美学を、ゴージャスにして魅惑的な舞台に紡ぎあげた。

観客の大半が女性で美輪明宏の熱狂的なフアンである。
その一方で美輪明宏をあまり知らない人までが、昨年大みそかの『紅白歌合戦』で美輪が「ヨイトマケの唄」を歌ったのを見てから、その反応がすごかったらしい。

「美輪明宏ってただのキもい金髪のおかまだと思っていたが、すごい人ですよね!!」

ツイッターでも大反響だったらしい。

今回の公演の目玉は、最終幕の恐怖美術館の装置であろう。
ルードヴイェヒ王の城の寝室を思わせる重厚さに、一種の倒錯的な気分に襲われる。
この美輪明宏が形づくった、暗くて懐かしい、モダンで粋な「黒蜥蜴」ワールドに自然と見ているものをのみこんでゆくのである。

 


恐怖美術館


何度も見ていると、やはり前回よりも手直ししたところが目につく。
たとえば「東京タワーの展望台」。再演ごとにテンポがよくなってきた。
タワーの見物客にしても、風俗、衣装が時代に合わせて気を配っている。
群衆処理も蜷川演出とは一味違った切れのある演出である。
ことに花束を持った若者が舞台に二度登場するが、その歩き方に良質の喜劇味を感じた。
おだなりの役者が多いなか、仕出し役ながら今回の出演者の中ではMVPもの。

黒蜥蜴と明智小五郎の対決のありようは、第二幕で展開される。わたしの好きな場面である。
舞台上手に明智の事務所。下手が黒蜥蜴の隠れ家。
交互にシーンが展開するのだが、最後にはその隔たれた時空が融合して、二人は同じ舞台に立つ。
つまりは三島好みの「歌舞伎の割ぜりふ」となる。

「 そして最後に勝つのはこっちさ 」

 と同じセリフで、相手の打倒を誓うのである。
これこそ演劇の醍醐味ではあるが、今回は二人の緊張感があまり伝わってこない。
どうしても黒蜥蜴の美輪だけに圧倒され、二人がピーンと糸を張った場面にならなかったのは残念である。


さて今回、明智小五郎に抜擢された木村 彰吾(画像/右)。
股下90㌢の容姿で、骨太の声柄、その感性を期待したのだが、いささかこの大役には荷が重すぎた。
ヘタな演歌歌手の様に、手振りが多いために、三島戯曲のレトリックを解き明かす術には程遠いようだ。

「本物の宝石は、もう死んでしまったからです。」

このラストのセリフを、両足を踏ん張っていうのはよくない。
つまるところ明智小五郎は、凛々しい美しさ、切れ味の鋭い、知性と度胸の持ち主でなければならない。

 

         


雨宮潤一役には中島 歩(画像/左)、その恋人役の早苗には義達 祐未(画像/中央)。

両人ともオーヂィションで選ばれたらしい。
どちらも新鮮さは買うが、演技は素人の域。演技以前の問題である。

宝石商の主人役に若林哲行(画像/右)。
前進座、新国劇出身の苦労人。
美輪明宏作品には今回がはじめてらしいが、「宝石商」らしく演じて、舞台に厚味を加えた。 

 


   戯曲『黒蜥蜴』は昭和36(1961)年、『婦人画報』に掲載され、 

   翌37年に東京・大手町のサンケイホールで初演された。

   演出は松浦竹夫、出演は黒蜥蜴に初代水谷八重子、明智小五郎には芥川比呂志だった。

   千秋楽には作者の三島由紀夫がボーイ役で特別出演している。

   ←画像は私の蔵書から。

   造本は三島由紀夫自らが手がけた限定版である。

 

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法善寺横丁のむかしの味

2013-05-09 | グルメ

 

誰にでも忘れ得ぬ味があるものである。

道頓堀に「中座」という芝居小屋があった頃、火野葦平の『女挟一代』の芝居がかかった。

清川虹子の座長芝居だった。 ♪泣きはしません  つらくとも いつか中座の華になる・・・そんな演歌の歌詞もあったっけ。

それくらい当時の中座の芝居には熱狂的なファンが多かった。 

その頃はまた、中座を観劇したあと、仲間ときまって法善寺横丁の飲み屋街へくりだすのが常だった。

たしか「本湖月」とかいう飲み屋だった。

そのお店で付きだしに出た「赤貝とワケギのぬたあえ」の味が、いまも忘れられない。

このぬたあえのまあるい酸っぱさ、口の中でふわっとほどけていく。

白味噌のふくよかな甘みと、お酢のツーンとしないまろやかさ。

この調味料のなんとも云えないハーモ二―がたまらない。

7年前、中座の火事で店は全焼したが、お客の声に励まされて再建されたと風の便りにきいた。

「本湖月」のホームページはコチラhttp://r.gnavi.co.jp/kb6h500/


「 赤貝とわけぎのぬた和え」のわたし流のレシピ

決め手になるのは赤貝。デパ地下で地元産(明石)の赤貝をゲット。最近は韓国、中国産ばかり出まわり国内産の赤貝はごくまれだそうです。

当時を思い出しながら、自分流に調理しました。

 赤貝200㌘、酒40㏄、砂糖15㌘、卵黄1個をボールでしっかり混ぜ合わせてから火にかけ、弱火で焦さないように15分程度練ります。

 ワケギは塩少々を入れて湯がき、冷めてから2㌢ほどに切っておきます。

 赤貝を食べやすい大きさに切る(わたしは魚屋さんにしてもらいました)。

④ ①で作った玉味噌に千鳥酢45㏄、練り辛子15㌘を入れ、ワケギと赤貝を加えて和えると上掲の画像のように出来上がりです.。

この一品はやはり日本酒に合いそうです。

ことに福井県の辛口「黒龍」をぬる燗で。あなたにステキな時間を演出してくれると思いますよ。是非ご賞味を。

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今年の甘夏の味?

2013-05-07 | 本日の○○


今年も甘夏の季節がやって来ました。

初夏にむけての爽快な甘酸っぱさ。

それと、あっさりしたサクサク感が魅力です。

毎年和歌山の「ことぶき農園」から届けてもらうのだが、今年は天候に恵まれたのか上々吉。

ジューシーでとても美味しかった。

甘夏の栽培は柑橘系の中でも難しく、昨年は果汁が殆んどなくサバサバの状態だった。

そこで園主さんにいささかの苦情の手紙を書いた。

数日後に園主さんからご丁寧なお返事をいただいた。

ここにその一部をご紹介します。 

 

  

 

収穫前の木成りの時に、著しく気温が下がったりすると果実が凍害を受けます。

そうすると水分が飛ばされてしまいパサパサの状態になってしまうのです。

(昼夜の寒暖の差があるほど果実は栄養を蓄えおいしくなるのですが・・・)

対策は講じているのですが、自然栽培ゆえの難しさです。

そのため、果実の外皮、色味、手触り、抜き取り検査など選別作業を行い不良品を

省くのですが、どうしても中身まで見ることができませんので混入してしまった次第

でございます。

 

私たちは、なんだかだと文句をいってたべているが、みかん栽培もたいへんだなあと痛切に感じた次第です。

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