Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

  海老蔵の『暫』     -歌舞伎座さようなら5月公演からー

2009-05-29 | 演劇
                     





     歌舞伎十八番の『暫』が昼の部の序幕にでる。

     海老蔵の『暫』だけでも、昨年のこんぴらこそ見逃がしたものの、5年前
     の襲名公演、同年暮の京都の顔見世、そして今回のさようなら公演と数
     回は観ている。

     善人たちの危難が迫るところへ、「しばらァーくゥ」と大声をあげて海
     老蔵の鎌倉権五郎が颯爽と登場する。なんのことはない、言ってみれば
     様式美だけの一幕ものである。

     『暫』は江戸歌舞伎を代表する荒事です。
     講釈はともかく、荒事とはむずかしい。ひとつ間違えば、味も素っ気も
     なくなる。
     ですから観客のノリもわるいし、心なしか劇場内が白けて、隙間風が吹く。

     第1に力の表現がイマイチ。
     荒事はヴイオレンスの魅力だから、まずは勢いがほしい。
     それに大素襖、継足が動きにくいのはわかるが、下半身の表現がまずい。
     だから襟元が寒そうに見えてしまう。

     音吐朗々、言語明晰、大胆豪快なところがいいのだが、相変わらずせりふ
     の高音部がまずい。しかも語句の区切り方、せりふ尻にしてもイキが抜け
     きらない。
     揚幕の中からの第一声「しばらく」も沈みすぎて生彩がない。人の動き
     を止めるだけの「しばらく」でなければいけない。

     生彩を欠くといえば、権十郎以下の腹出しのお兄さん方、やはり昼イチでは
     少々声が出せませぬか、元気のない赤っ面の腹出しの面々です。

     荒事は成田家の”家の芸”。
     ぞんざいで、不鮮明なことが多い芝居であっても、「大きさ」と「力強さ」
     が舞台にほしい。
     
     全体的に今回はバラバラで停滞ムードの『暫』であった。    
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銀座ママの「表」と「裏」    米倉涼子の『黒革の手帖』(明治座)

2009-05-24 | 演劇







     初演から3年。米倉涼子の元子ママが「明治座」に戻ってきた。
     一冊の『黒革の手帖』をもとに夜の銀座をのし上がっていく元子と、
     彼女に群がる男たちとの駆け引きー。
     より艶やかに、よりミステリアスに、しかも疾走感があって見ごたえの
     ある舞台に仕上がった。

     銀座のクラブを描いた作品は少なくないが、”色と欲”とおよそ相場が
     きまっている。
     川口松太郎の『夜の蝶』、菊島隆三の『女が階段を上る時』など夜の銀座
     の風俗をあつかった名作があった。
     松本清張の『黒革の手帖』は風俗をあつかってはいるが、ありきたりの
     風俗物ではない。
     現代社会の暗黒面に巣食う”悪いやつらにメスを入れ、その実態を暴
     くところが松本清張らしい。
     
     一人の女の執念を軸に、銀行の架空預金口座の問題をはじめ、美容整形
     外科医の脱税、裏口入学をめぐる予備校と政治家の関係など、弱味をも
     つ人々。そんな現代人の一面をあぶり出しているのです。
     
     
     米倉涼子は冴えない地方の一銀行員から、銀座の高級クラブ「カルネ」
     のママにのし上がるまで、着物姿、ドレス姿など数回の衣装を替える。
     みごとな変身である。
     米倉涼子が登場するたびに、「キャ!!」とか「ウォ!!」と客席から
     黄色い声がとぶ。
     米倉の元子ママは「見せる芝居」を心得ており、迫力もある。
     クラブ「カルネ」の場面では、舞台を縦横に泳ぎ、”芝居”を感じさせ
     ない堂々たる銀座のママさんぶり。
     それでいて永井大の議員秘書と二人っきりの場では、女の心の揺れを見
     せ、”女の弱さ”を匂わせた。

     萬田久子は出番こそ少ないが、登場しただけでかっこよく、存在感がある。
     さすがベテランの女優である。
     ホリヒロシの卓越したデザインの衣装が似合うのはこの人しかいないだ
     ろう。

     感心したのは、終幕の銀座の街で、馴染みの洋酒屋の兄ちゃんとの短い
     会話がじつにいい。
 
     「銀座も変わったわねぇ・・・」

     色と欲とは夜の銀座の相場だが、むかしの銀座には”人情”があった。
     良き時代のクラブ「燭台」のママだったが、いまは再婚して子供がいる。
     それも先妻の子供。イヴだから子供にケーキを買いに銀座に出たついで
     に、バー街に立ち寄ったのだという。
     時の流れを感じさせ、詩情あふれる見事な場面だった。

     苦言をひとつ。
     「またかよゥ!!」と云いたくなるくらい、舞台転換では、上手、下手
     でペアーのダンサーの踊りがある。
     米倉涼子の衣装変えの時間を稼いでるのが見え見え。
     回り舞台を駆使してのスリリングな舞台だけに、もう少し紗幕を多用し
     てでも夜の銀座の詩情を見せてほしかった。

     ほかに、左とん平、渡辺哲、横田めぐみ、松本莉緒らの助演。
     甲斐正人の音楽が印象に残る。

     
     さて、皆さんを銀座の高級クラブ「カルネ」にご案内しましょうか。

              


     
     画像は「カルネ」のホステスさんに全員集合していただきました。
     お目当ての元子ママさんは、残念ながらここには写っておりません。
     ママは早くて夜の9時すぎ、遅いと10時ごろの出勤なんです。

     お気に入りのホステスさんが見つかりましたか?
     あなたは、どの女の子をご指名なさいますか?
     全員がアフターOKですよ!!
     と言いましても、じつは『黒革の手帖』で銀座のホステスに扮した女優
     さんたちです(笑)。
     
     衣装のドレスはすべて新調。ちなみに横田めぐみさん、松本莉緒さん、
     山田奈津美さん、楓沙樹(宝塚)さんがフォンテーヌのウィッグを着用
     されています。
     

     ヘアスタイルもぜひチェックしてみて下さいね。
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キーボードの巨匠  ヴァンゲリスのアルバム『THEMES』

2009-05-14 | 本日の○○
               
               

              


     まるで生命の鼓動のように、うねりを繰り返しながら響いてくると云う
     か、迫ってくると云おうか、心地よいサウンドの反復。

     シンセサイダーを緩急自在。音楽の持つ”強さ”を感じさせてくれました。
     ヴァンゲリスってスゴイと思います。
     
     ただシンプルに『テーマ(オリジナル題名)』(画像)と名付けられた
     最新アルバムなんですが、ヴァンゲリスがこれまで手がけた映画のサウ
     ンドをまとめた輸入盤です。
     オープニングの『プレートランナー』から、ラストには、とりわけ親しい
     主題曲がつい口をついて出てしまいそうな、クラッシックな美に包まれた
     豊雅なる映画『炎のランナー』のサウンドは圧巻です。

     ヴァンゲリスは「キーボードの巨匠」とか「シンセサイザーのパイオニ
     ア」とも呼ばれています。
     そして時に心地よいイージリスニング・ミュージック(←環境音楽)と
     理解されているようです。
     ですがヴァンゲリスの本質は、そんなセンチメンタルなものだけでなく
     地球の「生命力」をホウフツさせてくれるのです。

     これはオススメのアルバムです!!みなさんもぜひ聴いてみてください!!
     
     
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サッカー国際試合の舞台裏

2009-05-09 | サッカー
                   

                   


     いきなりおかたいタイトルを挙げましたが、GW中に読んだ本の中で
     『サッカーという名の戦争』は、一押しの楽しめる一冊でした。

     「サッカーは戦争である」と云ってますが、戦わなければいけないのは
     ピッチの中だけではない、ピッチの外で血みどろの戦いが行われている
     のです。

     日本サッカーがワールドカップやオリンピックの予選を突破し、世界の
     強豪と戦うためには、他国との交渉という戦争に勝たなければいけませ
     ん。試合の裏でも知られざる工夫がこらされているのを知りました。

     長距離の移動や時差、気象条件などを計算し、ホームか?アウェーか?
     試合の開催地を交渉し、試合順にいたるまで知恵を絞る。

     試合は単なる抽選ではないのです(←えっ!!知りませんでした)。

     いい対戦相手との練習試合を、過密スケジュールの合間をぬって入れる
     のも大事な仕事です。
     つまり、いい試合によってこそ、チームが強化されるからです。

     かつてサッカー少年だった著者は、通産省で資源外交に携わり、後にサ
     ッカー協会の専務理事。仕事も専ら外交でした。

     ホテルでの作戦会議にしても不眠不休。ホテルのボーイに見られてもいい
     ように白板にニセ情報を書いたという徹底した情報管理にはオドロキです。

     戦うことで敵を知る。敵もまた戦うことで日本を知る。
     その戦いを通じて世界との熱い絆を築き上げるのだ、作者はそう結んで
     います。

     サッカーフアンでなくとも気軽に読んでいただきたいオススメの本です。

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神戸・元町の「うな重」

2009-05-06 | グルメ
              


              


     神戸元町の本通りから、みなと元町に通じる細い路地に『うな重』がありました。
     関西ではお気に入りの鰻屋がどうしても見つからなかったのですが、
     評判の店だと云うことで行ってきました。
     昼下りのせいか、ほぼ満席で座卓しか空いてなかったのでそちらに座りました。

     メニューを見ると「うな丼」は1000円からありますが、鰻の量で料金は決められて
     いるようです。
     鰻は”白焼き”を食べると店のレベルがわかると云います。
     ですが、”白焼き”がなかったので、特上の「うな重」(画像)を注文しました。


     第1にタレが甘過ぎます。
     本来、鰻のタレは甘辛いものですが、異常なほど甘い。
     それと、画像でもおわかりかと思いますが、鰻自体がコゲコゲで
     焼き過ぎではないかと思うほど、身が固いところが気になりました。

     これが関西の焼き方なのでしょうか?
     鰻は蒸さないと美味しくならないとは思っていませんが、炭火で焼くだけだと
     表面がバリバリになるだけでなく、身自体も固くなってしまうという難点があります。

     東京のうなぎ屋さんだと、タレはちょっと辛目。
     関東風といいましょうか、サラッとしていてうなぎ本来の美味しさを引き出してくれます。
     お重を開いた時に匂う、あの香ばしい風味。ふっくらと、艶やかな色。
     すっきりした江戸前の味があります。

     大抵は、東銀座の『竹葉亭』の本店、ほかに飯倉の『野田岩』、浅草の『前川』。
     明治座で観劇した帰りによく行く日本橋小網町の『喜代川』。

     
     なかでも『竹葉亭銀座本店』の”白焼き”は絶品です。わさび醤油でいただきます。
     小網町の『喜代川』は創業百年を超える老舗。辛めのタレは伝統の味なんです。
     NHKの朝ドラ『こころ』にも登場しましたし、渡辺淳一の小説『化身』の舞台になったお座敷が
     あります。

     最後になりましたが、もう一軒是非行ってみたいうなぎ屋さんがあります。
     博多の中洲にある鰻の『吉塚』です。
     以前は小倉駅前にも支店があった評判の「うなぎ屋」さんです。

     いつか行こうとひとり決めましたが、あれからもう何年もたって了ったようです。    
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