Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

“待ってました!!” 勘三郎の復帰   ー大阪・新歌舞伎座ー

2011-09-19 | 演劇

 

 

中村勘三郎が半年ぶりに舞台へ帰ってきた。
それも大阪・新歌舞伎座が上本町に移転。新開場として一周年の記念公演だというのも、まるで平灰を合わせたようだ。

勘三郎復帰の演目は、昼の部に「人情噺文七元結」、夜の部に半世紀前に父君がこれも再起の舞台で踊った「お祭り」。
どちらも、とりわけ意味深い舞台であった。

あわせて、息子たち(←勘太郎、七之助)で「一本刀土俵入」が切狂言にある。
「一本刀」を見るのは今年だけでも二回目。
今回は父勘三郎の復帰に、勘太郎と七之助は熱の入った演技で花を添えてましたよ。 


     ● 江戸情緒溢れる清元の舞踊「お祭り」


                                                   

「お祭り」は江戸の鳶頭の粋と色気、その味わいで見せる踊りです。
父君つまり十七代目勘三郎が、難病に倒れて、やはり半年あまり休演。
その再起の舞台が「お祭り」だった。

この記念すべき舞台を私は東京・歌舞伎座の三階席で見ている。
客席から「待ってました!!」とワンさの声がかかる。
それに合わせるように勘三郎が「待っていたとはありがたい」と受ける。
この舞台が、半世紀余り経った今も、語り草になっている。

10数分しかない、いまの勘三郎の「お祭り」を見て、父君と同じだなぁと思った。
先に“意味深い舞台”といったのは、そこなんです。
その芸質、愛嬌、色っぽさ、体の芯からにじんでくる情。
「そっくりさん」ではない、もっと根の深いところの芸の域である。

歌舞伎座の大舞台ほどではないが、間尺に合った舞台で、イナセな大人の芸を堪能させてくれた。
おかめ、ひょっとこのお面を使うのも、うまい手順がついてあざやかである。
芸者衆や手古舞が登場しないのがいささか物足りないが、勘三郎の芸の大きさがそれを補ってくれた。

わずか十数分の舞台に、清元延寿太夫が”いい喉”で付き合っている。
高音を多用する清元は、叙情的で艶っぽい。


     ● アンサンブルの素晴らしさ 「一本刀土俵入」
 

               


「一本刀土俵入」の駒形茂兵衛は今回で2度目の勘太郎(←画像/左)である。
前回初演は3年前の新春浅草歌舞伎(←詳しくはコチラであった。

前回の初役の後半の演技が破調で失望した。しかし今度は見違えるようにいい。
格段の進歩である。
今度は相手役のお蔦が弟の七之助であり、勘太郎もやりやすかったのかも(←前回のお蔦は亀治郎)。

序幕「安孫子屋」の店先での2人の息が合っている。
しかも三谷幸喜の舞台など、他流試合が多い勘太郎だが、それだけ演技に幅が出てきた。
野球でいえば、ストライクゾーンが広くなった気がする。

大詰、お蔦の「思い出した!!」で戸口の外へ出て戸を閉め、地面にピタッと座るところなど、見ていて目頭が熱くなった。
さらに「桜の樹の下で」腕組みをして向こうを見る姿が、一幅の絵になっていた。
お馴染みの名セリフも上出来。
声柄がお父さんそっくりであり、父十八代目に劣らぬ出来である。

ひたむきに生きてきたであろう10年の歳月が哀感たっぷりに伝わってきた。

辰三郎の松也(←画像/右)も今回が2度目。
前回新春浅草歌舞伎より辰三郎という「ダメ男」をグレードアップしたつもりと自身のブログに書き込んでいたが、あまり進歩がない。
相変わらず娘お君に対して愛情が感じられない。

「布施の川」の幕切れで、イカサマ賽をポイと捨て、花道七三でキマルところも、浅草より低調。
松也という役者は、阪神のマートン選手に良く似ている。顔かたちではなく、好不調の落差が著しいのである。


       ● 哀切の「おはら節」                                


七之助のお蔦初役が抜群の出来。

序幕取手の宿の「安孫子屋」で、二階の障子を開ける”出”がいい。
酔っぱらったあばずれの”ダルマ”に見える。だるまとは、金さえ払えば誰とでも寝る酌婦のことである。

「おはら節」も高い声で初役とは思えない手馴れたうまさである。
自身への境遇へのやるせなさを、節回しに乗せて、しみじみと聴かせた。

それに、二階の手すりに凭れた“うしろ姿”が色っぽく、清方が描いた美人画を見るようである。
誰もが一度は抱いてみたい“おんな”になっている。

難をいえば、テンポはけっしてわるくないが、、もう少しセリフに緩急がほしい。
それと手もちぶたさなのか、コップ酒の飲みすぎが気になる。

ほかに勘之丞の老船頭が傑作である。
剛健そうで手強く、いかにも利根川に歳月を経た船頭に見える。

幕切れの船唄も哀切。
そして長谷川伸のトーンをうまく引き出したすぐれた演出だった。

順序が前後するが、最初が義太夫狂言の名作「引窓」。
歌舞伎を初めて見る人にもわかりやすく、まとまった一幕。

これも祖父鴈冶郎当たり役の南方十次郎を扇雀が引き継いでいる。
お早は七之助、姑のお幸に歌女之丞、濡髪には橋之助

                                 (2011年9月15日  新歌舞伎座夜の部所見)

 

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伊香保のデジブック初公開します!!  『伊香保叙景 2011』

2011-09-16 | おまけ

 

夏の終り・・・・・。

グループ4人で伊香保に行って来ました。

既に【伊香保紀行 2011】で4回に亘ってブログに更新しましたが、今回【伊香保叙景 2011】と題してデじブックにまとめました。

お恥ずかしい写真ばかりですが、一人でも多くの方にご覧いただければ幸せです。

 

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【伊香保紀行 2011・夏】 ④  赤城山&榛名山

2011-09-11 | おでかけ

 
●榛名富士●

水無月妹山赤城背は榛名
                              (歌舞伎「妹背山」山の段より)
 

 


●赤城山●

万緑や赤城榛名に競ひなし

 

 
画像は宿泊先のホテルの屋上から撮った榛名山

榛名山の外輪は最高峰の掃部(かもん)岳(←1448㍍)。

髪櫛山、鳥帽子山、臥牛山(←画像手前)、天目山がある。

その内側の中央にあるのが榛名富士(←1391㍍)。 

 

湧きのぼる霧むらさきに榛名富士  

 


● 榛名湖 ●

桂月の句に「眠る山抱き榛名湖蒼沈め」とあります。

榛名山頂部にある火口原湖で、最深部は13メートルとか。

わかさぎの穴釣りや夏場はキャンプ地で賑わいます。 

 


赤城山ほど人に親しまれた山は少ない。

温かく我々を包容してくれる日本百名山の一つ。

深田久弥の『日本百名山』の中にこう記されています。

上野から高崎までの車窓で、一番私たちを楽しませてくれるのは赤城山である。
見事なのは、のびのびと裾野へ引いた稜線であって、おそらくこれほど大きな根張りは、ほかに例がない。
ゆったりと優美な線で伸びているさまは、胸がすくようである。

 


赤城山の広い裾野の各方面から登路がついてます。

こんなに登路の多い山も珍しい。

かの博徒の親分がこの山へ逃れこんだことも別に不思議ではない。

懐メロの「名月赤城山」ではないけれど、これほど月が似合う山も他にないだろう。


【伊香保紀行 2011・夏】も今回でおしまい。
ここまで見て下さった方には感謝のお礼を申し上げたい。

さて来年はどんな旅を皆様にお届けできるでしょうか・・・・・

 

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【伊香保紀行 2011・夏】 ③  伊香保の夜は更けて・・・   ●バー「楽水楽山」●

2011-09-10 | おでかけ

 
夜の楽しみ方は気分やシチュエーションによってさまざま。

その夜浴衣がけで、「岸権」と大きく焼印の押された下駄を借りて、夜の街へぶらりと~。
伊香保には本格的なバー「楽水楽山」がある。

そのバーは旅館「千明仁泉亭」 の1階にあるときいていた。
行ってみると、旅館の広大な前庭の木立の中に、「楽水楽山」の灯が見えた。

おそろおそるドアを開けると、そこには大人の時間にふさわしいレトロな空間があった。 

 

“伊香保の初夏”てふカクテルのほろ苦き


最初に飲んだカクテル「伊香保の初夏」はジンベースのカクテル。
ハーブのリキュール「シャルトリューズ」が加えてあり、若草色がとってもきれい。
香りも良くとても美味しかった。「楽水楽山」でしか飲めないオリジナルカクテルです。

このほかにもいろんなカクテルを作ってくれるという女性バーテンダーの上田さん。
たとえば『榛名湖の雪』。
名前をきいただけで飲みたくなるカクテル。こんど来たときは、そのカクテルを
そう心に決めたのです。

 


次に飲んだのがカクテル「ミモザ」(←画像)

「ミモザ」とは花の名前です。
「ミモザ」は黄色い花をつけます。
あまりにもカクテルの色とミモザの花の色が似ているために、そのままカクテルの名前になったようです。

フランスでは「シャンパン・ア・ロランジュ」という名で、上流階級の間で愛飲されてます。
イギリスだと「バックス・フイズ」とよばれているようです。

シャンパンとオレンジジュースを軽くステアするだけのポピュラーなカクテルです(←アルコール度8℃)。 

 


温泉街という土地柄、昼は本格コーヒーが楽しめるカフエ。
夜は昭和40年代から銀座でバーを開いていた、女性バーテンダー上田さんが腕をふるうバーとなる。
彼女のバーテンダー歴は40年とか。

上田さんは新作カクテルは年中つくるが、何をつくったかすぐに忘れてしまう。

「ママさん!! この間のカクテルお願い!!
「何でしたっけ?」
「ほら!! アレだよ!!」 
「アレ!? どれでしたっけ?」

その夜も常連客と上田さんの会話を盗聴してしまいました。

 


女ご主人の趣味らしく世界各国のグラスが陳列されてました。 

 


居心地がとても良く、靴を脱いでくつろぐソファー席と靴のままでのんびりできるテーブル席がある。

ことに冬場では、大きな窓から小野子山、子持山など上州の山々の絶景を望めるという。

木の温もりと清潔感のある店内。

お店に飾られていた白百合がつんと匂う。

倖せの匂いのする一夜であった。


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カフエ&バー 「楽水楽山」

群馬県渋川市伊香保町伊香保45
 0279-72-3355
営業時間 9:00~18:00 (カフエ)
18:00~24:00 (バー)
定休日  不定休


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【伊香保紀行 2011・夏】 ②   岸権贅沢膳

2011-09-08 | おでかけ

 


温泉旅館に泊まる愉しみはやはり夕食。

岸権旅館の夕食は、スタンダードの「岸権四季膳」、グレードアップされた「岸権贅沢膳」、それに「特別会席」の3種類。

あらかじめ「岸権贅沢膳」を予約してました。

これだとメイン料理(←上州牛のステーキか鮑のステーキか)が、好みでチョイスできるからです。

当日のお料理を懸命にに収めたつもりです。

まあ見てやってください!!

                                             画像/左は自家製しそ酒の食前酒 

 


まぐろ、鯛、勘八の刺身。  片品産生湯葉のつま

 


南瓜豆腐、蚕豆、つの字海老(赤堀産)

 


鮎の塩焼き、さつま芋、もろこし、蓼酢、谷中生姜

台の上の氷皿に注目してください!! これホンモノの氷なんです。

 

 〇夏野菜の吹き寄せ〇

フルーツトマト、馬鈴薯、ズッキニー、ヤングコーン、伊勢崎産の茗荷
 

 
鱧と榛名地鶏のパイスープ、じゅんさい、エリンギ茸

椀を開けないで撮影完了。ゴメンナサイ!!

 
チョイスした上州牛のサーロンステーキ

 


にがうりと蒸し鶏の浸し、ミニセロリ・針生姜・加減酢

食材は地元産のものばかり。



丸茄子と舞茸の鶏味噌掛け、パブリカ・隠元豆(前橋産)
 


温麺は上州うどん

つゆは京風仕上げ。関東のうどんはつゆが辛く敬遠していたが、この単純なうどんが一番美味しかったです。

 

〇食事〇

牛蒡ご飯、香の物
小さなお釜を使い、その場で炊いたもの。



〇水菓子〇

季節のフルーツ各種

 

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