木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

盛相飯(物相飯)

2009年09月02日 | 江戸の味
俗に壁の向こう側での食事を「臭い飯」という。
また、盛相飯《物相飯・もっそうめし》ともいう。
これは時代小説好きな人なら常識といってもよい事柄だが、今日、樋口清之さんの「日本人の歴史」を読んでいて、とても驚いた。

盛相というのは、もともとは禅会席の食べ方をさした言葉であるが、時代が下ると、江戸の牢屋でも、盛相飯を出すようになった。

盛相というのは、言葉通り、型に入れて一気に抜いて、そのまま板に乗せて出すものである。旗が立っているお子様ランチなどは、まさに盛相である。幕の内弁当なども盛相飯の一種になるのだろうか。

だが、囚人に対して出された盛相飯は丼に入っていた。
丼に入れてから板に盛り付けるのは手間になるからだ。

盛相=型に入れて抜いた、と考えると、チャーハンも盛相飯のようだし、インド料理屋さんなどでライスを頼むときっちり型取られたライスが出ることもある。

そう考えると、盛相とは調理方法の一種であると言える。
必ずしも、盛相飯=低級なもの、という考えは間違いなのであろう。


日本人の歴史(2)食物 樋口清之 講談社

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