木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

行灯の明るさ

2010年03月20日 | 江戸の暮らし
行灯とかいて「あんどん」と読む。
もう時代劇の中でしか見ない代物である。
行灯の中は蝋燭だと思っている人も多いかも知れないが、江戸時代、蝋燭は高級品であった。
夜になって、一般庶民が行灯に入れるのは油であった。
掻き立て と呼ばれる陶器に芯を立て、油を入れた皿に芯を立てる。
この辺りの事情は石川英輔紙が石川優子氏との共著「大江戸生活体験事情」の中で詳しく書いている。

石川氏が行灯の光はあまりにも暗いと力説しておられたので、自分でも実験してみたくなった。
用意したのは三つ。

①醤油皿にサラダ油を入れ、ティッシュペーパーをこより状にして粘土で重しを付け、漬けたもの。
②キャンドルホルダー用の蝋燭。
③白色のペンライト。

以上を、A4のコピー用紙を丸めて、セロハンテープで留めたもので被った。

予想では③②①の順に暗くなるはずであった。
暗い場所として裏のベランダの隅にそれぞれを置く。

明るさを見るために、ソーダの缶を置いて、三脚に固定したデジカメで映像を撮影した。
以下が、その写真である。


ペンライト

キャンドル

サラダ油

なんと、予想を完全に裏切る結果であった。
③のペンライトは一方向しか照らさず、照らしている反対方向は闇となってしまう。方向性が強く、光が拡散しないため、一点を見るにはいいのかも知れないが、室内照明としては全く不向きである。
②と①の結果も意外であった。
でも考えてみると、②の芯は細く、①の芯は太い。
燃える量が①のほうが多いので、明るさも①のほうが明るいというのは自然である。
もっと太い芯の蝋燭を使えば別の結果も出たのかも知れないが、安易に蝋燭の火のほうが明るいと考えるのは危険であると思った次第。

昔の狭い部屋であれば、油の行灯でも十分に明るかったには違いない。
確かに読み物、書き物をするには不便な明るさでしかないが、江戸時代では家に帰ってまで、仕事をする者はほとんどいなかったし、パソコンもなかった時代だから、夜に行う作業としては、行灯の光でも事足りたのであろう。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-10-18 23:33:19
良い実験ですね
やらないとわからない
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