八幡浜から五十崎(いかざき)、そして内子へ向かった。
五十崎の目的地は凧博物館だ。子供の頃 叔父に土産で貰った武者凧が私の宝物だった。
入館者は私一人でゆっくりと見て周れたのだが、日本各地、世界の凧に混じって もちろん記憶にある武者凧も展示されていた。
係の人が現れたので、その懐かしい記憶のハナシをしていたら さらに館員が増えて話の輪が広がった。
内子の目的地はよくドラマやサスペンスの舞台となる内子座だ。京都の南座のように表通りに面しているのかと思ったら、なんと狭い裏通りの一角に その歴史的な建物はあった。
微かにギシギシし鳴る床板が歴史の重みを感じさせ、初めて入った建物なのに妙に懐かしい気持ちになった。
奈落の底や二階へも自由に出入りでき、観光客に混じって階段を上がって下りてを繰り返して楽しんだ。
今夜の宿は松山にあるホテルだ。
路面電車に乗りたくてホテルの人に訊いたら160円均一で距離に関係なく乗れるとのことなので、早速小銭を沢山握りしめて乗車。駅まで乗ったり戻ったりをしてから道後温泉へ向かった。
道後温泉は道路も駅も大混雑。金髪女性が浴衣を着て楽しそうに歩いていた。
道後温泉本館は、長蛇の列。
こんなに沢山の人が入浴できるのだろうかと思ったのだが、もちろん内部の撮影は出来ないだろうし想像するしかない。
凄い乳の数と砲列の数。
私はあわてて砲列の部分だけを意識の中から揉み消した。
番外編
久しぶりに家内と細岡の湿原展望台へ行った。
まだ観光シーズンには早いので、騒がしい隣国人はいない。
思いついて達古武(たっこぶ)オートキャンプ場から延びている夢ケ丘展望台への2.3キロある遊歩道を歩いて見ることにした。
最近、階段上りに執念を燃やしているので遊歩道終端にある階段を上がるのも目的だ。
遊歩道を少し入ると水芭蕉の群落に迎えられた。
「ヤチボウズのテッペンに毛が生えてきたね」と家内が云うので
「大人になってきた証拠だね」と答えたのだが無視された。
昔なら少し頬を染めて「そんなことばっかり・・・」なんて色っぽく云ったと思うのだが、今は いちいち答えるのも面倒臭いようだ。
ついに到達した最後の階段。これがかなりの難物だ。
最初の102段を上がりヒーヒー言いながら坂道を上がる。
次にまた30段の階段を上がり、そしてまた坂道。
そして最後に49段の階段をもうダメ状態で頑張り坂道を上がれば展望台。
やっと上がった展望台に1分もいなかったのは家内がトイレへ行きたいと騒いだからだ。
まだ息が整っていないのに猛スピードで階段を下り遊歩道を戻る。
どんどん小さくなる家内の姿。
一人取り残された私は、急に心細くなり「ま・・・待ってくれぇ」と後を追った。