ゴールデンウィークに入る前に、渡辺勝竹斎先生の所にご挨拶に行ってきた。今年で、83歳。まだ現役の竹工芸士として活躍されている。15歳位の時から、竹細工の道に入ったそうなので、もうこの道、68年と云うキャリアである。網代編みの第一人者として、この世界の巨人だ。
私の母親より、一つ年上になるので、さすがに腰が少し曲がってきては居るが、竹細工をしている姿は、ビシッとされている。
80歳を過ぎても、全然ボケた所は見当たらない!
「先生が、お元気で作業を続けて下さることが何よりですよ!」
「毎日、指先を動かしている事が、ボケ防止になっているのかな?」なんて、冗談を仰る。
先生の工房を尋ねると、いつも、実に綺麗に整頓されているに感心する。一つ一つの作業を終えるごとに、周りの掃除をなさっている。この姿勢が、機密で揺るぎのない作風に繋がってくるのだろう。
私の大好きな由布さんの工房を訪れると、足の踏み場もないほど、竹屑で散らかっている。しかし、これが由布さんの豪放さに結びつくのだから、面白い!あの、力強く、オドロおどろした表現は由布さんしか出来ない!
人それぞれの持ち味なのだ。
この道具も、50年以上使っている代物だ。竹の厚みを揃える機械?道具である。
「銑」と云う。竹細工独特の道具である。
真ん中の鉄板の上に、竹を一本挟み、その厚さで、鉄板と刃物の間の隙間を決める。その隙間を通す事で、竹ヒゴの厚さを揃えていくのだ。
先生独特の使い方があり、勉強になる。如何違うのか?と云うと、あまりにも専門的になりすぎて、一般の人には、用語から説明しなくてはならないので、今回は止めておく。
重厚感のある道具だ。両サイドの金具は50年の重みが感じられるが、刃物や竹を滑らせる部分は、今でもピカピカである。
先生の工房で、何気ない話をする中でも、いろんなノウハウを拾う事が沢山ある。今でも、技術的な問題に突き当たると、此処に来て解決する事が多いのだ。
これからも、元気に現役を続けて頂きたい!竹細工暦80年を目指して!