高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

漆塗り 2

2009年03月15日 09時41分20秒 | 竹細工作業工程

314_009 漆の刷毛は皆さんが知っているのとは少し違いがある。一番大きな違いは 刷毛が先から終わりまで通っている事だろう。習字の筆や絵の具の筆などは、先の使う所だけに刷毛が付いているが、この筆はずーっと真ん中に刷毛が続いている。

写真の左がまだ未使用の刷毛、右が相当私が使い込んだ刷毛である。元々は同じ長さであったが、長年使い込むうちに、刷毛先が固まってくると切り落とし、新しい所を出す、新品同様の刷毛が出てくるのだ。

毎回、毎回テレピン油で漆が残らない様に丁寧に洗うのだが、それでも少しづつ硬くなっていく、だんだんと使いにくくなった時、切り落として、また刷毛こしらえをして新しい刷毛として使うのだ。

314_004 このヘラも、長年使っているうちに、微量の漆が少しづつ蓄積されて、最初は暑さが3ミリほどのヘラであったが、20年使っているとこの様に厚さが2センチ近くまで大きくなってきた物だ。まるで、鍾乳洞の鍾乳石が少しづつ伸びて行くように、漆のヘラも大きくなっていく。

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314_006

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漆塗り 1

2009年03月14日 07時04分32秒 | 竹細工作業工程

ご注文の提濫もついに最後の仕上げまでやってきた。波網代の一番細かい網目で、この大きさの作品を作るのは初めてのことである。網目が細かいと言う事は、それだけ薄いヒゴで編まないと目が詰まない。しかし、それでは強度が出ないので、裏側に補強をするなど、いろいろと課題や試行錯誤の連続であった。

313_007 私の所では、漆を2回掛けている。1回目で下地を作り、2回目で仕上げの漆と白い埃の様に見えるが、蝋のパウダーを降り掛け、刷り込んでいる。この為、網目が浮き出たような模様をかもし出す。上品な質感と艶を出してくれるのだ。

最後の漆がけは、女性に例えれば化粧の様なもので、仕上げが悪いと品が無い。「良い所へお嫁に行ってくれます様に!」と思いを込めて漆塗りをするのだ。もちろん、どんなに化粧が旨くても、元が悪いとどうしようもないのだが。

漆を塗っていく度に、表情がどんどん変わり美しくなっていく、手間は掛かるが出来上がった作品を手に取るとニコッとするのだ。

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みんなに助けられて

2009年03月13日 07時20分10秒 | 職人仲間

昨日、東京の手作り革靴の杉浦君から電話が入った。正月に日本橋三越に持っていった「竹と革を合わせた財布」など、革を使った新しい作品群を見て、革を扱う職人としていろいろアドバイスしてくれた。アドバイスだけでなく、具体的な提案までしてくれた。

私は日本の竹の性質は世界的に見ても、最上級に位置すると思っている。この革と合わせた製品群は、何時か必ず世界の市場へ広がって行くと信じている。それには、もっと革のことを知り、作品として磨き上げていかなくてはならない。

来週から横浜高島屋へ出張で出かける前に、一日早く東京入りして、杉浦君に革屋さんや、革職人さんの所へ連れて行って頂く事になった。一日、時間を使って付き合って下さる。本当にありがたい事だ。

杉浦君は、大学を卒業後、地元の信用金庫に就職。信用金庫時代に様々な中小企業の経営を見てきている。物事を客観的に分析し、今何を優先的に遣るべきか?冷静に判断できる。その事は杉浦君にとって、大きな財産となっている。現在は家業の靴屋さんを、お父さん・お兄さんと一緒にやり、新しい販路作りや製品開発をしている。

http://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20080705

真面目で明るい性格から、いろんな人に可愛いがられている。いつも、日本橋三越で勉強会を開く、メインメンバーである。

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一閑張り 2

2009年03月12日 07時36分24秒 | 作品紹介

3月の声を聞いて、竹製品がだんだん動き出してきた。問屋さんの注文も入りだし、今月中旬、横浜高島屋での「九州展」から本格的な催事シーズンに入ってきた。ありがたいことである。

既存の販路や催事が動き出して来たのと、同時に新しい企画を育てて行かなくては為らない。先日来、準備し始めた「一閑張り」もサンプルの籠も10種類ほど出来上がり、いよいよ和紙を張る所まで来た。ここで、登場が我が工房のマドンナ「まりちゃん」である。この人は、子供のPTA仲間で知り合ったのだが、何を遣らせても抜群、字は旨いし、籠も編めるし、布の取り付け、事務、発送作業、……オールマイティーである、彼女の回りにはいつも明るい笑い声が絶えない。 

310_006今度は彼女が和紙張りの中心人物になってもらう事になる。初めて和紙を張るのは力加減や、糊の濃さ、刷毛の使い方、押さえ加減などなど、どんな仕事も数をこなして、体で覚えて行くしかない。

今回は、一番簡単な「お皿」とちょっと難しい「キャンディボックス」だ、なかなか良い物ができそうだ。頑張ってね!

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竹鈴

2009年03月11日 08時09分03秒 | 作品紹介

310_011竹鈴」この小さな小さな作品を見るたびに、ある一人の人を思い浮かべる。今はもうお亡くなりになってしまったが、別府市内の「川上キミ」さんだ。竹業界では知らない人はいない有名な方だ。長年、別府竹製品卸協同組合の理事長をされていた。とても小さな方で身長は150cmも無かったであろう、しかし、存在感は充分。

「竹鈴」は直径2センチほど、たった6本のヒゴで出来上がっており、組み上げたボールの中に小さな鈴を入れ、紐を付けてぶら下げるようにした可愛い鈴である。値段は1個、180円。

この「竹鈴」には経営ノウハウが詰まっている。昭和20年代から30年代に、この竹鈴で一代の財を成したのだ。当時は1個10円くらいで売られていたのか?たいした金額では無い。しかし、この鈴を全国の土産物のルートに乗せ販路を作り、また、主婦の内職仕事として、生産体制を作り上げ、毎月、毎月、何十万個と出荷していった。「竹ヒゴを調達して、生産管理し、販売ルートを作って行く。」文字にすれば、たったこれだけの事であるが、その中には、悲喜こもごもな物語が詰まっている。

自分で企画した作品がどんどん売れる様になって行き、規模が拡大されて行く、鈴に付随して、他の竹製品も販売するようになり、数年後には、別府でも有数な竹問屋に成長していったのである。

私も、この鈴を見ながら「私にとっての竹鈴を育てて行こう!」と。

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道路工事

2009年03月10日 06時31分23秒 | 安心院

3月になると、日本中至る所で道路が掘り返されている。何処に行っても片側通行の信号に捕まり待たされる。年度末に予算を使い切ってしまわないと、来年の予算が取りにくいそうだ。毎年、毎年の事なんだから、少しは考えて計画的に工事をすれば良いのに!と思う。

39_011 我が家の前の工事も、ただ今、最盛期である。以前の面影は無く、随分見晴らしの良い広い道になりそうであるが、今は、以前のコンクリートを剥ぐって赤土が出た状態であるから、雨などが降った日には大変である。先日も、工房のメンバーの車が赤土に取られ、工房の前の坂道を登らなくなってしまった。仕方なく、工事の人のショベルカーで引っ張り上げて貰う始末である。

工事の人も大変で、車が来る度に工事を中断して、道を通れるようにならし、ユンボを移動する。車が通った後、また先ほどの所を掘り返すのだ。気の毒だと思うのだが、私たちも通らなくては為らない生活道路である。早く、工事が終わってほしいのだが、今月末まで掛かって下地つくりまで、数ヶ月そのまましておき下地が固まってから本格的な舗装工事になるようである。あー、いつ終わるのか

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ヘソクリ

2009年03月09日 09時27分02秒 | ブログ

39_009 パソコンを新しいのに変えたため、パソコンを入れるケースも変わってしまった。5年ほど前まで使っていた、古いケースを引っ張り出して来たら、なんと!中から5万円出てきた。思わぬ所からお金が出てきたので喜んだ。だが、元々は私のお金で、自分自身がすっかり忘れていただけである。

「これはヘソクリだったかな?」

「んー?覚えが無いが、きっとヘソクリだ。」

「ちょうど、新しいパソコンの値段ぐらいだ。」

「儲かったような?そうで無いような?」

不思議な気持ちであるが、先ずはラッキーとしておこう。しかし、最近、物忘れが多くなった。若いときにご年配の人から「年を取るとだんだん物忘れが激しくなる、きっとお前も年を取ったらそうなるんだから」と言われていたが、その時は「そんな事は無い!」と思っていたが、やはり、同じようにだんだんと物忘れをする様になって来た。

以前、飼っていた「エリー」という名の犬が、いつも貰った餌を何処かに埋めて、その後、何処に埋めたのか?忘れてしまっていた素振りを見せていた。何故か、エリーを思い出す今日この頃である。

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ネット販売

2009年03月08日 06時30分29秒 | ホームページ作り

今年はインターネットでの販売を強化していかなくては為らない!これから先の事を考えると、当然辿り着く道である。しかし、星の数ほどあるインターネットの中で、お客様に来て頂くには、相当な努力が必要である。小まめな更新と、絶えず情報発信し、リピーター確保に繋がる丁寧な対応……など。

この度、やっと大きなモールに出店することにした。自社サイトのホームページを2年ほど運営しているうちに、少しずつネットでのお店の運営方法のノウハウが出来てきた。ゆっくりとした進歩であるが、私どものお店には、こういった「慣らし」の期間が必要だったと思う。

ヤフーショッピングに出店することにした。ようやく審査も通り、ホームページを作るスタートラインに付いた。担当は、我工房のホープである、悦子とかおるさん、この二人に掛かっている。私が横からいらん事を言うと、纏まらないので極力、口は挟まないようにしたい……。来月にはヤフーショッピングに出展できるよう作業が始まった。

平行して、ネットで販売するための商品開発を進めている。単価の安く買いやすい物を作るときは、如何に効率よく、均一なものを作れるのか?なるべくシンプルに!シンプルに!さて、どんな作品ができるものやら、自分も作りながら楽しみだ。

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交流会

2009年03月07日 08時25分57秒 | 後継者育成

37_038昨年、後継者育成事業で教えた生徒たちと約束があった。「卒業するまでに、もう一回集まって飲み事をしましょう」と。その約束とあわせて、大阪から来ている「お惚けちゃん」を交流させてあげたかった。昨日はその他にも、彼らの同級生や竹の試験場の研修生も増え、賑やかな集まりになった。もう一人、飛び入りで、みんなより9年先輩になる中臣君も参加した。私を含めると全員で13人。

私が訓練校に行っていた年も結束が強く、25年経った今でも同窓会をしている。

3月13日が卒業式、来月から、それぞれの進路に進む。お酒を飲みながら、だんだんとエンジンが掛かってくると、話も弾む。37_025その中で中臣君が「自分も学校を出てしばらくは、稼げなくて、家賃が払えず何回止めようか?考えたものです。しかし、それを過ぎると腹が据わって乗り越えていけるようになった。」と言っていたのが印象的である。その彼も今では、世界的に活躍するようになっている。

宴会の途中の余興で「お椀回し!」

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この二人が優勝。

37_036

もう一息だったのがこの子、

37_001

今回も幹事役でお世話になった鈴木君、今日は和服が決まっているね!

世代を越え、経験年数を越え、楽しい時間をすごさせてもらいました。皆さん、頑張ってください!

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プレス

2009年03月06日 08時24分05秒 | 作品紹介

ご注文を頂き製作している「提藍」もほぼ完成に近づいてきた。本体部分が出来上がり、後は蓋になる部分を合わせて、仕上げの漆を塗る所まで来た。昨日は別府の「竹工芸訓練支援センター」に行き、底になる部分の板に竹の編地を貼り付ける作業である。板の両面に接着剤を付け、編地を裏表両方に張り、(編地で板をサンドするような形である)プレスにかける。

36_006 編地というのは、結構凸凹しているので、ただ単にボンドを付けるだけでは張り付か無いのだ。特殊な接着剤を調合し、薄く板に塗る。その上に編地を載せ、3㌧の圧力でプレスをかける。両面が一遍に出来るか?と思ったのだが、片方ずつしか出来ない。翌日、反対の面に貼り付け、もう一回プレスをかける。片面プレスをかけたあと、板に沿って編地をノミで丁寧に削って行く。手間のかかる作業であるが、出来上がりは綺麗である。36_003

こういった特殊な機械や道具が使えるのも、この施設が在るおかげである。しかし、ここも行政機構改革の波に飲み込まれそうなのである。「竹業界自体は、産業の規模としては小さい、その小さな業界のためにこれだけの施設を維持管理していくのは如何なものか?」と。

はたして、「大分県で唯一の伝統工芸品」を市場の論理だけで切り捨てて行って良いのだろうか?

竹工房オンセ

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シャラ

2009年03月05日 09時25分18秒 | 家族

先日の鼠捕りのおかげで静かな夜を迎える。我が家の猫の「シャラ」もぐっすり。

35_002 もう10年以上のお付き合いである。この「シャラ」を始めて見たときは、「ちょっと鼻筋の歪んだへんてこな猫だなー」と思った。以心伝心で、向こうも私の事をそう思ったのかも知れない?

この10年間毎日、妻の肩を枕に寝ている。私の所には無理やり引っ張り込んでも、直ぐに逃げていってしまう。私との微妙な距離を保ちつつ、今日に至っている。

私はどちらかと言うと、猫より犬が好きなのだ。以前、飼っていた犬はみんな無条件で愛情を振りまいてくれた、それに比べて、猫は気まぐれでマイペース。私に慣れるまででも数年掛かった。最近、ようやくお互い年を取ったのか?関係が丸くなってきた。

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御用だ!御用だ!

2009年03月04日 06時57分34秒 | ブログ

この数ヶ月、我が家に住み付いているネズミが居る。昨年末には、食器洗浄機のホースをかじり、台所を水浸しにしたり、先日は電子レンジの電気のコードをかじっており頭を悩ませていた。

先日、妻が物置を掃除していて、巣を見つけた。長男が飛んできて、「お父さんちょっと来てー!」と、見てみると、ありとあらゆる物を引っ張り込み、周りは細かく食いちぎられた紙くずがいっぱい落ちている。私の大好きなネスレのコーヒーまで引っ張り込んでいる。なんてやつだ!

家のあちらこちらに、ベトベトの接着剤が付いたネズミ捕りを仕掛けていたのだが、1回掛かりそうになった様だが、それ以降は何処に仕掛けておいても反応が無い。しかし、いつも夜中にカリカリと音がするので、住み付いているのは間違いない。ネズミ取りの毒団子は、間違って飼い猫のシャラが食べるといけないので仕掛けることが出来ない。

32_018 そこで、ホームセンターに行って昔ながらの金網で作ったネズミ取りを買ってきた。最初は電子レンジの後ろに仕掛けたのだが反応が無かった。そして、先日、物置の巣を見つけて大掃除、巣が無くなったことで場所を変えたのだろう。そして……

ついに 「御用だ!御用だ!」 むかしながらのネズミ捕りに掛かっていた。シンプル・イズ・ベスト。

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初背広!

2009年03月03日 05時09分35秒 | 家族

長男坊が高校を卒業して、入学まで春休みとして家に居る。入学式に着る服としてスーツを作った。私もそうだったが、初めて背広を着るときは、なんか自分も大人になった様な気がする。少し、照れくさい様な、それでも嬉しい物なのだ。ネクタイをするのもへたくそで、何処と無くギコチナイ!靴は今の若者に流行の、先の長い靴である。私なんかが見ると、「先をもう少し太くするとチャップリンの靴みたいだなー」と思えてしまうが、これが若者の流行なのだろう。髪型も片一方が短く、片一方が長い、変てこな髪型である。

「そんな頭は何て言って床屋でやってもらうんだ?」と私が聞くと、(この床屋と言っているのがもう古い様だが?)

息子 「アシメしてと言うんだ」

私 「アシメって何だ?」

息子 「アシメはアシメや!」

それを聞いていた妻が 「アシメは、アンシンメトリーの略よ。」と、 (んー、この人は何でも知っているな!)

妻 「シンメトリーとは左右対称、アンシンメトリーだから左右非対称と言う事」

息子・私 「なるほ32_0101 ど、なるほど」

妻が息子のネクタイを締めなおしている。きっと18年前に、この子を産んだ時、こんな、ひと時が来るのも望んでいたに違いない。

一つずつ、成長する息子を見ながら嬉しくなった。

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竹工芸課 修了作品展

2009年03月02日 06時05分01秒 | 竹細工

32_006 昨日は、別府市内の「別府トキハ」というデパートの1階ホールにて行われていた竹の学校の「竹工芸課 修了作品展」を見に行ってきた。一般の市民の方々に、竹の学校の存在を知っていただくため毎年行行っている。職員も生徒も揃いのジャンパーを着て頑張っていた。

「どんな活動をしているのか?」「どんな物を作っているのか?」「1年間でこんな物が作れる様になりました。」などなど…、広報活動と一緒に展示即売会も催している。これは、利益を出すというより、市民の方に竹に馴染んで貰うため格安のお値段で奉仕しているという感覚である。値段を見るとどの作品も驚くほど安い。およそ、市価の5分の1から10分の1と言った所だ。

32_007 各生徒が1品づつ出している修了作品は全て完売である。竹業界の中には「安く売りすぎる!」と批判もあるが、全体のレベルの統一されていない生徒の作品を販売するということは難しい。どの作品も、時間を掛け丁寧に作られた作品ばかりである。しかし、それは「売る事を前提としない!」というオマケつきで考えるとである。とても、この竹の材料代だけの値段で販売できるのか?といえば、無理である。この値段に自分の工賃をプラスして、販売経費をプラスして、小売店などの取り分もプラスして……、市価で換算して作品を見ていくと、竹職人を生業にしていくことは生半可な事ではできないのだ。

しかし、卒業はもう目前だ。今度は「売る事を前提として!」作品つくりをしていかなければならない。同じ市価の条件で、他の物よりお客様を引き付ける魅力ある作品を作らなければ売れない!自己満足の作品でなく、相手であるお客様が納得できる作品を作って行かなければ、職人として続けて行くことは出来ない。職人として揉まれて揉まれて成長して行って下さい!

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天使と悪魔?

2009年03月01日 05時34分53秒 | ブログ

新潟から、キリスト教式の卒業式に参加して、皆さん穏かで「この世に悪い人は居ないのでは?」と思えるような良い人ばかりの集まりに浸って帰って来る途中、福岡空港から高速バスに乗ったとき、一番前の座席に座っていた中年の男の人が声を掛けてきた。この2月の真冬の寒い時期に、まるでハワイ帰りの様な半袖で元気のいい人だ。

「誰だろう?」と思い、顔を見てみると「H」さんであった。大分の家具屋さんで、以前はよく「九州物産展」などで一緒になったものだ。しかし、4年ほど前、商売が旨く行かず倒産してしまった。それから、催事で一緒になることはなかったのだが。

ところが、今はもう家具屋は辞めて、「鳥天屋」として全国の物産展などを回っているそうだ。鳥天というのは、大分独特の文化で、他の地域ではあまり見たことは無い。大分県は鳥の消費量が全国一だそうで、各町内に一軒や2軒は「からあげ屋」さんがある。から揚げだけの専門店がそこかしこにあるのだ。私も始めて大分にきた時はびっくりしたものだが、今は当たり前になってしまった。

「H」さんは、いつの間にか食品業者に代わって、今では以前の家具屋以上に活躍している。会社を倒産させたのだから、随分と辛酸を舐めてきたのだろうと思いきや?ぜんぜん、暗い所は無い。前より、丸々と太って恰幅が良くなっている。話を聞いていると痛快悪漢小説を読んでいるようである。ある意味、私には無い、いい加減さや図太さには感心させられる。世の中、これ位神経の太さが無いと、のし上がっていけないのかも知れない!この日も台湾での、食品催事に出展して帰って来たところだそうだ。  たくましい!

それまで、キリスト教の天使の様な人達と敬謙な卒業式の雰囲気を味わっていたのが、いっぺんに吹き飛んでしまった。

竹工房オンセ

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