漆の刷毛は皆さんが知っているのとは少し違いがある。一番大きな違いは 刷毛が先から終わりまで通っている事だろう。習字の筆や絵の具の筆などは、先の使う所だけに刷毛が付いているが、この筆はずーっと真ん中に刷毛が続いている。
写真の左がまだ未使用の刷毛、右が相当私が使い込んだ刷毛である。元々は同じ長さであったが、長年使い込むうちに、刷毛先が固まってくると切り落とし、新しい所を出す、新品同様の刷毛が出てくるのだ。
毎回、毎回テレピン油で漆が残らない様に丁寧に洗うのだが、それでも少しづつ硬くなっていく、だんだんと使いにくくなった時、切り落として、また刷毛こしらえをして新しい刷毛として使うのだ。
このヘラも、長年使っているうちに、微量の漆が少しづつ蓄積されて、最初は暑さが3ミリほどのヘラであったが、20年使っているとこの様に厚さが2センチ近くまで大きくなってきた物だ。まるで、鍾乳洞の鍾乳石が少しづつ伸びて行くように、漆のヘラも大きくなっていく。