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父の日をベンチに眠る漢かな 中村苑子
六月の第三日曜日は父の日。「漢」には「をとこ」と振り仮名がある。ホームレスの男だろうか。あるいは、酔っ払いだろうか。父の日だというのに、ベンチで眠りこけている。家族はないのだろうか。あるとしても、子供らは父のこのような姿は知らないだろう。しかし、作者は「お可哀そうに」と思っているわけではない。あえて「男」と書かずに「好漢」「悪漢」の「漢」を用いているのが、その証拠だ。むしろ、世間のヤワな風習などとは没交渉に生きている姿勢に、男らしさ、男くささを感じている。好感をすら抱いている。(清水哲男)
父の日】 ちちのひ
6月の第3日曜日。父に感謝する日。母の日と同様にアメリカから起った行事。
例句 作者
父の日に子が来て母と睦みけり 千葉 仁
妻なくてわれに父の日などあらず 白川友幸
穴ひとつ詰め父の日の革ベルト長谷川鉄夫
山深くゐて父の日の暮れにけり 柴崎七重
父の日や遺品のなかの金釦 遠藤若狭男