ケンのブログ

日々の雑感や日記

日本センチュリー交響楽団第223回定期演奏会

2018年03月17日 | 音楽
ザ シンフォニーホールに日本センチュリー交響楽団第223回定期演奏会を
聴きに行った。
指揮はアラン フリバエフさん。
最初にピアノ小山実雅恵さんでラフマニノフのピアノ協奏曲
第2番ハ短調作品18が演奏された。
第一楽章
安定した音がだんだん迫力をまして大きくなっていく。
いかにも小山実雅恵さんという感じの展開。
指揮者もみちえさんのテンションにオーケストラをよく
あわせておられるような気がする。
途中でみちえさんのピアノ安定しているけれど
微妙なニュアンスにかけるというかちょっと一本調子のところも
あるなと思った部分もある。
第二楽章
冒頭でちょっとチャイコフスキーの交響曲第5番の第三楽章を
思い浮かべた。
甘く切ない音楽。
音楽の様相が悲しげになるところもある。
みちえさんはことさら特別のことをされるわけではないけれど
いつも安定している気がする。
楽章後半のオーケストラの演奏はムード音楽のストリングスのようにも聴こえた。
第三楽章
第二楽章から連続して第三楽章が演奏される。
みちえさんは一つ一つのおとを丁寧に確実に弾いておられるように思える。
音楽の随所に美しいうっとりとするようなメロディが出てくる。
ラフマニノフって素晴らしいなと思う。
音楽が終盤に入るとみちえさん、いよいよ気合いが入ってきて
すごいなあ、やるなあと思った。
音の細かいパッセージもみちえさん事も無げに弾いておられる。
やはり、すごい方なんだなあと思う。
よかった。
次に演奏されたのはボロディンの交響詩「中央アジアの草原にて」
はじめてきく曲だったので印象をつかもうとしているうちに
もう音楽が終わってしまった。
なんかロシアの音楽にしては明るく牧歌的な雰囲気だなと思った。
次に演奏されたのがショスタコーヴィチの交響曲第9番。
第一楽章
アクセントの付け方や楽器の響かせ方を聴いていると
指揮者は音楽の明るい側面に光をあてようとしておられるのかなと思ったりする。
第二楽章
冒頭の木管の旋律を聴いているとやはりショスタコーヴィチだなと思う。
木管のハーモニーもショスタコーヴィチ特有の美しさがある。
中間部ももっと悲痛に演奏しようと思えばできるけれど
あえてそういう道には進んでいないようにも思える。
それでも音楽には独特のけだるさが漂う。
第三楽章
バイオリンの細かいおとがよくそろっていて印象的だった。
ショスタコーヴィチの他の作品に比べると影を潜めているけれど
やはり音楽には壮絶ななにかが秘められているところもあるなと思う。
第四楽章
印象をつかみかねているうちに終わってしまった。
第五楽章
慎重に遅いテンポで出てくる。
一瞬これから一気にテンポをあげていくのかと思ったけれど
やや遅めのテンポで音楽が進んでいく。
音楽終盤にはずっとテンポがあがってきた。
最後の方では指揮者は指揮台でダンスをするようなおどけた
しぐさをなさりその動作を合図に音楽は明るくなっていった。
ロッシーニクレッシェンドのような感じで音楽は終結部へ向かっていった。
交響曲第15番でショスタコーヴィチはロッシーニのウイリアム テル序曲の
主要なテーマを引用しているけれど
やはりロッシーニのことが好きだったのだろうか。
なんかショスタコーヴィチの音楽が素直に明るく終わった気がする。
こういう演奏そんなにないと思う。
しかし、音楽全体の印象ということになると
やはりショスタコーヴィチの音楽をきくとしばし言葉を失ってしまう
自分がいることに気づく。

定期演奏会にはめずらしくアンコールにチャイコフスキーの弦楽セレナーデの
ワルツが演奏された。これが透明感のある素晴らしい演奏で
弦楽セレナーデのワルツはチャイコフスキーのワルツのなかでも
最高のもののひとつかもと思わせれくれる演奏だった。

コンサートが終わったあと僕はしばしばそうするように
コンサートホールの裏にあるチケット売り場へ行った。
大体いつもここでこれからのコンサートをチェックしてから帰る。
チケット売り場のはしに机がおいてあって
そこに見覚えのある顔の方がいらした。
小山実雅恵さんだった。
「みちえさん」と思わず僕は言った。
「いつかベートーベンの30番を演奏なさったとき
アンコールでシューベルトのアンプロンプッチェをなさったとき
僕みちえさんに色紙にサインいただきました
あのサイン記念に飾ってあります」と僕は言った。
みちえさんはにっこり微笑んで「ああ、ああ」とおっしゃった。
どうだろうあのときのこと覚えていてくださるかな。
たまたまコンサートが終わったあとトイレから出たら
列ができていてきくとみちえさんのサインを待つ列だった。
ふだんサインなどもらわない僕だけれどたまたまトイレから
出たらサインの列の最後尾に僕はいた。
それもご縁とあのときはサインをもらうことにした。
最後尾にならんでいる女性に「アンコールの曲なんでしたっけ」と僕はシューベルトの
アンプロンプチェの旋律を歌いながら言った。
「シューマンの子供の情景からです」と女性はスマホの画面から
アンコールの曲目を見ながら言った。
「それはトロイメライです」と僕は言った。
そしてもういちどアンプロンプッチェの旋律を歌った。
すると最後尾の近くにいた別の女性が
「アンプロンプチェです」と言って作品番号も言ってくださった。
「そうですよね。ピアノを習っている子がよく弾く曲ですよね」と言って
僕は低い音で主旋律の伴奏として出てくるもうひとつのメロディを
歌った。
「ああ、左手から出てくるメロディ」と女性が言った。
「そう、あの左手から出てくる音、グッときますよね」と僕は言った。
そんな話を女性と夢中になってしているうちに僕のサインの順番が
回ってきた
あのときはサインをしてもらうときにみちえさんとバッチリ目があった。
あのときもみちえさんは微笑んでおられた。
みちえさんあのときのこと覚えていてくださったら嬉しいのにと思った。
「ああ、ああ」とうなずきながら微笑むみちえさんの反応。
覚えていてくださるのかな。そう思いたいけれど「ああ、ああ」だけではわからない。
近くにいたコンサートホールの女性が
「サインもらいますか」と言った。
「ええ?CD買わなくてもサインいただけるんですか」と僕は言った。
前回サインをもらったとき僕は夢中になっていてサインを
もらったあとに本当はCDを買わないとサインがもらえないと気づいたのだ。
「買わなくてももらえますよ」とコンサートホールの女性が言った。
「じゃあ並びます」と僕は言ってサインを待つ人の最後尾に並んだ。
と言ってもそんなにならんでいる人の数は多くなかった。
ほどなくして僕の順番が回ってきた。
「チケットの裏にサインしてください。これをフォルダに挟んでおくと
いい記念になるんです」と僕は言った。
「シューマンのピアノ五重奏曲の時もいきました
ロケットダッシュよかったです」と僕は言って、思わず
シューマンの五重奏曲の冒頭のロケットダッシュのところを歌った。
みちえさんはまた微笑んで「ああ、ああ」とおっしゃった。
ああ、ああだけではわからないけれど
なんかチャーミングな笑顔。
とても僕より3つ年上とは思えない。(ウィキペディアで年齢を調べた)
芸術家で感性が若いのとピアノの練習で体幹が
とても鍛えられているせいだと思う。
みちえさんのステージは音楽ももちろん素敵だけれど
鍛えられたお姿をみるのも楽しみのひとつ。
また、時々みちえさんのコンサートに行こうかなと思う。