あれ?手袋!
今朝、出勤しようと家を出ると玄関前の道路にこんな落し物が。
今朝はあったかだったから、途中で手袋を外して、落としたのかしら?
可愛そうに泣いてないかしらね・・・・。
女の子の可愛らしい手袋を見たら、急に新美南吉の
「手ぶくろを買いに」
を思い出しました。
このお話、ご存知?
はじめての冬をむかえた子ぎつねは寒くてたまりません。
そこで母さんぎつねは町に行って子ぎつねに手袋を買ってあげることにしました。
親子のきつねは、暗い夜の雪道を町へと出かけます。
町の灯りが見えると、母さんぎつねは、ある時、お友達が人間にひどい目にあわされたのを思い出して動けなくなります。
子ぎつねの片方の手を人間の手に変えて、一人で手袋を買いに行かせます。
「人間ってほんとうにこわいものなんだよ。
相手がきつねだとわかると手袋を売ってくれないから、人間のほうの手を出すんだよ。」
といい聞かせます。
子ぎつねは、手袋を売っている帽子屋さんにたどりつきます。
トントンと戸を叩くと、少しだけ戸が開き、そこからもれたまばゆい光にめんくらいます。
そして、お母さんが出してはいけないと言って聞かせたほうの手をさしだしてしまいます。
「このお手々にちょうどいい手袋ください」
この帽子屋さん、子ぎつねだと気付きますが、持っていたお金が木の葉じゃないとわかると、子供用の手袋を持たせてくれます。
子ぎつねは、お母さんはあんなに言ってたけど人間っておそろしくなんかないやと思います。
帰りがけに、人間のお母さんの子守唄が聞こえます。
人間の子供の声も
「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子ぎつねは寒い寒いって泣いているでしょうね」
「森の子ぎつねもお母さんぎつねのおうたをきいて、ほらあなの中でねむろうとしているでしょうね・・・・」
この会話を聞いた子ぎつねは急にお母さんが恋しくなって、ダッシュで帰ります。
今か今かと心配していたお母さんの胸に飛び込みます。
「母ちゃん、人間ってちっともこわかないや」
それを聞いたお母さんぎつねは
「ほんとうに人間はいいものかしら。」
と二回つぶやくのでした。
おしまい。
このお母さんだって、
「そうね、人間って本当は優しいのね」
と言いたかったのでしょうが、言えない。
現実を知っていますからね。
今の若いお母さんも
「知らない人に声をかけられてもついていっちゃだめですよ」
と教えなければいけない。
この本は1933年に執筆されています。
新美南吉さんは、今のこの現状をもうその時から予想してたみたいですね。
この上の手袋、仕事から帰ってもまだ持ち主の女の子の手に戻っていませんでした。
今日の私の小さな幸せ
年賀状の宛名書きだけは終ったこと。(プリンターがしてくれたのだけど)