侘助椿
うだうだしていたら
すっかり春になっていました
庭に侘助椿が咲いています
他の椿に比べてすごく地味です
でも、とっても趣があって好きです
岡山県出身の、明治期を代表する詩人
薄田泣菫(すすきだ きゅうきん)
泣菫随筆から
侘助椿は実際その名のやうに侘びてゐる。
同じ椿のなかでも、
厚ぼったい青葉を焼き焦がすやうに、
火焔の名の花びらを
高々と持ち上げないではゐられない獅子咲のそれに比べて、
侘助はまた何といふつつましさだらう。
黒緑の葉陰から隠者のやうにその小ぶりな清浄身をちらとみせてゐるに過ぎない。
そして冷酒のやうに冷えきった春先の日の光に酔って、
小鳥のやうにかすかに唇を顫はしている。
侘助のもつ小形の杯では、波々と掬んだところで、
それに盛られる日の雫はほんの僅かなものに過ぎなかろうが、
それでも侘助は心から酔ひ足ってゐる。
侘助をこんな風に描写できるって
なんて素晴らしいのでしょう
もう、読みながら感動です
侘助椿をご存知の方はきっとうなると思います
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