田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

映像の世紀バタフライエフェクト「ハリウッド 夢と狂気の映画の都」

2024-01-03 00:10:21 | テレビ

 20世紀初頭、発明王トーマス・エジソンに、高額な特許料を求められた映画人たちは、自由に映画を作れる場所を求めて西海岸ハリウッドにたどり着く。

 小さな田舎町は第一次世界大戦を経て世界最大の「映画の都」となり、30年代には黄金期を迎える。だが、その輝きに魅せられ集まった若者たちを待っていたのは、彼らの夢を飲み込み肥え太るモンスターだった。夢と狂気が渦巻くハリウッド百年の物語。

 去年公開された『バビロン』と重なるところもあったが、ジュディ・ガーランドをハリウッドの象徴として描いたのは、一体誰の趣向だったのだろうか。俳優出身のロナルド・レーガン元大統領と彼の命を救ったシークレットサービスとのやり取りが面白かった。


「映画の都!ハリウッド」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a14c93968617792f98a1031449e84d1f

『バビロン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9e7b260161f2ad2289f0fdedd702631d

『ジュディ 虹の彼方に』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/638e0e1db1dde3744eff182626062033

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【インタビュー】「ポケモンコンシェルジュ」のん

2023-12-31 19:10:26 | テレビ

 株式会社ポケモンとNetflixによる初の完全新作プロジェクト、Netflixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」が12月28日から配信中。

 本作は、ポケモンがお客さまとして訪れる南の島“ポケモンリゾート”を舞台に、新米コンシェルジュのハルがポケモンたちのお世話に奔走しながら、本当の自分らしさに気付いていく様子を描くストップモーション・アニメーション。ハルの声を担当したのんにポケモンに対する思いや、作品について聞いた。

「本当に現実世界にもこんな場所があったらいいなと思うような、幸せが詰まった作品」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1417587

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『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』

2023-12-24 13:01:46 | テレビ

『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(NHK)

 仕事と結婚に失敗した荒井尚人(草彅剛)は、生活のために“手話”という唯一の技能を生かして手話通訳士となる。彼は耳が聞こえない両親をもつコーダ(Children of Deaf Adults)だったのだ。

 やがて仕事にも慣れ、新たな生活を送り始めた尚人のもとに届いた依頼は法廷でのろう者の通訳。この仕事をきっかけに、尚人は、自身が関わった17年前のある事件と対峙することに。そして、現在と過去、二つの事件の謎が複雑に絡み始める。

 ろう者の生活を描き込んだ社会派ミステリーで、原作は丸山正樹。デフ・ヴォイスとは「ろう者の声」を表す。なかなかない形のドラマなので興味深く見た。草彅が好演を見せる。

 『Coda コーダ あいのうた』(21)『エール!』(14)、そして全員がろう者の共同監督と出演者で製作された“無音の音楽映画”『LISTEN リッスン』(16)について、監督にインタビューしたことを思い出した。


『Coda コーダ あいのうた』『エール!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/19e20cddc0d06a98c490d5663c7cf333

【インタビュー】『LISTEN リッスン』牧原依里 & 雫境監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/45c17234fe6009b4a65070438b5b62df

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島崎俊郎のアダモちゃん

2023-12-08 09:35:17 | テレビ

 亡くなった島崎俊郎といえば、何といっても「オレたちひょうきん族」で扮したアダモステ(アダモちゃん)が最高。南洋の原住民風のキャラで、コントなどの最中に突然現れて意味不明の言葉を発する。多分ほとんどがアドリブで、たけしやさんまが本気で吹いていたのを懐かしく思い出す。今は放送コードに引っかかるのかな。

 アダモちゃんが突然現れる「タケちゃんマン」のコーナーでは、当時の公開映画をパロディにしたミニドラマがよくあった。

覚えているのは
「戦場のメリーさんの羊」(『戦場のメリークリスマス』83
「フレッシュダンス」(『フラッシュダンス』83
「イルマの竪琴」(『ビルマの竪琴』85
「おいで夜っ叉」(『夜叉』85
「バック・トゥ・ザ・富由知家」(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』85
「コーラスカイライン」(『コーラスライン』85
「遊駿」(『優駿』88)…。

 島崎がリーダーだったヒップアップ(島崎、川上泰生、小林進)のギターを絡めたネタのエンディングの「♪それでは、お別れしましょ。あなたと、サヨナラしましょ。ご機嫌、うるわしゅう~♪』(二葉あき子の『さよならルンバ』の替え歌らしい)も好きだった。これが宝塚の「すみれの花咲く頃」のパターンもあった。

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「アイドル誕生 輝け昭和歌謡」

2023-12-06 07:26:37 | テレビ

「アイドル誕生 輝け昭和歌謡」(NHK)

 1970年代初頭。作詞家の阿久悠(宇野祥平)は、作曲家の都倉俊一(宮沢氷魚)らと共に、テレビ番組「スター誕生」を通して、森昌子や桜田淳子などを次々と世に送り出していた。

 だが、阿久は、音楽プロデューサーの酒井政利(三浦誠己)が手がける山口百恵を強く意識する。そして、全く新しいアイドル像を模索し、都倉と共にピンク・レディーをデビューさせる。

 アイドル時代の礎を築いた人々の熱い思いを、昭和歌謡の名曲に乗せて実話をベースにしたフィクションとしてドラマ化。懐かしいったらありゃしない。

 宇野、宮沢、三浦のほかにも、山口百恵(吉柳咲良)、桜田淳子(山口まゆ)、ミー(山谷花純)、ケイ(中川紅葉)、土居甫(迫田孝也)、飯田久彦(田村健太郎)、久世光彦(谷本歩)、有馬三恵子(安藤玉恵)と、本人に寄せた(似せた)キャスティングがなされていた。

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山田太一脚本のドラマ その6「終りに見た街」

2023-12-03 09:57:33 | テレビ

「終りに見た街」(82.8.16.テレビ朝日)

 このドラマ、うわべはSFの形を借りているが、その中身は「男たちの旅路」をほうふつとさせる異世代間のギャップから、戦争の本質を描いていた。タイムスリップによって第二次世界大戦の真っただ中に、作者である山田太一の分身ともいえる主人公(細川俊之)とその家族を置き去りにし、当時は子どもだった主人公と戦争を知らない子どもたちとの間に生じるギャップを見せるのである。

 もし自分があの時代に引き戻されたら、子どもたちと同じような戸惑いを覚えることだろう。ところが、主人公のような戦争を体験した世代があの時代に引き戻されても、苦い体験が全て血となり肉となっているわけではない。彼らもそのほとんどのことを忘れているのだ。

 それだけ戦争は過去の出来事になり、日本は平和過ぎるのだろうか。いや決してそうではない。今の妙に右傾化した日本の姿は、いつまたあの悲劇を繰り返さないとも限らない。

 このドラマでも、戦争反対を唱える主人公たちを尻目に、むしろ戦争を遂行しようとする子どもたちの変化が、戦前の日本やナチスドイツのように、国が落ち込んだ時に民衆がファシズムに魅力を感じて引き込まれていった姿と重なる怖さがあった。平和過ぎるなどと言ってはいけない。自分たちがいつこのドラマのラストの主人公と同じ目に遭ってもおかしくはないのだから。

 それにしても、山田太一という人は、人物や日常の描写がうま過ぎる。リアリティがあり過ぎる。問題提起をし過ぎる。すごい脚本家だ。

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山田太一脚本のドラマ その5「男たちの旅路スペシャル 戦場は遥かになりて」

2023-12-03 00:24:46 | テレビ

「男たちの旅路スペシャル 戦場は遥かになりて」(82.2.13.NHK)

 久しぶりに作られたドラマシリーズのスペシャル版。このシリーズに一貫して流れるテーマは「世代」だろう。鶴田浩二演じる戦中派の吉岡と、森田健作、水谷豊、柴俊夫、清水健太郎、桃井かおり、岸本加世子といった、戦争を知らない世代との対立が、第一話からずっとそれぞれのドラマの核になっている。

 例えば、「シルバーシート」の老人問題、「車輪の一歩」の身障者問題、あるいは吉岡によって語られる戦争体験など、現代社会が抱えるさまざまな問題に対して、戦中派と戦後派による考え方のギャップを描き、ディスカッションをさせながら、その問題の核心にふれていく。その意味では、このドラマシリーズはまさに山田太一の独壇場である。

 今回は2時間スペシャルということで、これまで語ってきたことを集約した感があった。中でも戦争体験を語る吉岡=鶴田の姿は圧巻だった。

 われわれ戦争を知らない世代にとって、体験者が美化したりノスタルジックに戦争を語る傾向には恐ろしいものがある。例えば、このドラマのタイトルバックに象徴的に使われた「宇宙戦艦ヤマト」の大ヒットや、去年の『連合艦隊』とドイツの『U・ボート』の違いを見てもそれは明らかだ。戦争を体験した者がそれを美化したりノスタルジックに語れば、それを知らない世代が乗せられても不思議はない。  

 その点、このドラマは、吉岡を通して終始一貫「あれは間違いだった」と言わせているが、その横にハナ肇が演じた懐古派も登場させ、われわれには理解し難い、あの世代の矛盾を感じさせる。

 このあたりが、山田太一の奥行きの深いところで、一つの主張に対して、それに反対するものも描きながら、その問題の根本に触れていくのである。

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山田太一脚本のドラマ その4「タクシー・サンバ」

2023-12-02 18:12:26 | テレビ

「タクシー・サンバ」(81.10.17.NHK)

 「男たちの旅路」に代わって登場した山田太一作の新シリーズ。TBSで放送中の想い出づくり。にしてもそうだが、山田太一という人は、日常の身近な問題をドラマの中に描き込むのがとてもうまい。

 今回のテーマは父と子の断絶だった。愛川欽也扮する清掃局員・太田と受験戦争の申し子のような息子(松田洋治)との対立。清掃員という職業から父を軽蔑する息子。自分もどこかに引け目を感じているから息子に強いことが言えない父親。よくあるケースだろう。商店は別にしても、父親がサラリーマンなら、働いている姿など子どもは見る機会がないのだから…。

 このドラマでは、緒形拳扮する元はエリート商社マンのタクシー運転手・朝田を狂言回しにして、現代社会の典型であるこの父と子の姿を浮き彫りにしていく。

 太田が運転手たちの前で自らの心情を吐露するシーン、朝田が太田の息子に父親の仕事ぶりを見せて歩くシーンに山田太一の主張がある。それ故、この二つのシーンは感動的だった。

 いいドラマを作るのに特別に派手な見せ場を用意する必要はないのだ。日常生活の中にいくつものドラマがあるのだから。このドラマのように、タクシードライバーや清掃員にスポットを当てても、描き方が丹念であれば、いいドラマは作れるのだ。

 緒形拳のほかにも、佐野浅夫、坂上二郎、毒蝮三太夫、岡本信人、花沢徳衛ら、タクシードライバーの面々はなかなかの猛者ぞろい。今後が楽しみだ。

【今の一言】ここでも山田太一に感化されている若き日の自分がいた。ちょうど脚本の勉強をしている頃だったのだ。

 

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山田太一脚本のドラマ その3「男たちの旅路 車輪の一歩」

2023-12-02 12:08:40 | テレビ

男たちの旅路「車輪の一歩」(1980.10.11.)

 このドラマシリーズは、警備会社に勤める元特攻隊員の吉岡(鶴田浩二)と若い部下たちとがディスカッションをする形で、毎回さまざまな社会問題(特攻隊、戦争体験、老人…)について語っているが、今回は車いすに乗る人々を中心にすえた。

 われわれ健常者はうわべでは彼らの不自由な生活に同情しても、彼らの本当の苦悩を分かっているわけではない。一方、彼らにしても、われわれ健常者に対して、世話になってありがたいと思いながらも、素直になれない。そんな状況をこのドラマは見事に描いている。そして何ともやるせない現実が浮き彫りにされていく。

 例えば、母親(赤木春恵)の監視のもと、自由に外に出られない良子(斉藤とも子)は、車いす仲間の男たち(京本政樹、古尾谷雅人、斎藤洋介ら)に誘われて外に出るが、車いすの車輪が線路に挟まって動けなくなる。幸い救出されるが、ショックで失禁してしまう。

 一方、車いす生活を送る川島(斎藤)は、親に励まされてトルコ風呂に向かうが、車いす故に入店すらできず悔しい思いをする。帰宅後、断られたとは言えないから 作り笑いでごまかすが、こらえ切れずに号泣する。これらは見ていてとてもつらいシーンだった。

 吉岡は、彼らに「迷惑を掛けてもいい。胸を張って世話を受けろ」と言う。だが母親は、世間の冷たさを知っているだけに、受け入れることができない。この場合、どちらかが正しいとは言えない。

 結局、ドラマは良子が外に出て自らの言葉で人々に訴えかけるところで終わるが、結論はそう簡単には出るものではないだけに、ハッピーエンドとは言い切れない。ただ、われわれがなかなか知ることができないこうした問題を提起しただけでも、このドラマは価値があるといえるだろう。

 後日、渋谷駅の階段下で「上まで上げるのを手伝ってください」と言う車いすに乗った人を手伝うことができた。それもこのドラマを見ていたおかげかもしれない。

【今の一言】43年前に書いたもの。当時大学生だった自分は、結構山田太一のドラマに感化されていたのだと改めて思った。あの頃に比べれば、今は車いすの人たちに対しても、世の中は随分優しくなったのではないか。

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山田太一脚本のドラマ その2

2023-12-02 09:24:06 | テレビ

「チロルの挽歌』(92・NHK)

 鉄道会社の技術部長・立石(高倉健)は、テーマパーク「チロリアンワールド」の建設責任者に任命され、北海道の田舎町へと単身赴任するが、そこには自分と娘を捨てて駆け落ちした妻(大原麗子)が住んでいた。


「なんだか人が恋しくて」(94.3.19.NHK)

 県立高校教師の井口(平田満)は、則を守ることに厳しく、生徒たちの評判は芳しくない。家庭でも偏屈と思われ、子どもからも疎んじられていた。その井口が北陸へ旅に出る。ところがその道中で教え子の邦枝(佐藤友紀)に偶然会う。

 久しぶりの山田太一脚本ドラマで、そこそこ面白かったのだが、相変わらず問題提起と異世代間のディスカッションが中心で、結局問題は解決せず、またもや結論は見る側に託されていた。このあたり、いかにも山田太一という気もするが、見終わった後に釈然としない思いが残るのも否めない。

 ただ、むしろ自分の親の世代に近い彼が書いたドラマによって、逆に今の若者たちの考えを教えられたりもするのだから、その取材力や現代社会が抱えるさまざまな問題への細やかな目配りはさすがと言うべきなのだろう。

 普段はあまり見る機会がない名古屋産のドラマだったが、教師役の平田がいい味を出し、無名の若い2人(特に佐藤)との絡みもなかなかよかった。


「刑事の恋」(94.4.7.テレビ朝日

 元ヤクザの兄を持つ娘に恋をした刑事(中井貴一)。悩んだ末に娘に別れを告げ転任するが、そこで事件が起きる。

 山田太一作にしては珍しい刑事ものだったが、またしてもディスカッションドラマで結論は見る側に託されており、なるほどと思わされる半面、たまにははっきりと結論を出すドラマも書いてほしいと思ったのは自分だけだろうか。思えば頑固な人である。


 衛星放送で大河ドラマ「獅子の時代」(80)の再放送開始。その懐かしさと面白さに誘発されて、山田太一のシナリオ全5巻を一気に読破。いいシナリオは下手な小説よりもずっと面白いことを再発見した。(94.10.)


「パパ帰る'96」(96.1.4.テレビ朝日)

 3年半前、夫の一歩(風間杜夫)に蒸発された千春(篠ひろ子)は、2人の子どもと家のローンを抱え、必死に働いてきた。長女の泉(鶴田真由)は短大を卒業、長男の光太郎(堂本光一)は高校生。千春にも新しい恋人ができ、万事うまくいき始めたところへ、突然、一歩が帰ってくる。

 山田太一作の新春ドラマ。それなりに面白く、相変わらず彼の家族に対するこだわりも感じられるのだが、昨秋の「夏の一族」に続いて、このドラマも現実離れしたファンタジーで終わらせたところに一種の逃げや衰えを感じた。


 

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