「映画で見る野球 その2」チーム編
まずは弱かったクリーブランド・インディアンスが映画のおかげで本当に強くなった? 『メジャーリーグ』3部作(89~98)。変化球が打てない強打者、球は滅法速いがノーコンのリリーフ投手ら個性的な選手が多数登場する。中でも『2』(94)でとんねるずの石橋貴明が演じた日本からの助っ人タカ・タナカが傑作だった。
デトロイト・タイガースの名選手の黄昏をロイ・シャイダーが好演した『ファイナル・イニング』(83)。原題はズバリ『タイガー・タウン』だ。ケビン・コスナーが引退を決意した試合で完全試合を達成するタイガースの大投手を演じたのが『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(99)。こちらはマイクル・シャーラ原作の『最後の一球』の方が主人公の心理をきめ細かく描いていた。
アナハイム(旧カリフォルニア)・エンゼルスのスカウトの姿を描いたのが『ドリーム・ゲーム/夢を追う男』(91)。主人公が逸材を求めて旅するアメリカ各地の草の根野球の様子がベースボールの裾野の広さを感じさせる佳作だった。天使がエンゼルスに助太刀する『エンジェルス』(94)は心温まるファンタジーのリメーク版。
まだまだあるぞ。『がんばれ!ルーキー』(93)は腕のけがが元で何故か剛速球が投げられるようになった少年がシカゴ・カブスに入団する話。“少年版”の『春の珍事』(49)だ。一方、『リトル・ビッグ・フィールド』(94)は少年がミネソタ・ツインズのオーナーになるという夢物語。子供も金や名声に毒されるという苦さも描かれる。
新人時代のロバート・デ・ニーロが白血病に侵されるキャッチャーを演じた『バング・ザ・ドラム』(73)。架空のチーム名は何とニューヨーク・マンモス! ユニフォームなどを見るとモデルがヤンキースなのは明らかだ。
そして『ナチュラル』(84)でロバート・レッドフォード演じる遅れてきたルーキー、ロイ・ハブスが入団するのがニューヨーク・ナイツ。ハブスのモデルは八百長事件で球界を追われたシューレス・ジョー・ジャクソンだと言われる。レッドフォードの打撃フォームの美しさに思わず目を奪われる。バーナード・マラマッドの原作『奇跡のルーキー』とは違うハッピーエンドが心地良い。ベースボール・ムービーの最高傑作の一本だ。
幻の女子プロリーグを扱った『プリティ・リーグ』(92)のチーム名はかわいくピーチズ。ジーナ・デイヴィス、ロリ・ペティら女優たちがきちんと野球をプレーする姿が素晴らしい。ちなみにトム・ハンクスが演じた監督は架空の人物。
最近ではブラッド・ピットが、スモールボールを提唱したオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンを演じた『マネーボール』(11)がある。ブラピに加えて、ビーンの片腕役のジョナ・ヒル、アート・ハウ監督役のフィリップ・シーモア・ホフマンも好演を見せた。
クリント・イーストウッドがアトランタ・ブレーブスのベテランスカウトを演じたのが『人生の特等席』(12)。エイミー・アダムス演じる彼の娘も野球狂という設定で、マニアックな野球クイズにもすらすら答えるという面白いシーンがあった。彼女の名前はヤンキースの至宝ミッキー・マントルから採られていた。