珍品なり
この映画のように、複数の作品を複合し、新たに別の作品を作り出すことを“マッシュアップ”というらしい。ジェイン・オースチンの『高慢と偏見』にゾンビの世界をミックスさせ、四姉妹がカンフーの使い手というめちゃくちゃな設定まで加えたのは、『リンカーン/秘密の書』(12)の原作と脚本を書いたセス・グレアム=スミス。前作でリンカーン大統領をバンパイアハンターにした彼なら、確かにやりかねないという荒唐無稽さがこの映画の見どころだ。
うがった見方をすれば、ゾンビを使って英国の階級制度を揶揄しているとも取れるが、それはあくまで二次的なものだろう。要は、こんな面白い(くだらない)ことを思いついたぜ。どうだすごいだろ。という感じなのではないか。とは言え、衣装やセットなどで結構真面目に19世紀の英国を再現しており、ミスマッチの妙が楽しめる。日本で言えば、時代劇とゾンビをミックスさせたようなものか。珍品なり。