二人の愛の軌跡を淡々と描く
1958年、黒人と白人の結婚が違法だった米バージニア州で結婚したラビング夫妻の受難とラブストーリーを実話を基に描く。
異人種間結婚禁止という法律を変えるきっかけを作った夫婦の姿は、いささかきれいごとでまとまり過ぎている気もするが、監督のジェフ・ニコルズは、本来ならばクライマックスとなるであろう裁判の場面を極力カットして、二人の愛の軌跡を淡々と描いた。そこに好感が持てる。
妻役のルース・ネッカがオスカー候補となったが、それにも増して、いかにも実直なレンガ職人といった雰囲気を醸し出した夫役のジョエル・エドガートンの抑えた演技が光る。
このところ、この映画に加えて、汚職に手を染めるFBI捜査官を演じた『ブラック・スキャンダル』、監督も兼任し、いじめられっ子の屈折を表現した『ザ・ギフト』、ヒロインを助けるかつての恋人を演じた西部劇『ジェーン』と、まさに一作ごとに違う顔を見せている期待の俳優だ。