アイデアは面白いのだが…
ギリシャのエーゲ海でクルージングを楽しむ中年男性の6人組。船がアテネに寄港するまでの間に、誰がストロングマン(最高の男)かを決めるゲームをすることに…。女性監督が皮肉たっぷりに、男のアホなプライド、愚かしさを描く。今年度のアカデミー賞の外国語映画賞のギリシャ代表作品。
アイデアは面白いが、理解不能のギャグ、微妙な間やテンポについていくのに一苦労。例えば、はげでデブの弟がミニー・リパートンの「ラビング・ユー」に合わせて踊り、仲の悪い兄がそれを花火で盛り上げる場面なども、もっといい場面になりそうなものだが、テンポが悪くて見ていていらいらしてくる始末。
ハリウッドでリメークしたらもう少し締まって面白くなるかもしれないと感じた。
怪獣が出てくるベトナム戦争映画
1973年、太平洋の孤島スカル・アイランド(髑髏島)を、軍人、学者、カメラマンからなる調査隊が訪れる。そんな彼らの前に島の守護神キングコングが現れる。
1933年製作の第1作以来、キングコング映画としては通算8作目となる本作は、コングが都会に連れていかれて大暴れ…という従来のパターンを破り、孤島でのサバイバルとバトルの様子を中心に描く。とにかくコングや巨大トカゲなどのリアルな動きに驚かされる。
また、監督のジョーダン・ヴォート・ロバーツが、「モンスターが出てくるベトナム戦争映画」と語る通り、コッポラの『地獄の黙示録』(79)を想起させる設定やシーンが数多くあるほか、『ルーム』(15)で注目されたブリー・ラーソンが、歴代のヒロインたちとは違う、アクティブなヒロイン像を構築するなど、新たな試みが随所に見られる。
だが、製作がうわさされるハリウッド版の『ゴジラ対キングコング』への布石を打つためか、ラストが中途半端になってしまったのが残念だ。