真面目で誠実な二枚目役を演じ続けた加藤剛が亡くなった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/10/94bc28e4bdf22409ad351673c0fac025.jpg)
映画の出世作は、理不尽な主命による悲劇を描いた小林正樹監督、橋本忍脚本の『上意討ち 拝領妻始末』(67)の三船敏郎の息子役。これは、大河ドラマ「風と雲と虹と」(76)の平将門、「獅子の時代」(80)の架空の薩摩藩士・苅谷嘉顕、そして「関ヶ原」(81)の石田三成へと、真面目で融通が利かないが故に破れていく理想家役につながる系譜だ。
演じた歴史上の人物としては、『千利休 本覺坊遺文』(89)の古田織部、『伊能忠敬 子午線の夢』(01)の伊能忠敬、そして代表作と言っても過言ではないドラマ「大岡越前」の南町奉行・大岡忠相など。山下毅雄作曲のテーマ曲が流れると、思わず「お奉行」と声を掛けたくなる。
松本清張原作の、野村芳太郎監督作、『影の車』(70)の気弱なサラリーマンと、『砂の器』(74)の和賀英良役は、影のある二枚目役の白眉といってもいい。
長崎で被爆した永井隆博士を演じた木下惠介監督作『この子を残して』(83)と、続く『新・喜びも悲しみも幾歳月』(86)の灯台守の主人公役では、誠実さがにじみ出た。
そして、ベテラン辞書編纂員を演じた『舟を編む』(13)と、主人公の映画助監督の晩年を演じた『今夜、ロマンス劇場で』(18)での、枯淡の演技も見事だった。
どうしてもアウトローやくせ者役が目立つ中、癖や嫌味のない役に、説得力を与えることができる稀有な俳優だったと思う。
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映画の出世作は、理不尽な主命による悲劇を描いた小林正樹監督、橋本忍脚本の『上意討ち 拝領妻始末』(67)の三船敏郎の息子役。これは、大河ドラマ「風と雲と虹と」(76)の平将門、「獅子の時代」(80)の架空の薩摩藩士・苅谷嘉顕、そして「関ヶ原」(81)の石田三成へと、真面目で融通が利かないが故に破れていく理想家役につながる系譜だ。
演じた歴史上の人物としては、『千利休 本覺坊遺文』(89)の古田織部、『伊能忠敬 子午線の夢』(01)の伊能忠敬、そして代表作と言っても過言ではないドラマ「大岡越前」の南町奉行・大岡忠相など。山下毅雄作曲のテーマ曲が流れると、思わず「お奉行」と声を掛けたくなる。
松本清張原作の、野村芳太郎監督作、『影の車』(70)の気弱なサラリーマンと、『砂の器』(74)の和賀英良役は、影のある二枚目役の白眉といってもいい。
長崎で被爆した永井隆博士を演じた木下惠介監督作『この子を残して』(83)と、続く『新・喜びも悲しみも幾歳月』(86)の灯台守の主人公役では、誠実さがにじみ出た。
そして、ベテラン辞書編纂員を演じた『舟を編む』(13)と、主人公の映画助監督の晩年を演じた『今夜、ロマンス劇場で』(18)での、枯淡の演技も見事だった。
どうしてもアウトローやくせ者役が目立つ中、癖や嫌味のない役に、説得力を与えることができる稀有な俳優だったと思う。