田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『インクレディブルファミリー』

2018-07-12 09:38:26 | 新作映画を見てみた
ヒーローもつらいよ



『Mr.インクレディブル』(04)14年ぶりの続編で、監督・脚本は前作同様ブラッド・バード。目まぐるしく展開するアクションシーンが見ものだ。

 今回のテーマは、ズバリ「悪と戦うヒーロー家族にも、日常生活や悩みがある」。そこに、女性(妻)の社会進出、仕事と子育ての両立など、ごく一般的な問題が二重写しになることで、面白さや切実味が増す。その多くは、監督自身の家族像を反映させたものだという。これは細田守監督の『未来はミライ』と共通するものがあると感じた。

 また、マーベルやDCのヒーローたちにも通じる、民衆のヒーローを求める声とパワーを持つ者への畏怖という二律背反のジレンマも描かれる。まさに「今はヒーローもつらいよ」という感じである。
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『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』を再見

2018-07-12 09:13:20 | 映画いろいろ
 テレビで久しぶりに『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』を再見。



 この映画は、何度見ても楽しい。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f579610ea047636d14bb6a45215031d1

 「君たちの未来はまだ白紙ということさ。誰もがね。自分の未来は自分で切り開くものなんだ」という、ドクの締めのセリフは、拙書『人生を豊かにするための50の言葉-名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方』でも引用させてもらった。


https://www.amazon.co.jp/dp/B00NMHCQU0
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『LBJ ケネディの意志を継いだ男』

2018-07-12 08:28:37 | 新作映画を見てみた
 ジョン・F・ケネディ暗殺後、急遽、副大統領から大統領に昇進したリンドン・B・ジョンソンの知られざる素顔と功績を描く。監督は『アメリカン・プレジデント』(95)で、理想的な大統領の恋愛を描いたロブ・ライナー。



 特殊メークにも助けられ、ウディ・ハレルソンとジェニファー・ジェイソン・リーがジョンソン夫妻役を熱演している。『ある決闘』(16)『スリービルボード』(17)『ハン・ソロ~』(18)と、最近のハレルソンの演技は本当にすごいのだが、実は彼の父親は殺人犯で、ケネディ暗殺の実行犯の一人だと名乗っていたこともあるらしいので、今回は皮肉な配役ではある。

 さて、ジョンソンといえば、理想像=ケネディと、天下の憎まれ役=リチャード・ニクソンの間に存在した地味な大統領、あるいは、ベトナム戦争を泥沼化させた張本人というマイナスの印象が強い。そして東部出身のエリートでスマートなケネディに対し、南部テキサス出身の田舎者で下品なジョンソンという正反対なイメージが形作られた。

 ところが、この映画は、ケネディは公民権法、宇宙開発などに対するビジョンは示したが、実現前に非業の死を遂げ、それらを実現させたのは実はジョンソンだったという事実を知らせる。

 暗殺されたことによって神話となったケネディの後始末をしたのは、皮肉にも存在感の薄いジョンソンだったというわけだ。そう考えると、映画の中で、ジョンソンがリンカーンの像に向かって「あんたの後始末は俺がするよ」(奴隷制の撤廃と公民権法の成立)と語り掛けるシーンは象徴的だ。

 ベトナム戦争に関する描写がほとんどないのは…とも思うが、演じたハレルソン自身が「彼が善人なのか悪人なのか判断する事すらできない。彼の何を見て判断すればいいのか分からない」と語るように、一本の映画で複雑なジョンソン像の全てを描くのはどだい無理な話。今回はケネディとの絡みを中心に、1時間半あまりでテンポよく見せてくれたことを評価したいと思った。

 ケネディ兄弟を演じたジェフリー・ドノヴァンとマイケル・スタール=デヴィッドに加えて、リチャード・ジェンキンス、『インデペンデンス・デイ』(96)で大統領を演じたビル・ブルマン、かつての青春スター、C・トーマス・ハウエルらが、政治家役を好演している。こういう映画を見るたびに、俳優にとって政治家は演じ甲斐のある役なのだろうなと思わされる。
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